パルスサーベイを活用してエンゲージメントをアップさせよう
パルスサーベイとは、従業員満足度を調査する手法の一つです。この手法は比較気従業員の負担も少ないため、近年導入する企業も増えてきています。
そこで今回は、パルスサーベイの目的やメリット、実施方法について紹介します。また、パルスサーベイの導入事例も紹介するので、人事担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
パルスサーベイとは?
まずは、パルスサーベイとは何かについて紹介します。混同されやすいモラールサーベイや社内アンケートとの違いについても理解しましょう。
パルスサーベイの言葉の意味
パルスサーベイとは、従業員満足度を調査するための方法の一つです。パルス(pulse)とは、日本語で「脈拍」のこと。パルスサーベイは、脈拍チェックのように短いスパンで質問をすることで、リアルタイムに従業員の状態を測定します。
会社に対する従業員のワーク・エンゲージメントを測ることで、組織のさらなる改善案を出すことに繋がります。
パルスサーベイの導入が進んでいる理由
ではなぜ、パルスサーベイの導入が進んでいるのでしょうか?その理由は、企業が従業員のエンゲージメントを重要視しているからです。
エンゲージメントを向上させると、単に従業員の「満足度」を上げるだけでなく、会社への「愛着心」に注目するため業績に繋がると言われています。愛着心を持った従業員が増えれば増えるほど、企業は優秀な人材の離職を防ぐことができ、組織を強化できるのです。
モラールサーベイや社内アンケートとの違い
パルスサーベイとよく似た調査方法として、モラールサーベイや社内アンケートなどがあります。これらとは、調査する頻度や項目に大きな違いがあります。
パルスサーベイは週に1回や月に1回などの高い頻度で行わますが、モラールサーベイや社内アンケートは年に1、2回ほどの頻度で行われます。項目数もパルスサーベイと比べて多いことも特徴です。
パルスサーベイの目的とメリット
次に、パルスサーベイを行う目的とメリットについて紹介します。
社内の課題に素早く対応できる
パルスサーベイのメリットの一つとして、社内の課題に素早く対応できることが挙げられます。パルスサーベイは毎日・週に1回などのペースで従業員の状態を調査するので、リアルタイムで従業員の意識を把握できるのです。調査から把握にかかる時間が短い分、素早く課題に対応することができ、効率的にPDCAサイクルを回せるでしょう。
従業員エンゲージメントの向上に繋がる
パルスサーベイは従業員エンゲージメントの向上にも繋がるというメリットもあります。パルスサーベイは従業員が抱える日々の課題をいち早く把握できるので、マネジメントをする側も迅速なフォローアップが可能です。
課題を解決した従業員は、企業への信頼や企業に対する貢献意欲が向上します。その結果、パフォーマンスの向上や離職率の低下も期待できるでしょう。
調査コストの削減が可能になる
パルスサーベイは調査コストが安いという特徴があります。一方、モラールサーベイや社内アンケートは質問数も多いですし、フィードバックの対応などに時間がかかります。
また、外部へ委託する場合、数十万~数百万の費用がかかり、調査結果の集計から対策までに1カ月以上要するケースも珍しくありません。そのため、パルスサーベイは「調査コストの削減」という観点からみれば、有効的な調査方法と言えます。
パルスサーベイの活用場面
続いて、パルスサーベイの活用場面について紹介します。
活用場面①新しい制度を導入するとき
新しい制度を導入するときに、パルスサーベイを実施するとよいでしょう。パルスサーベイは、リモートワークやフレックス制度などの新しい制度を導入した際に「従業員は実際にどのように思っているのか」を把握するのに有効です。
調査の結果、エンゲージメントが向上しているなら、その制度は導入に成功したと言えるでしょう。反対に、エンゲージメントが低下した場合は、制度の見直しや撤廃を検討する必要があります。
活用場面②新しい人材を採用したとき
パルスサーベイは新しい人材を採用したときに活用しましょう。新入社員や中途採用で入社してきた社員は、新しい環境に不慣れであり、不安を感じています。
そのため、従業員が持つ不安を把握して組織全体でフォローしてあげることが重要です。パルスサーベイを活用して、新しい人材が職場に早く慣れるようにサポートしていきましょう。
活用場面③従業員の健康管理を確認するとき
パルスサーベイは従業員の健康管理を確認するときにも役立ちます。毎日・週の始めなどに簡単なチェック項目を設けた健康状態のアンケートに回答してもらいましょう。
そうすることによって、マネジメント層は部下一人ひとりの健康状態を把握できますし、従業員自身も自分の健康状態を把握できます。自分の健康状態を確認することは、仕事のパフォーマンスを最大限発揮するために重要なことですよ。
活用場面④人事異動で部署が変わったとき
人事異動で部署が変わった社員に対して、パルスサーベイを行うようにしましょう。部署が変わったときのストレスは大きいですよね。部署の変更が理由で離職してしまうケースも珍しくありません。
そのため、人事異動をした従業員のストレスをチェックして不安を取り除くためにもパルスサーベイを行うとよいでしょう。
パルスサーベイの実施方法
パルスサーベイの実施方法について紹介します。全部で3ステップあるので、一つずつ理解しながら実施してみましょう。
実施方法①目的を明確にする
まずは、パルスサーベイを実施する目的を明確にしましょう。目的を明確に決めないと、パルスサーベイを実施すること自体が目的となってしまい、「せっかく実施したのに無駄なコストが発生しただけ」という残念な結果に終わってしまいます。
実施する目的の例として「離職率を低下させたい」「メンタルヘルス対策をしたい」など、企業によって課題や実現したいことはさまざまあると思います。パルスサーベイを実施する前は、目的を深掘りしてください。
実施方法②質問内容を決めて調査を実行する
続いて、実施方法①で明確にした目的を軸にして、従業員への質問内容を決めて調査を実行します。質問する項目は最大でも10個としてください。質問に回答する時間が数十秒から数分くらいのイメージを持つとよいでしょう。
パルスサーベイは従業員の調査に対する負荷が少ないことが利点なので、質問を厳選することが重要です。
実施方法③課題の分析と対策を行う
調査の実施後は、経営者やマネジメント層と共有し分析・対策をします。調査結果の良い部分は継続あるいは強化、悪い部分は対策と再発防止に努めましょう。
ポイントは、従業員の負担を軽くするために、質問内容や質問数を定期的に見直すことです。十分な調査結果が集まらないと、従業員の状態を適切に把握できないため注意が必要です。
パルスサーベイの導入事例
最後にパルスサーベイの導入事例について紹介します。
導入事例①ソフトバンク株式会社
パルスサーベイの導入事例の一つは、携帯電話等の電気通信事業者として有名な「ソフトバンク株式会社」です。ソフトバンクは従業員の満足度を調査するために、人事本部がゼロからパルスサーベイを開発し、2019年から導入しています。
開発したパルスサーベイは質問項目が全部で13個あり、業務だけではなく健康状態についての質問内容が設定されています。所要時間は1~2分と従業員の負担も軽いのが特徴です。従業員自身が同意すれば、人事だけではなく上司も結果を閲覧できます。
導入事例②株式会社サイバーエージェント
パルスサーベイの導入事例の二つ目は、インターネット広告事業、メディア事業、ゲーム事業を主とする「株式会社サイバーエージェント」です。サイバーエージェントと言えば、代表の藤田晋やAbemaTVが有名ですよね。
サイバーエージェントでは、月に1回の全社員アンケートを実施しており、従業員個人とチームの状況を5段階の天気マークで回答するという仕様になっています。調査内容の分析結果は、取締役と人事部の中の「キャリアエージェントチーム」だけが閲覧可能。個人やチームの状態を把握することを目的としています。
導入事例③アディダス株式会社
パルスサーベイの導入事例の三つ目は、スポーツアパレル事業を展開する「 アディダス株式会社」です。アディダスは月に1回のパルスサーベイを実施しています。5分ほどで回答でき、回答した従業員は結果をすぐに確認できる仕様になっています。
上司がいつでもパルスサーベイの結果を確認・対策することができるような迅速なフィードバックシステムも取っています。
パルスサーベイのメリットを最大限活かそう!
ここまで、パルスサーベイの目的やメリット、実施方法、実際の導入事例について紹介してきました。パルスサーベイを実施すると、社員の業務に対する意識や健康状態を把握できるので、従業員エンゲージメントの向上に繋がります。
実施するときのポイントは、社員に負担がないような質問数や質問内容を設定することです。パルスサーベイで調査した従業員の意識や状態などを適切に管理して、会社のさらなる成長に繋げましょう。