レジリエンスの意味や必要な理由などを知りたい!
社会の多様化が進み、様々な課題や問題が山積みになっています。そういった状況に対してレジリエンスに注目が集まっているのです。
ビジネスにおけるレジリエンスの意味や必要性、そしてその能力を高める方法を解説します。レジリエンスの意味を理解し、その能力を強化するトレーニングを行いましょう。
レジリエンスとは?
レジリエンスの言葉の意味
言葉の意味から紹介します。レジリエンスというのは「回復力」や「復元力」という意味です。ビジネスの場面でも使われるようになり、困難な状況に直面した時にそれに適応できる能力や諦めない力をレジリエンスと呼んでいます。
レジリエンスが注目され始めたきっかけ
そもそも、この言葉は心理学の世界でよく使われる言葉でした。心理学の世界において、ナチスが行った「ホロコースト」の被害者を研究する中でレジリエンスが確認されたのです。
つまり、過酷な環境で強いストレスや恐怖心を感じた人が、それを乗り越えて通常の生活に戻れている事例が確認されました。すべての人が立ち直れたわけではありませんが、新しい環境に適応して再起できる力が確認されています。
このレジリエンスを身につけることで、ビジネスの世界でも困難を乗り越えられることにつながると考えられるようになりました。
レジリエンスが注目されている背景
レジリエンスが注目されている背景には、時代の変化によって仕事に対して強いストレスを感じる割合が増えたからです。もちろん、それ以前でも仕事に対するストレスを感じている人は多かったでしょうが、それが表出してきたといえるでしょう。
モンスタークレーマーのような存在やパワハラ問題、仕事量の増加や対人関係の悩みなどレジリエンスが必要な場面が増えています。
日本でレジリエンスが注目された事例
海外ではレジリエンスという言葉が以前から使われていました。そして日本で注目されるきっかけとなったのが、2011年に発生した東日本大震災です。
地震だけでなく津波や原発問題によって被災した人たちは、少しずつですが復興に向けて立ち上がりました。そういった回復力や復元力がレジリエンスとして注目されました。東北の人々、そして日本は辛い時期を乗り越えたことでレジリエンスの事例として取り上げられています。
メンタルヘルスとの違い
レジリエンスに似た言葉がいくつか存在します。たとえばメンタルヘルスもその一つです。メンタルヘルスの場合はストレスや悩みを軽減するために、心を維持するのを他者がサポートすることを意味します。そのため「精神衛生」や「心の健康」と訳されるのです。
ストレス耐性との違い
レジリエンスの中に含まれるものとしてストレス耐性があります。レジリエンスを構成する要素の一つとして考えられており、肉体的・精神的にどの程度ストレスに耐えられるかを表す力のことです。
ハーディネスとの違い
ストレスを受けて自力で跳ね返す特性はハーディネスと表現されます。レジリエンスの場合は傷ついた状態を回復し、前に進んでいける特性です。そのため、ハーディネスはレジリエンスを構成する能力の一つと考えられています。
レジリエンスが必要とされる理由
自己肯定感の向上が求められているため
レジリエンスはどういった状態や場面で必要になるのでしょうか?その理由としてレジリエンスは自己肯定感の向上につながることが挙げられます。
アメリカなどと比較して日本人は自己肯定感が低い、と考えられています。ビジネスの場では同じ日本人だけでなく海外の人と取引を行うことがあるでしょう。そういった場面において自己肯定感を持ち、自分に自信が無いと相手との信頼関係が築けないことがあります。
自分を認めて評価できれば、良い意味で強気な交渉も可能になるのです。レジリエンスを獲得し、自己肯定感を向上させましょう。
組織レジリエンスの向上が必須となっているため
レジリエンスは個人はもちろんですが、組織にも関係する考え方です。この場合は組織レジリエンスと表現されますが、ビジネス環境の変化に対応し適応する能力になります。
企業も様々な変化に対応し、予見やリスク管理を行う必要があるのです。たとえば2001年にアメリカで起きたアメリカ同時多発テロ事件は組織レジリエンスを考える大きなきっかけになりました。
従業員が大きなストレスをかかった際に対応できるように、事前にトレーニングを行うようになったのです。精神的な強化を行うようになり、もしものピンチや逆境に耐えうる人材育成が必要と考えられています。後ほど紹介するレジリエンス認証制度も積極的に取り入れてください。
サイコロジカルの強化に繋がるため
ビジネスを行う上で論理的思考であるロジカルシンキングが必要です。同時にそういったロジカルシンキングだけでなく、サイコロジカルを強化する必要性も指摘されています。
サイコロジカルは心理のことを意味しており、自己肯定感を強めたり、逆境に強く、適応力を高めることで企業の発展につながるのです。つまり、人間力を強化するトレーニングを行っていくことで、日本はもちろん海外にも負けない企業や従業員に成長するのでレジリエンスに注目していきましょう。
レジリエンスを持つ人材の特徴
柔軟性の高い思考力
逆境に負けない力であるレジリエンスですが、どういった人材がその力を持っているのでしょうか?たとえば柔軟性の高い思考力の持ち主はレジリエンスの能力が高いです。
柔軟性の高い人は様々な出来事に対して臨機応変に対応できます。物事を良い風に受け取り、困難な状況を解決する方法を見つけ出すこともあるでしょう。こういった柔軟性はレジリエンスに重要な要素です。
感情がコントロールできる
トレーニングを通して、自分の感情をコントロールできるようになるのは非常にレジリエンスに重要になります。怒りっぽい、悩みやすい、という状態をうまくコントロールできないことは困難から復帰するのが難しい状態です。
感情に振り回されるのではなく、コントロールできるような人は高いレジリエンスの持ち主といえます。トレーニングや精神力強化によって感情をコントロールしやすくなるので、そういった取り組みをすることをおすすめします。
自尊感情が養われている
誰よりも自分で自分を認められる人はレジリエンスの持ち主です。自尊感情は自分自身を過小評価せず、認められる能力になります。「私なんて何をやってもだめ」ではなく「私ならきっと大丈夫。頑張って勉強した」と思えるほうがレジリエンスは高いと考えましょう。
自尊感情を高めるのは何よりも成功体験が重要です。もちろん、他者に良い評価をしてもらうことも大事になります。小さなことでもいいので成功体験を積むことで、自尊感情を高め、強いレジリエンスを身に着けてください。
挑戦を諦めない
レジリエンスは困難から回復する能力であり、挑戦を諦めないようなタイプも該当します。辛く困難な状況でも一歩ずつ進める人はレジリエンスが高く、さらに精神力が強化されていく人物です。
楽観的な思考を持っている
物事を深く考えすぎないタイプもレジリエンスが高い特徴です。物事を重く抱え込んでしまうタイプはどんどん自分を追い込んでしまって、うつ病などにかかることもあります。
楽観的な思考を持っていると「なんとかなるはず」という気持ちで進めるため、悪い状態で立ち止まってしまうのではなく、自然と次の状況に向かって進める人物です。状況を変えるためにはとにかく動き出すことが重要なので、このタイプもレジリエンスの持ち主と考えましょう。
レジリエンスを高める方法
自分の感情や思考のパターンなどを認識する
企業や社員のレジリエンスを高める方法をチェックしましょう。まずは自分の感情や思考パターンがどういったものなのか認識してください。
自分の強い部分や弱い部分を知り、どういったときにどのような感情や考え方を知るのか把握することが必要です。自分自身をよく理解することで、問題に対処しやすくなりレジリエンスを高めることができます。
自分自身の感情や思考などを制御する
感情や思考をコントロールできる自制心を身に着けましょう。思考のトレーニングを行い、自制心を強化することで回復力や逆境に負けない力を身につけられます。精神的にリラックスできる状況を作り、感情が高ぶりそうになったときは一呼吸置くようにトレーニングしてください。
自信を持つ
成功体験をたくさん積み重ねて自信を持ちましょう。自信が無いと「任されたこの仕事をうまくできるだろうか」という不安に悩み続けなければなりません。ネガティブな気持ちは自分の行動力を失わせて、逆境を跳ね返せない状態になってしまうのです。
自信を持つために様々な経験やトレーニングをして精神力を強化し、「自分ならできる」という気持ちを持てるようになりましょう。
楽観性を養う
さきほども少し触れましたが楽観性も重要な要素です。こちらも成功経験を積む中で「意外となんとかなる」という楽観さを身につけられます。
楽観性が重要な理由はストレスを回避することにも関係があるためです。物事を重く考えすぎないポジティブさは、ストレスを貯めにくいため、自分のパワーを維持しながら活動しやすくなります。その上で自分の気持を引き締められるようにトレーニングし、メリハリをつけることも意識してください。
物事を広い視点で捉えて冷静に対処する
一つのことに夢中になることも大事ですが、物事を広く見れることも大切です。多面的な角度から物事を捉えて冷静に対処できるようになれば、精神的な回復力も自然と高くなってきます。
人との繋がりを構築しておく
自分の能力をトレーニングで強化すると同時に外部的な繋がりも構築していきましょう。人とのつながりは自分がピンチのときに助けてくれる存在になります。
一人だけでは解決できない問題も複数の人間なら乗り越えられるでしょう。これは企業にも同じことがいえます。同業他社と敵対的な関係になるよりも、業界全体を盛り上げられるような関係性を作ることも必要です。大きなプロジェクトで協力関係を持つことも企業レジリエンスにつながります。
企業のレジリエンスを高める方法
独自性やブランド力を高める
個人だけでなく企業レジリエンスを高める方法も確認しましょう。そもそも、東日本大震災後に国は「レジリエンス認証制度」というものを創設しています。この認証制度は大規模な自然災害等への備えとして、レジリエンスに対して継続的な取り組みをしている企業を認証するものです。
このような認証制度を取り入れるのも企業の独自性やブランド力を高めることにつながります。独自性やブランド力が高まることで他者との差別化に成功し、市場の変化に対応しやすくなるでしょう。
レジリエンス認証制度は国土強靭化貢献団体によって認証が行われるため、専門家からの助言も得られます。こういった点も事業継続の取り組みを見直す機会になるのでおすすめです。
シナリオプランニングをする
長期的で広い視野で物事を捉えること、将来的に起きる出来事を想定して対策をとることを「シナリオプランニング」と言います。
認証制度と同じく常に先のことを見据えてトラブルに備えておくようにしましょう。リスクマネジメントを行うことで臨機応変に対応しながら、企業能力を高めることにもつながっていくのです。
適応力を高める
レジリエンス認証制度を利用し、会社の適応力を高めていきましょう。状況や環境が様々変化していく現代社会において適応力を高めることが求められています。
伝統を守ることも重要ですが、企業の理念を守りながらも新しいことを取り入れることも大切です。認証制度もそういった適応力を高めることにつながります。企業自体の適応力が高まれば社員も動きやすくなり、成功経験を多く積めるようになるのです。
レジリエンスを高めてビジネス環境の変化に適応しよう!
レジリエンスの意味や必要な理由について解説しました。精神回復力や逆境に負けない力はビジネスにおいても非常に重要な要素です。自分の能力を把握し、その使い方を理解することでレジリエンスを高められます。
また、企業側もレジリエンス認証制度などに積極的に取り組んで柔軟性を持ち、適応力を身に着けましょう。強い組織を作るために多くの成功経験を積み上げ、ビジネス環境の変化に適応できる企業や人材を育成してください。