エンゲージメント経営とは?メリットや企業の導入事例も紹介

エンゲージメント経営とは?メリットや企業の導入事例も紹介
目次

エンゲージメント経営を取り入れて企業の生産性を高めたい!

本記事では、エンゲージメント経営について紹介します。社員と企業の愛着度や信頼関係を高めて、生産性の向上を図るには、エンゲージメント経営が重要です。

エンゲージメント経営が増えている理由や、導入した際のメリットをまとめました。また、エンゲージメント経営の効果を高めるポイントや、企業事例なども掲載しているので、参考にしてください。

エンゲージメント経営とは?

まずは、エンゲージメント経営について紹介します。エンゲージメント経営と社員満足度の違いや、導入する企業が増えている背景などをまとめました。

社員が愛着心を持って働けるようにする経営活動のこと

エンゲージメント経営は、社員が愛着心を持って組織で働く事です。エンゲージメント経営は、組織と自分の仕事に強いやる気を持って、貢献しようと自発的に動きます

また、エンゲージメントには、「契約」や「約束」などと言った意味もあり、社員エンゲージメントや従業員エンゲージメントとも呼ばれます。

エンゲージメントと社員満足度の違い

社員満足度は、働く社員は会社にどのくらい満足しているかを評価する制度です。一方で、エンゲージメントは、所属している組織の社員が、企業にどのくらい強い愛着心を持っているかを評価します。

社内満足度は、社員が会社に満足しているかを一方的に評価する制度なので、エンゲージメント経営とは、まったく違う考え方です。

エンゲージメント経営が増えている背景

日本の企業は、社内満足度を実施している会社が多く、社員の一人ひとりの考え方をあまり評価していません。 そのため、企業に長く働きたい、生産性を向上したいと意欲のある人があまりいませんでした。

世界約480企業を対象にエンゲージメント調査した所、仕事に熱意が持てない社員は、44%~48%いる事が分かりました。アメリカや26%、オーストラリアは33%、アフリカは27%となっており、日本の数値は高いです。現代では、社員のやる気を出させるために、日本でもエンゲージメント経営が実施されています

エンゲージメント経営のメリット

次は、エンゲージメント経営のメリットを紹介します。エンゲージメント経営を組織に導入すると、生産性の向上に繋がり、離職率が下がります。また、企業と社員の関係が良好になるでしょう。

メリット①労働生産性の向上に繋がる

エンゲージメント経営は、生産性の向上に繋がるメリットがあります。モチベーションエンジニアリング研究所と、慶應義塾大学が共同で「エンゲージメントと企業実績」の調査を実施しました。

その結果、エンゲージメントスコアが1つ上がると、営業利益率が0.35%上昇し、労働生産性は、0.035ポイントアップしています。活動時間に関係なく労働生産性が向上すると、低いコストで効率よく結果が出せるので、大きなメリットになります

メリット②離職要因を払拭することができる

エンゲージメント経営は、離職の要因を払拭する事ができるメリットがあります。多くの企業は、働く社員に対して頭を悩ませています。

最近では、「20代の離職率の増加で、将来的に考えると人材が減少する」や「入社して仕事が慣れてきた頃に、他の企業に転職してしまう」といったケースが多いです。社員の離職原因とエンゲージメントアンケートによると、企業の満足度と離職要因は反比例している事が分かりました。

つまり、組織に対して満足していれば、離職率が下がります。エンゲージメント経営を実施して、社員が心から働いてくれる会社を目指しましょう。

メリット③企業と社員の関係性が良好になる

エンゲージメント経営は、企業と社員の関係が良好になるメリットがあります。福利厚生やボーナスなど制度が良くても、やる気や信頼関係がないと社員は辞めてしまいます。

エンゲージメント経営を実施している企業は、「組織の体制」「働く環境」「個人の成長」どの角度から見ても社員は前向きです。企業が社員の愛着心を大切に考えて経営ができれば、関係性も良くなり、やる気のある仕事ができるでしょう

エンゲージメント経営の流れ

次は、エンゲージメント経営流れを紹介します。エンゲージメント経営を実行するには、現在の組織状態を把握しましょう。そして、エンゲージメント経営の阻害要因を除去し、実行します。

現在の組織状態を把握する

エンゲージメント経営をする際は、現在の組織状態を把握しましょう。多くの企業は、自社の製品を売るために「利用者は何をもとめているか」などのマーケティング調査を行います。エンゲージメント向上のためにも、社員を利用者として考えて、何を求めているかを把握しましょう

組織の状態を把握するために、最も効率的なのが、匿名のアンケートです。さらに細かく現状を把握したい場合は、グループに分けてアンケートやインタビューを実施しましょう。

エンゲージメント向上の阻害要因を除去する

現在の組織状態が把握出来たら、阻害要素を除去します。エンゲージメント向上のために実施したアンケートを分析して、今起きている課題を見つけます。

その中でも「満足度」と「期待度」についての不満はすぐに改善しましょう。エンゲージメント経営を阻害している要因を取り除いて、組織の足場を固めていきます。

自社の変革に必要な施策を実行する

現状を把握して、課題が見つかったら、会社を変えるために必要な施策を実行しましょう。緊急の課題を対応した後に、会社の理想に向けて組織を改善していきます。「どのような会社にしたいのか」「企業と社員の関係をどうしたいのか」などを考えて、ポイントを洗い出します

組織の状態を再測定する

阻害要因を除去して、施策を実行したら、組織の状態を再測定しましょう。自社が目指している事に近づけたのかどうかの診断を行います。再測定をして、現在の「満足度」「期待度」を改めて把握します。そして、ギャップを埋めるために、将来の課題や緊急要因を新たに見つけ出して、対策をしていきましょう

エンゲージメント経営の効果を高めるポイント

次は、エンゲージメント経営の効果を高めるポイントを紹介します。エンゲージメント経営を高めるポイントを5つにまとめました。

ポイント①ワークライフバランスを見直す

エンゲージメント経営の効果を高めるためには、ワークライフバランスの見直しが必要です。社員がやる気をだして業務を行うには、仕事以外での時間も大切です。休日出勤や残業、処理しきれない仕事量などが続くと、プライベート時間が減ってしまい、仕事のやる気が無くなります

そこで、働き方改革が始まったと同時に、政府が推奨しているのが、ワークライフバランスです。エンゲージメント経営をしていく上で、ワークライフバランスは大きなポイントになるでしょう。

ポイント②管理職のマネジメント力を見直す

エンゲージメント経営をするには、管理職のマネジメント力を見直しましょう。社員が自らやりがいを持って業務に挑むには、なかなか難しいです。そこで、部下を指導する管理職のマネジメント力がポイントです

リーダーは部下をどのようにマネジメントしていくかによって、組織全体が大きく変わります。上司のやる気や仕事の姿勢を見て社員は動きます。そのため、エンゲージメント経営を成功させるためには、管理職の見直しが重要です。

ポイント③企業理念を浸透させる

エンゲージメント経営の効果を高めるためには、企業理念を浸透させましょう。株式会社ノースサンドが2019年6月に実施したアンケートでは、働きがいを感じている人の方が企業理念に共感していました。

この結果から、企業理念を浸透させるには、社員に働きがいを感じてもらう必要があります。エンゲージメント経営を通じて、社員と企業のコミュニケーションを取り、企業理念を浸透させましょう。

ポイント④コミュニケーションを活性化させる

エンゲージメント経営をするにあたって、コミュニケーションは欠かせません。2016年にHP総研が実施したアンケートでは、約8割の企業が社員とのコミュニケーションに課題を感じていました。

社内のコミュニケーションが不足していると、信頼関係が築きにくく、目標や課題の共有ができません。また、業務の問題点を相談しにくく、協調性が得られません。

ポイント⑤働く環境を整備する

エンゲージメント経営を成功させるには、働く環境を整備しましょう。福利厚生やオフィスの環境が良くても、エンゲージメントの向上には繋がりません。福利厚生やオフィスを見直す場合は、ワークライフバランスを考えましょう。

社員のニーズや働きやすさに合わせて、福利厚生やオフィス環境を改善していく事が大切です

エンゲージメント経営を行う際の注意点

次は、エンゲージメント経営を行う際の注意点について紹介します。エンゲージメント経営の注意点をしっかり確認して、より良い会社にしましょう。

注意点①エンゲージメントスコアを定期的に確認する

エンゲージメント経営を行う際は、エンゲージメントスコアを定期的に確認しましょう。社員の気持ちや企業への思いや日々変化していきます。一度測定した結果だけでは、現状を把握するのが難しいです。エンゲージメント経営を継続していくためにも、企業にどのような効果を、もたらしているのかの検証も行いましょう。

注意点②長期的なプランを立てる

エンゲージメント経営を実行する際は、長期的なプランを立てましょう。エンゲージメント調査を行うと、毎月違った回答が来るので、課題が見えてきます。課題が見つかったら放置せず、どのように対処すべきかの長期的なプランを立てましょう

注意点③管理職だけで問題を解決しようとしない

エンゲージメント経営を行う際は、管理職だけで問題を解決するのはやめましょう。課題が見つかったら、管理職の他に、現場の社員と一緒に取り組んだ方が、解決するスピードが早いです。現場にいない管理職だけで問題を解決しようとすると、考えがズレた施策を提案してしまう可能性があります。

エンゲージメント経営の導入事例

次は、エンゲージメント経営を導入した企業の事例を紹介します。エンゲージメント経営を導入した事例を確認して、自社で取り入れましょう。

導入事例①株式会社アトラエ

株式会社アトラエは、「意欲のある人が無駄なストレスなく働ける組織」をコンセプトにしています。組織のルールを最小化して、倫理観を重視しています。給料は平均的でも、社員一人ひとりが自分の意思で動く事で、離職率を減らしました。

アトラエで大切にしている事は、徹底した情報共有と意思決定方法です。どんな小さな情報でも共有し、意思決定が必要な場面では、リーダーが率先して動きます。

導入事例②株式会社メルペイ

株式会社メルペイは、月に1回社員にスコア化したアンケートを実施して、その結果を数値にしています。アンケートの質問は10個あり、10点満点で評価します。そして、アンケート結果を会社全体に公表し、課題の解決や施策の説明をして、社員のモチベーションを上げました

導入事例③株式会社ピアズ

株式会社ピアズは、2017年にホワイト企業大賞を受賞しました。エンゲージメント経営をして、社員の幸せを追求する事で、顧客満足度が得られると考えています。また、ピアズは、金銭的な報酬だけではなく、心の満足度が見えるツールを導入して、社員同士のコミュニケーションを上げています

導入事例④株式会社小松製作所

株式会社小松製作所は、「コマツウェイ」という企業の価値観が綴られた冊子を作りました。その冊子社員に読んでもらい、企業の理念や目指す方向性を説明しています。また、読んでもらうだけではなく、説明会を実施して、企業のビジョンを語っています。

その努力から、年々離職率が低下しており、働きやすい会社が生まれました。

エンゲージメント経営を積極的に取り入れよう!

エンゲージメント経営は、企業と社員の愛着心や信頼関係を考えた経営の事です。日本は、海外の企業と比べてエンゲージメントが低く、働き方の多様化が進んでいます。

そのため、今までの働き方では、仕事に対して満足する人が減ってきています。エンゲージメント経営を積極的に取り入れて、働きやすく楽しい企業にしましょう。

ビジネスカテゴリの最新記事