生産性向上の意味や取り組み方は何か?
本記事では、生産性向上の言葉の意味やメリットについて紹介します。企業の成長のためには、生産性向上するための取り組みがとても重要です。
また、生産性向上には、コスト削減を一番にイメージしますが、意味をしっかり理解できていないと、間違った方法で取り組んでしまいます。生産性向上の取り組み方や成功事例、さらに、おすすめのツールなども掲載しているので、参考にしてください。
生産性向上とは?
まずは、生産性向上の意味について紹介します。生産性向上の言葉の意味や、業務効率化との違いについてまとめました。また、生産性向上と業務効率化の意味がよく分からずに実行する人も多いです。
どちらも企業にとって必要ですが、意味や目的をしっかり理解して、取り組みましょう。
生産性向上の言葉の意味
生産性向上の意味は、組織の生産性を高める取り組みの事です。また、企業が投入した資源に対して、どれだけの成果を効率よく生み出すかを生産性と言います。「生み出した成果÷投入した資源」が生産性の計算方法です。
投入した資源に対して、生み出された成果の割合が大きいほど生産性が高く、小さいほど低いです。つまり、生産性向上とは、その成果の割合を増やすか、投入する資源を減らすかして企業の生産性を高めます。
業務効率化との違い
業務効率化は、現状で効率が悪い所をさらに、効率的にするための取り組みの事を言います。生産性向上は、成果に直接つながる取り組みがメインですが、業務効率化は、従業員の作業を改善する目的です。
従業員の無駄な作業を無くして、スピード良く業務を行う事を目的としています。そのため、コスト削減したい場合は、業務効率化を取り組むと良いでしょう。
生産性向上による主なメリット
次は、生産性向上の主なメリットについて紹介します。生産性向上によって、企業にどのようなメリットがあるのかをまとめました。
メリット①人手不足への対応力が上がる
生産性が向上すると人手不足の場合でも、すぐに対応が可能です。帝国データバンクの調査によると、企業の正社員不足は52.5%となっており、情報サービスや運輸、倉庫などの業種の場合、7割が不足している結果が出ています。
また、人手不足は深刻で多くの企業が頭を抱えていますが、生産性向上を積極的に取り組む事で、緊急時の対応ができます。ロボットや仕事のデジタルツールを導入して、人手不足を解消しましょう。
メリット②国際競争力の向上に繋がる
生産性向上に努めると、国際競争力が上がります。2021年の国際競争力ランキングでは、日本は31位です。競争力を高めるためには、商品を安い価格で世界に流通させる事が重要です。
また、国際競争力を高めるためには、一刻も早い生産性向上が必要と言えるでしょう。生産性向上に取り組むと、自分の会社だけではなく、企業全体の国際競争力が上がります。
メリット③労働環境を改善することができる
労働環境を改善するためには、生産性向上を心がけましょう。今までの労働環境を変えたい場合は、人を雇うのではなく全体の環境を考えましょう。生産性が高くなると、これまでの同じ労働時間で、より高い成果を生み出せます。
例えば、今まで10個の成果物を10時間かけて生み出した場合、労働時間の10時間が8時間に短縮できれば、残業時間を大幅に減らせます。長時間労働は、体力の他にも身心にもダメージを与えてしまうため、生産性向上に取り組んで従業員にも気を使いましょう。
生産性向上の分析に必要な指標
次は、生産性向上の指標について紹介します。生産性向上のためには、分析と指標が重要です。付加価値労働生産性や全要素生産性などをしっかりと把握して、生産性向上に努めましょう。
指標①付加価値労働生産性
生産性向上には、付加価値労働生産性の指標が重要です。付加価値労働生産性は、作業の基本となる付加価値を付けて生産性を測ります。この場合、付加価値は商品や製品に対しての粗利と同じ意味です。
例えば、30万円で仕入れた商品を100万円で販売した場合、付加か価値は70万です。そこから、労働時間の生産性や労働人数などを割って算出します。計算式は「付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量」です。
指標②物的労働生産性
生産性向上には、物的労働生産性の指標もしっかりしておきましょう。物的労働生産性は付加価値ではなく、生産数や生産量などの商品の物の成果で生産物を測ります。
生産物は販売金額で算出する方法もありますが、変動があるため、数や量で見ましょう。計算式は「物的労働生産性=生産量÷労働量」です。
指標③全要素生産性(TFP)
生産性向上には、全要素生産性(TFP)の指標も決めておくと良いでしょう。全要素生産性は、付加価値労働生産性に資本データを付け加えたものです。また、付加価値労働生産性と比べると計算が複雑ですが、様々な費用を含んだ生産性で計算ができます。
そのため、企業によっては、全要素生産性で計算するケースもあります。他にも、労働分配率や総資本回転率など指標はたくさんあるため、どのやり方でも数値を明確にしましょう。
生産性向上の具体的な取り組み方
次は、生産性向上の具体的な取り組み方について紹介します。生産性向上には、業務全体を可視化する必要があります。また、適材適所の人員配置や育成、従業員のモチベーションも成功するためには生産性向上は重要です。
業務を可視化する
生産性向上のためには、すべての業務を可視化しましょう。業務フローやコスト、労働時間などを可視化する事で、無駄な部分が見えてきます。
また、従業員のスキルやパフォーマンスなども細かく分析するとさらに生産性向上の課題がはっきりします。生産性向上のPDCAサイクルを回すためにも業務の可視化が重要です。
ノンコア業務のアウトソーシングとコア業務への集中を促す
生産性向上のために業務を可視化すると、ノンコア業務が多く、コア業務が少ない結果が出てくるケースがあります。その場合は、ノンコア業務をアウトソーシングして従業員の負担を軽減しましょう。ノンコア業務をアウトソーシングすると、引継ぎや指導の時間がありません。
また、コスト問題や外部との連携が必要で、一時的に生産性は落ちますが、中長期的な視点で見るとメリットも多いです。さらに、従業員の負担を減らしてコア業務にシフトチェンジできれば、生産性向上に繋がります。
適材適所の配置と人材育成を実施する
生産性向上には、従業員の適材適所を見極め、人材育成を実施しましょう。スキルやパフォーマンス、ワークライフバランスや人間関係など、従業員には様々な個性があります。それぞれの従業員を見極め、得意とする場所に配置すると、生産性向上に繋がります。
また、個々のスキルアップは作業の効率や精度を上げられるため、人材育成は必ず実施しましょう。将来的に必要な人材の育成を実現できれば、中長期視点の生産性向上も図れます。
従業員のモチベーションを向上させる
生産性向上には従業員のモチベーションがかなり重要です。モチベーションが高い従業員は、活気良く働いてくれるので、自分自身や他の社員に大きなアウトプットをもたらしてくれます。
しかし、モチベーションが低い従業員は、ミスが増えて効率が落ちるので、生産性も下がります。従業員のモチベーションを向上させる事で、優秀な人材の外部流出と、生産性の大幅な低下の防止ができるでしょう。
テクノロジーを導入する
生産性向上には、テクノロジーを導入するのも良いでしょう。デジタルツールの活用やペーパーレス化、モバイル端末の導入やクラウドサービスの利用がおすすめです。
また、テクノロジーの導入は、従業員の負担を減らしてくれる他、作業効率が上がり、生産性向上の効果を発揮します。さらに、ここ近年では、RPA(Robotic Process Aotomation)が注目を集めています。
RPAは、データ入力、在庫の発注と確認などを、AIに学習させて自動化する取り組みです。RPAを導入すると、作業効率が上がりミスやロスの制御、など多くのメリットがあります。
生産性向上に関する主な注意点
次は、生産性向上の主な注意点について紹介します。生産性向上のためにマルチタスクを実行する企業が多いですが、生産性を低下させてしまう可能性があります。
注意点①マルチタスクには生産性を低下させる懸念がある
生産性を上げるために、1人の従業員に複数の仕事を担当させるマルチタスク化を実施するケースもあります。しかし、マルチタスクには、判断力の低下や作業効率を下げてしまうデメリットも存在します。
そのため、担当する従業員が適正であるのか、自社の業務がマルチタスクに向いているのかなどを確認して進める必要があります。
注意点②長時間労働を助長する場合がある
生産性向上を取り組む際は、現場の声や実態を把握しましょう。把握できていないと、従業員に過度な負担をかけてしまう可能性があります。リモートワークを導入した場合、労働管理が難しく長時間労働を促してしまう場合があります。
また、無理な業務を押し付けると、仕事を持ち帰る可能性もあるので注意が必要です。業務内容やフロー、人員や作業にかかる時間など、しっかりと考えて生産性向上を取り組みましょう。
生産性向上の成功事例
次は、生産性向上の成功事例について紹介します。生産性を向上させるために必要なシステムや導入すべき取り組みを掲載しているので、事例を参考にして生産性向上に努めましょう。
成功事例①ウェブ会議システムの導入
日本の経済のグローバル化や事業内容の細分化、そして近年の新型コロナウイルスの影響によって人が集まれない状況が多くあります。また、面と向かっての会議のために、国内や海外を行き来することは、財務的にも大きな負担がかかります。
鳥取県にある物品賃貸事業を営む企業では、補助金をパソコンやタブレットで参加できる、ウェブ会議システムに使いました。その結果、会議を参加しているメンバーの時給を40円削減でき、その時間を生産性の高い営業業務に充てる事に成功しました。
成功事例②オーダーエントリーシステムの導入
石川県にある飲食業を経営する会社では、もともと紙伝票を使用していました。紙伝票のオーダーエントリーシートをシステム化したところ、オーダーミスによる食品ロスを減らし、会計時の端末入力時間の削減に成功しました。
これにより、従業員1人当たりの労働生産性も上がり、結果的に店舗全体の生産性向上に成功しています。
成功事例③モバイル端末の導入
徳島県のゴルフ用品の販売業の事例を見ていきましょう。営業ツールであった大量のゴルフカタログをモバイル端末にすべて集約しました。
導入したことにより、営業担当の移動時間が短縮され、その場で決済できるようになりました。さらに、請求書の発行や、集金の訪問作業も省くことができるので、会社全体の生産性向上に繋がっています。
生産性向上に使えるおすすめのツール
次は、生産性向上のおすすめのツールを紹介します。生産性向上の成功事例を確認すると、どの企業も様々なツールを使っています。チャットワークやGeppotを使って生産性向上に努めましょう。
Geppo
Geppoは、サイバーエージェントとリクルートがタッグを組んでリリースしたツールです。従業員に毎月3問の質問に答えて、コメントを記入するだけで、職場の環境や問題点や課題を洗い出してくれます。
レポートの送信や管理システムは自動で行ってくれるので、利用者の負担がほとんどありません。
チャットワーク
チャットワークは、導入してる企業が182000社を超える大手のチャットツールです。また、チャット機能だけではなく、ビデオ通話やファイルやタスクの共有や管理など豊富な機能がそろっています。
遠方の社員と遠隔会議が可能で、資料の共有ができるので、リモートワークにもおすすめのツールです。さらに、エンタープライズ版に加入すると、社外ユーザーを制限でき、必要なメンバーだけと情報共有ができます。無駄な業務を削減して社内全体の業務効率化に役立つツールです。
toggl
togglは、作業時間を計測してくれるツールです。作業名とプロジェクト名を入れてスタートボタンを押すだけなので、とてもシンプルです。また、作業が終わったらストップボタンを押せば、どのくらいの作業量で何時間かかったのかをデータで表示してくれます。
さらに、後から作業時間の修正や追加も可能なので、入力漏れが発生しても問題ありません。
生産性向上の施策を進めよう!
生産性向上には、時間管理や人員配置など様々な課題があるので、改善策をしっかり見極める必要があります。昔とは違い、現代では生産性向上のための便利なツールやサービスがあります。
しかし、利用する目的を明確にしなければ欲しい結果は得られません。自社の課題をしっかり洗い出して、目標を明確にして生産性向上の施策を進めましょう。