テクニカルスキルの種類や向上させる方法は何か？
ビジネスを遂行する際には、テクニカルスキルやノンテクニカルスキルなど、さまざまなスキルが必要となります。なかでもテクニカルスキルは、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルと同様に、ビジネスに必要なスキルのひとつです。
この記事では、ビジネスに欠かせないテクニカルスキルについて、各項目別の種類やそれらを向上させる方法について解説します。また、テクニカルスキルの活用例なども具体例を挙げて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
テクニカルスキルとは？
テクニカルスキルの言葉の意味や、ノンテクニカルスキルと言われているヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルとの違いについて解説します。また、テクニカルスキルに欠かせないカッツ理論についてもまとめました。
テクニカルスキルの言葉の意味
テクニカルスキルの意味は、簡潔に言うと業務遂行能力のことです。業務遂行能力とは、仕事や業務を遂行するために必要な能力のことを指しています。数あるビジネススキルの中でも、業務の遂行に特化したスキルのことを、総じてテクニカルスキルと呼びます。
ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルとの違い
ビジネスのスキルには、テクニカルスキル以外にも、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルなどがあり、これらは一般的にノンテクニカルスキルと呼ばれています。ヒューマンスキルとは、対人関係能力のことを指し、人間関係を円滑にし、人との繋がりを活かした能力のことです。
コンセプチュアルスキルとは、概念化能力のことで、物事の本質を捉えてビジネスを行うスキルのことを指します。これらは2つのスキルにカテゴライズされていますが、場合によってはテクニカルスキルに属することも。例えば、コミュニケーションが仕事に活かされる場合は、そのヒューマンスキルもテクニカルスキルになる場合があります。
立場によって必要とされるスキルは異なる
テクニカルスキルをはじめ、ノンテクニカルスキルであるヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルなどは、ビジネスによってあらゆる場面で必要になってきます。そかし、どれも均等に必要という訳ではなく、職種や立場によって求められるスキルは異なってきます。
例えば、組織の上層部や、マネジメントを行う職種や立場の人の場合は、テクニカルスキルよりも、コンセプチュアルスキルやヒューマンスキルが重要になってきます。一方、現場で活躍する職種や立場の人は、より高度で精密なテクニカルスキルが求められることでしょう。
専門性と汎用性のバランスが重要
ノンテクニカルスキルでも、専門性が際立てば、それがテクニカルスキルとなる場合があります。例えば、コミュニケーションなどは汎用性が高いノンテクニカルスキルだと言われていますが、突出したヒューマンスキルや語学などを介したコミュニケーションにおいては、立派なテクニカルスキルになるでしょう。
しかし、あるスキルだけに特化して、他のスキルとのバランスの整合性がないと、時にはそのテクニカルスキルが人事評価などに影響する可能性があります。こうしたスキルは、いずれかのテクニカルスキルに偏るのではなく、汎用性の高いノンテクニカルスキルとのバランスが重要です。
テクニカルスキルに欠かせないカッツ理論とは？
テクニカルスキルに欠かせないのがカッツ理論です。カッツ理論とは、アメリカの経済学者であるロバート・カッツが提唱したビジネスにおけるスキルと人材の関係性の理論です。テクニカルスキルと、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルのバランスと、職位の関係性を一覧表として可視化。
職位は、監督者層と呼ばれるロワーマネジメント、管理者層と言われるミドルマネジメント、経営者層と言われるトップマネジメントに分類されており、ヒューマンスキルを軸にテクニカルスキルとコンセプチュアルスキルのバランスが違います。
カッツ理論によると、トップマネジメントになるにつれてコンセプチュアルスキルが重要です。一方、ロワーマネジメントになるほどテクニカルスキルが必要になると言われています。
テクニカルスキルの存在意義
一般社員の場合
一般社員の場合、3つのスキルのうちで最も欠かせないのがテクニカルスキルです。ポータブルスキルのみでも遂行可能な業務はありますが、ビジネスにおいてより高みを召さず場合はテクニカルスキルは必須でしょう。
業務遂行のほとんど担うのが一般社員であるため、企業はテクニカルスキルを習得してもらうべく、研修やトレーニングを行っています。また、一般社員の場合は現場で円滑に仕事が進められるよう、コミュニケーションをはじめとしたヒューマンスキルも重要な項目のひとつになります。
管理職の場合
管理職の場合、テクニカルスキルやコミュニケーションスキルに加え、コンセプチュアルスキルも必要になってきます。現場監督や店舗の店長など、管理職は一般社員を統括するポジションとなり、テクニカルスキルは人事評価や人材配置などに重要な意味を持ちます。
職場リーダーの場合
職場リーダーの場合は、テクニカルスキルをだけでなく、ヒューマンスキルも重要になります。また、人材を統括する立場であり、経営に基づいたマネジメントを行う必要があるため、コンセプチュアルスキルも求められる職位が、職場リーダーです。
職場リーダーとして業務を円滑に進めるには、管理職や一般社員のテクニカルスキルへの習熟度が重要になります。このテクニカルスキルがあることで、業務遂行の際に管理する人材からの信頼が得られるだけでなく、現場の進捗や企業としての位置づけが見えてくるようになるのです。
経営幹部の場合
経営幹部の場合、カッツ理論ではコンセプチュアルスキルを中心としたスキルが求められますが、ある程度のテクニカルスキルも必要になります。また、ヒューマンスキルにおいても一般社員や管理職とは異なる質のものが求められるため、時にはコミュニケーション自体が業務のテクニカルスキルとなる場合も。
経営の立場からすると、テクニカルスキルは一見必要でないように思えますが、現場の進捗や開発などの判断を下す際には、ある程度のテクニカルスキルが無いとうまくいきません。そのため、経営幹部の場合でも、ある程度のテクニカルスキルの保有と、時事に合わせたアップデートが重要になると言えます。
テクニカルスキルの種類と活用例
種類①商品知識
主に製造業や販売業を行う人に欠かせないのが、商品知識のテクニカルスキルです。具体的にはどのようなものかと言うと、商品の知識はもちろん、商品のコンセプトや理念、過去の商品との違いや他社との違いなど、商品に関するあらゆる項目の知識を有しているのが商品知識のテクニカルスキルと言えます。
また、より高度になると、マーケティングや市場理解などのテクニカルスキルと組み合わせて活用できるので、有用性の高いスキルです。
種類②市場理解
市場理解とは、先述した商品知識を基盤としたテクニカルスキルのことです。商品やサービスを開発する際の戦略的な思考に活かされるのが市場理解のテクニカルスキル。商品知識のスキルと市場理解のスキルと、非常に多くの項目を網羅するテクニカルスキルは、一般社員や管理職でも身に着けておきたい重要なスキルです。
種類③情報収集力
情報収集力は、市場理解や企画などのリソースとなる重要なテクニカルスキルです。情報収集とは、適切な情報元から、商品ニーズや反応などのさまざまな項目を収集することを意味します。
市場理解や商品知識と似ていますが、情報集の場合は、より広い場所から情報を集めて、その後の商品知識や市場理解に活かし、それらの項目を商品の開発へと昇華させる重要なテクニカルスキルです。
種類④分析力
収集した情報を分析して、考察する能力が分析力のテクニカルスキルです。さまざまな項目から、分析、理解、判断するテクニカルスキルは、マーケティングや研究職などの分野には欠かせないスキルだと言えます。
また、分析力は統計学や社会学などの知識も活用できるスキルです。それらの知識を備えつつ、商品知識や情報収集などのテクニカルスキルを併せ持つと、より詳細な分析が可能になり、スキルの向上にも繋がります。
種類⑤マネジメント能力
マネジメント能力は、主に管理職や現場リーダーに求められるテクニカルスキルです。人材をけん引して、パフォーマンスを引き出し、人材を育成する重要なスキルのひとつだと言えます。
ヒューマンスキルと大きく関係があり、人材のマネジメントだけでなく、中間管理職や経営者とのコミュニケーションなど、さまざまな項目にかかってくるテクニカルスキルです。また、全体のマネジメントではなく、個々のマネジメントを一つに束ねるという高度なスキルがあると、より企業に求められる人材になることでしょう。
種類⑥文書作成能力
文章作成の能力も、ビジネスにおいて重要なテクニカルスキルのひとつです。業務で使用する資料やマニュアルなどは、簡潔で分かりやすい内容の文章が求められます。そうした際に役に立つのが文章作成能力です。
文章作成能力のテクニカルスキルは、単にテキストの作成だけでなく、状況判断や、分析、過去の事例、市場理解に商品知識など、あらゆる項目を網羅したスキルが必要となります。
テクニカルスキルを向上させる方法
OJTを実施する
テクニカルスキルを養うために多く採用されているのが、実務経験をしながら学べるOJTの実施です。主に、店舗や営業などにおいては、多くの企業でOJTを採用しています。一般的なOJTは、社内の熟練者が教育係としてマンツーマンで指導し、の実際に職務に就きながらスキルを磨きます。
短期間でテクニカルスキルを習得できるというメリットはありますが、指導者によっては偏ったスキルになってしまうデメリットも。OJTを行う際には、人員配置を十分に考え、会社として社員を育てるように意識すると良いでしょう。
OJTを活用するメリット①個人の特性に合わせることができる
OJTの大きなメリットのひとつは、指導する社員やスタッフ個人に合わせて実施できる点です。基本的にOJTはマンツーマンや少人数制で行われます。管理職やリーダーで人材の配置を適所に行うことで、個人の能力に合わせたOJTが可能になり、社員やスタッフの潜在能力を引き出すことができるかもしれません。
OJTを活用するメリット②職場の人間関係を築くことができる
OJTでは社員間でテクニカルスキルを教えます。そのため、必然的のコミュニケーションの機会が増え、職場の人間関係の基盤も一緒に教えることができます。OJTの際には、管理者やリーダーが積極的にコミュニケーションを取り、人間関係の円滑化を図ると、その後もうまくといった例が多くあります。
Off-JTを実施する
職場外で研修を受けるOff-JTもテクニカルスキルの向上に有効な手段です。社外研修と呼ばれることが多いOff-JTでは、会社を離れた広い視野でビジネスについて捉える目線を養うことができます。自社を俯瞰して見つめることで、新たな視点が生まれ、その後の業務に活かすテクニカルスキルが身につくことでしょう。
Off-JTを活用するメリット①専門的な知識の習得に役立つ
主に専門職などでは、定期的にOff-JTを行うことで最新の知識や技術を習得する例があります。また、社外の人とこみぃにケーションを取ることで、発想の枝葉が広がり、より建設的な思考が養われることでしょう。
Off-JTを活用するメリット②研修の濃淡が起こりづらくなる
社内研修やOJTの場合は、良くも悪くも身内で遂行するため、研修の濃度に差が発生する可能性もあるでしょう。しかし、Off-JTであれば、そうした濃淡が無くなり、常に新鮮な情報と内容の研修が行われます。
eラーニングを活用する
パソコンやモバイル機器を活用して行うeラーニングもテクニカルスキルの習得に有効です。テレワークも多い昨今では、テクニカルスキルをはじめあらゆる項目のスキルの習得にeラーニングが欠かせない存在になってきました。
受講者にとっても、時間や場所も選ばずにテクニカルスキルを身に着けることができるので、メリットが大きいのが特徴です。近年ではゲーム感覚で行うeラーニングもあるので、気軽に臨める点もメリットでしょう。
eラーニングを活用するメリット①時間や場所に左右されない
eラーニングは、動画や音声を流す機材さえあれば、いつでもどこでも受けることが可能です。パソコンを始め、スマートフォンやタブレット端末さえあればすぐに研修ができるため、多くの企業が採用しています。
eラーニングを活用するメリット②教育の質が均一
e-では、あらかじめ決められたプログラムを視聴するだけなので、テクニカルスキルの質が均一化されます。OJTなどの事例では、時に指導員の影響でスキルに差が生まれてしまう可能性も。しかし、eラーニングであれは内容や学習項目も均一化されているため、安定した知識と技術の習得が叶えられます。
テクニカルスキルはさまざまな職種に求められる必須スキル！
テクニカルスキルは、専門職だけでなく、さまざまな職業において必須のスキルです。しかし、テクニカルスキルだけではなく、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルといったノンテクニカルスキルも仕事の上では重要な要素となります。
ビジネスを行う際には、職種に応じてテクニカルスキルとノンテクニカルスキルのバランスをコントロールするのが大事です。ぜひ、今後のキャリア形成の際に、テクニカルスキルとノンテクニカルスキルのバランスを考え、実務に役立ててください。
