フィッシュ哲学とは?4つのマインドと具体例・注意点もリサーチ!

フィッシュ哲学とは?4つのマインドと具体例・注意点もリサーチ!
目次

フィッシュ哲学の意味や効果を解説!4つのマインドは何か?

みなさんは「フィッシュ哲学」という言葉を知っていますか?フィッシュ哲学とは、マネジメント手法の一つであり、組織の活性化を目的とした手法です。シンプルなルールなので、すぐに職場で実践することができます。

この記事では、フィッシュ哲学の4つのマインドとその具体例、実際にフィッシュ哲学を導入した企業について紹介します。組織の活性化に悩んでいる人事担当者は、ぜひ参考にしてみてください。

フィッシュ哲学とは?

まずは、フィッシュ哲学の言葉の意味や導入効果について解説します。

フィッシュ哲学の言葉の意味

フィッシュ哲学とは、アメリカの西海岸の魚市場で組織改善のために行われた手法です。この手法は「楽しむ・喜ばせる・注意を向ける・態度を選ぶ」という4つのマインドがベースとなっています。フィッシュ哲学はシンプルなマネジメント手法であり、特に難しい知識を必要としません。

現在は職場の組織活性化を目指す多くの企業に取り入れられており、ビジネスだけではなく医療や教育などのさまざまな分野でも注目されています。

フィッシュ哲学の発祥

フィッシュ哲学の発祥地は、アメリカのシアトルのパイクプレイス魚市場です。現代のパイクプレイス魚市場は、魚を放り投げるパフォーマンスで有名な地域の名物観光スポット。

そんな観光客も大勢で活気に満ち溢れた魚市場ですが、昔はさびれた魚市場で、離職率が高く職場の雰囲気も最悪だったと言われています。そこで「世界一有名な魚市場にする」という目的を立てて、なんとか改善活動をした結果、組織活性化に成功したのです。そのときに使っていたマネジメントの手法のことをフィッシュ哲学と呼びます。

フィッシュ哲学の効果①組織活性化に繋がる

フィッシュ哲学の一つ目の効果は、組織活性化に繋がることです。先ほどの魚市場の具体例と同様に、導入がうまくいけば、職場環境が活気に溢れ、社員が楽しみながら働ける職場を構築できます。さらに組織活性化することによって、社員定着率の向上や離職率の減少、従業員満足度の向上といったさまざま効果が期待できるでしょう。

フィッシュ哲学の効果②顧客満足度の向上に役立つ

フィッシュ哲学の二つ目の効果は、顧客満足度の向上に役立つことです。フィッシュ哲学は従業員満足度を向上させ、従業員の仕事へのモチベーションを向上させる効果があるので、結果的に顧客満足度の向上に繋がるのです。

フィッシュ哲学のマインドの中にも、顧客や相手に意識を向けて喜ばせる項目があります。フィッシュ哲学は職場の組織活性化だけではなく、顧客満足度の向上にも役立つのです。

フィッシュ哲学の4つのマインド

次に、フィッシュ哲学の4つのマインドについて紹介します。

マインド①仕事を楽しむ (Play)

フィッシュ哲学のマインドの一つ目は、仕事を楽しむことです。先ほど紹介した、フィッシュ哲学の発祥の地であるパイクプレイス魚市場の魚を投げるパフォーマンスは、従業員のアイデアから誕生しました。

このように、従業員が好奇心を持って仕事に取り組むと、アイデアが溢れて徐々に仕事を楽しむことができるようになります。従業員が「新しいアイデアで遊ぶ」というマインドを持つことが大切なのです。

マインド②相手を喜ばせる (Make Their Day)

フィッシュ哲学のマインドの二つ目は、相手を喜ばせることです。人間は承認欲求という「他人から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」という欲求を持っています。

フィッシュ哲学はこの承認欲求を満たしてあげることが重要です。ポイントとなるのは、相手に見返りを求めずに、ただ相手を喜ばせるために行動することです。

マインド③注意を向ける (Be There)

フィッシュ哲学のマインドの三つ目は、注意を向けることです。「Be There=そこにいる」と表現されているとおり、フィッシュ哲学は今そこにいる人へ注意を向けることが大切です。

そのため、自分の身近にいる人に注意を向けるようにしましょう。身近な人の中には、お客さまだけではなく一緒に働く仲間も含まれます。

マインド④態度を選ぶ (Choose Your Attitude)

フィッシュ哲学のマインドの四つ目は、態度を選ぶことです。フィッシュ哲学は、自分自身が周囲の環境にどのような影響を与えているのかを大切にしています。

周りに良い影響を与えるためには、まず自分が日々どのような態度を取っているのか、意識して気づくことから始めます。そこから、自分の理想とする態度を選択できるようになります。

フィッシュ哲学の具体例【仕事を楽しむ】

ここからは、4つのマインドごとにフィッシュ哲学の具体例を紹介します。まずは「仕事を楽しむ」マインドの具体例について紹介していきます。

具体例①ユーモアを発揮する

「仕事を楽しむ」具体例の一つ目は、ユーモアを発揮することです。仕事を遊ぼうとする意識を持つことは重要です。ただし、従業員が自分の持つユーモアを発揮しようと思わない限り、遊びは生まれません。

そのためには、どんなユーモアでも受け入れる心が必要です。周りの従業員のユーモアを受け入れる意識を持つことで、遊びが生まれる職場を構築できますよ。

具体例②新しいアイデアを実験する

「仕事を楽しむ」具体例の二つ目は、新しいアイデアを実験することです。ユーモアを発揮してアイデアを生み出したとしても、それを実践しなければ意味がありません。

そのため、アイデアが生まれたらそれを検証してみましょう。忘れてはいけないのは、検証する行為自体を楽しむことです。

具体例③失敗を学びの機会と捉える

「仕事を楽しむ」具体例の三つ目は、失敗を学びの機会と捉えることです。多くのアイデアを出してそれを検証しても、失敗することの方が多いでしょう。ただし、その結果を失敗だと認識しないように気を付けてください。

この失敗を重くとらえてしまうと、次のアイデアが生まれなくなったり、検証しづらくなります。そのため「試すことに失敗などない」というマインドを持つことが大切です。

フィッシュ哲学の具体例【相手を喜ばせる】

続いて、フィッシュ哲学の「相手を喜ばせる」マインドの具体例について紹介します。

具体例①一緒に働く人の良い行動にアンテナを立てる

「相手を喜ばせる」具体例の一つ目は、一緒に働く人の良い行動にアンテナを立てることです。普段仕事をしていると、どうしても相手の良い行動ではなく、ミスなどの悪い行動に目がいきがちですよね。

そのため、相手の良い行動に対して常にアンテナを立てておくことが大切です。意識していないと、すぐに相手の悪い面をとられてしまいます。仕事の始めに「今日は同僚の良かった点を5つ書き出す」といった課題を自分でつくってみるといいかもしれません。

具体例②周りの人を積極的に褒める

「相手を喜ばせる」具体例の二つ目は、周りの人を積極的に褒めることです。周りの人の承認欲求を満たしてあげて、相手を喜ばせてあげましょう。

そのためには、どんな些細なことでもかまいません。例えば、たった一言でも褒めてあげたり、グッドサインをするのでも、ウィンクでも良いでしょう。自分が良いと思った行動をした人がいたら、それを積極的に伝えましょう。

具体例③顧客が望まないことをしない

「相手を喜ばせる」具体例の三つ目は、顧客が望まないことをしないことです。フィッシュ哲学では、顧客を喜ばせるためには相手の期待以上の何かをすることが大切だとされています。

当たり前なことですが、顧客が望むことを満たすことは当然でしょう。顧客が望むことを最低限満たした上で、さらに最高のパフォーマンスを発揮して顧客に喜んでもらうことが重要なのです。

フィッシュ哲学の具体例【注意を向ける】

続いて、フィッシュ哲学の「注意を向ける」マインドの具体例について紹介します。

具体例①周りの人が必要としているものに注目する

「注意を向ける」具体例の一つ目は、周りの人が必要としているものに注目することです。普段から仕事をするときは「相手が必要としているものは何だろう」という意識を持って相手に接するようにしましょう。

実際にやってみるとわかりますが、普段意識していないことを意識してやろうとすると、なかなか難しく脳が疲労します。一緒に働く人や顧客など、身の回りにいる人が何を必要としているのかを意識して過ごすことが最初の一歩となります。

具体例②電子機器の使用を少なくする

「注意を向ける」具体例の二つ目は、電子機器の使用を少なくすることです。スマートフォンやモバイル端末などは、人の注意を逸らすための最大の道具だと言えます。みなさんも「無意識にスマートフォンを触ってしまった」という経験をしたことがあるでしょう。

フィッシュ哲学は「今ここにいる人に注意を向ける」ことが大切とされています。そのため、人に会うときは電子機器の使用を少なくしましょう。

具体例③周りの人を理解するために耳を傾ける

「注意を向ける」具体例の三つ目は、周りの人を理解するために耳を傾けることです。周りの人が求めているものを理解するには、その人の行動を見ていてわかるときもあれば、わからないときもありますよね。

今まで周りの求めているものに対して意識してこなかった人は、最初は行動を見ていてもわからないことが多いでしょう。そのため、わからないときは会話を通して相手の求めているものを探るように意識しましょう。

フィッシュ哲学の具体例【態度を選ぶ】

最後に、フィッシュ哲学の「態度を選ぶ」マインドの具体例について紹介します。

具体例①理想の態度を明確にする

「態度を選ぶ」具体例の一つ目は、理想の態度を明確にすることです。いつどんな状況でどんな態度を自分が取るのかまで明確にしておきましょう。

例えば「ミスをしたときは、一旦現場から離れて気持を平常心に保つ」「クレームが来たときには、落ち着いた口調で対応する」などが挙げられます。具体例なアクションプランまで落とし込むことによって、より効果を得られるでしょう。

具体例②1日の態度を振り返る

「態度を選ぶ」具体例の二つ目は、1日の態度を振り返ることです。理想の態度が明確化されたら、それを目標として普段の仕事現場で実践してください。

そして、理想の態度がとれていたかどうかを1日の終わりにチェックします。理想の態度をチェックリストとして作成するなど工夫しましょう。

具体例③手本となる態度を見つける

「態度を選ぶ」具体例の三つ目は、手本となる態度を見つけることです。職場に仕事ができて態度が良い先輩や上司がいたらその人を手本にして、できるだけその人の言動や行動をまねるように心掛けてください。

それに、人は周りの環境に大きく影響を受けます。そのため、見本となる先輩や上司とできるだけ一緒に居る時間を確保することをおすすめします。そうすることによって、自然と手本となる態度が身に付きますよ。

フィッシュ哲学の注意点

フィッシュ哲学は「労働搾取になる」など、その行動原理から批判にあうことが多いです。ここでは、フィッシュ哲学の注意点を二つ紹介します。

注意点①労働搾取とならないようにする

フィッシュ哲学の一つ目の注意点は、労働搾取とならないようにすることです。フィッシュ哲学は「やりがい搾取」、いわゆる「ブラック企業」モデルになりやすいという特徴があります。例えば、給与などの待遇は改善しないまま労働量が増えることが考えられます。

フィッシュ哲学を導入する際は「労働搾取をするつもりはないこと」を職場の社員にもしっかり伝え、理解してもらうことが肝心です。また、従業員を正当に評価するための人事評価制度を構築することも重要でしょう。

注意点②スタッフが楽しめるカルチャーを作る

フィッシュ哲学の二つ目の注意点は、スタッフが楽しめるカルチャーを作ることです。前述したとおり、現場のスタッフは「待遇は改善されないのに仕事量は増え、お客様のために笑顔で愛想よく振る舞い続けなければならない」と考えていまい、なかなか仕事に対するモチベーションが上がりません。これでは導入が成功するはずもないですよね。

経営者が業務の効率化による業績の向上に目を向けたい気持ちはわかりますが、まずは現場スタッフが楽しく仕事できるカルチャーをつくることに集中した方が良いかもしれません。

フィッシュ哲学の導入事例

最後に、フィッシュ哲学の導入事例を4つ紹介します。日本では介護や看護、医療現場でフィッシュ哲学の導入が活発です。

導入事例①東京慈恵会医科大学附属病院

導入事例の一つ目は、東京都港区にある「東京慈恵会医科大学附属病院」です。この病院は、日本で初めてフィッシュ哲学を看護部門に導入したパイオニアとして知られています。

具体例な活動内容として、有志によるコンサートの開催や七夕、ハロウィン、クリスマスなどの遊び心溢れるさまざまな取り組みを行っています。フィッシュ哲学の導入に成功した看護部においては、看護師のモチベーション向上や患者満足度にも好影響を与えました。

導入事例②社会医療法人 青洲会グループ

導入事例の二つ目は、「 社会医療法人 青洲会グループ 」です。この法人は、職員に笑顔が見られなかったり、看護師を中心に離職者が多いといった問題への対策として、フィッシュ哲学を導入しました。

具体的な取り組みとして、スタッフが白衣以外のふさわしい服装(ノーネクタイやポロシャツを採用など)を、自由に選べるようにしました。こうした良好な職場づくりを目指した取り組みによって、サービス向上や離職率の改善など効果も出ているようです。

導入事例③株式会社ビジネスコンサルタント

導入事例の三つ目は、保険コンサルティング業などを行っている「株式会社ビジネスコンサルタント」です。同社はフィッシュ哲学についての講師派遣型の集合研修を実施しています。

また、参加するメンバーは全社員を対象とした「FISH!プログラム」や職場変革推進者向けの職場活性化支援ツールである「FISH!カルチャー」の提供などを行っています。

導入事例④株式会社アイエヌエー インターナショナル

導入事例の四つ目は、教育研修サポート業を行っている「 株式会社アイエヌエー インターナショナル 」です。この会社は販売代理店として、フィッシュ哲学をはじめとする研修用映像素材を提供しています。

販売している研修用のコンテンツには、フィッシュ哲学の発祥の地であるパイクプレイス魚市場の実際の映像を元に、フィッシュ哲学が解説されるようです。

フィッシュ哲学を職場の活性化に役立てよう!

ここまで、フィッシュ哲学の4つのマインドとその具体例や効果、実際にフィッシュ哲学を導入した企業について紹介してきました。

フィッシュ哲学をうまく導入することによって、組織活性化に繋がったり、顧客満足度の向上に役立ちます。今回紹介したフィッシュ哲学の具体例や注意点を参考にして、ぜひ導入を検討してみてください。

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