母集団形成とは?企業におけるメリットや手順・手法を解説!

母集団形成とは?企業におけるメリットや手順・手法を解説!
目次

母集団形成を自社の採用活動に活かしたい!

少子高齢化の影響で労働人口の減少や採用難が大きな課題になっています。企業にとってより良い人材を獲得するためには、母集団形成が重要な要素です。多くの応募者を集めるためにも母集団形成を行って、自社企業の可能性をひろげましょう。

母集団形成とは?

母集団形成の言葉の意味

母集団形成はもともとは統計学の概念として使われていました。統計処理を行うために集めたサンプルは「標本」と呼ばれ、調査対象となる全体像を「母集団」と呼んでいたのです。

採用における母集団形成は、言い換えると「採用候補者の集団」のことになります。この母集団形成に含まれるのは実際に応募してきた人材だけでなく、自社の求人や仕事に興味を持っており、今後の選考に参加する可能性がある人も含まれます。

母集団形成が重要視されている背景

母集団形成が重要視されている背景には、少子高齢化や生産年齢人口の減少が関係しています。現在の採用は売り手市場になっており、母集団形成を意識して行わないと有能な人材が集まりにくくなっているのです

また、現状では少子高齢化に歯止めをかける解決策は見つかっておらず、今後より深刻化することが予測されています。そういった点を踏まえ、少しでも早く母集団形成に取り組むことで、企業に必要な人材を獲得できる手法として注目が集まっているので参考にしてください。

企業における母集団形成のメリット

メリット①計画的な採用を実現することができる

企業が母集団形成を行うメリットとして、計画的な採用を実現できるようになります。安定して人材を採用できる状態は企業のプロジェクトや経営戦略を達成することにつながるのです。また、自社が必要としている人材をしっかりと確保できないと、計画が頓挫することもあるでしょう。

母集団形成を行って、必要としているターゲットを確保できれば、中長期的なプロジェクトにも取り組めます。そういった意味でこの母集団形成という手法は非常にメリットがある考え方です。

メリット②適切な採用予算を見積もることができる

母集団形成が行えていると、採用に関する様々な計算が計画的に行なえます。採用手法も検討できるようになり、そこにかかる採用予算の適正化も図れるのです。母集団形成が行えていないと明確なターゲットや人数を設定できないため、必要以上の募集を行ってコストがかかることも考えられます

自社が求めている以上に応募が来ることも採用の複雑化につながるため、適正な数が集まるのが理想です。そういった意味でも母集団形成をはっきりと作成し、そこにあわせて必要な人数を導き出すのがおすすめの採用手法なので参考にしてください。

メリット③採用した社員の定着と活躍が期待できる

雇用のミスマッチは企業にとっても、社員にとってもマイナスな出来事です。母集団形成を行っていれば、自社にマッチした人材を獲得しやすいので、雇用のミスマッチを減らせます

企業の経営理念や社風にあった人材を獲得できれば、社員の定着と積極的な姿勢が期待できるでしょう。何も対策を取らずに募集するのとは違って、スキルや知識不足も防げるので採用担当の手間や採用コストを削減できるのです。

メリット④経営目標と事業目標の達成に役立つ

母集団形成を行うことは、結果的に経営目標や事業目標の達成につながります。企業において優秀なだけでなく、自社の目標や社風に適した人材が集まることは非常に重要です。安定的でなおかつチャレンジもできる人材が集まれば、ライフサイクルの早くなった現代社会にも対応できるでしょう。

企業における母集団形成のデメリット

デメリット①採用ターゲットを明確にする必要がある

企業における母集団形成のデメリットや注意点も確認してください。採用手法としてメリットのある母集団形成ですが、適切な導入を行わないと逆効果になります。

特に母集団形成では採用ターゲットを明確にすることが必須です。母集団形成には応募者の数や質の適正化が重要であり、自社が求めている人材を明確にしなければなりません。目的外の人材が応募してきても採用担当者の手間やコストになるだけなので注意しましょう。

デメリット②流行手法が自社に合っているとは限らない

母集団形成のシステムを作るために、新しいテクノロジー技術を使う場合が多いです。クラウドサービスやAI技術によるものは便利ですが、自社にそのノウハウがなければ逆効果になります。自社の人材に関する課題を明確にした上で、こういった手法を活用するのがベストです。

従来型の採用手法から、母集団形成をメインにした方法に切り替える上で労力もかかります。そういった労力を使用した上でメリットが勝る場合に、母集団形成を利用した手法を取り入れるようにしましょう。

デメリット③採用マーケティングを毎年行う必要がある

より質の高い母集団形成を行うためには、毎年の採用マーケティングが必要になります。現代市場はライフサイクルが早く、市場が求めているのはどんどん変化している状態です。それに応じてターゲット人材も変化しています。

一年前のトレンドが通用しない可能性もあり、採用マーケティングを怠ってしまうとズレが生まれるのです。そのため、採用マーケティングに対するのスキルやコストは継続的に必要になるので注意しましょう

デメリット④各手法の特徴を把握する必要がある

各手法の特徴を把握した上で、母集団形成は運用していかなければなりません。自社が求める人物像を獲得するためには、母集団形成以外にも方法は様々存在します。そのため、自社の採用手法として母集団形成がマッチするか検討して導入するかを決断してください

母集団形成の活用手順

活用手順①具体的な採用目的を決める

母集団形成の活用手順についてまとめました。母集団形成を行うためには、まずは採用目的を明確にしてください。自社企業が達成したい目標のために、どういった人材を必要としているのかを決定しましょう。具体的な人物像が出来上がることで、母集団形成が行いやすくなります。

活用手順②採用人数とターゲットを設定する

次に目的を達成するために必要な採用人数やターゲットを設定しましょう。求めているスキルや資格などを明確にし、目標を達成するために必要な人数を検討してください。また、経験者だけでなく未経験者を採用する場合のことも考えましょう。

経験者とは異なり、未経験者で目的を達成するためには人材がより多く必要になります。そのため、経験者の場合と未経験者の場合のそれぞれで必要になる人材を検討してください。この過程で自然と人物像もよりリアルになり、母集団形成がやりやすくなってきます。

活用手順③採用スケジュールを策定する

母集団形成を行う上で採用スケジュールを設定してください。いつまでに採用を行う必要があるのか、期限を設定します。期限を設定することで、募集時期や面接、内定などのスケジュールを組み立てることが可能です

活用手順④採用手法を検討する

必要な人材を獲得するために、適切な採用方法を検討しましょう。採用を行う上では新卒採用だけでなく、中途採用も選択肢になります。先程説明したように中途採用であれば、経験者が豊富になるので少人数の採用で目的をクリアできるでしょう。新卒採用をメインにする場合は、採用人数が増えます。

それぞれの人材ごとに求人媒体も異なるので、どういった採用方法を利用すれば良いか検討してください。求人媒体によってコストも異なるので、かかる費用についての調査も重要です。

活用手順⑤募集活動を実施する

募集活動を進める上で、採用をゴール地点にするのではなく、入社後に企業に定着してくれる人材にすることが重要です。そのためには雇用のミスマッチを防ぐことが重要で、採用に至るまでの過程で双方の理解を深めましょう。

新卒採用を行う上では、大学にリクルーターを派遣して、事前に相互理解を高めてください。また、採用HPでは自社の仕事内容が理解しやすいように文章だけでなく、動画を活用して職場環境や企業風土を伝えるのがおすすめです。

活用手順⑥採用活動の振り返りと改善を行う

母集団形成を活用して、採用を行ったら、その結果から得られたデータを確認しましょう。応募の多かった人材の傾向や特徴を確認することや、想定していた人材がどれぐらい集まったかを調査します

採用活動の振り返りを行って改善点を確認し、次につなげることが重要です。また、さらに大きな採用につなげていく上では経営層と人事担当者などが話し合いを行って取り組んでいくことも必要になります。

母集団形成を活用する時のポイント

ポイント①新卒採用に活用する場合

新卒採用に母集団形成を活用する場合、学生のスケジュールを踏まえた計画が求められます。学生のスケジュールを把握しておくことで、応募をかけるタイミングや面接を行う時期、そして内定を出すときが決められます。

また、新卒採用の場合は経験やスキルよりも、入社後の志向性や意欲がポイントになるでしょう。こういった点を踏まえて、自社に合う母集団形成を行っていきましょう。学生が応募したいと思えるような明確なメッセージを派遣し、リクルーターを活用して信頼関係を築くことが重要です

ポイント②中途採用に活用する場合

中途採用に母集団形成を活用する際、新卒採用よりも計画は細かいものでなくても大丈夫です。適宜人材が必要になった段階で募集をかけることになるので、母集団形成も難しくありません。しかし、中途採用の場合はより具体的に必要な人材をリストアップすることが求められます。

母集団形成も質と量のバランスを取りながら行い、募集から内定までは数週間程度で判断することがおすすめです。中途採用の場合は応募者の採用スピードを求めていることが多く、企業側が時間をかけすぎると他の会社に切り替えてしまうことがあります。

母集団形成の手法

手法①求人媒体

母集団形成を行っていくための手法を解説します。母集団形成の手法は、それぞれの目的に合わせて適宜使い分けることが重要です。それぞれの手法にメリットとデメリットがあり、母集団形成を行っていく上で目的を明確にして取り組むようにしましょう。

かつては新聞やフリーペーパーがメジャーな求人媒体でした。少しずつネットが普及し、現在はインターネットを利用した求人がメインになっています。そういった中で、自社が求める層に特化した募集を行うのがおすすめです。

若手向けメインのサイトや経験者向けのもの、エリアを限定したものなどが考えられます。母集団形成を作っていく中で求人媒体の形や内容についてよく検討していくことが需要です。

手法②人材紹介

人材紹介を利用して母集団形成を行うのもよいでしょう。人材紹介は求人媒体と異なり、基本的に採用確定後に費用を支払うことになります。費用をかけたのに採用できない、という形を避けながら母集団形成を行えるのがメリットです。

しかし、仲介手数料は通常入社者の年収30%を支払う場合が多く、採用単価としては高コストになります。母集団形成の手法として質の高い人材を集められる形ですが、コスト面では検討が必要です。それでも非公開で求人募集ができるなど、他の母集団形成とは違ったメリットもあるので参考にしましょう。

手法③採用説明会

採用説明会も母集団形成におすすめの手法です。採用説明会は自社で行う場合もあれば、人材会社や行政が主宰する形もあります。また、高校や大学などの学校内で行う形もあり、それぞれ集められる母集団形成も異なるのです。

数は少ないですが中途採用者向けの採用説明会もあります。その場合はどのようにして告知をして知ってもらうかが、母集団形成に大きく影響を与えるのです。人材会社や求人媒体に説明会の告知を載せるなどより多くの人に訪れてもらって、質の高い母集団形成につなげてください

手法④ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業が直接求職者にアプローチする方法です。求職者が登録しているデータベースに企業から直接スカウトを送るため、自社のターゲット人材や有能な人材に魅力を訴求できます。

しかし、通常よりも採用までの行程が長くなるため、獲得に失敗した場合の徒労感が強くなるでしょう。また、どうしても手間がかかるため大量の人材を雇用するのには向いていない手法です。自社が特に重要視したいポジションに対してダイレクトリクルーティングは効果を発揮するので参考にしてください。

このダイレクトリクルーティングを活かす方法として、人材のプールも活用しましょう。タレントプールとも表現されますが、自社の将来の採用候補者となる人材をデータベース化する手法です。定期的に注目している人材とコミュニケーションを取り、必要な時にすぐに雇用につなげる方法になります。

タレントプールも母集団形成の一つの形であり、人材の見える化を活用した方法です。雇用のミスマッチも防げますし、採用活動の効率化にもつながるでしょう。

手法⑤自社の採用HP

自社の採用HPを見直して質の高い母集団形成を行ってください。自社で作る採用HPは基本的には制限がありません。文章や写真などの量は自由に設定できますが、求職者に必要な情報が届くものにしてください。

外注の場合は費用が高くなりやすいため、自社のパソコンスキルがある社員を活用することがおすすめです。近年はホームページを作るための雛形などを無料や有料で配布しているサイトも多く、WordPressなどのサイトを使って作ることが可能になりました。

パソコンとスマホでアクセスする場合に、それぞれにあわせたレイアウトに変更できるなど、求職者が使うデバイスに考慮した採用HPが作成できます。求職者は採用HPを見る段階で、自社にある程度興味を持ってくれているので、その気持をさらにアップさせるような内容に作ることがおすすめです

手法⑥リファラル採用

母集団形成のためにリファラル採用も検討しましょう。リファラル採用は、縁故採用の一つであり、社員の紹介を経由して採用を行います。募集に関するコストがかからないことや、自社を理解している社員からの紹介によって、質の高い母集団形成につなげられるのがポイントです

デメリットとしては一度に多くの採用につなげられないことと、社員の自社に対する満足度が高くないとリファラル採用を活用できない点になります。自社に対する満足度が高いからこそ、社員から紹介につなげてもらえるので職場環境の改善や人事評価の見直しをしておきましょう。

手法⑦SNS

SNSを使った広告で若い世代の母集団形成を成功させましょう。TwitterなどのSNSでは自社アカウントでツイートすることで宣伝する形と、有料の広告が存在します。有料の広告は地域や年齢、趣味嗜好を細かく設定して表示させられるので、求めている人物像に近い母集団形成が行えるのです。

ただし、SNSでは母集団形成の応募人数を増やすために魅力的な情報やコンテンツを届けなければ意味がありません。フォロワー数を増やし、より多くの人に拡散してもらうことが重要です。SNSの扱いに慣れている社員に協力してもらい、投稿内容のアイデアを募りましょう。

注意しなければならないのは、拡散によっていわゆるバズることもあれば、炎上する可能性もあります。高いネットリテラシーを持ちながら、母集団形成につなげてください。

手法⑧ハローワーク

公共職業安定所であるハローワークも母集団形成に役立ちます。ハローワークは最もメジャーな求人募集の方法の一つで、採用コストがかかりにくい方法です。手続きに手間がかかることや、掲載などの自由がきかない点がデメリットになります。

情報量を多く掲載できるのはメリットであり、様々な人材の獲得につなげられる方法です。母集団形成の上で定期的に活用して、自社の情報を発信していきましょう。

手法⑨アルムナイ制度

少し特殊な母集団形成の方法として、アルムナイ制度も検討してください。アルムナイ制度は、自社の離職者や退職者を再雇用する手法です。教育や研修の負担を軽減できるのがメリットであり、自社の風土や経営理念を理解してくれている人材を獲得できます

再度自社に勤めてもらうためには、雇用条件や待遇、ポジションなどを慎重に検討する必要があり、既存社員の感情についても配慮しなければなりません。母集団形成をしながら即戦力の人材を獲得できるアルムナイ制度ですが、活用する上ではデメリットもよく検討した上で実行することが求められます。

母集団形成の成功事例

成功事例①株式会社TBM

株式会社TBMは、母集団形成のためにWantedlyという求人情報サイトを活用しました。また、母集団形成を行った中で内定承諾率を上げるために、リクルーターをつけて個別にフォローを行っています。複数の方法を利用して、母集団形成から有能な人材を獲得した成功事例です。

成功事例②ディップ株式会社

ディップカップ株式会社では、自社や求人サイトだけでなく、リモートインターンを実施しました。リモートインターンによって母集団形成を行い、同時に応募者のスクリーニングにもつなげたのです。この形が成功し、過去最速で採用スケジュールを達成できたことが公表されています。

母集団形成を活用して優秀な人材を確保しよう!

母集団形成によるメリットとデメリットについて解説しました。自社の求める人物像に適した採用候補者集団を作ることで、雇用のミスマッチを防ぎ、社員の定着率アップにもつなげられます。母集団形成をしっかりと行って、有能な人材を採用し、自社の経営目標を達成しましょう!

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