テクノ失業とは?耐性の高い職業や知っておきたい対策方法は?

テクノ失業とは?耐性の高い職業や知っておきたい対策方法は?

テクノ失業の意味や効果的な対策を知ろう!

技術革新によって様々な業界でIT技術やAIが活用されています。しかし、その弊害も起きており、テクノ失業が問題になっているのです。今後もこのテクノ失業は働く人にとって課題であり、どのように向き合っていくかを検討しなければなりません。

テクノ失業に対して耐性の高い職業を知ることで、様々な対策が取れるようになります。ITやAIが当たり前になった時代だからこそ、改めてテクノロジーと人材の両立に向き合ってみましょう。

テクノ失業とは?

IT技術やAIの発達によって引き起こされる失業のこと

テクノ失業とは、AIやITの技術が人間の労働力の代わりになることで、多くの人の仕事が失われることを意味します。産業革命以降、様々な場面で機械の力が使われるようになりました。労力を軽減し、便利になることで大量生産が可能になったのです。

そこからさらに時代が進み、IT技術やAIの発達によって人間の仕事を肩代わりしてもらえるようになりました。しかし、世界中でこういった技術が導入され、次第にロボットが人の仕事を奪う状況になっています。

テクノ失業は社会問題になりつつある

すでにテクノ失業は多くの業界で起きており、世界中で社会問題になっています。ロボットが車を組み立てるようなオートメーションだけでなく、接客や掃除の世界にもテクノロジーが導入されているのです。

特に計算をメインに行う事務業務は世界中でテクノ失業が起きています。テラーと呼ばれる銀行の窓口係がネットバンクに代替されたことで、アメリカでは約70万人がテクノ失業に陥りました

また、先程紹介したようにロボットが車を組み立てるようになって、約270万人が仕事を失われた、というデータも存在します。人材難を改善してくれるITやAIですが、過度にその技術に頼りすぎることでテクノ失業が社会問題になっている点に注目しましょう。

テクノ失業に対する耐性が高い職種

クリエイティブ関連の職種

テクノ失業に対する耐性が高い職種を確認しましょう。特にテクノ失業に耐性が高いのはクリエイティブ関連の仕事だと考えられています。その理由は明確な答えがないものを想像する仕事だからです。

クリエイティブな仕事は人の数だけ作品が存在しており、受け取る側によって印象も異なります。芸術家やアートディレクター、舞台演出家、コピーライターなどが該当する仕事です。ただし、近年はそういった分野にもITやAIが進出しています。

様々なデータが入ったAIが小説を書き、星新一賞の一次審査を通過したことが話題になりました。完全にAIに奪われる可能性は少ないものの、人間だけの専売特許の分野では無くなっていることに注意しましょう。

編集やディレクション関連の職種

編集やディレクション関連の仕事もテクノ失業に耐性が高いです。臨機応変に対応しながら作品を生み出す分野なため、AIでも対応が難しい仕事になっています。ロボットに取材を受けるよりも、人間同士で話をするほうが話しやすい人も多くいるため、今後も完全にIT化されない分野です

カウンセラーやインストラクター関連の職種

カウンセラーやインストラクターも人対人の職種にあたります。それぞれの経験を実際に相手に伝えながら指導することは、ロボットには難しい仕事です。アウトドアスポーツを一緒に行いながら、相手の技術をアップさせるのは人対人ならではの交流です

また、カウンセラーも相談者のちょっとした振る舞いから深層心理を見抜き、適切なカウンセリングを行う仕事です。心理学におけるミラーリングやマザリングのような、相手の反応を真似したり母性的な本能から出る動作などはデータ化しにくい分野といえるでしょう。

テクノ失業に対する耐性が低い職種

窓口や受付関連の職種

逆にテクノ失業に対する耐性が低い職種を確認しましょう。企業として多くの従業員が必要な仕事はAI化が進んでいます。その代表的なものが窓口や受付業務です。こういった仕事は従業員を雇うよりもAI化するほうがコスト削減につながります。

実際に海外企業では従業員を雇うよりも、基本的な対応をAIに任せて効率化を進めているのです。銀行の窓口業務やホテルやレストランの受付はテクノ失業に陥りやすい仕事になります。また、オンラインで処理できるような業務もテクノ失業によって、人間ではなくAIによって処理される仕事です。

レジ関連の職種

テクノ失業が大きく関係するのはレジ関連の職種です。世界だけでなく日本でも、セルフレジの導入が進んでおり、従業員のカットが進んでいます。

海外ではテクノ失業に危機感を感じた従業員がセルフレジに反対するデモを行い、注目を集めました。日本ではセルフレジに対して抵抗感を感じる高齢者も多く、完全にセルフレジにするのは難しいと考えられています。しかし、日本でも人材難対策としてセルフレジは増えていくでしょう。

ドライバー関連の職種

自動運転に関するニュースが報じられることが増えており、今後ドライバー関連の職種はテクノ失業の可能性が大きいと考えられています。また、2017年には乗客が一人で操縦する「ドローンタクシー」というものの実験が始まっており、自動運転の技術は進歩し続けているのです。

決められた道を定期運行するような場所では、AIによる自動運転が導入される可能性は高いため、テクノ失業は十分に考えられます

介護関連の職種

介護分野は深刻な人材難が問題になっています。介護分野を運営する企業や施設も少子高齢社会への対策が求められているのです。その中で人工知能搭載ロボットが介護分野を助けると考えられています。実際に介護用ロボットを開発する企業も増えました。

この分野では介護する側の力をサポートするようなロボットスーツも開発が進んでいます。一家に一台ロボットがいる、という時代はまだ先でしょうが、介護や家事などはテクノ失業が起きる前提で対策を行いましょう。

テクノ失業への対策

対策①積極的にジョブチェンジを進める

テクノ失業に対しては自分から対策を取っていくことが重要です。自身が働いている業界がITやAI化が進んでいる場合、もしものことに備えてジョブチェンジを検討しておきましょう。資格取得や別の分野に関して学ぶことで、テクノ失業前に転職することが可能になります

対策②企業や国がジョブチェンジをサポートする

国や企業もテクノ失業を放置しているわけではありません。国や企業は職業訓練などを実施し、他業種に転職しやすい環境づくりを進めています。新しい従業員を受け入れられるような体制も進めて、人材難を補えるようにマッチングシステムが導入しているのです。

自社にとってロボットでは補えない部分に対して、優秀な人材を確保していくことが企業の課題になっています。人と人のコミュニケーションが重要な企業は雇用のミスマッチが起きない人材登用システムを導入しましょう。

対策③テクノ失業に負けない人材を育成する

テクノ失業を防ぐためには、それに負けない人材に成長することが重要です。人対人のサービスを求める声は多く、AIやロボットの導入を快く思っていない人も存在します。人間のぬくもりも一つの重要な要素であり、人間らしさから生み出されるサービスが多数あるでしょう。

企業としても従業員は大切な存在であり、簡単にはAI化を進められません。ロボットを導入することは高コストであり、中小企業では簡単なことではないでしょう。自身がITやAIに負けない人材に育つことで、テクノ失業を防いでください。

対策④ベーシックインカムを導入する

テクノ失業の対策としてベーシックインカムの導入が検討されています。日本では「全国民向け最低賃金保証」と訳されることもありますが、就業状態に関係なく政府から一定額を受け取るシステムを意味します

海外ではアメリカのアラスカ州でテストが行われ、一定の成果を上げました。同時にベーシックインカムは働くことへの欲求低下が課題であり、賛否両論のある考え方です。

日本の国民性とベーシックインカムの相性を考える必要がありますが、テクノ失業が今後増えていく中では導入を考えなければなりません。国としては、様々な状況に対応できるようにいろいろなシステムを検討することが求められるでしょう。

テクノ失業に対応して従業員を守ろう!

テクノ失業の意味や問題について解説しました。テクノ失業はITやAI化によって人間が行っていた仕事が奪われることを意味する言葉です。

窓口業務やレジ係など様々な分野でテクノ失業が起き始めています。テクノ失業対策としてジョブチェンジができるように自分を成長させ準備しておくことがおすすめです。今後もテクノ失業問題は加速するだけに、国や企業も従業員を守れるシステムを構築していくことが求められています。

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