地域限定社員について詳しく解説!正社員と待遇の違いはある?

地域限定社員について詳しく解説!正社員と待遇の違いはある?

地域限定社員と正社員の違いは?

働き方改革が進む中で勤務体系の種類も増えています。自分の生活スタンスにあった勤務体系を選ぶことで、仕事もプライベートも充実させることが可能です。そういった中で地域限定社員の意味やメリット・デメリットについてチェックしてみましょう。

地域限定社員とは?

転勤が発令されない正規雇用労働者のこと

地域限定社員は「勤務地を限定し、転居を伴う転勤が発令されない正規雇用労働者」を意味します。雇用内容を限定して勤務できるて限定正社員に属しており、正規雇用労働者であることが特徴です。

この地域限定社員はアルバイトやパートが、非正規雇用労働者から正規雇用にされるときに使われることが多くなります。馴染みのある地元で家庭と両立しながら働いている人が、正規社員になって全国区に転勤する可能性があるのは避けたい場合も多いでしょう。

そういった転勤を避けられるのが地域限定社員という制度の大きな特徴です。転勤の辞令を受けて自ら非正規雇用を選択、離職する人もいるだけに注目の制度になっています。

日本では地域限定社員が増加傾向にある

近年、日本において地域限定社員は増加傾向にあります。国も多様な正社員の普及に力を入れており、企業も労働人口の減少や働き方の多様化に対応するために、地域限定社員制度を導入を進めたのです

特に従業員が1,000人以上いるような大きな企業では、地域限定社員の導入が進んでおり、今後も増加していくことが予想されています。社員も企業もこの制度のメリットやデメリットを把握し、導入を検討していきましょう。

地域限定社員の給与やボーナスの仕組み

気になるのは地域限定社員の給与やボーナスに関する点かもしれません。基本的には正社員、地域限定社員、パートやアルバイトのような賃金水準になっています。

正規雇用として勤務するため、給与体系は正社員に準ずるものが適用されています。ただし、手当やボーナスは正社員より低く抑えられているのが特徴です。また、昇格に限度を設けている企業も多く、職位が上がるほど正社員との差が大きくなることを把握しておきましょう。

また、通勤交通費や健康保険などの福利厚生は正社員と差はあまり大きくありません。企業によって異なる点もありますが、概ね正社員から大きく減給しない傾向があるので参考にしてください。

地域限定社員と正社員の待遇の違い

雇用期限と勤務場所の違い

地域限定社員と正社員、パートやアルバイトとの待遇の違いを確認していきましょう。まずは、雇用期限と勤務場所の違いからです。

パートやアルバイトと異なり、地域限定社員は正社員と同じく雇用期限の定めのない無期雇用契約です。また、勤務場所に関しては正社員と異なり、勤務地は限定されているのが大きな特徴になります。転勤を避けたい人にとって大きなポイントになるでしょう。

仕事の内容や権限の違い

正社員と比較して地域限定社員は、仕事の内容や権限は同じに近い形になっています。そのため、パートやアルバイトと比較すると、地域限定社員は幅広く仕事に携われるのがポイントです。

単純な販売や接客だけでなく、店舗運営や仕入れに関われるのでやりがいを感じるでしょう。同時に地域限定社員は正社員と同様の責任を伴い、スタッフの育成なども重要な仕事になります。

昇格やキャリア形成の違い

地域限定社員と正社員で気をつけたいのが昇格やキャリア形成の違いです。パートやアルバイトでは管理職になれる企業は珍しいですが、地域限定社員は一定レベルまでは昇格機会を与えているところが多くあります。

そのため、小売店の店舗マネージャーや店長になることもあるでしょう。しかし、正社員と比較すると役職に就かせない企業が多く、課長職までに限定している企業が多いのです。正社員と同じように昇格機会を設けているところは現在のところ少ないといえるでしょう。

ただし、その場合でも地域限定社員から無限定の正社員への相互転換を認めている企業は多く存在します。育児や介護、家庭の事情などが変わったことで地域限定社員から正社員になって、キャリア形成を行うのも一つの方法です。

解雇要件の違い

地域限定社員の解雇要件についてですが、地域を限定していることが解雇されやすい可能性があります。その理由は、自身が担当している店舗などが閉店してしまった場合、そのまま異動することなく解雇を通知される可能性があるからです。

必ずしも解雇されやすい雇用形態というわけではなく、企業も地域を限定と正社員の格差を無くすために、いろいろと試行錯誤している段階といえるでしょう。さきほどのように地域限定社員から正社員に転換する方法もあるので、店舗の閉店などが理由になる場合は話し合いを行ってください。

地域限定社員のメリット

メリット①ワーク・ライフ・バランスの確保が可能

改めて地域限定社員のメリットやデメリットを確認していきましょう。大きな魅力は転勤がないことによるワーク・ライフ・バランスの確保です。

住居や家族の状態によっては転勤は悩みのタネです。単身赴任という選択肢もありますが、できれば家族と一緒に生活したい、と考える人も多いでしょう。また、勤務地が限定されることで通勤時間なども長時間になりにくいのもメリットになります

企業にとっても地域に根づいた社員が働いてくれることは、生産性やモチベーションを維持できるのがメリットです。雇用のミスマッチや退職などを防ぎやすくなるため、長く企業に勤めてくれる人材が確保できるでしょう。

メリット②ダイバーシティの実現に繋がる

地域限定社員はダイバーシティの実現にもつながります。ダイバーシティは「雇用の機会均等や多様な働き方」のことを意味する言葉です。

働き方の多様化が進んでいる中で、正社員かパート・アルバイトの二択では対応できない状態が増えました。女性だけでなく男性の育休、少子高齢社会による介護問題など、転勤を避けたい人に対応できる雇用形態が求められています。

その中で地域限定社員は様々な事情を抱えた人たちが働きやすい環境を作り、ダイバーシティの実現につながる制度として注目を集めています。給与格差も起きにくい雇用形態であり、安心して長く働ける環境を求めている人には理想的な制度なので検討してください。

メリット③企業にとって人材確保の有効な手段になる

企業にもメリットがあります。せっかくの有能な人材が転勤などを理由に会社を離れるのは避けたい点です。勤務地を固定することで、地元密着型の人材を確保でき、人材流出も防げます。地域限定社員のモチベーションは雇用形態に満足して働けることでモチベーションもメリットです。

地域限定社員のデメリット

デメリット①人件費が増加する

働く側にとってメリットの大きい地域限定社員ですが、企業にとってはデメリット部分を把握しておくことが求められます。たとえば、人件費コストの増加が起きやすいです。正社員とあまり給与格差が無いため、どうしても非正規雇用労働者よりもコストがかかります

給与格差に関してははっきりとした規定もなく、現状は曖昧な状態です。企業としても不満が出ないように給与格差を最小限にしているようですが、人件費はコストとして大きな問題です。パートやアルバイトとのバランスを考えながら雇用することが必要でしょう。

デメリット②雇止めができない

雇止めができない点も要注意です。地域の事業規模を縮小する際などは、要員が余る可能性があります。パートやアルバイトよりも解雇しにくいので、その点を考えながら事業展開する必要があるのです。

デメリット③無限定社員との公平性の確保が難しい

無限定社員との公平性をどのように担保していくかも検討しましょう。給与格差を含め、待遇面や昇格のタイミングなどをどのように判断するかが重要です。人事評価などを明確にし、不平不満が出ないように気を配りましょう

ボーナスや減給など、様々な処遇を決断する際に公平性を確保できるシステムづくりが必要です。現状は明確な基準や法律なども無いため、企業によって処遇も異なっています。地域限定社員を導入する上では給与格差や処遇を十分に検討した上で活用してください。

地域限定社員を導入する時のポイント

ポイント①導入する目的を明確にする

地域限定社員の制度を導入する時のポイントを確認しましょう。給与格差や処遇をどのように扱うかを考えて、制度の特徴を理解して導入してください。

まずは地域限定社員の制度を導入する目的を明確にしてください。正社員やパート・アルバイトだけでなく、そこに地域限定社員制度を導入する目的がはっきりしていないと、制度をうまく活かせなくなります

導入する目的として優秀な人材の確保や離職を防ぐ、働きやすい環境を作って会社に対する信頼感を高める、地域性の強い社員を育てるなどが挙げられるでしょう。こういった目的をはっきりとさせて地域限定社員制度を導入してください。

ポイント②ニーズを把握しておく

自社を希望する求職者や働いている社員が、地域限定社員を求めているかも考えておきましょう。実際に制度を導入しても社員が必要としていなければ無駄なコストを使用したことになります。求職者や社員にアンケートや面接を行ってニーズを把握しておきましょう

ポイント③勤務条件の詳細を決めておく

地域限定社員の勤務条件を定めてください。勤務時間や役割、給与やボーナスなどの処遇も重要です。その条件から正社員とどの程度の格差に留めるのかを判断しましょう。正社員とほぼ同一条件にするなら給与格差はあまりないほうがおすすめです。

ポイント④納得のいく待遇にする

正社員と地域限定社員の大きな違いは転勤の有無です。正社員からすれば、地域限定社員は転勤がないのに給与格差があまり無いと不満を感じる人もいるでしょう。

丁寧に正社員と地域限定社員の格差を生まないような待遇を検討し、その人事評価などを明確にすることが求められます。また、地域限定社員に転換する正社員がデメリットを感じない程度の差にするために、面談やアフターフォローを行っていくのがおすすめです。

ポイント⑤目標や労働条件を決めておく

地域限定社員は正社員とやや異なる立ち番いなるため、目標や労働条件を決めて、キャリアアップの機会を設定してください。

正社員と比較すると職位に関して上限を設定している企業も多いですが、モチベーションを維持するために目標をもたせてあげることが重要です。地域に根づくプロフェッショナルとして育成することができれば、企業に対するユーザーのイメージもアップしていきます。

地域限定社員の企業事例

企業事例①日本郵政株式会社

実際に地域限定社員を導入した企業事例を確認しましょう。日本郵政株式会社は新卒の採用枠に地域限定社員を導入しています。郵便やゆうちょに関する部分などで地域と密着して勤務することが重要だからです。

注意点は地域限定社員として地域外への転勤はありませんが、全国を13に分けたエリア内の異動の可能性があります。また、一般職に関しては転居を伴う転勤はありません。少し特殊な地域限定社員となっているので注意しましょう。

企業事例②株式会社ユニクロ

株式会社ユニクロは非正規雇用労働者を正規化する中で、地域限定社員の制度も導入しました。また、勤務体系も見直しを行い、勤務日数を少なくできるようにするなど社員の希望を取り入れたのです。人材コストはかかったものの、能力の高い人材を確保できました。

企業事例③株式会社AOKIホールディングス

株式会社AOKIホールディングスは各地に店舗を展開する紳士服メーカーであり、女性社員も多く在籍しています。そのため、出産や育児を両立させることが課題となっており、地域限定社員制度が導入されました

また、働き方改革として「ギアチェンジパッケージ」という制度も導入されています。これは職位を維持した状態で最長3年間、勤務地や勤務時間などを限定した働ける制度です。地域限定社員を導入する際の付属のシステムとして参考にしてみてください。

地域限定社員の仕組みを理解しておこう!

地域限定社員の仕組みについて解説しました。地域限定社員は転勤がなく、正社員に近い給与やボーナスで働ける制度です。働き方改革が進んでいる現代において、多くの企業で導入が進んでいます。

仕事と家庭を両立したい人にとっておすすめの働き方であり、企業によっては正社員から地域限定社員、または地域限定社員から正社員に転換できるところもあるのです。自分の働き方を考える中で一つの選択肢として検討してみましょう。

ビジネスカテゴリの最新記事