経験学習とは?実践する時のポイントや具体的な成功事例の紹介も!

経験学習とは?実践する時のポイントや具体的な成功事例の紹介も!

経験学習のプロセスや実践する時のポイントは何か?

自分が実際に経験したことから、気づきを得て学んでいく経験学習。人事の仕事をしている人は、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。経験学習は、コルブが提唱したメジャーな理論のひとつです。

本記事では、経験学習の意味や、具体的なプロセスを紹介します。実践する時のポイントもまとめているので、参考にしてください。

経験学習とは?

実際に経験した事柄から学びを得ること

組織行動学者のデービット・コルブが提唱した経験学習。経験学習とは、実際に経験したことをもとに、その行動を振り返り、学びを得ることです。また、学びを得るだけでなく、次の経験にいかすためには、どのようなことをすれば良いのか、考える狙いもあります。

コルブが提唱した経験学習は、過去の経験から経験を自分のものにして、ミスを未然に防ぎます。また、コルブの理論はトラブルを回避するためにも、非常に重要です。

人材育成の場面で活用される

社会人のスキルアップには、研修やトレーニングは重要。しかし、スキルアップするには現場で経験することが大切です。このような時に、取り入れたいのがコルブの経験学習モデル。

人の成長の70%は経験からと言われています。他人を観察して学ぶのは20%、書籍や研修によって学ぶのは、わずか10%です。

経験学習を人材育成の場に取り入れることで、効率よくスキルを身に付け、企業にとって優秀な人材育成ができます。

また、リーダーシップを発揮するときにも重要。リーダーシップとは、組織をけん引する能力のことを指します。このリーダーシップは、ビジネスパーソンにとって必要な能力のひとつで、学校のような系統学習だけでは身に付きません。繰り返し経験を積むことで、リーダーシップを発揮できます。

評価制度に取り入れることもある

経験学習を、評価制度に取り入れる企業も増えています。人の上に立つには、さまざまな困難に立ち向かった、経験は必要不可欠。しかし、昇進するために失敗を避けたい人も少なくありません。

経験学習を行うことで、失敗であっても新たな気づきを得られるため、スキルアップにつながります。このとき、失敗の数で社員を評価せずに、どのような知識を得て、次に活かせるようになったかを評価することが重要。

企業は、失敗した数ではなく、困難に立ち向かった経験を、どのようにプラスの方向にもっていったかを評価してください。

ナレッジマネジメントでも需要が高まっている

経験学習は、ナレッジマネジメントでも需要が高まっています。ナレッジマネジメントとは、個人が持っている知識や情報を、会社の財産として社員全体に共通し、有効活用すること。

経験学習から得た個々の知識を会社全体で共有することで、会社のパフォーマンス向上にもつながるため、需要が高まっています。

経験学習モデルの具体的なプロセス

経験学習は、経験、内省、概念化、実践という4段階で構成されています。このサイクルを繰り返し行うことで、学びと成長を促します。

経験学習モデルのプロセス①経験

まずは、具体的な経験をすることが重要。しなけらばならないことを指示通りにこなすだけでは、意味はありません。この経験の段階では、自分で考えて、自分で動くことが大切

自分で考え行動することで、多くの気づきがまれます。自分では予想できない結果を受け止めなけらばならないことも。結果は成功であっても失敗であっても、自分の成長につながります。

このとき、陥りやすい失敗は経験したつもりになってしまうこと。経験の段階では、現場でトラブルが起こったときは、現場に足を運び、実際に手に取ったり、目で見たりして、自分で確認することが重要です。

経験学習モデルのプロセス②内省

経験をしたあとには、内省・リフレクションというプロセスに入ります。内省・リフレクシの段階では、実際に経験したことを、さまざまな観点から振り返ります。経験から、どのようなことを学んだか、どのような失敗をしてしまったか、など内容を具体的にしていくことが重要。

経験学習と同じ意味で使用される、リフレクションという言葉。リフレクションとは、経験から学んだ力を引き出すために、経験を振り返ること。リフレクションも経験学習と同様に、結果の良し悪し関係なく、経験を振り返り学びを得ていきます。

この段階では、リフレクションで気づいたこと以外にも、今後活かせそうなことがらも確認しておきましょう。時間がないからといって、リフレクションを怠ってはいけません。内省・リフレクションは、自分自身に質問を投げかけながら行うと効果的です。

経験学習モデルのプロセス③概念化

経験して振り返った内容を、概念化していきます。概念化することで、初めて他の経験にいかせるようになります。例えば、新入社員が研修などで、ビジネスマナーについて学んだとします。ビジネスマーの講義を受け、名刺交換やメールのやりとりを学び、重要なポイントを振りかえります。

しかし、この振り返りで終わってはいけません。研修で学んだことを、概念化して他で使用できるレベルまで持っていくことが重要。今後、どのようなことに転用できるか、考えながら行動していきましょう。

経験学習モデルのプロセス④実践

最後のプロセスが、実践です。一番大切なプロセスでもある実践では、得た知識を実際に使っていきます。せっかく得た気づきや、スキルを活かさなければ、経験学習の意味がありません

この実践をしっかり行える人は、成功する人。振り返りや概念化をしたものの、実践せずに終わると、失敗といえます。

経験学習を実践する時のポイント

経験の場を意図的に作り出す

経験学習サイクルの最初の段階でもある、経験の場を意図的に作り出すことが重要。経験学習の中での気づきは、普段の慣れた環境や仕事の中では生まれにくいもの。配属を変更したり、慣れない場所で研修を受けることで、意図的に新しい環境を作り出す必要があります。

新しい環境だからこそ発見できる気づきがあるため、経験の場を意図的に作り出してあげましょう。経験学習を実施する時は、ジョブローテーションやOJTなど、導入している制度と組み合わせることでより高い効果を得られます。

経験を振り返る機会を積極的に作り出す

経験を振り返る機会を積極的に作り出すことも、経験学習を実施する時のポイントとして挙げられます。これは経験学習の2段階目の内省のサポートにもなります。

経験をいろいろな角度から振り返るためには、他者からの質問が有効。自分自身に問いかけることも可能ですが、自問自答は自分の答えやすい質問のみになることも考えられます。

多くの気づきを得るためには、コミュニケーションも重要。対話することで、自分が思いつかなかったような視点から、経験の振り返りを行えます。対話を促し、経験を振り返る機会を積極的に作り出しましょう。

背景に存在する価値観を伝える

考えを伝えるときは、背景に存在する価値観を伝えることが重要。背景に存在する価値観を伝えることで、自分がなぜこのような考えに至ったのか、相手に納得感を与えながら説明できます

お互いにフィードバックしあう

経験学習を実施する時のポイントとして、相手の考えを受けとめるという点が挙げられます。自分の意見だけでなく、相手の意見を取り入れ、自分にはない考えや気づきを得ることが重要

また、相手の意見を聞くだけでなう、お互いにフィードバックしあうと効率的です。相手の考えを聞いたら、自分の言葉で置き換えてまとめることで、お互いの関係性も良くなります。お互いの信頼を得ることで、リーダーシップに必要な力も身に付きます。

リーダーシップを発揮することで、会社の収益アップにもつながります。経験学習サイクルを繰り返すことで、リーダーシップに必要な能力も身に付けられます。

経験学習の成功事例

成功事例①ヤフージャパン

ヤフージャパンは、経験学習を取り入れて人材教育を行っている企業のひとつ。ヤフージャパンは、すべての社員に無限の可能性があると考えています。そんなヤフージャパンでは、経験学習システムとして、1on1ミーティングを導入しています。

1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で週に1度ミーティングを行います。1on1ミーティングでは、部下が直面している課題を、上司が支援を行いながら一緒に解決に導きます。部下の内省を支援することで、経験学習を効率的に行っています。

また、長期サイクルと短期サイクルの2つの経験学習を実施しています。長期サイクルと短期サイクルの2種類の経験学習を実施することで、個人のスキルアップだけでなく、会社全体のパフォーマンス向上にもつながります。

成功事例②Google

Googleは、経験学習の重要性を理解し、積極的に導入しています。社員同士がフィードバックを行うことで、互いの意見を交換し、教え合う機会を積極的に提供しています。Googleでは、研修などを行わず、社員同士でのトレーニングをメインに行っています。

上司と1on1で行うミーティングなども導入しています。社員同士がフィードバックし合うことで、個々のスキルアップにもつながり、研修のコストも削減できます

経験学習を積極的に取り入れよう!

コルブが提唱した経験学習のプロセスや実施するポイントについて、詳しく解説しました。人材育成を効率的に行うためには、経験学習が需要。教育制度として、経験学習の導入を考えている人は、本記事のプロセスや成功の具体例を参考にしてください。

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