過重労働の定義や基準は?問題点や防ぐための対策についても紹介!

過重労働の定義や基準は?問題点や防ぐための対策についても紹介!

過重労働の定義や基準を知りたい!

働き方改革が進んでいる現代において過重労働対策も重要なテーマです。過重労働を防ぐことで働きやすい環境になり、社員のモチベーションもアップします。過重労働の定義や基準についてまとめたので、問題点を防ぐための対策を行っていきましょう。

過重労働とは?

労働者に過度な負荷を負わせる労働のこと

過重労働とは「長時間労働などにより、労働者に身体的・精神的に過度の負担を負わせる労働のこと」を意味します

法定労働時間とは?

過重労働を考える上で法定労働時間が大きく関係するのでチェックしましょう。法定労働時間は「1日あたり、または1週間あたりの労働可能な時間の限度」を意味します

労働時間は原則として休憩時間を除く、1日8時間以内、1週間に40時間以内です。休憩時間は労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上になります。そして、休日は毎週1日以上、または4週を通じて4日以上必要です。

過重労働と労働基準法の関連性

過重労働と労働基準法の関連性に注目してください。日本では2019年4月に労働基準法が改正され、罰則規定が新たに盛り込まれました。これは企業に対して時間外労働を削減するように対策を取らせることが目的です。

残業時間の上限規制が法制化され、これを超える残業はできないようになっています。これは労使の合意があっても上限を超えることはできないようになっており、月45時間で年間360時間です。また、特別な事情があって労使合意の場合でも年間の残業時間は720時間以内になっています。

違反した場合の罰則は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金となっているので、過重労働が起きないように対策していきましょう。

過重労働の基準

過重労働の目安時間

厚生労働省の過重労働の認定基準は1ヶ月あたりおおむね80時間となっています。長時間労働によって健康障害が起きる可能性があるので、自分の労働時間を見直してください。

過重労働の危険ライン

より危険な状態として、厚生労働省は1ヶ月あたり100時間を超える労働時間が危険ラインとして設定されています。いずれにしても80時間を超えるような状態が続く場合は対策を取るか、労働基準監督署に相談しましょう。

過重労働者は医師による面接指導が必要になる

厚生労働省がこのように危険ラインを設定しており、企業は長時間労働が起きていないか調査する必要があります。その中で実際に過重労働者がいる場合は医師による面接指導を行わなければなりません。

労働者が厚生労働省の定めた危険ラインに該当することを申し出た場合、該当労働者に対して石による面接指導を実施します。その際に労働者が長時間労働によって健康障害を抱えていた場合、事業者は原因究明や再発防止を行ってください。

過重労働の問題点

問題点①身体的な健康障害の原因になる

厚生労働省が長時間労働を問題としているのは様々なリスクがあるからです。問題点として身体的な健康障害の原因になることが挙げられます。長時間労働が続くと疲れが取れないレベルを超えて、生命の危険に直結して脳や心臓疾患につながるのです

また、その他の健康障害として十二指腸潰瘍や過敏性大腸炎、腰痛、月経障害など様々な問題に関係します。職場で事故や怪我が多いのは長時間労働のせいかもしれません。

問題点②精神障害を引き起こす

身体的なトラブルだけでなく精神障害にもつながります。不規則な勤務体系が続くと身体の疲れだけでなく精神的にも追い詰められていくのです。厚生労働省は長時間労働による睡眠や休息不足による心身への負担を問題視しています。

年々、精神障害による労災受給者が増加しており、国は早急な対策を企業に求めているのです。企業も問題の意味をしっかりと把握し、どのように改善していくかを検討しなければなりません。

問題点③自殺や過労死の原因になっている

危険な長時間労働が続いている状態によって過労死が増えています。これは過重労働が原因の疾患による死亡や自殺を意味しており、年々増加傾向にあるのです。厚生労働省は2019年の過労死を年間174件と報告しましたが、これは氷山の一角と考えられています。

年間の自殺者に対して約1割が過労死が関係している、というデータもあり、改めて早急な対策が求められているのです。

過重労働を防ぐための対策

対策①過重労働者の業務量を見直す

過重労働の基準や問題点を紹介しましたが、どのようにして防げばよいのでしょうか?まずは該当者の業務量を見直すことから初めましょう。現状の業務量を確認し、一部の人に業務が集中していないか確認してください。

そして、どのような理由で一部の人に業務が集中しているのかを検討する必要があります。断りにくい人に仕事が押し付けられているような状態であれば、早急に対策を取らなければなりません。

全体で業務を見直し、人員配置の基準を見直すことも必要です。少子高齢化が原因で人材不足が大きな問題となっていますが、そのことで労働者の負担が増加していくのは避けましょう。

対策②マネジメント不足に陥っていないか確認する

中間管理職や監督者などの管理職のマネジメント不足が原因の場合もあります。マネジメント研修やそれぞれの役割の意味を見直し、管理職のスキルレベルを上げることが必要です。そして、管理職と一般社員が話しやすく、相談しやすい環境を作ってください。

対策③企業風土の見直しと改善を図る

自社の企業風土の見直しを行いましょう。日本は連帯感の強さがメリットに働くこともありますが、「みんなも我慢してるから」と残業を断れない風潮があります。残業をすることが当たり前や美徳のような間違った状態になっていないか確認しましょう。

残業の必要性の意味を見直し、効率良く仕事をすることで長時間労働を減らしていくことが必要です。労働者の中には残業手当を目当てにするケースもありますが、全体の意識改革を行ってください。

その中で評価制度の見直しなども大きな意味を持ちます。残業代を減らし、代わりに給料などで還元することで社員も問題に対して積極的に取り組むようになるでしょう。

対策④会議の質を上げる

意味のない会議をだらだらと続けている、というのも長時間労働の原因です。また、会議は前後の資料作成や議事録作成も労働時間が増える原因になっています。

会議の目的や意味を見直し、参加人数や時間を制限することがおすすめです。また、ファシリテーターのような中立の立場から話し合いを促進させる役割も参加させましょう。そうすることで会議の質が上がり、意味のある話し合いを短時間で行えるようになるのです。

また、わざわざ会議室で集まらなくても良いような議題の場合は、チームが集まれる場所で簡単に済ませてしまうこともおすすめです。会議自体の時間だけでなく、その前後の準備も非効率化の原因になっていることを覚えておきましょう。

対策⑤リモートワークでは労働時間の管理を徹底する

新型コロナウイルスが関係し、リモートワークや在宅ワークが増えています。しかし、システムで勤怠管理を行い、時間外アクセスの制限を行わないと過重労働の原因になります。通常勤務との違いに気をつけながら対策を行ってください。

過重労働の企業事例

企業事例①株式会社電通

過重労働の企業事例を参考にし、同じような間違いを繰り返さないようにしましょう。過去に過重労働の問題を起こした事例として株式会社電通が挙げられます。大手広告代理店である電通ですが、長時間労働が原因で自殺者が出ていることが報じられたのです。

1991年に20代の男性社員、2015年に20代の女性社員が自殺していることが確認されています。どちらも残業時間が大きく基準をオーバーしており、うつ病などの精神障害を患っていたようです。過労自殺に対して電通は改善案を発表しましたが、長時間労働が常態化していたことが考えられます。

企業事例②NHK

公共放送局であるNHKも2013年に30代の女性記者が心不全で死亡していることを明かしました。この心不全の原因が過重労働が原因と労災認定されており、残業時間は約160時間だったのです

このような事例は電通やNHKに限らず、様々な業界で起きており、中には有耶無耶にされているものもあります。厚生労働省の基準を元に改めて自社の現状を再確認し、対策や改善策を相談しましょう。

過重労働を防ぐための対策を実行しよう!

過重労働の定義や基準について解説しました。働き方改革が進む中で、自社の労働時間の現状を見直して、肉体的にも精神的にも負担を軽減することが重要です。同調圧力などによって残業することが当たり前にならないようにしましょう。

会社にとって社員は重要な存在であり、働きやすい環境を作ることが求められます。無意味な会議や作業を減らして、過重労働が起きないように改善してください。そうすることで社員のモチベーションもアップし、より良い結果につながっていきます。

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