経営ビジョンの意味や作り方は何か？
各企業のについて調べると「経営理念」や「経営ビジョン」がよく紹介されています。この2つは、似て非なるものですが、その違いについてはっきりと理解している人は意外と少ないかもしれません。ですが、この2つは企業から社会へ発信する重要なキーワードが含まれているため、違いをしっかりと理解しておく必要があります。
そこで、経営ビジョンの意味や、設定する意味、作り方などを紹介していきます。最後には経営ビジョンの具体例として参考になる企業も案内しています。ぜひ、経営ビジョンを元に企業研究をしてみてください。
経営ビジョンとは？
経営ビジョンの言葉の意味
「経営ビジョン」という言葉にはどういう意味が含まれるのでしょうか？まず、ビジョンには、将来像、展望、理想像などの意味があります。その意味から、経営ビジョンとは、企業が掲げる経営理念や将来像のイメージをより具体的に明文化させ社内外に示したものを指します。
内容については、各企業のホームページにも掲載されており、将来的に向けて現在どのような経営戦略をおこなっているのかを紹介しています。そういった意味で、経営ビジョンは経営戦略として目標を達成するためのイメージという重要な役割を果たしています。
経営理念との違い
経営ビジョンと経営理念はよく混同されがちです。経営理念は、企業の経営においての考え方・価値観・経営の目的などの具体的に言葉で表したものです。そのため、経営理念の内容については、会社が続く限りほとんど変わることがありません。
このように、経営理念は企業としての基本的な考え方、経営ビジョンは、企業の将来を見据えた具体的な目標指針・経営戦略というように、似ているようで大きく意味が違います。特に、中小企業では経営ビジョンを設定していない場合もありますので、混同しないように気をつけましょう。
経営ビジョンを設定する主なメリット
メリット①会社としての一体感が醸成される
経営ビジョンを設定するメリットの一つに、会社の方向性についてイメージしやすい点があります。今後、会社がどういった方向性で動くのか、文書としてしっかりと作成することで、従業員一人一人がその目標に向けて業務を取り組むことが出来ます。
結果的に、全社員が一丸となってその目標に向かって業務を行うことになるので、会社のしての一体感が醸成されます。
メリット②モチベーションの向上に繋がる
企業が将来どうしていくかというビジョンが明確になることで、企業に勤めている従業員たちは、その目標を達成するために、日々の業務作業について考えて行動していくことになります。
経営ビジョンがあれば、経営戦略も組み立てやすく、行うべき行動がより明確になるため、従業員の悩みや迷いも軽減します。
また、目標に向かって行動することになるため、その目標を達成するというモチベーションが企業全体に広がります。
メリット③顧客からの信頼を得ることができる
経営ビジョンの内容は作成されると、社内だけでなく社外にも発信していきます。経営ビジョンを社外にも発信すると、モノを購入したり、サービスを受けたりしている顧客にも、企業がどういう意識を持って経営戦略を練っていくのかが明確になります。
顧客たちは、経営ビジョンを知ることで、その企業の動向についてイメージし、共感・信頼を寄せてさらに支持する可能性が高まります。その結果、企業価値の向上に結び付いていきます。
メリット④優秀な人材が確保できる
経営ビジョンを社外に発信することは、顧客への信頼度を上げるだけでなく他のメリットも生まれます。その一つが人材確保です。優秀な人材を確保することは、企業の業績に大きく影響してきますので、特に人材確保に苦戦している中小企業に大きいメリットです。
新卒者や転職者は、将来性や自分に合うかを知るために、大手企業・中小企業など会社の規模に関係なく、応募する会社について調べます。
経営ビジョンを調べることで会社の方向性や将来性を見据えてどのように働いていきたいかイメージを掴むことが出来る重要な役目があります。
経営ビジョンの具体的な作り方
経営ビジョンの作り方①適正な経営理念を定める
経営ビジョンを作るためには、いくつかのポイントが必要になります。そのために一番大切なことは、企業の土台となる経営理念を定めることです。経営理念を元に、どういった企業へと成長させていくのかを考えることで経営ビジョンを描いていくことができます。
特に、中小企業では経営ビジョンがない場合もあります。ですが、中小企業にもおいても業績拡大や実績をあげるために必要なものですので、企業はもちろんその取り巻く環境をしっかりと把握したうえで経営理念を策定していきましょう。
作成の際は、データや調査などの具体例を元に現状を把握し、経営陣・従業員など社員全員が納得。共感できる経営理念が必要です。
経営ビジョンの作り方②企業の現状を把握する
「経営理念を定める」で紹介した部分と重なる箇所もありますが、経営ビジョンで大切なことは、企業が将来どんな方向に向かっていくのかをイメージだけでなく、文書で明確に作成することです。それには、企業の取り巻く現状をしっかりと把握しなくてはいけません。
そのためには、企業が抱えている問題や課題、経営陣や従業員の意識などを抽出する必要があります。ほかにも、社会情勢や競合他社などの状況や環境など、企業内外の現状をしっかりとリサーチし、様々な角度から検討してい行きましょう。
経営ビジョンの作り方③目標を立てる
企業内外の調査を行うことで、様々な検討材料が揃います。この検討材料を用いて、将来的における企業の姿を考え、経営ビジョンとしての目標を立てていきます。
例えば、経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報などが、将来的に状態になるのがいいのかをイメージするだけでなく、数値などをデータ化させて具体的な目標値を検討をしていきます。目標値を明確にすることで、経営戦略をしっかりと練ることが可能になります。
なかでも、ヒトについては、どのような人材を採用していくか、従業員の育成をどうしていく方針を固めることが必要です。人材確保・人材育成の方針を具体化させるためにも、経営ビジョンで目標を立てることが大切です。
経営ビジョンの作り方④社員を交えてシミュレーションする
経営ビジョンを策定した後は、周知を行う前に経営陣や各部門のトップでの検討、現場で働く従業員も交えてしっかりとシュミレーションしましょう。
その際、周知した場合にどのような影響があるのか、問題が改善されるのを企業側からの目線だけでなく、消費者目線、経営環境など、様々な角度から検討していきます。シュミレーションを行うことで、導入の要不要をしっかりと吟味することができます。
経営ビジョンの作り方⑤常にPDCAサイクルを回す
経営理念と違い、経営ビジョンは企業の内外の状況や時代背景により変化していきます。そのため、常にPDCAサイクルを回すことで、掲げている経営ビジョンが、企業にとって最適な内容になっているのかを検討し、常に発信し続けていかなくてはいけません。
業績拡大を狙う中小企業などは、このPDCAサイクルをしっかりと回すことが必要になりますので、PDCAから生まれた問題や利点などをまとめ、経営ビジョンに反映させることで策定しやすくなります。
経営ビジョンの具体例
具体例①味の素
味の素は、「地球目線で、明日のよりよい生活に貢献する」という企業のグループミッションが掲げられています。
このミッションのために「アミノ酸の働きを利用することで、健康における新たな価値を生み出す」「2030年までに10億人の寿命を延ばす」「事業成長させながら、環境負荷を削減させる」という3つの経営ビジョンとして掲げています。
具体例②ソフトバンク
ソフトバンクグループの経営理念は「情報革命で人々を幸せに」です。人々を幸せにする情報革命を推進するために、4つの経営ビジョンを掲げています。
情報改革を軸に、「世界から必要とされる企業グループへ成長すること」「長期間成長し続けること」「戦略的に共闘できる企業を増やすこと」「次世代に向けての人材育成」を経営ビジョンに挙げています。
具体例③イオンモール
イオンモールは経営ビジョンとして「アジア50億人の心を動かす企業へ」を最大のスローガンとして掲げています。そのために、5つの経営ビジョンを掲げています。
その指針とは「地域の魅力を磨き続ける」「従業員一人一人が新たな暮らしを提案するために成長すること」「永続的に発展し、強固な企業基盤をつくりあげる」「従業員全員がプロとして革新していく」「お客様に寄り添い最良の体験を共有すること」の5つです。
経営ビジョンを設定して企業を成長させよう！
優れた経営ビジョンを設定すれば、大企業・中小企業など会社の規模に関係なく、そのビジョンに惹かれて優秀な人材はもちろん、協力業者や優れた製品などが集まってくる可能性が出てきます。また、顧客に対しても企業の経営方針がイメージしやすくなるため、共感と信頼を寄せてもらえます。
わかりやすくイメージしやすい経営ビジョンを練り上げ、企業内外に発信することで、よりよい企業へ成長させるきっかけを作っていきましょう。
