人員配置を詳しく解説!目的や最適化のポイントは?
仕事の効率化を目指すためには、適材適所に必要な人材を配置することが求められます。そういった人員配置におけるポイントについて詳しく注目していきましょう。人員配置の種類やメリット・デメリット、最適化させるためのポイントを確認してください。
人員配置の意味と目的
人員配置の言葉の意味
人員配置は「社内の人事を適材適所に配置することで最適化や効率化を図る人事マネジメント」です。会社の事業計画のために、誰をどこに配置するのかは非常に重要なことです。人員配置によってプロジェクトが成功するか、業績がアップするかが変わってくるので、しっかりと検討しましょう。
目的①マッチング精度を維持するため
人事マネジメントを適切に行うことで働く人間の意欲も変わってきます。人員配置の大きな目的として、マッチング精度を維持することが関係しているのです。
企業のグローバル化や多角化が進む中で、人材と業務をマッチングさせることが難しくなっています。組織と社員がそれぞれ描く未来像を実現するための人事プランを成立させるために、人員配置を適切に行なっていきましょう。
そのためには社員のスキルや上司による人事評価基準などを見つめ直し、一人ひとりの能力を再確認することが必要です。特に人事に関わる担当者は、日頃から社員それぞれのスキルやキャリアプランを把握しておくことが求められます。
目的②事業プランを達成するため
事業プランを達成するためにも人員配置は重要になります。企業が設定した目標を達成するために、社員のポテンシャルや適正などを踏まえて配置しましょう。
人員配置の中には慢性的な人手不足の職場、新規事業や課題を抱えた部署、事業を縮小する場合などが関係していきます。人員配置では人を増やしたいだけでなく、減らしたいときにもプランを活用しましょう。限られた人材をどのように配置するか、人材マネジメントの能力が求められます。
目的③人材を育成するため
人材を育てるプランにも人員配置は有効的です。若手社員を新しくどこに配属するか、経験を積んだ中堅を新しい事業で能力を発揮させてあげるなど、様々な育成プランが考えられます。また、伸び悩んでいる人材を配置し直して、育成の可能性をマネジメントしてあげるのもおすすめです。
人員配置の種類
種類①異動や配置転換
人員配置の種類を確認しましょう。それぞれのプランにあわせて必要な人員配置の種類を選んでください。上司や部下、様々な立場の人間が企業では働いているので、しっかりとしたプランで人材マネジメントを行っていきましょう。
まずは、異動や配置転換が人員配置に含まれます。所属部署や就業場所が変更されるので、大きく仕事内容や環境が変化するのがポイントです。人事部がしっかりと社員の適性やポテンシャルなどを分析した上で調整することが求められます。
人事マネジメントを行うためのソフトなどを活用し、誰が、どこで、どのような仕事に関わっているのかをすぐに確認できるようにしましょう。また、部署ごとの上司やリーダーにあたる人物も明確にし、そこに配置される人員との関係性も配慮してください。
種類②採用
採用することも人員配置の一つです。新しい人材は実際に配置してみないと未知数な部分があります。可能性や伸びしろのある人材をどこに配置するのかを検討してください。このときの人員配置に失敗すると、双方にとって雇用のミスマッチが発生するのが注意点です。
また、新卒だけでなく中途採用も同様です。経験がある人材とはいえ、新しい企業で働く上ではいきなり能力を発揮できないこともあります。中途採用者が気持ちにゆとりを持てるような上司と組ませるのも良いでしょう。
種類③昇進
昇進も人員配置の一つに分類されます。昇進することで上司の立場になる人も多く、責任がより重くなるのです。そのことがプラスになる場合もあれば、マイナス効果になる人もいます。
また、昇進することで職位が一つ空くことも意識しなければなりません。これは一般社員がマネージャーなどに昇進する場合も同様です。一般社員がマネージャーになることによって、一般社員の枠が一つ空くことになります。場合によっては新しく採用必要が出るため、これも人員配置に該当するのです。
種類④雇用形態の変更
近年は働き方改革によって様々な雇用形態が生まれています。契約社員やテレワーク、派遣社員やパート・アルバイトなどが該当します。また、転勤の無い地域限定正社員というのも増えており、雇用形態の種類はしっかりと把握しておきましょう。
その中で社員の雇用形態を変更することで、人員配置を調整することがあります。雇用形態が変われば担当する仕事や勤務時間、勤務地などが変更されるので、社員にとって新しいキャリアプランを考えるタイミングとなるでしょう。
種類⑤リストラや雇い止め
他の種類とは少し事情が異なるのがリストラや雇い止めです。企業にとってネガティブな意味での人員配置も存在します。どの企業も常に業績が好調とは限らず、技術革新などによって自分たちのシェアが一気に奪われることもあるのです。
そういったつらい時期を乗り越えるためには、人員配置としてリストラや雇い止めを決断しなければなりません。事業縮小で人員が余った状態を解消することが必要になります。こういったリストラや雇い止めに関する基準も検討し、できる限り不満を最小限にできる方法も検討してください。
人員配置のメリット
メリット①生産性の向上に繋がる
人員配置によるメリットとして生産性の向上が挙げられます。それぞれの部署や部門に適切な人材を配置することで、業務に関するトラブルを解消できるでしょう。
特に人員が足りていないような状態では、適切なマネジメントも行えないので基準を見直して人材を配置してください。必要な人材が配置されることで不満も解消されて、社員のモチベーションがアップするのもポイントです。
メリット②メンタルヘルス対策に役立つ
仕事をする上では「上司と考えがあわない」、「自分のスキルと担当部署がマッチしていない」など様々な不平不満が存在します。こういった状態を放置したままでは社員のメンタルヘルスに問題が発生するのです。そうならないためにも人員配置を見直すことが求められます。
人間関係を見直して、業務の量や社員それぞれのスキルにあったマネジメントを行いましょう。人員配置の最適化が行われることで、社員は企業に大切にされているという愛社精神も生まれます。しっかりとしたメンタルヘルス対策のプランを立てましょう。
メリット③組織内の人財を増やすことができる
組織内の人財を増やす効果も注目ポイントです。能力を持つ人材は他の社員にも良い影響を与え、組織としての底上げにつながります。新規雇用を行った際に雇用のミスマッチが発生することがありますが、人員配置を見直してあげることで、本来の力を取り戻すこともあるでしょう。
人材が人財になるかは企業の人事マネジメントにかかっています。評価基準を明確にしながら、適切な場所に配置してフォローアップを行っていきましょう。企業が人材を大切にしていれば、社員も最大限のパフォーマンスでその期待に答えようとしてくれます。
人員配置のデメリット
デメリット①従業員のスキルが伸びにくい
メリットが多い人員配置ですがデメリットも存在します。頻繁に人員配置を行うと社員のスキルが伸びにくくなります。新しい部署に配属されてスキルを身に着け初めた頃に、別の部署に異動されられると能力が失われる可能性があるのです。
携わる業務によって必要な知識やスキルは異なるだけに、完全に身に付く前に異動されると社員も混乱する原因になります。そのため、人員配置をどのようなペースや理由を行うかの基準を設定しておきましょう。
デメリット②売上や収益性に直結しない
上司との関係改善やスキルが身に付く人員配置ですが、そのことが必ずしも売上や収益には直結しません。新しい部署で社員が成長するまでの時間やコストもかかるため、下手にいじらないほうが良い場合もあります。計画性を持って中長期的な目的で人員配置を行うのがおすすめです。
人員配置を最適化させるポイント
ポイント①業務の量と質を可視化する
人員配置を最適化させるためのポイントを解説します。まずは業務の量と質を可視化させてプランを練っていきましょう。自社の業務の量や質を可視化しておくことで、必要な人員やスキルなどをマネジメントすることができます。
また、計画書などに基づいて適宜修正することが重要です。作業の量はもちろんですが、その難易度も考慮してマネジメントすることで、より正確な可視化が行えるでしょう。
ポイント②適正な人員数を見極める
基本的な基準が把握できたら、必要な人員数を決定しましょう。可視化された情報をもとに現在の人員数を確認して、それが適切か判断してください。また、上司や部下の保有スキルや知識、判断力が業務遂行に問題ないかチェックします。
ポイント③従業員の声に耳を傾ける
データだけでは実際に働いている社員の気持ちとのズレが出るので、面談などを通して現場の声を確認しましょう。このときのポイントとして上司が面談する場合は部下に対して圧迫感が出ないようにしてください。
社員の正直な声を引き出すことで、より正しい基準を設定できます。この中では不安や疑問などを聞くことで、データでは見えてこない部分を解決することができるでしょう。また、上司との人間関係を含め、担当業務外で興味がある仕事についても質問するのが大切です。
こういった面談などを通して社員それぞれの現在のモチベーションも確認できます。社員の将来像などもチェックして、キャリアプランもサポートできる人員配置を検討してください。
ポイント④人事異動計画の原案を作る
集まったデータや情報をもとに人員配置の計画を立てましょう。不平不満の出ないように人事異動計画の原案を作成し、組織全体を俯瞰的に見ることが求められます。人事異動後に人間関係や部署ごとのパワーバランスに問題がないか整えていきましょう。
ポイント⑤人事異動対象者の意思確認を行う
人事担当者が考え抜いて決めた人員配置のプランでも、実際に対象者がどのように感じるかはわかりません。そのため、人員配置を行う時にその判断基準や理由、また異動先の現状などをしっかりと説明してください。
丁寧に人員配置の計画を立てていれば、対象者からも不満は出にくくなります。しかし、異動に対して不満を感じる人物がいた場合は現在の業務や部署を継続させるなど、様々なプランを提示しましょう。
もちろん、対象者のすべての希望を企業側が受け入れる必要はありません。企業が目指す目標や求める人材として最適ではないと判断した場合は、解雇などを検討することも必要です。また、転勤が理由で拒否しようとしている場合は地域限定正社員など変更することも選択肢になります。
人員配置の計画は一度提出してそのまま決定するとは限りません。判断基準などを説明して、できるだけ全員に納得してもらった上で異動を確定することが求められます。それぞれのスキルやキャリアプランなどを相談しながら、人事異動計画を完了しましょう。
ポイント⑥人事異動を実施する
決定した計画を実行するための期日を確定してください。異動日までの間に何らかのトラブルが発生した場合は修正が必要です。基本的には決定した計画どおりの期日や異動内容で行うのがベストですが、ある程度の柔軟性を持って環境変化にあわせて対応します。
ポイント⑦人員配置による効果を測定する
人員配置後の効果を測定しましょう。異動による変化を確認して評価することが必要です。判定のための基準を設定して社員の満足度などを評価します。
評価項目として設定するのは、社員の満足度や労働環境に対する不平不満の有無、労働生産性や作業効率、上司や部下のチームワーク、人員数と業務量のバランスなどを評価しましょう。評価する際は全ての部署、社員を対象に行ってください。
ポイント⑧人員配置の再実施を検討する
人員配置後から定期的に変化を評価し、その効果が薄まってきた場合は改めて人員配置を検討しましょう。デメリットの部分でも説明したように、人員配置は下手にスパンが早すぎると社員のスキルやチームワークが育ちません。
そのため、どういった基準で人員配置を再び行うかを設定すること必要です。新規事業立ち上げのタイミングや事業計画の変更などにあわせて行うのが一つの選択肢です。人員配置の効果がしっかりと出せるタイミングで行うように計画を再び立てましょう。
人員配置の効果を高める方法
プラスを生み出すような人員配置を目指す
より効果を高めるための方法を参考にしながら人員配置を行いましょう。人員配置は社員の将来設計やワークライフバランスを実現させることにつながる施策です。
そういった前提を踏まえてプラスを生み出すような人員配置を目指してください。プラスにするために重要なのは人員配置をただの穴埋めのために行わないことです。人員過剰な部署から足りてない場所に穴埋めとして異動させるだけでは、企業にとっても社員にとってもプラスにはなりません。
異動するための基準をしっかりと定めて、社員に対して新しいきっかけになるようにしましょう。また、異動者が出る部署も受け入れる側もどちらもがプラスになるような人員配置を目指してください。
多能工化に向けた教育や研修を実施する
企業のグローバル化や多角化が進んでいる現代において、専門的なスキルに特化した人材だけで固めているとリスクが高くなります。そのため多能工化に向けた教育や研修を導入しましょう。
上司とのトラブルや家庭の事情でいきなり欠員が出た際に、それを補える人材が自社にいることが理想です。つまり、一人で複数の異なる作業をこなせるマルチな人間を育てることが必要になります。そういった人材がいれば人員配置を行うときも、柔軟性のある計画を立てられるのです。
業務内容の細分化と統合化のバランスを調整する
業務内容の細分化と統合化でバランスを調整してください。細分化を進めると全体の業務量をより正確に把握することができます。逆に統合化を進めると部署内のフォローアップが容易になるでしょう。
しかし、それぞれ調査時間が増加する、個々に求めあっれるスキルや知識が増加する、というデメリットが存在します。この点に注意しながら各部署の業務内容や人材にあわせてバランス調整が必要です。
風通しの良い組織風土を築く
社員同士や上司と部下の人間関係が良くなれば風通しが良くなり、人員配置の適正化に必要な情報も集まりやすくなります。上司に対して心を開いていない部下では本音を知ることができず、人員配置の判断がズレてしまうのです。
風通しの良い組織風土を築くのは短期間では難しいですが、時間をかけて企業や仲間に対する思いやりが持てる環境作りに務めましょう。上司やリーダーが独善的な状態になるのを防ぎ、社員が企業の目標や課題に対して当事者意識を持てる環境を作ってください。
人事評価基準を見直す
企業の状態や環境にあわせて人事評価制度の見直しを行いましょう。基本的な年功序列制度か成果主義制度で判断するかも含めて検討が必要です。人事評価の結果をどのように通過するかも重要なので、数値化やグラフなどを用いて可視化するのもよいでしょう。
上司が自分をどのように判断しているかを知ることで、自分をどのように成長させていくかの基準につながります。また、企業側も成長の意欲がある人材は適切にマネジメントを行って、資格取得や研修などのサポートを行ってください。
マネジメントに対してどのような結果を出したのかも含めて、その後の人員配置の参考にしましょう。上司にどれくらい部下がポテンシャルを秘めているかを確認し、必要であれば異動の計画進めます。業績とポテンシャルの両方を参考にすることが人員配置には必要です。
RPAを導入する
人員配置をする上ではロボットやAIを導入するのも選択肢です。RPAというのは「Robotic Process Automation」の略で、人間が行っている業務をロボットや人工知能に置き換える方法になります。
RPAを導入する際におすすめなのが、専門性が低く、マニュアル化しやすい定型業務です。コンピューターが仕事を担当してくれることで、それまでの担当者は別の業務に人員配置できます。少子高齢化で人材不足が大きな課題となっているので、RPAにも人員配置の一つの方法として取り入れてください。
人員配置に役立つシステムを導入する
先程のRPAとあわせて人員配置に役立つシステムは積極的に導入していきましょう。人事労務システムや人材マネジメントシステムを導入し、社員の情報を一括で管理するのがおすすめです。カオナビなど様々なシステムが存在しているので、チームごとの上司やリーダーなどもすぐに確認できます。
人員配置を実施して業務の効率を上げよう!
人員配置のメリットや導入のポイントについて解説しました。企業をマネジメントしていく中で人材を適切な場所に配置するのは非常に重要です。企業内の新陳代謝にもつながり、社員のモチベーションや可能性も広がっていきます。人員配置を有効活用し、企業を盛り上げましょう!