サテライトオフィスの意味とは?支社・支店との違いや導入するメリット・デメリットを解説

サテライトオフィスの意味とは?支社・支店との違いや導入するメリット・デメリットを解説

近年「サテライトオフィス」という言葉をよく耳にするようになりましたが、この正確な意味をご存知でしょうか?

よくサテライトオフィスは支社や支店と比較されます。サテライトオフィスを導入するなら、違いを把握したいところ。

この記事では支社や支店との違いや、メリットを解説します。また注意点も解説しているので、導入の参考にしてみてください。

サテライトオフィスとは何か

サテライトオフィスとは、企業が本社や支社と違った小規模で離れた場所にある施設のことです。仕事に支障が出るか気になる方もいるかもしれませんが、本社・支社と同様の環境であることが多いです。

サテライトオフィスの種類は以下のとおりになります。

  • 都市型
  • 地方型
  • 郊外型
  • 共用型

1つ目の都市型のサテライトオフィスですが、本社と同様に都心部に設置してあります。例えば、取引先での打ち合わせが終わった後、本社に戻る時間がない場合、サテライトオフィスによって短時間で事務業務を終わらせられます。そのため時間の有効活用が可能です。

また本社が地方にある場合、都心部から通勤しなくても自宅の近くで仕事ができるので、通勤時間の削減ができます。

2つ目は都心部に本社がある企業が、地方にサテライトオフィスを設置することです。地方に住んでいながら、都心部にある企業で働けるため、雇用の増加が期待できます。地方の自治体や総務省などが、支援を行なっている場合もあります。

さらに万が一本社の機能が停止した場合、地方にサテライトオフィスがあれば、リスク分散ができるでしょう。

3つ目は郊外にサテライトオフィスを設置する方法です。主に郊外のベッドタウンに設置します。従業員の通勤時間を短縮して、ご自身のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。

4つ目は自社だけでなく、複数の企業がスペースを共用するサテライトオフィスです。「コワーキングスペース」や「シェアオフィス」などと呼ばれることもあります。

共用型には、さまざまな方が働いており、会社員・フリーランス・個人事業主などがいます。そのため、スペースごとに仕切りがつけられているのが特徴です。周囲が視界に入らないので、集中して業務を行えます。

支社や支店、営業所とはどう違う?

サテライトオフィスは、企業の支社や支店などと似ているため、違いが気になる方も多いでしょう。実はそれぞれに明確な決まりはありません。

支社や支店などは業務を行うことが目的です。本社と同様の組織機能があり、大人数が働ける環境になります。

一方でサテライトオフィスは、従業員のライフスタイルに合わせた働き方をするのが目的です。支社や支店と違って、業務を行うのに最低限の機能しかありません。少数が働ける環境になります。従業員が通勤しやすいのが、サテライトオフィスの特徴です。

サテライトオフィス勤務はテレワーク?

結論から言うと、サテライトオフィスは場所を問わず働けるため、テレワークの一種です。特にテレワークの中でも、インターネットや机・椅子などの環境が整っているのが特徴になります。

例えば在宅勤務の場合、個々の自宅に依存するため、業務に必要なものが揃っていない場合があります。またカフェで働く場合、周囲に他のお客様がいるので集中しづらいです。

サテライトオフィスは仕事の環境を整えなくても業務を行えるため、個人が負担する設備費用が少なくなります。

サテライトオフィスを設置するメリット

サテライトオフィスは拠点に出社しなくてもよいため、さまざまなメリットがあります。こちらでは、経営者側と従業員側をそれぞれ解説していきますので参考にしてみてください。

経営者側のメリット

経営者側には以下のメリットがあります。

  1. 経費の削減
  2. 生産性の向上
  3. BCP対策

経費の削減

サテライトオフィスは従業員が企業の拠点まで出社する必要がありません。

主に以下の経費が削減できます。

  • オフィスの賃料
  • 通勤手当

1つ目のメリットはオフィスの賃料が削減可能です。サテライトオフィスがあれば、全ての従業員が、拠点に出社しないため使用しない席や会議室などが出てくるでしょう。オフィス内の席を減らしたり、固定席が決まっていないフリーアドレスにしたりができます。使用するスペースが少なくなり、今まで払っている賃料よりも安くなります。

特に都心部は地方に比べて、地価が非常に高額です。都心部の拠点を小さくしてサテライトオフィスを設置すれば、賃料を浮かせられるため従業員に還元できるでしょう。

2つ目は通勤手当です。サテライトオフィスがないと、全ての従業員が拠点に出社するための通勤費用がかかります。中には遠い場所から出勤する方もいるため、かなりの費用になるでしょう。

そこでサテライトオフィスを設置すれば、自宅から近い場所に出社できるため通勤費用が少なくなります。削減できた経費で、新たな設備投資が可能です。

生産性の向上

通勤時間が短くなるため、従業員の生産性向上が期待できます。

毎日満員電車に乗って出社するだけで、かなりの体力を消耗します。出社するまでに、疲れが溜まった状態で業務を開始することになるでしょう。仕事に集中できなかったり、ミスが増えたりします。

また帰りの時間も混んでいることが多く、仕事で疲労が溜まっている身体を休められないでしょう。自宅に帰ってもあまり自分の時間が使えないこともあるかもしれません。

サテライトオフィスがあれば、満員電車に乗っている時間が少なくなり、仕事以外で体力を消耗しなくなります。

BCP(事業継続計画)対策

BCP(事業継続計画)とは、突然の災害やテロなどが起きても、企業が事業を継続していくための対策です。また業務が停止しても早期復旧を目指す役割もあります。

災害はいつ起きるか誰も予想できません。いつ起きても今まで通りの事業をできるような対策が重要です。

そこでサテライトオフィスを設置すれば、本社や支社などから離れた場所にオフィスを持てます。事業を継続するための機能を移しておけば、本社で緊急事態が起きても問題ないでしょう。

リスク分散できることもサテライトオフィスを設置するメリットになります。

従業員側のメリット

従業員側のメリットは以下のとおりです。

  1. 通勤時間の削除
  2. ワークライフバランスの向上
  3. 子育て・介護などの家庭事情に対応

通勤時間の削減

従業員側の最大のメリットは通勤時間の削減です。遠いところに住んでいる方は、会社と自宅の往復だけで、かなりの時間を使用します。朝早く起きたり、残業があると帰宅時間が遅くなったりするでしょう。

サテライトオフィスは、企業の拠点から離れた場所に設置されることが多いです。そのため、通勤時間が削減できるでしょう。今まで以上に睡眠時間が取れて、集中力向上に繋がります。

ワークライフバランスの向上

通勤時間が減ることで、自分のための時間が増えます。そのためワークライフバランスを向上できるでしょう。

例えば増えた時間で資格の勉強をしたり、趣味をしたりなどができます。自分の時間ができれば、ストレス発散につながります。

そのため、仕事の生産性向上も期待できるでしょう。

子育て・介護などの家族事情に対応

自宅から近いサテライトオフィスを利用すれば、育児や介護などにも対応が可能です。

通勤に時間がかかると、家族が病気になったり、事故に遭ったりなど緊急事態が起きても、対応ができません。

一方でサテライトオフィスは自宅から近い場合、緊急事態でもすぐに駆けつけられます。

そのため子供が学校で病気になっても安心できるでしょう。

行政による支援

総務省は都市部から地方へヒト・情報の流れをつくろうとしており、地方公共団体のサテライトオフィス誘致を支援しています。テレワークが普及したことにより、場所を選ばず働けるようになったため、都心部を離れる方も増えてきているでしょう。

行政によるサテライトオフィスの誘致によって以下の効果があります。

  • 移住を希望する方の増加
  • 地域人口の増加
  • 地域の活性化
  • 空き家の活用

サテライトオフィスは、地方からしたら非常に重要な施策です。

こちらでは以下の内容を解説していきます。

  1. 総務省/おためしサテライトオフィス
  2. 助成金
  3. h4情報通信利用促進支援事業費補助金地域サテライトオフィス整備推進事業

総務省/おためしサテライトオフィス

おためしサテライトオフィスとは、総務省が取り組んでいる事業で、地方において新たなビジネスを創出することが目的です。都心に本社・支店などの拠点がある企業が、地方にサテライトオフィスを設置しておためし勤務できます。

いきなりサテライトオフィスをすると、自社のニーズに合わないこともあるでしょう。おためししながら、じっくり地域を選べます。

またおためしサテライトオフィスが、利用できる地域は限りがあります。

利用できる地域は以下のとおりです。

  • 北海道・東北地方:北海道、青森県、岩手県、秋田県
  • 関東地方:埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県
  • 北陸地方:新潟県、石川県、富山県、福井県
  • 中部地方:山梨県、長野県、愛知県、静岡県、岐阜県
  • 近畿地方:三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県
  • 中国・四国地方:香川県、徳島県、島根県、広島県、山口県
  • 九州・沖縄地方:福岡県、長崎県、熊本県、佐賀県、大分県、鹿児島県、沖縄県

上記のように都市圏から遠い自治体が多いです。なお都心から近い自治体でも、おためしサテライトオフィスを実施している場所もあるので、気になる方は探してみてください。

h3助成金

総務省ではサテライトオフィスを設置するために、情報通信利用促進支援事業費補助金(地域サテライトオフィス整備推進事業)公募しています。

また、厚生労働省や各自治体でも、サテライトオフィス設置の助成金を募集しています。ただし応募期限が決められているので、注意が必要です。

h4情報通信利用促進支援事業費補助金(地域サテライトオフィス整備推進事業)

情報通信利用促進支援事業費補助金は総務省が公募しているサテライトオフィス支援事業です。

事業の概要は以下のとおりです。

テレワークを行う場所を提供するサテライトオフィスの整備を支援することにより、国民が地域によらずテレワーク環境を享受できる社会環境の整備を促進することを目的とし、一定のセキュリティ水準を確保するとともに、新型コロナウイルス感染症対策等を講じた、他人の用に供するサテライトオフィスの整備事業の費用を助成するものです。

引用元:総務省

補助率は事業の1/2で、上限額は2,000万円になります。

公募期間が決まっているので、確認してから応募しましょう。

サテライトオフィス設置時の注意点

サテライトオフィスには、さまざまなメリットがあります。しかし注意することもあります。注意点を把握していないと、快適な業務が行えないこともあるでしょう。

こちらでは以下の内容を解説していきます。

  1. セキュリティー
  2. コミュニケーション不足
  3. 業務フロー見直し
  4. 従業員による事故管理

それぞれ解説していきますので、参考にしてみてください。

セキュリティー

共用型のサテライトオフィスの場合、自社以外の方がいるためセキュリティーに注意が必要です。

他社の従業員と同じ環境で業務を行うため、少し席を外したときにパソコンやスマホの覗き見や紛失などの可能性があります。また、取引先との電話内容を聞かれる可能性もあるので、重要な顧客情報が盗まれることも。

最悪の場合、個人情報や顧客情報が盗まれて、企業の信用を失いかねません。共用型サテライトオフィスで働くときは、周囲を気にする必要があります。

コミュニケーション不足

サテライトオフィスは企業の本社と比較して、出社人数が少ないです。さらに本社から離れた場所にあるため、コミュニケーション不足になりやすいです。

連絡手段として、メールやチャットツールの利用することになります。しかしテキストだけだと相手に正確な意図が伝わらなかったり、リアルタイムで情報共有できなかったりします。

またビデオ会議もありますが、システムを起動させる必要があり、雑談をするのに向いていません。

そのため、コミュニケーション不足になりやすいのが、サテライトオフィスの注意点です。

業務フロー見直し

サテライトオフィスは本社と比較して、最低限の機能しかありません。書類の提出をするとき、郵送することになるでしょう。さらに直接本社に持っていくこともあります。

そのため本社よりも、書類の提出に時間がかかり、業務の迅速性・効率性が損なわれます。

サテライトオフィスを導入するなら、ワークフローを自動化させるのが効果的です。紙の書類を必要としなければ、郵送する手間が省けるので、業務の迅速性が向上します。

従業員による自己管理

サテライトオフィスを利用する場合、周囲に上司や同僚がいないことが多いです。そのため、業務の管理を全て自分で管理する必要があります。

本社であれば、近くにいる上司や同僚に相談しながら、業務を進められます。しかし、サテライトオフィスはすぐに相談できないため、自分で考えて動くことになるでしょう。

例えば担当している業務ごとに、やるべきことを全て書き出します。そして、一つずつタスクをこなす必要があります。

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