人材ポートフォリオとは?目的や具体的な作り方を詳しく解説!

人材ポートフォリオとは?目的や具体的な作り方を詳しく解説!

人材ポートフォリオを人事戦略に活用したい!

人材ポートフォリオは、人事の業務に携わっている人にとっては聞いたことがある言葉ですが、それ以外の人にはなじみが薄い言葉でもあります。しかし、人材ポートフォリオは、企業の人事戦略において必要不可欠なもので、効率よくマネジメントをおこなうことを可能にします。

そこで、人材ポートフォリオの意味、目的、事例をあげた作り方などを詳しく紹介していいます。人事戦略を組み立てる際、効率よく人事設計をおこなうことができますので、ぜひ作り方を覚えて活用していきましょう。

人材ポートフォリオとは?

企業の人的資源の構成内容を表す言葉

人材ポートフォリオ とは人材マネジメントの手法の一つで、企業の人的資源がどのような能力を持った社員で構成されているかを表す言葉として使われています。

様々な雇用形態で勤めている職員の能力を把握することで、組織の状況や事業の戦略に合わせて人員を適切に配置するために、人材の構成や運用を分析する手法です。

ポートフォリオの言葉の意味

人材ポートフォリオにおけるポートフォリオは、元来「紙を綴ると綴じ紐や書類入れ」という意味でした。その後、ポートフォリオという言葉は、相手や状況に合わせて差し替えや組み合せを臨機応変におこなうというニュアンスが含まれるようになります。

このニュアンスから、金融業界で有価証券の組み合わせ、個人の資産構成を意味する用語として使われ始めました。このような流れから、人材ポートフォリオとは、企業にとって必要な人材の構成、人材構成に対する資源の配分など人材の可視化をおこない人事戦略おこなう意味を指します。

人材ポートフォリオの目的

的①人材マネジメントの戦略を立てやすくする

人材ポートフォリオを作成する目的には、企業内の人材マネジメント戦略を立てやすくすることです。企業は自社の経営目標や事業目標を達成するために必要な人材や人数を可視化することで、今後の人材マネジメントを検討していきます。

人材ポートフォリオを作成することで、目標達成のために必要な能力を持った人材が企業内にどのくらいいるのか、どの程度採用するか、どのように育成していくかなど人材育成計画が立てやすい効果があります。

目的②社員に多様なキャリアパスを示す

昨今、企業に勤めている社員の雇用形態は、正社員だけでなく派遣社員・契約社員・パートなど様々です。そのため、担当職から管理職へと昇進していくだけがキャリアパスではなくなったように、社会の流れに合わせて個人のキャリア設計や働き方への考え方も変化していきます。

現在のキャリアパスでは、従来のキャリアパスのみならず、技術職として専門分野を極めたいと考えている社員も少なくありません。

そこで、人材ポートフォリオで人材を分類することで、マネジメント以外の専門性が高いポジションを作ることが可能です。そうすれば、社員に管理職以外でも相応の待遇で雇うことができます。

的③成果が出やすい人材を配置する

人材ポートフォリオがもたらす効果は、人材の把握や育成マネジメントだけにとどまりませFん。人材ポートフォリオでは、目標を達成するために必要な人材を過不足なく調整することができます。そのため、多すぎて人材が余ってしまうという状況を減らすことが可能です。

無期雇用の人材を減らす、有期雇用者・派遣社員を増やすなど、むやみな人材調整をする必要が無くなります。更に、正社員や非正社員の役割を明確にし、企業で保有している人的資源で成果を出す最適な人材設計を考えていくことができます。

材ポートフォリオの具体的な作り方

作り方①基準となる2つの軸を決める

人材ポートフォリオを設計する際、最初におこなう作業として、企業の人材を分類するために基準となる軸を2つ決定します。

事例として紹介すると、一つ目の軸は、新しい商品を立ち上げる人材と、その商品を販売管理する人材「創造ー運用」、二つ目の軸は、チームでの仕事が得意な人材と、個人での仕事が得意な人材で「組織ー個人」というように組み立てていきます。

作り方②軸に基づいた人材の定義を決める

基本の軸が決定し、次におこなう作業は、軸に基づいた人材の定義の決定です。2軸から作られた4つの領域において、人材がどのタイプに該当するのか具体的な定義づけをおこないます。

先ほど設定した二つの軸を利用する場合、人材の種類を次のように分類します。クリエイティブ人材(組織・個人)、マネジメント人材(創造・組織)、「エキスパート人材(運用・個人)、オペレーション人材(運用・組織)というカテゴリーで分類できます。

③各領域に属する人材数を確認する

次に行う作業は、4領域の種類別に企業の人材を分類していきます。分類することで、どの領域にどれだけの人材が企業内にいるのか確認することができます。

分類することで、現時点で企業内にどのような人材がどれくらいいるのか可視化することや、人材の余剰または不足などの管理も一目瞭然になり容易です。そのため、効率よく人材の適切なマネジメントを可能にします。

作り方④人材の理想的な配置や評価を考える

人材ポートフォリオを作る最後の工程は、4領域に分類した人材の理想的な配置や評価を考えることです。4つのカテゴリーに分けられた人材は、業務を行うための業務環境が異なるため、評価のポイントも変わります。それぞれの人材に適した業務の環境、配置や評価を整備していきましょう。

人材ポートフォリオは、将来的な人材確保設計を考える際にも便利です。現在の人材数を基に、今後の事業計画や戦略と照らし合わせることで、優先的に確保・育成すべき人材領域を定めることで、重点的に資本の投資が可能になります。必要な人材が足りなくても慌てることなく人材確保が可能です。

人材ポートフォリオを人事戦略に活用するポイント

人材ポートフォリオの分類を順位付けや優遇に使わない

人材ポートフォリオの設計を人事戦略において活用する際、順位付けや優遇の有無などを仕分けで活用には不向きです。人材ポートフォリオの設計は、分類に伴った昇給・昇格などを検討する人事制度には有効です。しかし、人材ポートフォリオの分類で人材の優劣を決めることは不適切です。

人材ポートフォリオは、あくまで企業内に有する人材の分類・整理することに優れており、人材の優劣の判断基準には不向きです。この点を明確にして活用しましょう。

全ての雇用形態の社員を対象にする

人材ポートフォリオを有効に活用させていくために、雇用形態に関係なく企業に所属している全従業員を対象にしましょう。人材ポートフォリオの目的は、企業の目標達成に向けて最適な人材配置をおこなうことです。

正社員のみなど、一部の雇用形態を対象に設計をおこなうと、漏れや抜けが生じてしまい、目標達成のための人的資源における状況判断や分析が不十分になってしまいます。正社員・契約社員・パート・アルバイトはもちろん全派遣社員も人材ポートフォリオに含めて設計・分析しましょう。

社員の志向も人材ポートフォリオの分類に反映させる

人材ポートフォリオは、企業側の意向を基にした設計だけでなく、社員の志向や要望も分類に取り入れてることも可能です。企業に勤めているとはいえ、個人のキャリアについては企業側に決定権はありません。本人が自分で考え、希望していきます。

企業側は、本人の希望を確認した上で、現状の人材資源と照らし合わせながら人材配置を考えていく必要があります。人材ポートフォリオを設計し、企業側の都合でキャリアパスを決めると、従業員のモチベーションが低下し、生産性の低下や離職に繋がる可能性がありますので注意しましょう。

人材ポートフォリオを設計する時の注意点

注意点①軸作りや制度設定に負荷がかかりやすい

人材ポートフォリオは、人材マネジメントをおこなう際に効率的で有効な手法です。しかし、人材ポートフォリオで分類するための軸作りや分類にともなう制度設定に負担がかかりやすい点があります。なぜなら、 人材ポートフォリオにおける軸作りは、今後の人材マネジメントに大きな影響を及ぼすため、非常に重要な作業です。

そのため、経営戦略と事業戦略を組み合わせなが 軸作りをおこなうため、企業の幹部同士の話し合いが必要になる場合も少なくありません。そのための議論の場や、意見のとりまとめなど時間がかかります。精度の高い人材ポートfぉリオを作成するには、多くの社員に負担がかかることを念頭においておきましょう。

注意点②人件費の上昇や社員の不満に繋がることがある

人材ポートフォリオは、分類が伴った制度設定で設計されていても、企業内にいる人材をくまなく洗い出など、適切な運用が求められます。そうしなければ、一部の人材に負担がかるため、報酬を高く設定する必要がでてきます。そうすれば、人件費のコスト上昇に繋がってしまいます。

他にも、昇格や移動を通じて、人材分類間での移動を適切に運用しないと、自分の希望するキャリアパスが実現できないことで従業員の不満に繋がってしまう可能性もありますので、人材ポートフォリオは設計のみならず、その後の運用にも注意を払いましょう。

人材ポートフォリオをマネジメントに役立てよう!

人材ポートフォリオは、企業の将来的な経営戦略を練る上で、人材資源をいかに活用していくか検討していく判断材料に有効な手法です。しかし、人材ポートフォリオの設計や制度のすり合わせを綿密におこなうこと、運用についてもしっかりと活用していくなど難しい面も持ち合わせています。

人材ポートフォリオを適切に活用したい場合は、人材ポートフォリオの設計サービスを提供している企業も存在しているので、こちらを活用してみてもいいでしょう。企業の将来を考え、客観的に自社の人的人材を分析して、よりよい人材マネジメント計画に役立ててください。

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