限定正社員と正社員との違いは?メリットやデメリットから導入事例まで

限定正社員と正社員との違いは?メリットやデメリットから導入事例まで
目次

限定正社員の意味を徹底解説!メリットやデメリットは何か?

ここ近年、各企業が優秀な人材確保や地域に根差した店舗づくり、営業展開を目的として、限定正社員制度を積極的に導入しています。

なぜなら、限定正社員制度を導入することで人材確保や社員の満足度向上などの企業側からのメリットだけでなく、安定した雇用、ライフワークバランスが取りやすい、転勤がないという従業員側のメリットも多くあるからです。

そこで、限定正社員の意味や正社員との違い、各企業での導入事例、限定正社員になることで生まれるメリット・デメリットなどを紹介していきます。限定正社員の仕組みをしっかりと理解していきながら、自分のライフスタイルに合わせた働き方を模索していきましょう。

限定正社員とは?

限定正社員の言葉の意味

限定正社員とは、勤務地域・職務(業務内容)・勤務時間などが限定された就業条件で働く正社員のことです。正社員に区分されていますが、フルタイム勤務の正社員のように、期間の定めがない雇用形態の一つです。

更に、パートやアルバイトのような非正規雇用とも異なるため、非正規雇用と正社員の中間に位置するような雇用形態として扱われています。

厚生労働省による限定正社員の定義

厚生労働省では、「限定正社員とは雇用契約上、職種・職務・勤務時間・業務内容・勤務地などについて一定の限度があるが、業務上は基幹的役割を担う正社員群」と、限定正社員(または、多様な正社員)を定義しています。

限定正社員とは、正社員と同等の立場でありながら、勤務時間や勤務地など一部制限がかかっている社員の事を示しています。ここから、勤務地限定正社員・職務限定正社員・勤務時間限定正社員などが、限定正社員に該当することがわかります。

限定正社員が広がる背景

限定正社員が広がる背景には、2014年に行われた総務省の労働力調査でもパート・アルバイト・派遣・契約社員等の非正規雇用者が4割と1995年の2割から大幅に増加しています。

しかし、非正規雇用者は、雇止めのリスクを回避するためにも正社員への希望が強いことや、育児や介護など家庭の事情により、正社員を退職する、非正規雇用者に転じている女性労働者がいることから、早急な雇用対策が求められています。

そういった、人材のキャリアや技術を生かすためにも、雇用促進をはかる受け皿としてこの限定正社員制度の導入を進めている企業が増えており、新たな雇用形態として注目されています。

限定正社員制度の導入状況

日本での限定正社員制度の導入状況は、労働厚生省の発表によると勤務地限定正社員制度が約17%、職種・職務限定正社員制度が約11%、勤務時間限定正社員制度が16%となっています。

実際に導入している企業や検討を進めている企業は増加傾向となっていますが、実際に導入している企業は多くないことがわかります。

また、限定正社員制度を導入したものの、実際に利用者がいた事例としても35%前後となっています。このことから企業は、制度を導入するだけでなく、制度が利用しやすい環境づくりを行っていくことが大切です。

正社員との違い

正社員と限定正社員は、雇用期間の定めがない・直接雇用という点では同じです。しかし、正社員は、原則として転勤や残業、職務内容の変更などの企業からの要請があれば、その変更に応じなくては行けませせん。

しかし、限定正社員は、企業の導入した事例を参考にして、企業によって条件はさまざまですが、転勤や職種の変更がない雇用契約を結びます。働く上で、ワークライフバランスを取りやすい雇用形態と言えるでしょう。

契約社員との違い

契約社員は、労働契約において5年間などの期間に定めのある有期労働契約を結んでいる社員を指します。正社員、限定正社員と契約社員との大きな違いは、雇用の契約期間の有無といえます。

契約社員の職務内容や責任範囲については、企業によって条件は異なります。また、一般的に賞与や退職金がない、利用できる福利厚生も正社員・限定正社員と比較しても制限されるなど、労働者にとってデメリットが多い雇用形態です。

ただし、2013年4月以降に雇用された契約社員は、2012年の労働基準法改正により、契約期間が5年を超えた場合、雇い主は無期雇用契約に切り替えなくては行けたいという点も忘れてはいけません。

限定正社員制度で活用できる助成金

企業は、非正規雇用者を正規雇用者へ転換して雇用すると、厚生労働省が行っているキャリアアップ助成金を受けることが可能に。これは、有期雇用者やパートタイム契約者として働いている従業員を限定正社員として転換するさいに活用できます。

キャリアアップ助成金を活用することで、限定正社員の制度設計や人事管理にかかる費用を捻出することが可能です。更に、助成金を受けることができる企業ということは、国が定める労働条件を満たしている企業ともいえるため、社会的な信用を得ることになります。

限定正社員の種類

種類①勤務地限定正社員

限定正社員には、いくつかの種類があります。そこで、種類に分けて限定正社員について紹介していきます。まず、最初に紹介する限定正社員は「勤務地限定正社員」です。

勤務地限定正社員は、転勤が一切ないもしくは転勤エリアが限定されているというような、就業する地域が限定されている働き方をする正社員のことです。

勤務地の限定方法は、1つの事業所を固定する場合・通勤可能な範囲での移動など勤務範囲限定する場合・都道府県をまたぐ移動があるもののエリアが限定する場合など企業によって様々な対応をしています。

転勤が必要ない移動に限定させることで、地域に密着した働き方を可能にします。更に、転勤が難しい社員でも長く務めることが出来るため、企業側は人材流出を抑えることができます。

種類②職務限定正社員

次に紹介するのは、「職務限定正社員」です。正社員は「総合職」と呼ばれることがあるように、人事異動によって職種や仕事内容が変わることがあります。しかし、職務限定正社員では、人事異動によって職種や仕事内容がかわることがありません。

担当する業務範囲を明確にさせることで、特定の業務を集中して担当することになりプロフェッショナル育成を目指していくことや生産性を上げることができるなど企業にとってもメリットがある限定正社員です。

種類③勤務時間限定正社員

最後に紹介するのが、「勤務時間限定正社員」です。働く時間や時間が制限されている限定正社員を指します。育児や介護などの理由により、フルタイムで勤務することが難しい社員に適用されます。従業員のライフワークバランスをとるだけでなく、人材の流出を防ぐことができます。

勤務時間の限定方法としては、所定労働時間が正社員に比べて短い短時間正社員、残業なしというような時間外労働いが免除されている残業免除正社員、所定労働日数が正社員に比べてすくない勤務日限定正社員など、企業によってさまざまなケースがある限定正社員です。

限定正社員を導入している業種や職種

限定正社員が最も多い業種

日本で限定正社員を導入している企業は全体の約20%を占めています。その中でも、限定正社員を導入している業種は、建設業が約30%、生活関連サービス業・娯楽業が約28%、卸売業・小売業約28%となっています。

従業員規模別で見ていくと、100人未満では約14%、300~999人では約24%、1,000人以上では約46%と、大企業での導入が進んでいる傾向があります。

限定正社員が最も多い職種

限定正社員が採用されている職種の割合をみていきます。圧倒的に多いのが事務職で、全体の約60%を占めています。次に、専門・技術職が約26%、製造・生産工程職が約20%となっており、専門性が求められる業務に関連する業種で積極的な導入が進められているようです。

企業における限定正社員のメリットとデメリット

メリット①優秀な人材の確保や定着促進に繋がる

ここからは、限定正社員を導入したさいの企業側のメリット・デメリットを紹介していきます。まず、メリットとしてあげられるのが、人材の確保と定着促進です。正社員として働きたくても、家庭側の制約で働くことが難しいという人も少なくありません。

そのため、様々なライフスタイルに対応した働き方ができるように、限定正社員制度を導入し、人材確保と定着促進につなげます。職務限定正社員の場合は、専門性が高いスキルを持った社員を雇うことも出来るため、会社としてのメリットは大きいものになります。

メリット②モチベーションの向上に繋がる

限定正社員になると、非正規雇用時と比べ業務内での責任の範囲が大きく変わります。そのだけでなく、従業員自身も賃金が上がるだけでなく、待遇や福利厚生の利用範囲も変わるため、更に業務を頑張ろうというモチベーションの向上につ繋がります。

また、従業員の仕事とプライベートの両立をサポートしていくことで、多様な働き方の実現を可能にさせます。その結果、従業員は仕事へのモチベーションの向上させるだけでなく、企業への愛着心も高めることにも繋がっていきます。

メリット③地域に根差したサービスを展開することができる

各地に事業所を構える企業であれば、正社員は数年単位で移動してしまいます。それは、地元に根差した企業づくりができないというデメリットがありました。

しかし、地域限定正社員を雇用することによって、そのエリアや地域ならではのニーズを抽出させ、ノウハウを蓄積させることが可能になります。地域に密着したサービスを展開することによって、地元顧客や固定客の増加を目指すことができるでしょう。

メリット④技能の蓄積や承継が可能になる

雇用期間に定めがある非正規雇用ではなく、雇用期間に定めがない限定正社員として従業員を雇用する方が、新たな人材獲得に向けて動く必要がありません。さらに、企業の理念や技術、企業精神などの承継や、技術の蓄積などの人材育成の一つとして有効な手段の一つです。

デメリット①管理が複雑になる

企業側のデメリットとしては、雇用形態の種類が増えることで人事管理が煩雑になる可能性があります。なかでも、正社員・契約社員・派遣社員・パート・業務委託など、様々な雇用形態で契約を結んでいる社員が多く在籍すると、より複雑になっていきます。

デメリット②既存社員とのバランスを取る必要がある

限定正社員を採用する際、注意しなければいけないのは、既存の正社員とのバランスです。限定正社員には、残業や転勤などがないため、正社員から不満が上がる可能性があります。

そのため、企業側は、限定された雇用条件を元に給与形態や評価制度を設定し、正社員と限定正社員両方が納得できるように処遇のバランスを図る必要があります。

デメリット③事業体制に応じた流動性が低くなる

世の中の動き次第では、就業スタイルや経営方針を大きく転換させる必要がでてきます。企業側はその動きの流れに沿って柔軟に対応し、生き残る必要があります。そのためも、事業体制に応じた事例として、大幅な配置転換などを想定して限定正社員制度を取り入れていきましょう。

労働者における限定正社員のメリットとデメリット

メリット①雇用の安定化や処遇改善に繋がる

正社員と同様に限定正社員は長期雇用を前提とした働き方です。そのため、安定した雇用条件や処遇改善により安心して働くことができます。

また、非正規雇用と比較しても、収入・福利厚生の改善、評価の改善されるなど、企業内での待遇が改善されるため、労働者自身のモチベーション上昇につなげることが可能です。

メリット②ワークライフバランスを実現することができる

限定正社員はワークライフバランスを実現することが出来る雇用形態です。特に、育児や介護というような事情を抱える労働者でも退職せずに働くことが可能になります。

限定された雇用条件での契約を行うことで、精神面・体力面での負担を軽くするだけでなく、せっかく積み上げてきた経験や技術を生かし続けることができます。

メリット③キャリアアップに繋がる

長期的に働くことで可能になることとして、安定してキャリアを積むことが可能になります。長く職務を担当することで、その職務に関するスペシャリストとして、経験や知識を蓄えていくことも可能なため、キャリアアップにつながります。

デメリット①正社員に比べて給与が安い

限定正社員のデメリットとして指摘されがちなのが、正社員に比べて給料が安いことです。制限がある労働条件で働いていることから、正社員と比較すると給与が低い傾向にあります。

日本では、全国転勤やフルタイム勤務できる人材が優遇される傾向にあり、現場レベルでは、正社員と限定正社員の間にあるガラスの壁と表現されることも少なくありません。

デメリット②昇進スピードが遅い

こちらも給与同様に、職務や勤務地などで限定した働き方をすることとで、企業全体から任せられる業務が限定されてしまいます。そのことで、正社員と比較すると培われる経験が狭くなってしまうため昇進のスピードが遅くなるデメリットが生じます。

業務が限定されること・昇進のスピードが遅くなることは、従業員のモチベーションを下げかねないデメリットとして念頭においておきましょう。

デメリット③解雇されやすい

経営上の理由によって、勤務する営業所が閉鎖する、担当する業務が無くなるという場合があります。その際、限定正社員は、その勤務地エリアや業務範囲が決められていることから正社員に比べると解雇されやすいといわれており、安定した雇用という面で大きなデメリットになります。

労働契約法16条には、労働者を守るために解雇にあたるには社会通念上の妥当性や合理的な理由はもとめられています。

企業側は、できるだけ解雇しないよう努力していきますが、 限定した業務や限定したエリアでの勤務など制限がる契約を結んでいるため、企業側対応に応じられない場合は解雇になる可能性が高いでしょう。

限定正社員制度の導入手順

導入手順①制度の導入目的を明確にする

限定正社員制度を導入するにあたり、最初に企業内における経営課題や人材課題を抽出させ、制度の導入目的を明確にしましょう。

育児や介護による従業員の離職防止や人材の定着など、企業によって導入の目的はさまざまなので、経営状況や人材活用戦略、従業員のニーズなどを踏まえて目的を可視化していくことが大切です。

導入手順②定義と役割を決める

限定正社員を導入するための目的が明確になりました。次に行うのは、目的に基づいた勤務条件の制限や対象となる社員の範囲などの定義付けを行います。

他にも、限定正社員の役割、職種・職務・勤務時間・勤務地などの適応期間や労働時間などの処遇に対してもできるだけ細かく検討していきます。

導入手順③職務に対する目標と労働条件を決める

限定正社員の職務に対する目標や労働条件は、フルタイム正社員と比較し、限定正社員の業務は、量を減らしても、質を落としてはいけないというのが原則です 。

そこで、限定正社員の職務に対して期待する役割や、職務内容、限定条件を考慮した目標設定と、賃金や人事評価、教育訓練などの労働条件を決定させていきます。

導入手順④正社員への復帰や転換を検討する

限定正社員のなかには、介護や育児など家庭の事情で勤務時間を限定させていた社員には、事情が変わり限定条件が必要なくなる場合があります。その際、限定正社員からフルタイム正社員への復帰・転換を認めるかどうかを決めておかなくてはいけません。

もし、復帰・転換を認める場合は、どのような申請・手続きを経て正社員への復帰させるかの手順や条件を整理しておくことが大切です。また、正社員から限定正社員への転換についても同様の事を考えておきましょう。

導入手順⑤就業規則に記載して社内で周知する

限定正社員の制度を導入する際、最後に行うことが就業規則にその内容を盛り込み、社内に周知を行っていきます。社内周知は、制度の対象者、利用者、管理者などを中心に全員に行います。周知する際には、制度を導入する目的を始め、内容・留意点などを中心に行います。

さらに注意すべき点ととして、制度のメリット・デメリット、今後のキャリア形成について十分に伝えていくことも忘れないようにしましょう。管理者へも、制度を適応させる際には、適正な仕事配分や人事評価などのマネジメントなど留意点について仕えていく必要があります。

限定正社員の給与やボーナスの待遇

勤務地限定正社員の場合

勤務地に制限がる限定正社員と勤務地に制限がない正社員との間には、職務内容において限定される業務がでてくるため、ボーナスや退職金については正社員と同等に支給されますが、給与に差を設ける場合があります。

正社員と限定正社員の給与に差があることは、適正で合理的だとするためにも、給与テーブルは同一のものを採用し、「転勤の有無によって係数を乗じる」もしくは「転勤手当などを支給する」などの文言を付け加えるなど対応していきましょう。

職務限定正社員の場合

職務限定正社員の場合、ボーナスや退職金については正社員と同等に支給されますが、給与は職務の難易度に応じて決定する方がいいでしょう。例えば、職務の難易度や責任の度合いで評価を行って給与の査定を行う「職務給」の要素がある給与体系にしておくとわかりやすくなります。

勤務時間限定正社員の場合

勤務時間限定正社員の給与は、退職金については正社員と同様に支給されます。しかし、給与とボーナスは限定する時間の条件で金額設定が異なります。

例えば、短時間正社員の場合、同等職務を担うフルタイム正社員の所定労働時間に比例した金額設定が最適です。残業免除等の正社員は、正社員と同じ給与形態を提要されるのが最適です。ボーナスについては、限定した所定労働時間の割合に応じた金額で支給することが望ましいとされています。

限定正社員制を導入する時に留意すべきポイント

限定正社員と正社員の公平性を保つ

限定正社員を導入する際には、正社員との公平性を保つ必要があります。わかりやすい事例としては、給与や待遇、昇格などで差をつけることで正社員から納得が得られるものにする必要があります。

ただ、あまりにも極端に差をつけてしまうと限定正社員のモチベーションを下げかねません。限定正社員も正社員同様に納得するような形で対応しなくてはいけません。

事業所の閉鎖や職務廃止への対策を検討する

限定正社員制を導入する場合、企業側が限定正社員のデメリットとして伝えなくてはいけないのが、事務所の閉鎖や職務廃止の可能性があることです。事務所閉鎖、職務廃止となれば、企業側は限定正社員が必要なくなるため、その際の対策を検討しておかなくてはいけません。

例えば、他事務所への配置転換や、他の職務への変更に応じられないかなど従業員の雇用確保に勤めます。その条件下で、企業の対応に応じられないという従業員がいた場合は、その従業員を解雇するという形をとるようにしましょう。

限定正社員制度の企業事例

企業事例①株式会社高島屋

各企業で行われている限定正社員制度の事例について紹介していきます。株式会社高島屋での限定正社員では、求職者や従業員がワークライフバランスを重視している傾向を受け、異動・配置ニーズに応えていくことを目的とし、2017年3月より限定正社員制度を導入しています。

正社員と限定正社員の違いは、「勤務エリアを限定し、転勤がない」「職務をセールス職・スタッフ職に限定」の2点です。正社員に比べて処遇は若干異なるものの、勤務時間・教育研修・福利厚生などに関しては正社員と同等の待遇となっています。

企業事例②株式会社りそな銀行

株式会社りそな銀行では、2015年10月から勤務時間もしくは業務範囲のどちらかを限定できる「スマート社員」という限定正社員制度を導入しています。スマート正社員は正社員に比べて賞与が7割ですが、基本給・昇格・昇給の条件については、正社員と同格で扱われます。

育児や介護を理由に、正社員からスマート社員への転換も可能で、多様な働き方とキャリア形成が実現できるような取り組みを行っています。

企業事例③株式会社竹内製作所

株式会社竹内製作所では、子育て・介護など事情を抱える社員のライフスタイルをサポートするために「時短勤務制度」を導入しています。この時短勤務制度は、男女問わず利用することが可能です。

時短勤務のシフトは、全部で9パターンの用意されており、現場での柔軟な対応が取れるように運用されています。待遇面については正社員と同等の扱いとなっています。

また、契約社員や派遣社員を対象とした正社員登用試験制度を導入しています。正社員登用制度は、新卒・中途採用の正社員との公平性を保つために、合格率が約20%未満という厳しいものとなっています。

しかし、対象者は何度でもチャレンジすることが可能であること、不合格でも時給改定(昇給)があるなど、有期雇用者のモチベーションを保つ対応を取っています。

企業事例④ファーストリテイリンググループ

ファーストリテイリンググループでは、2007年4月から地域限定正社員制度を導入するなど、いち早く限定正社員制度を導入した事例の一つです。 ファーストリテイリンググループは、導入前は各店舗で雇用されている従業員の7割をパート・アルバイトの非正規雇用者が占めていました。

フルタイム勤務であるにも関わらず非正規雇用待遇であることから、正社員待遇を望む声があることと、優秀な人材を確保する目的からに、転勤なしの地域限定正社員を導入決めます。地域限定正社員を導入することで、地域に密着したショップ作りを確立させています。

企業事例⑤サトレストランシステムズ株式会社

サトレストランズシステム株式会社では、新しい人事制度として2014年に限定正社員を導入しています。この制度を導入した際は、約40名のパート・アルバイト社員を勤務地限定正社員として、約290名のパート・アルバイト社員を短時間正社員という形で採用しています。

待遇については、正社員と同様の福利厚生・賞与などのが受けられることや、昇格制度も導入されています。このことから、時間に制約のある女性の勤務意欲を掻き立て、満足度を上げていく限定正社員制度の事例といえます。

企業事例⑥株式会社リンガーハット

株式会社リンガーハットでは、地域に密着した店づくりを行うために、エリア社員制度とよばれる勤務地限定正社員制度を導入しています。このエリア限定正社員は、店長代理レベルのパートやアルバイトからも応募可能です。転勤ありの正社員であれば、応募資格に制限がなく応募できます。

正社員から限定正社員へ、もしくは限定正社員から正社員の相互転換については希望に応じて柔軟な対応を取っていいます。待遇に関しては、勤務地限定正社員は、正社員に比べて給与は7割から9割、賞与は5割の支給となっています。

企業事例⑦株式会社ダスキン

株式会社ダスキンでは、優秀な人材の登用と現場での採用における魅力付けを目的とし、勤務地及び職務限定正社員制度を導入した事例です。希望者によっては、総合職への転換も可能なため、多様なキャリアパスを描けるようになり従業員の定着率アップに繋がっていきました。

企業事例⑧株式会社グルメ杵屋

株式会社グルメ杵屋では、まず2015年に社員形態の整備が行われました。その中で、正社員は「総合職・一般職・専門職・地域専門職」の4つのカテゴリーに分けられています。このなかでも地域専門職は、転勤を伴う異動がない代わりに、他の3種より給与が低く設定されています。

この他にも、パートナー社員と呼ばれる、非正規雇用者を無期に転換できる制度の導入も事例としてしてありす。このような形を取ることで、正社員と限定正社員の差別化をはかりながら、地域に根差した店舗づくりを行っています。

限定正社員の仕組みを覚えておこう!

育児や介護など家庭の事情で、転勤や勤務時間の制限などが生じる人は少なくありません。そんなときに、自分が働いている会社に限定正社員の仕組みがないかぜひ調べてみましょう。

限定正社員の仕組みを知ることで、仕方なく会社を退職せずに、ワークライフバランスを両立させた働き方で、自分のキャリアを積むことや、安定した収入を得ることが可能になります。

また、事例で紹介したように、正社員から限定正社員への転換、限定正社員から正社員の転換など柔軟に対応している企業もありますので、自分が務めている企業での対応を確認していざというときに、限定正社員制度を活用していってください。

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