サクセッションプランとは?メリット・導入方法から企業の成功事例も!

サクセッションプランとは?メリット・導入方法から企業の成功事例も!
目次

サクセッションプランを安定的な企業経営の実現に役立てたい!

企業を運営していく上では様々な人材が必要です。その中で経営方針に大きな関わりのある幹部をどのように育成していくかを考えましょう。企業を今後背負っていくような後継者の育成に関わる、サクセッションプランのメリットや導入方法を解説するので参考にしてください。

サクセッションプランの意味と目的

サクセッションプランの言葉の意味

サクセッションプランは幹部人材の育成計画や育成計画の実施施策全体を意味する言葉です。タレントマネジメントに近いものになりますが、サクセッションプランは幹部人材の育成計画を行っていきます。企業の顔であるCEOや経営幹部をどのように育成するか検討していきましょう。

人材育成との違い

人材育成との違いは、企業が掲げる目標に向かって社員全体の成長を促す施策になります。人事部が主導となって行う育成であり、各社員に研修やフォローアップを行って成長を促す方法です。

サクセッションプランの場合は、経営層が育成を主導します。社員全体ではなく、経営層として候補者候補となる人物に絞って育成を行っていくのが大きな違いです。企業の幹部候補として人材を育成するため、長期的な視野でおこなっていくのも異なる点になります。

サクセッションプランの目的

サクセッションプランを導入する目的は、後継者を計画的に育成していくためです。有能な後継者を育成できると企業存続のリスクを軽減でき、持続的成長につなげられます。企業を成長させるため、そして透明性を持った企業統治を行っていく上でも重要です。

サクセッションプランのメリット

メリット①人材登用基準を可視化することができる

後ほど様々な企業のサクセッションプランの事例を解説していきますが、この施策を導入させるメリットを確認していきましょう。まず、サクセッションプランを導入することで人材登用基準の可視化につながるのがポイントです。

サクセッションプランを進めていくと、自然と自社企業の人材能力が見えてきます。それを人材管理システムなどを活用して行くことで可視化ができ、組織づくりを行っていく上で大きなメリットが得られるのです

メリット②経営幹部ポストの空白期間を作らない効果がある

重要なポストが空白のままになっているのは望ましくありません。サクセッションプランが導入されていれば、経営幹部ポストの空白期間を防止できます。事前にサクセッションプランで人材を可視化できていれば、突然の経営者交代にも焦ること無く対応できるでしょう

また、新事業や多角化を行うために幹部社員を異動する必要が出ても問題ありません。このようにサクセッションプランを導入していれば柔軟な人事異動が行えます。

メリット③人材育成コストの削減に繋がる

既存の社員から幹部候補を選抜できるので、人材育成コストの削減につながるのもメリットです。サクセッションプランで事前に審査が済んでおり、該当者に幹部候補者として特化した育成を行えます。適正のない人材を育成するのは無駄なコストになり、その他の部分に資金を投資できるのです

メリット④採用コストを抑えることができる

自社の人材から幹部候補を育成していくサクセッションプランでは、外部の人材を雇う採用コストの削減につながります。特に幹部候補を外部から選任する際は求人媒体ではなく、非公開求人を利用する事例が多いです。そのため、人材紹介会社を使ってヘッドハンティングを依頼するケースが見られます。

ヘッドハンティングをする際、人材紹介会社には紹介手数料を年収の25%~35%支払うのが相場になっています。また、その他の事例としては年収などに関係なく数百万で紹介する形もあるそうです。いずれにしても、外部から人材を獲得するのは高額な採用コストが必要になります。

その点、自社内で幹部候補の人材を選定すれば、高額な採用コストを支払う必要はありません。該当者の性格や日頃の勤務態度などに関する情報も蓄積されているので、そういった点も安心できる要素です。

メリット⑤優秀な人材の確保に役立つ

結果的に幹部として抜擢しなくても、サクセッションプランを行っていく上で、自社の優秀な社員を成長させたことに違いはありません。そういった社員を有効活用することで自社の底上げを行いましょう。

また、能力の高い社員を把握できることで、その後の評価を適切に行えるようになります。そうすることで、有能な人材の転職や独立などを防ぎ、長く自社で働いてもらえるように対策が取れるのです。人材難の時代なので、優秀な人材の流出を防げるのもメリットになります。

サクセッションプランのデメリット

デメリット①人材育成に時間がかかる

サクセッションプランのデメリットも把握しておきましょう。サクセッションプランは幹部候補の社員を育成するために、長期的に行っていくことになります。そのため、サクセッションプランは時間のかかる計画であることを把握しておかなければなりません

後継者候補に対して企業の理念やビジョンを浸透させるのは時間がかかります。サクセッションプランは育成のために時間を費用が必要となるだけに、候補者の選定は丁寧に行いましょう。

デメリット②選出外となった社員のモチベーションが低下する

サクセッションプランで気をつけたいのは、後継者対象外となって社員のモチベーションです。サクセッションプランとあわせて、社員のモチベーションを保てる施策を導入していきましょう。サクセッションプランから外れた後継者候補が他社に転職することのないように注意してください。

サクセッションプランの導入方法

導入方法①中長期経営戦略を策定する

サクセッションプランの導入方法を確認しましょう。サクセッションプランを導入する上で重要なことは、中長期経営戦略の策定です。経営者や幹部の後継者を育成していくために、企業のこれからが決まっていないと選出もうまく行えません。

企業風土や経営理念を再確認して、中長期経営戦略を策定しましょう。サクセッションプランをうまく進めるために、この基本の部分が定まっていないと後継者育成もうまくいかなくなるので注意しましょう。

導入方法②重要ポジションの数や内容を想定する

後継者を育成するために、重要ポジションの数や内容を想定してください。サクセッションプランを行うために重要ポジションの数を明確にしないと、規模や内容が決められません

ポジションとしては代表取締役、役員、部長クラスなど様々な層が想定できます。自社の企業規模を考えたサクセッションプランを進めることが理想的なので、あまり数や内容を大きくしすぎるのも危険です。

導入方法③各ポジションの人材要件を決める

サクセッションプランでポジションの数を明確にしたら、それぞれのポジションの人材要件を決定してください。専門的知識や語学力、リーダーシップ力やコミュニケーション能力が重要な要素になります。

具体的な人材要件を設定することで、サクセッションプランが順調に進められるでしょう。ポジションによって必要な要件も異なるので、自社の現在の担当者のデータも参考にしていくのがおすすめです。

導入方法④後継者候補を特定する

必要な要件を設定できたら、自社の人材を確認しましょう。人材管理システムを普段から活用していると、サクセッションプランの候補者特定が行いやすくなります。候補者特定はこういったデータを参考にするのもおすすめですし、推薦方式で行うのも問題ありません。

また、選抜試験や選抜研修方式でサクセッションプランの後継者を見つけることも検討してください。門戸を最初は広く設定し、公平性や透明性の担保することも重要です。サクセッションプランは優秀な人材をプールしていくことにも使えるので、候補者特定は柔軟に行ってください。

導入方法⑤後継者候補ごとの育成計画を作成する

候補者を選抜したら、それぞれにあった育成計画を作成しましょう。もともとある能力を飛ばすのもおすすめですし、強力が必要な部分を育てるのも方法です。また、幹部として必要な経営学の知識を取得し、グローバル化に対応できるように海外への派遣も必要になります

候補者の可能性を広げるために、配置転換を行って様々な経験を積ませることもおすすめです。サクセッションプランを成功させるために、育成計画は何度も練り直していきましょう。

導入方法⑥育成計画を実行する

育成計画が決まったら実行に移しましょう。サクセッションプランの育成計画は中長期的なものになるので、早期にスタートすることが求められます。1ヶ月や3ヶ月の短い内容から、1年以上先のスケジューリングも行っていくので、サクセッションプランに支障がないように環境を整備してください

導入方法⑦進捗を確認する

サクセッションプランの進捗を適宜確認し、スケジューリングに遅れがないか確認します。進捗に遅れが見られる場合は、その原因を特定して対処しましょう

サクセッションプランでは進捗の確認をどの組織が行うかが重要です。候補者の上司が行う場合もあれば、幹部が揃う人事委員会などが担当することもあります。情報を共有できるようにクラウドサービスなどを活用し、サクセッションプランの進捗をしっかりと確認してください。

導入方法⑧計画の変更や育成施策の追加を行う

計画を進めている中で予定通りにいかないことがあります。そういった場合はサクセッションプランの計画変更や育成施策の追加を行いましょう。サクセッションプランの中長期的な計画では、企業の経営状況や市場の変化によって予定を変える必要があります。

必要の無くなった育成施策は削除し、新たに追加するなど柔軟に対応して、サクセッションプランを成功に導くことが求められます。そのためにも、進捗の確認は適宜行わなければなりません。

サクセッションプランを導入した企業の成功事例

成功事例①日産自動車株式会社

サクセッションプランを導入した企業の成功事例を確認しましょう。日産自動車株式会社は2000年にサクセッションプランを導入し、グローバルな主要ポストの発掘と育成を行いました。

サクセッションプランを進めるために、CEOをはじめとする役員で構成する人事委員会を立ち上げ、すべてに会議に自由参加できるキャリアコーチという役職を選出しています。キャリアコーチは世界各地から次世代リーダー候補を発掘し、それを人事委員会に提案するのが役割です。

その他にも海外の優秀な人材を集めているビジネススクールの卒業生を採用し、日本で仕事を行ってもらい技術を取得させ、ノウハウを本国に持ち帰ってもらうシステムも導入しました。サクセッションプランの導入によって、グローバルに適応した次世代リーダーの発掘に成功しています。

成功事例②株式会社りそな銀行

株式会社りそな銀行は2015年にサクセッションプランを導入し、役員の選抜や育成を行いました。りそな銀行はサクセッションプランとして、次世代トップ候補者や新任役員候補者などに分類し、それぞれにあった育成プログラムを実施したのです。

りそな銀行のサクセッションプランの特徴は、客観的視点を重視し、外部コンサルタントの助言を受けている点といえるでしょう。そして、役員に求められる人物像を明確に定めて中立に評価を行いました。

こういった中立性を確保するために、指名委員会を設置して、その活動は半数以上が社外取締役の占める取締役会に報告されます。グループの将来ビジョンを描ける人材を確保するために、サクセッションプランを有効活用した事例といえるでしょう。

成功事例③花王株式会社

人材の定義を3つに分けてサクセッションプランを実施したのは、花王株式会社です。基幹人材の育成としてサクセッションプランを導入し、「いますぐ後任となれる人材」、「1~3年で後任になれる人材」、「3~5年で後任になれる人材」に分けて、それぞれを育成しました。

それぞれの育成プログラムも異なっており、長期的な育成の場合は育成プログラムと業務のローテーションを組んで能力開発を進めています。また、課題達成度をコーチング、360度多面評価、フィードバックなど様々な方法で本人に還元しているのも特徴です。

成功事例④ゼネラル・エレクトリック

ゼネラル・エレクトリックは、9ボックスというツールを用いてサクセッションプランを行っています。縦軸にパフォーマンスの度合い、横軸にポテンシャルの指標、それぞれの高低さに応じて縦軸を3つ、横軸を3つの合計9ボックスに区分する方法です。

ボックスには「ベスト」や「優秀」、「ミスマッチ」などの名前をつけて、そこに人材を振り分けて人材育成を行いました。自己評価と他者評価を同時に知ることができる方法なので参考にしてください。

成功事例⑤株式会社小松製作所

株式会社小松製作所では、経営層や工場長、部長などの幅広い幹部候補を対象としたサクセッションプランが行われました。その中でグローバルマネージメントセミナーが実施され、海外現地法人の幹部候補者および、将来的に有望な人材がピックアップされています。

セミナーでは小松製作所の歴史や文化、戦略やリーダーシップ、強みや弱みなどの情報を共有するためのディスカッションが行われたのです。企業の基本的な部分から今後の展望を深く理解させることで、将来的に幹部として活躍してもらうのが狙いになります

小松製作所では、その他にもコマツウェイリーダーシップ開発研修やエキスパート研修、コマツウェイ研修など階層別の人材開発にも取り組んでいるので参考にしましょう。

成功事例⑥帝人株式会社

帝人株式会社では、サクセッションプランとしてオリジナルの経営者育成制度「ストレッチ」を導入しました。この制度では役員候補者の選抜、育成を目的としています。

この事例の特徴として、役員に自分の後継者を推薦させ、人事委員会で選抜するメンバーを定期的に審議する点が注目点です。帝人株式会社ではグローバル展開を重要視し、海外とのビジネス経験や交渉能力を重視して評価しました

選抜した人材を年齢ごとに区分し、ビジネススクールなどの外部組織で学びを経験させています。候補者を毎年審議して決定するなど、継続して細かな選出を行っているのも参考にしましょう。

成功事例⑦トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社では「GLOBAL21プログラム」という人材育成プログラムを導入しました。このプログラムの目的は、経営哲学や幹部への期待を明示し、人事管理や育成配置、教育プログラムを実施することです。

世界中に支社があるトヨタだけに、グローバル幹部を育てるのが大きな目的になっています。また、長い歴史を持つトヨタの経営哲学や理念を根付かせることも重要視しているのです。

成功事例⑧株式会社良品計画

株式会社良品計画のサクセッションプランでは、トップを含む課長以上の後継者育成を人事委員会で検討する方式を取り入れています。プロフィールシートで基本属性を管理し、行動評価や業績評価などが管理対象です。

その他にもリーダーシップや問題解決能力などをグラフ化して個性を確認する、キャリパー・ポテンシャル・レポートも実施されました。能力の可視化を行っているのが特徴といえるでしょう。

成功事例⑨オムロン株式会社

オムロン株式会社では、社長が指名した人材で形成されている委員会が設置されました。この社長指名諮問委員会では、緊急事態が生じた場合の継承プランや後継者計画が行われています

同時にグローバル化を進めていくための「地球視点のビジョンで、新しい価値を創造し続ける企業」をキーワードに掲げました。人材配置の最適化や人間関係が良好で働きやすい組織づくりにも取り組んでおり、サクセッションプランを有効活用している事例です。

サクセッションプランのおすすめツール

HRBrain

サクセッションプランを導入する際におすすめなツールも確認しましょう。たとえば、HRBrainは人事評価から人材データを活用できるシステムとしておすすめです。自動で見える化が行えるのが特徴で、シンプルなUI設計で導入しやすいのがポイントになります

また、専任のカスタマーサクセスチームが徹底サポートしてくれるので、新しいシステムを導入するときの不安を解消してくれるのです。無料トライアルも用意されているので、新しいシステムを試したい企業は試してみましょう。

あしたのクラウド

あしたのクラウドは、人事評価の運用を一元化して管理できるシステムです。細かなカスタマイズが可能なので、自社の管理制度を再現しやすいのもポイントになります。AIが目標添削やモニタリングを行ってくれるので、担当者の負担を軽減できるのも人気の理由です。

タレントパレット

採用や配置、育成、離職防止をワンプラットフォームで行うならタレントパレットがおすすめです。人事業務を科学的に実現できるのがポイントであり、マーケティング思考をもとにデータ分析を行ってくれます。

人材データを分析・活用してくれることで、次世代の育成につなげられるのが注目点です。人材の最適配置を行え、将来予測から必要人員を算出してくれるので、サクセッションプランを行う時に参考にしてください。

サクセッションプランを導入して優秀な後継者を育成しよう!

幹部人材の育成計画や育成計画の実行実施全体を意味する、サクセッションプランについて解説しました。企業の安定した経営を継続するために必須の考えであり、タレントマネジメントとあわせて行っていく必要があります。

企業のグローバル化を行っていくためにもサクセッションプランは活用できるので、丁寧にシステムを導入し、中長期的な観点から人材を育成してください。自社の人材から次世代の後継者を選出し、今後を担ってくれる存在に育成しましょう!

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