ジュニアボード制度の仕組みを知りたい!
「ジュニアボード制度」という言葉を知っていますか?ジュニアボード制度とは、若手・中堅社員による企業経営の「疑似役員会」のことを指しており、社員に経営感覚を養わせる効果があります。そこでこの記事では、ジュニアボード制度の目的や進め方、ジュニアボードを実際に導入した企業事例について紹介します。
ジュニアボード制度とは?
まずは、ジュニアボード制度とは何かについて紹介します。後継者の育成の切り札として注目されるジュニア・ボード制度についてみていきましょう。
経営課題の調査や解決策の提案を行なう制度のこと
ジュニアボード制度とは、若手から中堅の社員を5~10人くらいプロジェクトメンバーとして集めて「疑似役員会」を結成し、経営課題の調査や解決策の提案を行う制度のことです。
ジュニアボード制度は将来の幹部候補の育成できますし、若手社員の視点の異なった意見を経営に取り入れることができるので、企業の活性化を図る手段として注目されています。
ジュニアボード制度の歴史
ジュニアボード制度は古くからある経営手法です。具体的には1930年代のアメリカで、スパイスや調味料の製造・販売をする多国籍企業のMcCormick社において始められたのが起源だといわれています。
1932年に当時の社長が社員の意見を経営に取り入れるために、本来の役員会とは別に社員が参加する疑似役員会を設けました。McCormick社では、この制度を「複合経営制(Multiple Management)」と称しており、擬似役員会をジュニアボード(Junior Board of Directors)と呼びました。
ジュニアボード制度の目的
続いて、ジュニアボード制度の目的について紹介します。ジュニアボード制度の導入を検討している方は、今から紹介する目的をよく理解してくださいね。
目的①社員の意見を経営へ反映させるため
ジュニアボード制度の一つ目の目的は、社員の意見を経営へ反映させるためです。経営層が保守的でなかなか革新的な経営を行えていなかったり、経営層と現場との間で意見の食い違いがあったりなど、課題を抱えている企業は少なくありません。
このような問題点を解決するためには、若手社員や中堅社員の新鮮かつ柔軟な意見を取り入れることが重要です。現在、日本でもジュニアボード制度を活用する企業が増えてきています。
目的②次世代の経営人材を育成するため
ジュニアボード制度の二つ目の目的は、次世代の経営人材を育成するためです。経営者を会社全体を総合的に把握した上で意思決定をしています。このような能力は、従業員が普段行う業務の中では、なかなか身につきにくいのが現実でしょう。
ジュニアボード制度を活用することで、若手や中堅社員に経営者の視点で物事を考える能力を伸ばすための機会を与えられ、次世代の経営人材を育成することができるのです。次の経営者候補不足になりやすい中小企業は、ジュニアボード制度導入の検討をおすすめします。
ジュニアボード制度のメリット
続いて、ジュニアボード制度のメリットについて紹介します。ジュニアボード制度は社員のモチベーションや仕事に対する意識を向上させるメリットがあるので、ぜひ学んでいきましょう。
メリット①社員の意識向上に繋がる
ジュニアボード制度のメリットとして、社員の意識が向上することが挙げられます。ジュニアボード制度を利用することによって、選ばれた社員は経営層が見る観点から事業を考えることができるようになるでしょう。
そうすると、会社に貢献するために、より仕事へのモチベーションが向上します。そしてジュニアボードのメンバーとしての活動後は、自分の仕事について明確に理解できるようになるので、生産性の向上が期待できるでしょう。
メリット②社員同士のコミュニケーションが活発になる
ジュニアボード制度を実施することによって、社員同士のコミュニケーションが活発になるというメリットもあります。ジュニアボード制度はさまざまな部署から社員が抜擢されるため、普段会話のしたことのない社員同士のコミュニケーションが生まれるのです。
また、ジュニアボード制度は若手や中堅社員が選ばれることが多いため、普段会話のしない経営層と直接会話する機会が得られます。このようコミュニケーションが活発化することによって、社員の関係性を深めることができるでしょう。
ジュニアボード制度の進め方
ここでは、ジュニアボード制度の進め方について紹介します。ジュニアボード制度を実施する際は、以下の4ステップを実施するのが一般的です。
進め方①メンバーの選出
ジュニアボード制度の進め方として、まずジュニアボードのメンバーの選出を行います。メンバーを選ぶ際は自薦か他薦になりますが、事業部長クラスなどからの他薦により選出されることが多いようです。
ジュニアボード制度で選抜される人数は5~10人程度であり、任期は半年から一年くらいが一般的。このメンバーの選出するステップは非常に重要なので、面接などを行ってよく検討しましょう。
進め方②課題の選定
次に、ジュニアボード制度で取り組む課題の選定を行います。課題を選ぶ際は、企業の経営戦略や経営方針を経営層と議論して考えていくケースが多いようです。
また、新規事業の展開や組織体制の改革などの取り組みが選ばれるケースなどもあります。取り組むべき優先課題の選定方法は、「課題の重要度」と「課題の取り組みやすさ」の二軸展開で考えるとよいでしょう。調査結果などの資料をもとに疑似委員会でグループワークを通じて、議論を重ねて整理するものよいです。
進め方③提案の検討と実施
課題の選定が終わったら、次に提案の検討し実施します。課題の実態の調査と分析を行い、提案を検討していきます。月に1回の頻度でジュニアボードのメンバーで集まり、課題解決の提案について議論するケースが多いようです。
提案の検討をしたら、最終役員会答申において提案を実施し、役員会は提案に対し承認・非承認を決定します。キックオフから役員会答申を経て、期間の終盤に最終役員会答申が行われます。
進め方④プロジェクトの立ち上げ
ジュニアボードの進め方の最後として、プロジェクトの立ち上げを行います。先ほどの役員会で承認された提案に対して、プロジェクトチームを立ち上げ、実際に活動を実施していくのです。
承認された提案内容を社内にも公表するのがよいでしょう。ジュニアボードのメンバーではない他社員も巻き込みやすくなります。
ジュニアボード制度の企業事例
最後に、ジュニアボード制度の企業事例について紹介します。導入事例を効果的に活用しましょう。
企業事例①株式会社パソナグループ
ジュニアボード制度の企業事例として、人材派遣会社のパソナなどを傘下に持つ「株式会社パソナグループ」が挙げられます。同社は将来の幹部候補生を育成するために、ジュニアボード制度を導入しています。
ジュニアボード制度のメンバーは、パソナグループの各社から選抜され、組織のリーダーとして社員を取りまとめる役割を担います。任命された社員の任期は1年間と設定され、経営層とパソナグループの経営戦略や経営方針などを会議で議論する機会が得られるのです。
企業事例②ユニ・チャーム株式会社
生理用品や紙おむつなどの衛生用品の大手メーカーである「ユニ・チャーム株式会社」は、 ジュニアボード制度の企業事例として有名な企業です。こちらの企業もジュニアボード制度を導入しています。選抜されたメンバーは1年間の期間で経営層と経営課題について議論し合い、検討された改善策を会社の施策に反映しています。
また、ジュニアボード制度のメンバーを対象として、約二カ月間の間「経営者のカバン持ち」を担当するプログラムもあります。経営者としてのあり方を肌感覚で感じることができるので、抜擢された社員は貴重な経験として今後のキャリアを考えるようになるでしょう。
ジュニアボード制度を積極的に取り入れよう!
ここまで、ジュニアボード制度の目的や進め方、ジュニアボードを実際に導入した企業事例について紹介してきました。ジュニアボード制度は次世代の経営人材を育成するという目的で行われるケースが多いです。
ジュニアボード制度を上手く導入することによって、社員の意識向上や社員同士のコミュニケーションが活発になるといった、メリットが得られます。ジュニアボード制度の導入に関しては、前向きな姿勢で取り組むや持続性を保つことなどに注意して、最大限の効果を発揮できるようにしましょう。