ターンアラウンドの意味は?ビジネスでどのように使われるか解説!

ターンアラウンドの意味は?ビジネスでどのように使われるか解説!
目次

ターンアラウンドはビジネスでどのように使われる?

企業は日々新しい技術を開発し、そのことがきっかけで業績が改善されることがあります。そういった事業を立て直すことに関係する「ターンアラウンド」という言葉の意味について確認しましょう。ビジネスの場とその他での意味も含めてターンアラウンドについてチェックしてください。

ターンアラウンドとは?

本来は方向転換という意味で使われる言葉

そもそも、ターンアラウンドというのは「方向転換」という意味の言葉です。道を進んでいるときに「進む方向を変える」ときに使われます。また、「方針を変えること」の意味でもターンアラウンドは使われるのです。この方向転換という意味がビジネスではどう使われるのか確認しましょう。

ビジネスにおけるターンアラウンドの言葉の意味

ビジネスにおけるターンアラウンドは「事業再生」の意味になります。事業再生は「業績の悪化した事業を改革で再生すること」の意味です。企業運営を行っていく中で、業績の良くない分野を回復させる必要があります。問題点をあぶり出し、課題を解決させることが重要です。

そのためには後ほど紹介する「ターンアラウンドマネージャー」の存在がポイントになります。ターンアラウンドマネージャーの意味も確認しながら、事業再生の具体策を見つけましょう。

ターンアラウンドが求められている背景

ターンアラウンドが注目されるようになったのは1990年代初頭と考えられています。その理由はバブル崩壊により、多くの企業が負債を抱えて方針転換が必要だったからです。

そして、債務放棄や資産売却の中でターンアラウンドが注目されるようになり、金融機関や企業再生ファンドがこれらを主導しました。時代が進んで2000年代に入るとインターネットが普及し、企業は多角化し顧客のニーズも複雑化して、さらなる改革が行われます。

企業の中にはターンアラウンドを専門に行う人材を育成したり、外部から招聘したりし、ターンアラウンドマネージャーという職種が生まれました。今後もターンアラウンドやターンアラウンドマネージャーの需要は高まると考えられているのです。

ターンアラウンドのメリット

メリット①売上不振からの脱却に繋がる

ターンアラウンドを行うメリットとして、売上不振からの脱却が挙げられます。企業が経営不振に陥るのは不正会計やM&Aの失敗が考えられますが、そもそもの問題は売上不振が原因です。

近年はグローバル化や顧客のニーズの変化によって、企業の柔軟な対応力が求められています。企業が迅速な経営判断を行えないと、その変化に対応できないまま売上は下がっていくでしょう。また、従業員のモラルや当事者意識の低下も原因と考えられています。

ターンアラウンドを行うことで売上不振の根本的な原因を改善し、成長戦略や新規事業戦略を行っていくのです。このようなターンアラウンドの効果的な使い方ができるかどうかで、企業が生き残れるか決まってくるので検討しましょう。

メリット②過剰債務の整理に役立つ

ターンアラウンドの使い方次第で、人員削減や資産売却といった過剰債務の整理が行なえます。会社更生法や破産手続きといった法的整理も視野にいれて、企業を一から再生しましょう。ターンアラウンドマネージャーを早期に招聘し、経営再生を行ってください。

メリット③従業員の意識改革にも役立つ

従業員の意識改革を行う上でもターンアラウンドは重要な意味を持ちます。企業経営の中には幹部社員のコストカット分析の不実施や現場と経理のコスト意識の欠如など関係し、経営に問題を引き起こしています。

また、どうしても企業は経営者も従業員も現状維持を望みやすく、そのことが悪循環を引き起こすのです。そういった中でターンアラウンドが意識改革をもたらしてくれます。当事者意識を持って取り組んで欲しい時に、ターンアラウンドは大きなメリットです。

メリット④抜本的な経営改革が可能になる

基本的にターンアラウンドマネージャーは外部招聘されるので、客観的な視点を持っています。経営者や幹部社員では躊躇するような改革も積極的に行うので、抜本的な経営改革が可能になるのです

特に世界的にIT技術が発達し、企業経営においてITを導入するのは当たり前になりました。しかし、日本の一部企業では旧式のシステムからなかなか乗り換えることができず、スピーディーさに欠ける部分が見られます。

ターンアラウンドマネージャーを招聘することで、最先端技術を導入し、生産性向上が期待できるのです。従来の生産体制から変更するのには思い切った決断が必要なだけに、ターンアラウンドマネージャーの存在は重要だと考えましょう。

ターンアラウンドのビジネスでの使い方

使い方①ターンアラウンドマネージャー

改めてターンアラウンドのビジネスにおける使い方やターンアラウンドマネージャーについて解説します。ターンアラウンドマネージャーはターンアラウンドを実行する人材で、外部から呼ぶことが多いです。

企業に関わる様々な部分にメスを入れる人材であり、その責任も大きく、使い方も難しくなります。それだけに使い方によって企業経営の良くない部分を改善してくれる存在なので検討しましょう。

使い方②ターンアラウンド戦略

ターンアラウンドマネージャーが行う戦略や理論はターンアラウンド戦略と呼ばれます。企業の活性化を目的としており、設備投資や営業の強化、事業内容の見直しを行うのが目的です。短期的な戦略ではなく、中長期的な使い方がメインになり、根本的な部分から抜本的な改革を行います。

使い方③ターンアラウンド伝票

オンライン受発注の際に使われる従来の伝票に、発注書としても使えるように兼務したものを「ターンアラウンド伝票」と言います。ターンアラウンド伝票は、発注時に使われる発注書としての機能も持つため、従来の伝票や請求書よりも簡素化された手続きが行えるのがメリットです。

使い方④ターンアラウンドタイム

データの処理時間のことを「ターンアラウンドタイム」や「タイム計算」と言い、パソコンに処理してもらいたいデータを入力してから結果が出るまでを意味します

タイム計算はデータの処理時間だけでなく、人がデータを入力する時間や転送の時間を含むのです。ちなみに、ソフトウェア開発の世界では、テストとテストの待ち時間や開発から納期の時間もタイム計算と表現します。タイム計算を短縮することも重要な要素です。

こういったビジネスにおける効果やターンアラウンド伝票の意味も把握しておきましょう。従来のような戦略や伝票から、よりIT社会におけるシステムに対応できるようになるので効果的になります。

ターンアラウンドマネージャーに必要な能力と起用方法

必要な能力①強いリーダーシップ

ターンアラウンドマネージャーに必要な能力として、強いリーダーシップが求められます。事業再生を行うためには強い意思と全従業員を引っ張っていくカリスマ性が必要です

時にはトップダウン形式で厳しい判断をせねばならず、それを納得させられる明確なビジョンを示すことも求められます。同時に事業再生を行うために全従業員の協力を得ることも必要なので、改革を行う意味や目的を説明し、メリットを理解させてモチベーションを向上させましょう。

必要な能力②財務や人事部門に関する豊富な知識と経験

事業再生において財務や人事部門に関する知識と経験が必要です。先程の伝票や帳票の改革もそうですが、新しいカタチに変えていくためには、従来型を理解していること求められます

また、企業の状態によっては公的支援や第三者企業に支援要請を行うこともあるでしょう。こういったときの財務判断を行うには豊富な知識が必要です。

人事関係では人事評価制度に関する知識も求められます。企業の多角化が進む中でグローバル人事の構築も重要であり、こちらの経験も必要でしょう。

必要な能力③経営計画の策定と実行力

担当する企業の実態を調査して分析し、経営計画の策定と実行する力が求められます。この時に企業の強みや弱いを把握し、スピーディーに意思決定を行わなければなりません。

こういった意思決定の中には先見性も重要であり、将来に向けて必要な投資を選択するのも役割です。周囲を納得させ、計画を実行するための強い精神力も必要になります。

起用方法①ヘッドハンティングする

起用方法としていくつかの選択肢があります。先程説明したように必要な能力が高いため、なかなか適任を見つけるのは難しいです。そのためヘッドハンティングによる起用方法を検討しましょう。

ヘッドハンティングする際には必要な投資も高くなりますが、それだけに能力のある人物を得られます。事前報酬や成果報酬など支払い方法も検討しながら、ヘッドハンティングを行ってください。

起用方法②コンサルティング会社を利用する

ヘッドハンティングが難しい場合はコンサルティング会社を利用しましょう。近年はコンサルティング会社が事業再生を担当するマネージャーを育成しており、高い知識や経験を持った人物を派遣しています

コンサルティング会社ではなく、中小企業診断士や公認会計士も選択肢です。事業再生に関する資格を有したフリーの人材も検討しましょう。

起用方法③金融機関の企業再生支援を受ける

企業が経営破綻を避けるために、金融機関の企業再生支援を受けることも考えてください。経営再建計画を実施して、企業を立て直した事例は多く存在します。金融機関による事業再生も選択肢の種類に入れてください。

ターンアラウンド戦略の具体策

具体策①事業や販売戦略を見直す

事業再生を行っていく上での具体的な戦略を確認しましょう。まずは事業や販売戦略の見直しを行い、自社の強みや弱みを再確認することが必要です

具体策②管理体制を再構築する

事業や販売戦略を見直し、次は管理体制の再構築が必要になります。資金や採算管理の効率化を行って、従業員のコスト意識も向上させましょう

具体策③業務プロセスを改善する

業務プロセスの改善では最先端技術であるAIやloTを業務システムに導入してください。また、現場中心の業務改善プログラムも検討しましょう。自ら考える組織に構築することで、より良い環境づくりが構築されます。

ターンアラウンド伝票やタイム計算のような改善も重要です。従来の手続きよりも簡素化された請求書や帳票システム、タイム計算の短縮を行ってより現代的なシステム構築を行ってください。また、タイム計算を短縮できるようにシステムに対する投資も必要です。

具体策④人事制度を再構築する

日本は長らく年功序列制度を中心とした人事制度を行ってきました。しかし、近年はこういった制度を見直し、成果主義に転換する企業が増えています。若手のモチベーションを上げるだけでなく、役職付きのコスト削減につながる重要な見直しです

そして、国内だけでなく企業の多角化の中でグローバル人事も必要になっています。事業再生の中でこういった部分も検討していきましょう。

ターンアラウンドの企業事例

企業事例①日本航空株式会社

ターンアラウンドの企業事例として日本航空株式会社が挙げられます。リーマンショックによる大きな損害から、京セラ名誉会長の稲盛和夫による事業再生が行われたのです。

政府と金融機関が立ち上げた企業再生支援機構の下、企業体質を見直して、機材の小型化や就航路線の見直しを行っています。同時に人材教育にも力を入れて見事に立ち直った事例です。

企業事例②カネボウ株式会社

カネボウ株式会社は粉飾決算により、深刻な経営危機に陥りました。そこでターンアラウンドを導入し、企業体質を改善しています。

過剰人員の削減、ガバナンスの修復や経営体制の刷新により、企業の信頼を少しずつ取り戻したのです。特に成長部門だったカネボウ化粧品を分離・独立させて、花王グループに編入させたことは大きな決断と実行力によるものでしょう。

企業事例③日本マクドナルド株式会社

日本マクドナルド株式会社は中国の期限切れ食肉を使用したことで、長い低迷に苦しむことになります。外部からサラ・サカノバ新社長とターンアラウンドスペシャリストの足立光を招聘し、抜本的改革を行いました。

店舗投資を行いながら、コストと資源効率の改善、アプリゲームとのタイアップやSNSの活用、話題性のある新商品や種類展開によって見事回復を成し遂げています

ターンアラウンドの意味を正しく理解しよう!

事業再生を意味するターンアラウンドについて解説しました。ターンアラウンドマネージャーを導入し、自社を抜本的な部分から改革させてください。思い切った改革により業績を回復し、従業員の意識改革も行えます。事業再生によって新しいスタートを切りましょう!

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