T型人材・π型人材・I型人材とは?分類の違いや育成方法を解説!

T型人材・π型人材・I型人材とは?分類の違いや育成方法を解説!

T型人材・π型人材・I型人材の意味を知りたい!

少子高齢化による労働市場が変化し、先行きが不透明で未来への予測が難しい現在、優秀な人材の確保が経営における必須の課題となっています。

そのような現代社会で注目されているのが、I型人材と呼ばれる特定の分野に高度な専門性を持つスペシャリストや幅広い知識を持つジェネラリストとスペシャリストの両方のメリットを兼ね備えたT型・π型人材と分類される人材です。特に重要視されているT型・π型人材の意味やメリット、育成例、I型人材との違いを知り、会社の人材育成に活用してください。

T型人材・π型人材・I型人材とは?

会社の新しい時代を牽引できる人材として注目されている T型・π型人材、I型人材と分類される言葉の意味について知り、採用・育成に活かしてください。

T型人材の言葉の意味

特定の一つの分野を極めるスペシャリストでありながら、多様な知識や豊富なキャリアを持つジェネラリストの面をもつ人材をT型人材と呼びます。

グローバル化や市場の多様化が進んでいる現代社会では、専門性と抱負な知識、経験、視野の広さを持つ人材が重要でしょう。

π型人材の言葉の意味

π型人材とは一つの分野に特化する専門性と幅広い知識や豊富なキャリアを持つT型人材をさらに進化させて、二つの異なる分野に専門性と幅広い知識やキャリアを持つ人材を指します。

π型人材はダブルメジャーと呼ばれ専門領域が広がるため、独創的は発想ができ、希少性の高い人材です。

グローバル競争や市場が激しく変化している現代社会の会社で、分野を横断して柔軟に活躍できる人材として注目されています。

I型人材の言葉の意味

I型人材とは、ある分野において極めて高い技術や深い知識を持つ専門性をもった研究開発者や技術職人などのスペシャリストを指します。様々な視野を持つジェネラリストの要素を持たない部分で、T型人材とは違いがあります。

ITなどのテクノロジーの進化と共に近年、専門性だけではなく広い視野をもつ人材が必要とされるようになり、従来の日本企業が重要としたI型人材の役割が減りつつあります。

T型人材・π型人材・I型人材 以外の分類

ビジネスパーソンをスペシャリストを縦軸とジェネラリストを横軸に分類する言葉はT型・π型人材、I型人材以外にもあります。様々な人材のタイプの分類を知ることは、今後の自分のキャリアを考えるうえで、自分がどの型の人間で今後目指す人間はどの型の人間か考えることは一つのヒントになるでしょう。

分類①ー型人材

広範囲にわたる分野に広く精通し、様々な知識や経験を持つジェネラリストな人材をー型人材と呼びます。ー型人材は広い視野で全体を見渡して客観的な評価ができ臨機応変な対応ができるので、管理職や経営者監督や人事担当者などオールマイティーに活躍できる人材と言えるでしょう。

分類②トライアングル型人材

トリプルメジャーとも呼ばれるトライアングル型人材は3つの異なる分野に専門性を持つ人材です。トライアングル型人材には、ー型人材のような幅広い知識を持つジェネラリストの資質は特に問われませんが、その専門知識の深さで特定の市場で必要とされる人材と言えるでしょう。

分類③H型人材

H型人材は、1つの専門スキルと幅広い知識を持つT型人材と他の専門分野のスキルを持つT型人材とが繋がることで、円滑に仕事を進めるT型人材のことを指します。専門スキルであるIとIを広い知識のーでつなぐためHという文字で表され、異なる人材を繋げるコミュニケーション能力が必要です。

様々な分野の専門家と協働して技術革新を起こすことが期待できるためイノベーション人材とも呼ばれ、現代の企業に必要な多くの職種を業種の枠を超えてつなぐ役割をもつH型人材は今後ますます重要とされる人材です。

分類④J型人材

T型人材の中で一つの分野においてその第一人者や専門家と交流できるレベルまでの高い専門性を持っている人材をJ型人材と呼びます。

J型人材の人は自らの専門性を高めるとともに、他の専門家ともコミュニケーションを取る機会ができるため、他の高度な技術や知識も習得でき専門外のスキルも充実します。そのため、様々な職種で専門知識を活かせる人材へと成長できるでしょう。

分類⑤韮型人材

韮型人材とは、3つ以上の専門分野を持ち、別業種の知識や経験を広く持つ人材をメルカリグループの執行役員である横田敦氏が提唱した言葉です。

テクノロジーが急速に進み社会や市場が変化している現代、新しいことに次々とチャレンジし、π型、トライアングル型、H型を兼ね備えている韮型人材が注目されています。

会社でT型人材が必要とされている背景

社会のグローバル化やテクノロジーの進化、市場の変化が急速に進む現代、スペシャリストやジェネラリストが重要視してきた企業の経営方針に限界が生じ始めました。そのため、新しい時代を牽引する人材としてI型人材とー型人材を兼ね備えている人材が注目されています。

技術革新の高速化

近年、インターネットの普及や人工知能AIの開発などにより技術やサービスは急激に変化をし、連携を必要としています。例えば生産性やサービス向上をAIの技術を使って実現する場合、土台となるAI技術の他に金融や医療、経済やロボット工学など様々な知識が必要となります。

そのような現在、一つの専門分野に特化しているスペシャリストではなく、深い専門性と幅広い知見の両方を兼ね備えている人材が重要視されています。

イノベーションの必要性

顧客のニーズが多様化し市場の競争が激化している現代社会を生き延びるためには、事業開発における柔軟性と新たなイノベーションが必要不可欠となってきました。

そのため新たなイノベーションを起こすことができる人材として、専門的なスキルに加え、幅広い分野に知識を持つ人材の必要性が増しています。

T型やI型人材が増えることで、業種を超えた提携やコラボレーションが可能になり、幅広い視野を持つビジネスを構築できるでしょう。

キャリア形成に欠かせないT型人材の必須スキル

T型人材は急激に変化している現代社会に対応していくキャリア形成に重要とされています。スペシャリストとジェネラリストの両面を兼ね備えたT型人材には、どのようなスキルが必要なのか解説します。

意図的に成長できる力

キャリア形成に欠かせないT型人材にとって必須のスキルとして挙げられるのが、自分で考えて自分の意志で意図的に成長しようとする力です。

現状に甘んじることなく新しいことにチャレンジしていく主体的な力や、学習意欲、知的好奇心はキャリア形成に欠かせないT型人材に必要不可欠な要素と言えるでしょう。

答えを掴み取る力

市場の変化が著しく将来の先行きが見えない不安な現代社会で企業が成長するためには、正解がない中で答えを掴み取る力を持つ人材が必要です

キャリア形成には、自分なりの答えを会社に提示し、主体的に社会と関わりながら発信できるT型人材が求められています。

アナロジー思考で行動できる力

キャリア形成に欠かせないT型人材には、すでに経験のある分野から見出した法則を基に物事を抽象化し、類推を基に類似した他の事柄にあてはめていくアナロジー思考で行動できる力も必要とされています。

T型人材が持っている専門性と広い視野での知識を使って類似点を見つけることで、相互作用が起こり、新しいイノベーションが生まれるでしょう。

π型人材やI型人材にはないT型人材のメリット

T型人材は、グローバル社会で社会の流れに合った戦略をするために重宝されています。T型人材には、π型人材やI形人材にはない、組織の中で優位性を持つメリットがあるので、具体例を解説します。

メリット①独創的なアイデアを生み出すことができる

ある特定の分野を極めつつ、専門領域以外の幅広い知識や経験も兼ね備えているT型人材は、広い視野で客観的に物事を捉える力をもっているので、慣習や常識にとらわれない、独創的なアイデアを生み出すことができます。

そのためT型人材は、市場の変化やグローバル社会に対応する新しい企画を立ち上げることができ、会社の生産性を向上し業績アップや成長に貢献するでしょう。

メリット②幅広い業種とのコラボレーションに繋がる

T型人材は一つの深い専門知識を持ち、幅広いジャンルに対しても知見を持っているため、幅広い業種の人材とのコミュニケーションを取ることができます。

また、新しい技術の開発において、コミュニケーションによって幅広い業種の技術を得られるので、技術者を雇う費用を削減することができ、生産性の向上も期待できるでしょう。

T型人材を育成し増やすと他業種や他業界とのコラボレーションができ、最新技術を使った新たな挑戦を可能にします。そのため、イノベーションも期待され、社会全体の成長にも結び付くでしょう。

T型人材の育成方法

特定の分野で専門性を持ち、幅広い知識や経験、キャリアを持つT型人材はグローバル競争の現代社会で重要な役割を果たします。しかしT型人材を見極めて採用することは困難なので、会社の社員のキャリアの意向を踏まえて育成していく必要性があるでしょう。T型人材はどのようにして育成すればよいかの例を紹介します。

育成方法①1つの分野のスキルを伸ばす

T型人材を育成するためには、まずスペシャリストと呼ばれる専門性の高さを伸ばす必要があります。

専門分野に対しての知識を増やし能力を高めることで、その能力を魅力に感じる人材や会社からのアプローチを得られ、他分野との連携を構築することができるでしょう。

育成方法②多くの分野を経験させる

T型人材が重宝される一つの要素が幅広い分野への経験やスキル、知識です。そのため専門分野以外の多くの分野で様々な経験をさせることが、T型人材を育成するためには必要でしょう。

近年、社員のキャリア形成のために、人事計画に基づく人事異動であるジョブローテーションを実施し、柔軟で多様な経験させる会社が増えています。その結果多くのT型人材が育成され、会社や社会の発展に貢献するでしょう。

育成方法③働き方を柔軟にする

T型人材がスペシャリストやジェネラリストの分野を伸ばすためには、会社以外での学びの機会を増やす必要があります。そのため、副業やテレワークなど働き方の多様性を認めたり、積極的に研修や社外での勉強会に参加させるなど働き方を柔軟にして、会社に役立つ人材を育成しましょう。

T型人材の育成事例

先述のようにT型人材を育成するためには、ジョブローテーションや働き方改革などが効果的です。実際にそれらを導入してT型人材を育成している事例を紹介します。

育成事例①ヤマト運輸株式会社

クロネコヤマトでおなじみのヤマトホールディングス参加のヤマト運輸株式会社では、会社現場での仕事を理解し、自分のキャリアプランを形成するためにジョブローテーションを取り入れました。

会社現場での主要な業務である「配送物の集配」「配送サポート」「営業」を新入社員に入社から2年間で経験させます。これにより社員は会社全体の業務の流れを把握し、幅広い分野のスキルや経験を積むことでキャリアの土台を固めることができました。

また、様々な部署の社員との交流によって若手社員のモチベーションはアップしたため、会社全体の活性化に繋がった例と言えるでしょう。

育成事例②富士フィルムホールディングス株式会社

写真フィルムを主力事業とする富士フィルムと複写機メーカーである富士ゼロックスを傘下に持つ富士フィルムホールディングスでは、組織の活性化と若手社員の育成のため、ジョブローテーションを取り入れました。

新入社員は、まずビジネスマナーと特定の分野の専門性を身に付けるため3年間のスペシャリスト養成研修を受講します。その後ジョブローテーションにより様々な職種を経験することで、課題解決力やコミュニケーション力を得ることができ、会社に役立つ人材へと成長するでしょう。

研修とジョブローテーションを融合させることで、高い専門性と幅広い知見を持つT型人材の育成に成功できた事例と言えます。

T型人材・π型人材・I型人材の意味を覚えておこう!

現代社会はグローバル化やテクノロジーが急速に進み、消費者のニーズも変化してきています。それらの社会のニーズの変化に伴い、これまでのエンジニアなどのスペシャリストであるI形人材が重宝されていた時代から専門性と広い視野を持つT型人材やπ型人材が重要視される時代に変わってきました。

これらの人材型の意味を覚えて、自分が現在何型に当てはまるのか、目指すのはどの型なのかを見極め自分のキャリア形成に活かしましょう。また、企業の人事担当者はどの型の人材が自社に必要であるかを分析し、人材育成に活用してください。

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