MOT(技術経営)とは?導入するメリットや効果について解説!

MOT(技術経営)とは?導入するメリットや効果について解説!

MOT(技術経営)の意味や導入するメリットを知りたい!

MOT(技術経営)という言葉を知っていますか?情報技術が発達し複雑化した現代では、MOTを学び、経営に取り入れることは大きな強みとなります。

この記事では、MOT(技術経営)の意味や導入するメリット、MOTの人材を育成する方法や導入事例を紹介します。また、MOTが学べる教育機関についても紹介していきます。

MOT(技術経営)とは?

MOTの言葉の意味

MOT(技術経営)とは「Management of Technology」の略で、科学や工学などにおける会社独自の技術的な知識を、企業内で管理・活用することを指します。マイクロソフト社が認定資格としているMOT(マイクロソフトオフィシャルトレー)と混合しないように注意しましょう。

MOTが注目されている背景

MOTが会社に求められるようになった背景には、日本型ビジネスモデルの崩壊があります。かつての日本は、欧米企業が進めていた技術開発をもとに商品開発を行う「キャッチアップ型」のビジネスモデルをとっていました。このビジネス戦略は戦後の高度経済成長に大きく貢献したのです。

しかし日本は、成功体験に固執してしまい、イノベーションを前提に戦略的な製品・サービス開発を行う「フロントランナー型」のビジネスモデルへの移行に乗り遅れました。そのため、日本の会社は他国のイノベーションに遅れまいと、MOTによって開発力を向上させることが重要視するようになったのです。

MBAとの違い

MBAとは日本語で経営学修士、あるいは経営管理修士と呼ばれます。MBAは既存の製品・サービスをもとに経営資源の配分や利益・効率の最大化の方法を考えます。一方MOTでは、会社独自の技術を通してイノベーションや価値創造を行うことが目指されます。

イノベーションは欧米企業にとらわれず、日本のビジネス環境で実践・研究を進めることが大切です。

MOTの企業事例

ここではMOT(技術経営)の企業事例について紹介します。MOTの導入事例として挙げられるのが富士フイルムです。この会社の場合、時代の急速な変化による市場縮小を受けて、アナログ写真事業部門は大規模なリストラを実行せざるを得ない状況でした。そこで会社の強みを把握するために「技術の棚卸」を進めました。

これによって、会社の強みであるコア技術と基盤技術を抽出し、製品・サービスは不採算分野であっても守り育てる方針を貫きました。技術開発を行うと同時に市場開拓も行い、結果的には、数多くの新規事業を創出することに成功しました。このような企業事例を参考にして、自社の経営にMOTの考え方を取り入れましょう。

MOT(技術経営)を導入するメリット

メリット①新規事業を創出することができる

MOTは「企業の技術と社会のニーズを結び付けること」を前提として、新たな製品・サービスを作ります。そのためには新規事業を立ち上げ、PDCAのサイクルを高速で実行します。

日本でもホンダの「ホンダジェット」など、数多くの新規事業の成功事例が存在します。「失敗を恐れず実行をして、だめだったらすぐに撤退をする」ということを徹底して、新規事業を進めていきましょう。

メリット②研究開発マネジメントの向上に繋がる

研究開発マネジメントの向上に繋がるというメリットがあります。近年のビジネス環境の激しい変化により、研究開発の加速化が求められています。

MOTではアイデアのテーマ化や事業性検証などの研究開発プロセスを適切にマネジメントできますし、研究・開発も効率的に管理できます。また、それによってリスクを低減させることもできるでしょう。

メリット③知財や外部資源を活用することができる

MOTのメリットとして、知財や外部資源を活用できることが挙げられます。自社技術を事業戦略として活用するには、知的財産として特許申請・特許出願して、価値を高める必要があります。企業の知財部門と研究開発部門が適切に連携し合い、知財保護しましょう。

また、ベンチャー企業や大学などと連携を強化することで、新たな技術を探し、開発することも可能です。

MOT(技術経営)に求められる能力

イノベーションを興す先導力

MOTにはイノベーションを興す先導力が求められます。イノベーションを起こすためには、良い人的資本が不可欠です。

優れた知識・能力・資質を持つイノベーション人材は、外部から雇う方法があります。それに自社組織の中から選抜して、自社でセミナーを行ったり、外部研修に参加させるなどの成長機会を与えることによって育成する方法もあります。

業務を遂行する事業促進能力

業務を遂行する事業促進能力は基本的なスキルであり、非常に大切なものになってきます。たとえ非の打ちどころのない新規事業を立案しても、それを実行できる遂行能力がないと何の意味もありません。

トップマネジメント(経営者や経営層)から受けた業務命令や指示をマニュアル通りに確実に遂行できる能力と目標を達成させる能力があってこそ、事業企画の仕事が務まります。そのためには、競合他社や市場の動きにも敏感でなければなりませんし、変化に柔軟に対応する力も必要でしょう。

技術や経営に関わる総合力

MOTの企業が求める人材は技術や経営に関わる総合力のある人です。業務を遂行する技術力だけではなく経営に関わる武器を作り、企業に求められる人材を目指しましょう。

さらに、開発した技術を科学的に問題ないかどうか証明したいので、分析力も重視されます。MOTはMBAよりも実践を持つ総合力を向上させなければいけません。

MOT(技術経営)の人材を育成する方法

外部機関の育成プログラムを活用する

外部機関の育成プログラムを積極的に活用して、MOT人材を育てましょう。経済産業省はMOT人材育成の向上を目指しています。実際に技術経営プログラム開発事業が進められており、MOTを学ぶために社会人が参加しやすい短期集中研修・セミナーやディスカッションなどが多い参加型の研修・セミナーを推奨しているのです。

また、経済産業省が発表している「技術経営のすすめ」では、MOTプログラムを提供している外部機関や研究科紹介も掲載されています。

意識改革や社内体制を見直す

MOT人材を生み出すために、社員全員を対象に意識改革を行い、社内体制を見直さなければいけません。日本は圧倒的に中小企業の数が多いです。そのため日本経済を成長させるためには、中小企業による事業開発の促進が必要不可欠でしょう。

しかし、日本の中小企業の多くはイノベーションを創出できる環境ではありません。中小企業を中心にMOTの人材を育成するために、セミナーや研修の実施し、社内体制や社員の意識改革を見直しましょう。

モチベーションが維持できる労働環境を構築する

MOTを導入し、成功に導くためには、社員のモチベーションが維持できる労働環境を構築する必要があります。そのために、社員を公平公正に評価する人事制度を導入しましょう。そうすれば、従業員のモチベーションや満足度が向上し、企業独自の技術を通してイノベーションや価値を創造できるでしょう。

MOT(技術経営)が学べる教育機関

東京理科大学大学院イノベーション研究科MOT技術経営専攻

東京理科大学大学院イノベーション研究科は、社会経験10年程度のマネージャー層を学生構成の中心として想定しています。そのため講義は、担当教員が提供する教材に加えて、討論や演習、グループワークなどで行います。

各授業科目は「ビジョナリー・シンキング」「イノベーション・起業」「先端科学技術と産業」などの8つの教育研究領域に分類されています。各領域を学び深めることによって、CXOへの道が繋がるのです。

立命館大学大学院テクノロジーマネジメント研究科

立命館大学大学院のテクノロジーマネジメント研究科は、「イノベーションで世界を変える」ことを目指して、日々さまざまな研究課題に対してMOTという科学のレンズを用いて探求しています。また、国際的に活躍できる人材を養成するため海外の大学と協定締結を進めています。

2010年8月にはドイツのハンブルグ・ハールブルグ工科大学と協力協定を締結し、2013年7月にはフランスのアンジェ高等商業科学大学と経営科学大学院との協力協定を締結しました。これらの協定校との間で学生交換や共同研究、各種研修・セミナーなどを推進しています。

日本工業大学専門職大学院技術経営研究科

日本工業大学専門職大学院の技術経営研究科は、中堅・中小企業を対象とする技術経営領域の必要性を感じています。そこで「中小企業技術経営コース」「プロジェクトマネジメントコース」「起業・第二創業コース」「中小企業診断コース」の4つのMOT人材育成コースが設けられました。

また、「技術経営」に興味を持っている方を対象に、MOTへの多角的かつ実践的な理解を深めるために、各種研修やセミナーを継続的に実施しています。

MOT(技術経営)を導入して会社を成長させよう!

ここまでMOTの意味や導入するメリット、人材を育成する方法や導入事例を紹介してきました。現在の日本企業は海外の企業に比べて、世界に浸透するようなイノベーションを興せていません。

MOTは今の日本企業の研究・開発力を高めるために重要な考え方です。社員に広く認知してもらうためにも研修やセミナーを実施して、良質な人材を確保していきましょう。

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