戦略マップの作り方は?メリットや作成時のポイントを解説!

戦略マップの作り方は?メリットや作成時のポイントを解説!
目次

戦略マップを経営や人材育成に活かしたい!

みなさんの法人や事業所の事業計画書はどのような視点で作成していますか?戦略マップは企業にとって経営を成功させるために必要なツールです。

そこでこの記事では、戦略マップの作り方やメリット、実際に作成する時のポイントについて紹介します。また、戦略マップと関連の深いバランススコアカードの導入事例についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

戦略マップとは?

まずは、戦略マップとは何かについて紹介します。戦略マップと関連性の高いバランススコアカードやSWOT分析・クロス分析について紹介しているので、しっかり理解しましょう。

戦略マップの言葉の意味

戦略マップとは、企業や組織が掲げる目標やビジョンを達成するためのシナリオのことであり、目的達成のために落とし込まれた各アクションの因果関係や関連を図式化します。戦略マップを作成することで、経営戦略の全体像を把握することができるので、戦略の意義を認識するために有効なツールといえるでしょう。

バランススコアカードとの関連性

戦略マップとは、バランススコアカードを補強するためのフレームワークです。そもそもバランススコアカードとは、「財務の視点」「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「成長と学習の視点」という4つの視点から成り立っている、戦略経営のためのマネジメントシステムのことを指します。

戦略マップを作成するためにはバランススコアカードの知識が必要になるので、しっかり理解を深めましょう。

SWOT分析との関連性

SWOT分析とは、「Strength=強み」「Weakness=弱み」「Opportunity=機会」「Threat=脅威」という4つのカテゴリーを視点に、経営戦略などの現状分析を行う経営戦略策定方法です。

戦略マップを作成する際は、SWOT分析を用いて、企業の強みや弱み、業界や市場の機会と脅威を把握しましょう。その結果、自社が市場や顧客に提供できる価値を明確化することができます。

クロス分析との関連性

クロス分析とは、アンケートの項目を絞って、それらに属しているものがどのような関連を持っているかを分析する、アンケート結果の集計などでよく使用される手法です。クロス分析を使用することによって導き出した経営戦略を戦略マップに落とし込むことで、その経営戦略が有効であるかを分析し、整理することができます。

戦略マップのメリット

続いて、戦略マップのメリットについて紹介します。戦略マップを使用することで、経営戦略の全体を「見える化」できたり、組織のコミュニケーションを向上させる効果が期待できるでしょう。

メリット①経営戦略全体の可視化に繋がる

戦略マップの一つ目のメリットは、経営戦略全体の可視化に繋がることです。戦略マップを効果的に使うと、経営戦略の全体像を把握でき、組織の抱えている問題を把握することもできます。

ビジネスにおいて目標を達成するためには、現状どのような問題を抱えていて、どのように改善していくのかを明確にしておくことは基本です。

メリット②組織のコミュニケーションアップに役立つ

戦略マップの二つ目のメリットは、組織のコミュニケーションの向上に役立つことです。通常、組織の目標・ビジョンを達成するために、課題解決をする担当部署が割り当てられます。

各部署内で進捗確認などを共有することによって、意見交換や会話の場が増えます。その結果、組織のコミュニケーションアップに繋がるのです。

メリット③各戦略の連携を促進することができる

戦略マップの三つ目のメリットは、各戦略の連携を促進できることです。ほとんどの企業や組織において、戦略マップによって立ち上げた経営戦略は複数あります。

それぞれの戦略で課題解決を進めていくと、問題解決までのプロセスは異なりますが、連携できる部分も当然見えてくるでしょう。そこで、各部門が連携することによって、組織全体の生産性向上が期待できます。

メリット④経営戦略の軌道修正がしやすい

戦略マップの四つ目のメリットは、経営戦略の軌道修正がしやすいことです。経営戦略において、正しい作り方で戦略マップを作成しておけば、軌道修正が必要になったとしてもスムーズに対応できます。

戦略が進んでいくと、新たな戦略の立て直しや方向転換をする機会が増えます。その結果、戦略マップの修正や変更を繰り返すことになるので、戦略マップの作り方をよく学んでおく必要があるでしょう。

戦略マップの作り方

ここでは、戦略マップの作り方について紹介します。全部で6ステップの手順を完了すれば、作成することができますよ。

作り方①ビジョン・ミッションを見直す

戦略マップの作り方の一つ目の手順は、ビジョン・ミッションを見直すことです。企業は経営理念などのビジョンやミッションを持っています。

ビジネスにおいて組織のビジョンを常に新鮮に保ち、純度を保つことがとても大切です。戦略マップを作成する際は、組織が持つビジョンが社会に適したものなのかを考え直し、話し合う場を設けましょう。

作り方②最終目標を設定する

戦略マップの作り方の二つ目の手順は、最終目標を設定することです。ビジョンやミッションを設定したら、それを達成するためには、どのような目標にすれば良いかを明確に定める必要があります。

何か戦略を立てる時は、初めの段階で最終目標を設定しておき、必要・不必要なものを取捨選択するようにしましょう。「三点セット法」や「SMARTの法則」などを有効的に使用すると、最終目標を立てやすいですよ。

作り方③4つの視点で戦略を分類する

戦略マップの作り方の三つ目の手順は、4つの視点で戦略を分類することです。4つの視点とは、バランススコアカードについて紹介しましたが、「財務」「顧客」「業務プロセス」「成長と学習」を指します。

戦略マップを構成する際は、この4つの視点をどれか一方に偏ることなく、均等な視点で見ることがポイントになります。4つのフレームで問題を整理集約し、フレーム間の因果関係で論理思考し、解決策を見つけ出すことは極めて大切です。

作り方④重要成功要因を決める

戦略マップを作り方の四つ目の手順は、重要な成功要因を決めることです。この重要成功要因とは、KFS(Key Factor for Success)と呼ばれており、主に事業を成功に導くための要因を指します。

KFSを抽出するときは、市場環境や競合他社のビジネスモデルなどを考慮して、さまざまな要因を探し出します。その中から、成功には欠かせないと考えられる要素がKFSとして定義されるので、成功のための大きな要因となるのです。

作り方⑤戦略マップにない戦略を模索する

戦略マップの作り方の五つ目の手順は、戦略マップにない戦略を模索することです。一旦経営戦略を組み立てたら、重要な項目を見落してしまわないように、再度戦略を確認するようにしましょう。これまでは考えてなかった視点から、ビジネスを成功に導くヒントが隠されている場合もあります。

作り方⑥アクションプランの策定を行う

戦略マップの作り方の六つ目の手順は、アクションプランの策定を行うことです。これまでのステップで戦略マップの構成が完了したら、アクションプランを作成しましょう。

戦略マップとおりに戦略を進めていくために、各部署の社員が取るべき具体的な行動の内容を考えることで、戦略マップをさらに良いものにできます。

戦略マップを作成する時のポイント

戦略マップを作成する時の注意点について紹介しておきます。

ポイント①最終目標を明確にする

ポイントの一つ目は、最終目標を明確化することです。最終目標を明確に設定することで、目的を達成するためのステップも明確になります。

そのため、最終目標を決定して、自社の全社員が目標に向けて意識を統一できるようにしましょう。最終目標が明確にしなければ、正しい戦略マップを作成できません。

ポイント②戦略マップに従った行動をする

ポイントの二つ目は、戦略マップに従った行動をすることです。当たり前のことですが、どれだけ有効性のある戦略マップを作成しても、マップどおりに行動しなければ得られる効果も半減してしまいます。ただ作るだけでは意味がないのです。

社員が勝手な自己判断をせずに、戦略マップに従った行動をするように工夫しましょう。

ポイント③アクションプランが可能かどうか確認する

ポイントの三つ目は、先ほどの手順6で作成したアクションプランが可能かどうか確認することです。実際に作業をする部署間や社員と話し合いをする機会を設けるのが良いでしょう。

経営層が思い描くビジョンと実際の現実は異なる場合が多く、経営者と社員に間でギャップが大きいことが多いです。実際に行動を起こす社員とコミュニケーションを取りながら検討していきましょう。

戦略マップの作成に役立つ本

ここでは、おすすめの戦略マップを作成する際に役立つ書籍を紹介します。もし気に入った本があれば、ぜひ購入を検討してくださいね。

戦略マップ バランスト・スコアカードの新・戦略実行フレームワーク

この書籍は、バランススコアカードを提唱したロバート・S・キャプラン氏とデビッド・P・ノートン氏による戦略マップを解説した良書です。本書はバランススコアカードを導入した企業を対象に行った多数の調査結果をもとに、戦略マップの理論から実践までを詳細に解説しています。

「自社の戦略がなぜ成功しないのか」と悩む経営層やマネジメント層、さらには経営戦略に関与するすべてのビジネスマンが、ぜひ参考にしたい知識が詰め込まれています。

キャプランとノートンの戦略バランスト・スコアカード

バランススコアカードを理解するには「キャプランとノートンの戦略バランスト・スコアカード」というビジネス書もおすすめです。本書は、管理会計の分野で成果を積み上げてきたキャプランとノートンが、最新のマネジメントコントロール手法を紹介しています。

具体的に著者を紹介すると、キャプランはハーバード・ビジネス・スクールの教授であり、もう1人のノートンは、バランスト・スコアカードの研究を業務とする会社の社長です。不確実性の高く、高度なマーケティングが要求される現代社会において、いかにバランス・スコア・カードが重要かを解説してくれています。

戦略マップ バランス・スコアカード実践活用法

企業が戦略的経営をするために必須のビジネス書である「戦略マップ バランス・スコアカード実践活用法」。本書はバランス・スコアカードで使われる戦略マップに特化しており、その作り方と実践する方法をわかりやすく解説されています。

経営者はもちろん、経営幹部や将来、戦略を立てる立場に立つであろうビジネスマンにも、ぜひ読んでいただきたい好著です。

戦略マップと関連の深いバランススコアカードの導入事例

最後に、戦略マップと関連性の高いバランススコアカードの導入事例について紹介します。成功した事例を参考にして、自社の経営戦略に役立ててください。

導入事例①モービル

導入事例の一つ目は、民間石油会社としては世界最大の規模を誇るモービルです。モービルでは1995年以降の原価低減などによって、今後競争優位性を継続していくことが困難であると考えました。

そこで「プレミアムガソリンの販売拡大」と「ガソリン以外の商品・サービスによる売上拡大」を目指して、バランススコアカードを導入したのです。その結果、1998年には使用資本利益率が16%と大きく改善されました。今ではバランススコアカードの成功事例としてさまざまな書籍で紹介されています。

導入事例②関西電力株式会社

導入事例の二つ目は、現在電気の販売量で日本国内第3位の電力会社である関西電力株式会社です。2000年3月に電気事業法の改正によって、他事業の電力事業への新規参入が可能となりました(電力の自由化)。そのため、コストダウンや資産の効率的活用が求められるようになったのです。

上記の目的を達成するために、成果契約を中心とする経営革新の本格的な運用を行うようになり、そこで活用されたのがバランススコアカードです。関西電力は日本における代表的なバランススコアカードの導入事例として多くの書籍で紹介されています。

戦略マップはマーケティングに欠かせないフレームワーク!

ここまで、戦略マップの作り方やメリット、実際に作成する時のポイントについて紹介してきました。戦略マップを使用することによって、経営戦略全体が「見える化」できます。

ただ、論理を強く意識して戦略マップを作ろうとするほど、ロジックに縛られてしまうというデメリットがあります。経営層やマネジメント層の方はこうしたメリット・デメリットを把握して、戦略マップに従って行動できる人材育成に取り組んでみてください。

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