ワークシェアリングはどういう働き方?メリットデメリットと導入事例

ワークシェアリングはどういう働き方?メリットデメリットと導入事例

ワークシェアリングを活用して働き方を変えたい!

ワークシェアリングは、失業率の改善を図るために、海外で誕生し導入された働き方として普及しています。日本でもテレワークなどが浸透し始めたことで、新しい働き方として注目され始めました。

しかし、注目されているとはいえ、ワークシェアリングの働き方は、日本ではなじみの薄い働き方です。そこで、ワークシェアリングとはどういう働き方をするのか、意味や海外の事例なども交えて紹介していきます。

副業と両立させながら働きやすい働き方ですので、メリット・デメリットを考えていきながらチャレンジしていきましょう。

ワークシェアリングとは?

ワークシェアリングの言葉の意味

ワークシェアリングは、直訳すると仕事を分かち合うという意味です。つまり、一人で担っていた仕事を複数人で行うことで、一人の作業負担を減らし、効率よく生産性の高い労働同士で雇用を分け合うというという働き方がワークシェアリングの意味になります。

ワークシェアリングは、労働負担を減らし、社会全体の雇用を増やす政策として、主にヨーロッパで導入されており、特にオランダでは失業率を大幅に改善させた成功例として有名です。この事例を受けて、日本でも厚生労働省が導入に勧めている働き方です。

ワークシェアリングが注目されている背景

ワークシェアリングは、ヨーロッパ諸国の失業対策とて誕生しました。ワークシェアリングを導入した国々は、雇用を多く生んだことによって失業率が改善させています。

日本では、労働市場の悪化により、労働者の過労死や自殺などが問題になっています。そんな、労働環境改善の手段としてワークシェアリングを活用しようという動きが起こっています。

ワークシェアリングの目的

ワークシェアリングは、労働時間を短縮させながら仕事を分ちあい、一人の労働負担を減らし、新たな雇用を生み出すことで、社会全体を安定させることを目的としてます。その結果、解雇規制緩和などの労働流動化や産業構造が転換させ経済全体を安定させる効果が期待できます。

日本におけるワークシェアリングの現状

ワークシェアリングは、ヨーロッパでの成功事例をきっかけに注目を浴びている働き方でした。しかし、意味については好意的に受け入れられたものの、日本の労働形態などの関係から一気に浸透するまでには至りませんでした。

しかし、近年においてリモートワークやテレワークなどといったアウトソーシングが一般化しつつあります。その影響で、ワークシェアリングへの導入が検討されるなど再度注目を浴びています。

ワークシェアリングの種類

種類①雇用維持型(緊急避難型)

ワークシェアリングの種類とその意味について紹介ます。まず一つ目の「雇用維持型(緊急避難型)」は、企業の業績が悪化したときに、従業員を解雇ぜずに雇用を維持するために行います。

企業側は業績が悪化した際、過度な人材流出というデメリットは避けたいと考えます。そのため雇用維持、経営の立て直しを速やかに行う目的で、ワークシェアリングの導入を行う場合があります。

種類②雇用維持型(中高年対策型)

もう一つの雇用維持型として、「雇用維持型(中高年対策型)」があります。こちらは、中高年層の労働時間を短縮させることで、中高年層の雇用を維持する目的としてのワークシェアリングです。

こちらのワークシェアリングでは、時短勤務や少ない出勤日数などを条件に、定年を越えた労働者の雇用を行います。中高年層を多く雇用することで、経験を生かす場所を提供しています。

種類③雇用創出型

「雇用創出型」は、一人でも多くの労働者が雇用できるように、既に雇用されている従業員の労働時間を短縮させ、そのぶんの業務を新規採用者に振り分けていくワークシェアリングです。

雇用創出型は、失業率の改善で失業者を減らす目的や、求人倍率が低い職業、仕事が見つからない人の雇用など、様々な目的で活用します。

種類④多様就業促進型

多様就業促進型は、働き方改革から生まれたワークシェアリングです。社内の勤務形態の種類を増やすことで、一人でも多くの労働者に就労の機会を与える目的があります。

例えば、フルタイム出勤、時短勤務、パートタイマー、テレワークなど、会社が働き方を提示し、従業員は育児や介護など、個人の事情に合わせて選択することができるワークシェアリングです。このように、働き方を選ぶことでワークライフバランスをとります。

ワークシェアリングのメリットとデメリット

企業側のメリット

ワークシェアリングを導入した場合、企業側のメリットに、従業員一人一人の業務負担が減ることにより、深夜残業や休日出勤が減るなど、労働環境が改善され、コストカットが可能になります。

他にも、ワークシェアリングを導入すれば、リストラせずに雇用数を確保していたことで、追加業務や新規業務、緊急で対応の業務に対し、迅速に対応することが可能です。

また、ワークシェアリングで従業員の雇用を保障することで、従業員の満足度・信頼度が向上し、企業としてのイメージアップにもつなげることができます。

従業員側のメリット

従業員が、ワークシェアリングを導入することで得ることができるメリットは、労働時間が短縮されたことにより、自分の時間が生まれ、適度なワークライフバランスをとることができます。

ワークシェアリングであれば労働時間は短縮されるものの、雇用自体は維持されていきます。そのため、仕事を探す必要もなく、しっかりと業務に打ち込むことができます。また、 ワークシェアリング で空いた時間を副業にまわすなどしで、自分自身で新たな雇用を生み出すことも可能です。

企業側のデメリット

企業側のデメリットは、ワークシェアリングを導入することで、制度や雇用者数によって、給与計算のなどの手間が発生し、新たな業務が生まれる可能性があるため、 ワークシェアリング を導入する際は、対策が必要です。

注意しなくてはいけないのが、 ワークシェアリング によるコストアップの可能性です。メリット部分では、コストカットを紹介しましたが、雇用が増えた分、社会保険料の負担金や福利厚生、教育費用などが増える可能性があります。そのため、ワークシェアリングの導入に対して慎重になる企業が多いのも事実です。

従業員側のデメリット

従業員側もワークシェアリングを選択したことで生まれるデメリットがあります。労働時間が減ることにより、基本給が下がります。そこで収入格差が生じる可能性があります。結果、収入減を補うために、 ワークシェアリング で得た時間を副業に当てる必要性がでてきます。

企業側・従業員側ともに、ワークシェアリングを導入する場合は、その意味や、メリット・デメリットを理解したうえでの検討が必要です。

ワークシェアリングの日本企業の導入事例

導入事例①トヨタ自動車

ワークシェアリングを導入した日本企業の事例として「トヨタ自動車」を紹介します。トヨタ自動車は、工場の操業停止日も賃金を全額支払っていました。

しかし、2009年2月~3月に急激な業績悪化の改善を目的として、国内全12工場で、操業停止とする全11日間の内2日を休業日とし、賃金を2割ほどカットします。その後、固定費圧縮のために生産調整にも踏み切り、ワークシェアリングを導入していくことで従業員の雇用を守りました。

同時期、アメリカの工場でも業績の悪化を受け、日本と同様にワークシェアリングを導入して不況を乗り切っています。

導入事例②マツダ自動車

マツダ自動車もトヨタ自動車と同時期に業績悪化でワークシェアリングを導入しています。これまで、昼夜2交代せいだった工場勤務のうち、夜間操業を中止しました

その結果、工場労働者の勤務時間が半減し、基本給を約2割削減させ、時間外勤務や休日出勤手当を減らすなど大幅なコストカット・生産体制全体の見直しを行いました。

ワークシェアリングの海外の導入事例

導入事例①オランダ

ワークシェアリングの成功事例としてよくあげられるオランダは、1980年代に「オランダ病」と呼ばれる経済危機により急劇的に失業率が悪化しました。この失業率を改善するために、1982年に労働法の改正が行われます。

その後、労働時間調整法の裁定により、ワークシェアリング導入を進めていきました。企業側は雇用確保のために労働時間を短縮、賃金の抑制など政府に協力し、政府側も雇用者の収入の収入減を抑えるために、助成金ではなく社会保険料や税金の負担を減らすことでワークシェアリングを実施していきました。

1996年には、「同一労働同一労働条件」と法改正され、フルタイム労働者とパートタイム労働者間の収入等の格差が撤廃されました。

導入事例②フランス

雇用情勢の悪化により、1998年に成立した時間短縮に関する指導・奨励法(通称:オブリ法)・第一次法、2000年にオブリ法、第二次法が成立します。

そこから、法定労働時間が週35時間とし、早期実施した企業に対して、政府はインセンティブとして時限的な社会保障軽減負担措置を実施しました。このように、政府主導でワークシェアリングによる雇用創出対策を行っています。

導入事例③ドイツ

ドイツもオランダと同様に、1980年代に失業者を出さないことを目的とし、緊急避難型としてワークシェアリングを導入します。また、政策としても、2001年にオランダの後を追うように、「同一労働同一労働条件」やパートへの差別禁止を法律で定めました。

ワークシェアリングを副業に活用する時のおすすめサービス

おすすめサービス①タイミー

ワークシェアリングで、自分の時間が持てたことをきっかけに、副業に興味を持つ人も少なくありません。そこで、副業を行う際におすすめのサービスを紹介していきます。一つ目は「タイミー」です。タイミーは、仕事のマッチングアプリサービスとして運用されています。

タイミーのサービスで一番の特徴は、単発業務を受発注できることです。限定された日時で働ける人がいないか募集をおこないます。すると、その日時限定で働ける人が応募してくるため、無理に人を雇う必要がありません。

受注側も、面接不要で報酬を当日得る、時間が無駄にならないなどメリットが多いため、ワークシェアリングでも人気のあるサービスです。

おすすめサービス②ランサーズ

副業を行う際、クラウドソーシングサービスを利用する人は少なくありません。そのサービスの一つが「ランサーズ」です。ランサーズに登録を行うと、マーケティング・事務・ライター・デザイナーなど様々な仕事が発注されています。そのため、ワークシェアリングで別分野の仕事に就くこともできます。

経費削減を目的として仕事を発注されている企業もあるため、取り扱う件数も豊富です。受注者と発注者ともに、過去の実績・評価がつけられており、閲覧することでミスマッチを防ぎます。

ワークシェアリングの際、副業として利用するには最適なサービスですが、受注者・発注者双方とも、しっかりとした対応をしていかないと意味がありません。評価にも影響し、次の仕事に繋がらなくなってしまいます。副業だからと侮らずに本業同様に丁寧な対応を心掛けましょう。

おすすめサービス③ワリス

ワークシェアリングの中でも、主に仕事を探しているフリーランスの女性におすすめするサービスが「ワリス」です。企業とのマッチングサービスを行っています。ワリスが、企業側と人材側双方を精査したうえで紹介していきます。

企業側としては、人材募集にかけるコストを削減することができるサービスとしても注目を浴びています。人材側も紹介される企業が大手やベンチャー企業など様々なので、ワークシェアリングをきっかけに思いがけない企業で働ける可能性があります。

ワークシェアリングはこれからの時代に欠かせない働き方!

ワークシェアリングは、これからの時代に欠かせない働き方の一つです。厚生労働省もワークシェアリングの働き方を推奨しており、導入に関するリーフレットをHPで閲覧することができます。

しかし、ワークシェアリングを企業内に適用させていくためには、従業員の思考改革、年齢構成、企業制度など改善が必要な働き方でもあります。そのため、働き手側もワークシェアリングの働き方の意味を理解し、ワークライフバランスの改善を図っていきましょう。

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