WELL認証の仕組みを解説!取得方法や評価項目は何か?
企業が働きやすい環境を整備してくれることは、従業員にとって非常に重要です。そういったオフィスの価値基準を表すのが「WELL認証」という制度になります。従業員が健康で働きやすい環境を整える指針としても重要な評価基準です。WELL認証の評価項目や取得する方法についてチェックしましょう。
WELL認証とは?
オフィスの価値基準となる評価システムのこと
WELL認証は、空間のデザイン・構築・運用に「健康」という評価軸を加えた、空間評価システムのことです。2014年にアメリカで発表され、2018年に評価基準が見直されたWELL v2パイロット版がリリースされました。
この評価によって心身共により快適な空間を創造することを目的としています。単純な建物内で過ごす人々の心身の健康や快適さだけでなく、ウェルビーイングという概念が基準となっている点がポイントです。
ウェルビーイングの言葉の意味
ウェルビーイングは、幸福や健康をあらわす言葉です。WELL認証の評価軸であり、1946年に世界保健機関(WHO)憲章の前文で使われています。この中でウェルビーイングは「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」と定義されました。
WELL認証が普及している背景
WELL認証が普及している背景には、働くことに対する価値観の変化や多様化、慢性的な人材不足が関係しています。少子高齢化により労働人口が減少し、特に若者の労働人口の減少が問題です。
企業が新しいことにチャレンジしたくても、人材不足が原因で思い切った取り組みが行えない状態になっています。そこで、少しでも多くの応募者を集めるためWELL認証が注目を集めているのです。また、既存の社員の定着率をアップさせることもWELL認証がを導入する目的になります。
WELL認証の評価項目とは?
評価項目①Air(空気)
WELL認証には、審査基準となる7つのコンセプトが存在します。その中で細かな評価項目があり、すべてを合わせると100以上の要素があり、これらの配点によってWELL認証が認定されるか決定されるのです。
まず、評価項目のAirについて確認しましょう。この項目は全29項目があり、空間における空気を評価します。空気の質や禁煙、換気性、清掃手順、汚染管理などが重要な項目です。新型コロナウイルスの影響もあり、こういった空気の項目はWELL認証に限らず、注目しておくと良いでしょう。
評価項目②Water(水)
人間が生きていく上で必須ともいえる水ですが、WELL認証では8項目で構成されています。水質、無機汚染物質、有機汚染物質、農薬汚染物質、上水添加物の有無が必須項目です。日本は水道水をそのまま飲めるほど清潔に管理されていますが、水道管の劣化などに注意しましょう。
評価項目③Nourishment(食物)
食物は15項目で構成されており、栄養価や安全性を評価する項目になっています。果物と野菜、加工食品、食物アレルギー、手洗い、食品の汚染、人工的原材料、栄養成分表示、食品広告が必須項目です。
日本と海外では、着色料などとして使用できるものが異なっています。WELL認証を通して、食物に関する安全性を学んで健康につなげることも良いでしょう。
評価項目④Light(光)
光は空間における照明や自然光についての評価項目が設定されています。光では12項目が設定されており、ビジュアル照明デザイン、サーカディアン照明デザイン、人工光のグレア制御、太陽光グレア制御の4項目が必須項目です。
評価項目⑤Fitness(フィットネス)
フィットネスは空間内における運動についての取り組みを評価します。全8項目で、屋内のフィットネスとしての動線、活動へのインセンティブプログラムの2つが必須項目です。フィットネスを改善するには、フリーアドレスのように従業員が使う席を固定しない施策などを取り入れてみましょう。
評価項目⑥Comfort(快適性)
快適性は空間における人々の過ごしやすさの項目です。全12項目でアクセシブルデザイン、エルゴノミクス、外部騒音の侵入、内部発生騒音、温熱快適性の5つの項目が必須になっています。
評価項目⑦Mind(こころ)
こころは全17項目で、健康とウェルネス意識、インテグレイティブデザイン、入居後調査、美しさとデザイン、バイオフィリアの5つが必須項目です。
このようにWELL認証では様々な細かな項目が判断基準になっています。v2になってからはより認証が受けやすくなっていますが、それでも細かなところまで念入りに整備しなければ項目は達成できません。WELL認証の認定を受けるに限らず、日頃からこういったより良い空間づくりを意識しましょう。
WELL認証の取得方法
取得方法①WELLプロジェクトへの登録とコーチング
WELL認証の取得のための手順を解説します。企業の取り組みをあらわすWELL認証は、取得まで簡単な道のりではありませんが、それだけに価値のある資格です。WELL認証はさきほどの7つの項目によって、プラチナ・ゴールド・シルバーの3段階で評価されます。
必須項目をすべて満たすことでシルバー、そこからさらに加点項目の40%以上でゴールド、80%以上でプラチナの認証を受けられます。
そして、WELL認証を受けるためにはWELLプロジェクトへの登録とコーチングが必要です。WELL認証は「International WELL Building Institute」から登録を行います。その後、担当者よりコーチングを受講し、各項目の合格方法や質問への回答を受けましょう。
取得方法②書類作成と提出
次にWELL認証の必須項目と加点項目を満たしていることを証明する書類を作成します。書類が合格すると実地調査のスケジュール調整が行われるので準備を進めましょう。この書類審査は約1ヶ月前後かかるため、不合格にならないように書類ミスが無いようにしてください。
取得方法③実地調査と認証
書類に合格すると実地調査が行われます。その際はオフィスがある建物にGBCIの職員が訪れてチェックが行われ、書類通り問題がないか確認してもらいましょう。このGBCIのWELL認証の認証業務を行うNGO団体で、実地調査から40日前後で最終的が合格通知が届きます。
この実地調査後の合格通知が届けばWELL認証が承認されるので、企業全体で合格がもらえるように取り組みましょう。WELL認証は書類や実地調査をあわせると約2~3ヶ月ほどかかるので、やり直しにならないように必須項目などの部分でミスがないように気をつけてください。
WELL認証を取得する時のポイント
ポイント①健康経営に取り組む
WELL認証をを取得するためには、企業が健康経営に取り組むことが重要です。オフィス環境の問題点を社員全体であぶり出していきましょう。基本的な整理整頓はもちろん、不要な紙媒体を減らすために電子化も必要になります。
社員の勤怠管理も見直し、勤怠管理ツールやクラウドサービスを活用して、オフィス環境とともに働き方も改善してください。オフィス環境を見直していくことで、企業全体の健全化につながるのです。
ポイント②従業員の健康増進を目的としたサービスを活用する
2019年6月の段階で、日本企業のWELL認証の登録企業は19社で、認証を得ているのはわずか2社となっています。日本企業全体が、オフィスや従業員の健康増進に対してまだまだ改善できていない状態です。
WELL認証は従業員の健康増進につながる施策であり、オフィス内の環境を改善することで社員のモチベーションアップにつながります。企業がオフィス環境の改善に取り組むことが分かれば、社員も帰属意識が生まれ、経営目標を達成するために全力を尽くしてくれるでしょう。
オフィス環境を改善するために「COMORE BIZ」のような、オフィス緑化サービスを活用することもおすすめです。オフィスに緑を取り入れることでリラックス効果やストレス軽減の効果が得られます。
WELL認証を取得してより良い企業を目指そう!
空間評価システムであるWELL認証について解説しました。WELL認証は、心身共により快適な空間の創造を目的とした取り組みです。オフィス環境を改善することで、社員のモチベーションやストレス軽減などにつながる重要な施策になっています。
環境を改善することで社員の定着率がアップし、新しい人材の確保にもつながる取り組みです。WELL認証取得のために、社員全員で協力してより良い企業を目指しましょう!