雇用のミスマッチの意味や有効な対策を知りたい!
仕事をする上で雇う側も雇われる側もニーズの一致が重要です。そういったニーズが一致しない雇用のミスマッチが起きる理由や有効な対策をチェックしていきましょう。人口減少時代において有能な人材を獲得するためにも、雇用のミスマッチが起きないように原因を確認してください。
雇用のミスマッチとは?
雇用のミスマッチの言葉の意味
求職者と求人側のニーズが一致しないことを「雇用のミスマッチ」といいます。このときに重要なのは求職者が失業状態が継続されるだけでなく、求人側も人材不足が解消されない点が重要です。
雇用のミスマッチが解消されず、対策もされないと国全体にとっても好ましい状態ではありません。雇用のミスマッチが起きないように原因や対策を行っていきましょう。
マクロ視点における雇用のミスマッチの現状
現在の日本では中小企業を含め、様々な業界で人手不足が起きています。しかし、日本の労働市場は需要と供給のバランスは取れている点も注目です。つまり、このバランスが取れているのに人手不足が起きている状態が、雇用のミスマッチが起きている証拠になります。
全体的で抽象的な視点を意味するマクロ視点では、こういった雇用のミスマッチが問題視されているのです。また、企業側が求める人材に対して求職者のスキルが基準を満たしていないことも問題と考えられています。全体的な社会の状況を踏まえながら雇用のミスマッチの対策を検討してください。
ミクロ視点における雇用のミスマッチの現状
部分的で具体的な視点を意味するミクロ視点では、雇用条件や労働環境の問題が雇用のミスマッチとして指摘されています。
求職者に対して提供されている情報が実は曖昧なものなこともあり、働き始めてから実状を知ることもあるでしょう。こういったミクロ視点も踏まえて雇用のミスマッチの現状を考えなければなりません。
雇用のミスマッチの具体例
具体例①雇用条件におけるミスマッチ
具体例を参考にどのような雇用のミスマッチが起きるのかを確認しましょう。現状の問題として、雇用条件に書かれているものと実際が異なることが問題となっています。
たとえば「完全週休二日制」や「残業はありません」という表記であっても、そのことが守られていないのです。完全週休二日制ではなく、隔週で土曜出勤がある、残業代が反映されていない、などの問題は大きな雇用のミスマッチの原因です。
また、自分の努力が認めてもらえずに給料が低いままで人事評価に不満を感じることもあるでしょう。こういった雇用のミスマッチの現状が解消されない限り、労働者側は同じ企業で働き続けたいとは考えてくれません。
具体例②労働環境におけるミスマッチ
雇用のミスマッチにおいて労働環境の現状も問題点になっています。自分がイメージしていた仕事と仕事内容が異なっていた、と感じる人が多いです。また、上司やチームとの人間環境に馴染めないのも雇用のミスマッチにあたります。
人間関係のトラブルは働き始めてみないとわからない問題であり、同時に解消しにくい課題です。現状の人間関係に満足できずに、精神的な病気を抱える人も多くなっています。こういった雇用のミスマッチの具体例も知っておくことが重要です。
具体例③曖昧な情報によるミスマッチ
ミスマッチが起きやすい具体例として、採用活動における曖昧な情報も注意点です。募集、選抜、決定という流れで採用されますが、具体的な採用基準を示さないこともあります。応募者を増やすために曖昧な情報にしていることが雇用のミスマッチに関係していることも把握しておきましょう。
雇用のミスマッチが起こる原因
原因①能力需給の不一致が起こるため
雇用のミスマッチが起きる原因を考えましょう。考えられる原因として、企業と労働者感での能力需給の不一致が挙げられます。能力需給の不一致というのは、企業が必要としている能力と求職者の持つ能力が一致していないことです。
有効求人倍率の中で、介護や看護、サービス業、建設や土木、輸送などの分野では労働者が不足していることが分かっています。つまり、労働需要が供給量を超過しており、労働者不足が深刻な問題なのを覚えておきましょう。
しかし、企業側としても雇う上で求めている能力を持った人材を必要としています。人材不足を解消したくても、現状では経験やスキルが能力水準を満たしていない人が応募してくることで雇用のミスマッチが起きているのです。
原因②情報が不完全なため
情報の不透明性も原因であり、これは求人側だけでなく求職者も同様です。自分の能力やスキルをうまくアピールできないと企業側も採用しにくいのです。求職者は有名な企業に対する知識はあっても、専門的な分野や中小企業に対する知識が足りていません。
企業側が積極的に分かりやすく自社の情報を発信することで、こういったミスマッチの原因を解消しやすくなります。専門用語の意味を含めて、求職者に対して情報の透明性を高めていきましょう。
原因③労働者側と企業側の希望が一致しないため
有効求人倍率では労働需要が供給量を超過している状態になっていますが、これは労働者側と企業側の希望が一致しないことが原因です。つまり、双方が選り好みをしているのが現状であり、大きな課題と考えましょう。
現状では人手が足りていない職種は多数存在しているのに、求人側が仕事に対してポジティブなイメージを抱けないことから応募しないこともあるのです。企業側は育成や年齢などを理由に採用を見送るなど、幅広い条件で採用していない点は見直しが必要になります。
雇用のミスマッチが引き起こす影響
採用人材の能力を活かすことができなくなる
雇用のミスマッチが引き起こす影響を確認しましょう。採用担当者は企業や現場の現状を把握しながら採用を進めないと、様々な問題が起きてしまうのです。その一つとして、労働意欲が低下することが挙げられます。
採用担当者が高い能力を持った人材を選んでも、実際に働き始めてから現場に馴染めないとモチベーションを維持できないのです。上司や同僚と考え方があわない、イメージしていた仕事内容と違った、ということが原因になります。
こういった現状を解消しないままにすると、採用人材の能力が活かされません。雇用のミスマッチによって高い能力を持った人材でも、期待された働きができないのは企業にとって大きなマイナスになるでしょう。
労働意欲が低下する
働く上ではモチベーションは重要な要素です。人間関係はもちろんですが、やりがいを感じて当事者意識を持てるような働き方が重要になります。しかし、そういったモチベーションを維持できないような環境では労働意欲がどんどん失われていきます。
従業員が仕事や人間関係に対して抱えている不満を、入社後の早い段階で知ってあげることが大切です。面談などを通して原因や理由を早期に解消してあげましょう。
雇用後すぐに退職してしまう
問題の解消を行わず、雇用のミスマッチの意味を企業が理解していないと、雇用後にすぐに退職される可能性があります。意欲を持って入社した新規採用人材が「思っていた仕事と違った」と考えて、早い段階で退職を検討してしまうのです。
人材を採用するのは企業に取って労力を伴う行為であり、すぐに退職されてしまうのはコスト面でも問題になります。人手不足が問題となっている現代において、雇用のミスマッチですぐに退職されないように対策していきましょう。
雇用のミスマッチを解消する有効な対策【マクロ視点】
学校機関やハローワークと連携する
雇用のミスマッチを解消する有効な対策をマクロ視点から検討してください。雇用のミスマッチを解消するために重要なのは、学校機関とハローワーク間の連携です。
これは学生と転職者が利用できる就職支援になります。また、新卒応援ハローワークも存在しており、それをサポートしてくれるジョブサポーターが配属されているのです。理想的なのは学校の就職相談員とジョブサポーターとの連携を行うのがよいでしょう。
就職に対して不安を抱える学生の気持ちを解消し、希望の求人を見つけてあげられます。仕事を経験したことがない学生をサポートすることで、雇用のミスマッチが起きないようにしてください。
中小企業へ就職意向のある人材の確保や定着を支援する
人手不足の中で中小企業も積極的に動く必要があります。中小企業経営者が学校機関に出向いて、説明会や講座を行ってください。大手企業と異なり、仕事の内容がイメージできないことから雇用のミスマッチが起きやすいためです。
しっかりとした説明や業界の現状を知ってもらうことで雇用のミスマッチを防げます。また、直接経営者の口から話しを聞けることで、高い意欲を持った人材の応募が見込めるでしょう。
就職につながるマッチング支援を行う
より早く就活生のデータを集めるなら、マッチング支援を活用しましょう。卒業年次前に囲い込みを行うような形で働きかけてください。こちらも中小企業による説明会や情報提供が必要不可欠で、学生用ジョブカードも活用しましょう。
そして、事前に必要な技能やノウハウを獲得できる機会を設けましょう。そうすることで自分の能力を確認できるので、企業の絞り込みが行えます。雇用のミスマッチが起きないように求職者が様々な経験や知識を事前に得られることが大切です。
就職活動に必要な情報を積極的に公開する
リクルーターなどを活用し、積極的に情報公開を行ってください。リクルーターは大学などの機関に自社の社員を派遣して、就職に関する相談や面談を行う仕組みです。基本的に年齢の近い若い社員が派遣されることが多く、話しやすく親近感が湧きやすいのがメリットになっています。
自社ホームページや採用サイトの情報だけでは求職者が満足な情報を得られないことがあるのです。そのことが雇用のミスマッチにつながることがあるので、直接リクルーターと話すことでズレや溝を埋められるので活用してください。
雇用のミスマッチを解消する有効な対策【ミクロ視点】
自社が求める人物像を明確にする
ミクロ視点で雇用のミスマッチを解消しましょう。最初に自社が求める人物像を定義してください。この定義の意味として「この企業で働く」ことを前提にした内容にしましょう。
個人の能力やスキルを具体的にわかりやすく定義することで、雇用のミスマッチを解消できます。しっかりと定義されたものがあれば、自社に対して魅力や関心を持った人材が応募してくれるようになるのです。
求める人物像に合った採用手法を考える
採用方法の見直しも行いましょう。自社セミナーだけでなく、大学などで企業セミナーを開催して興味を持ってもらいましょう。インターンシップでは実務を経験してもらうことで、入社後に「思っていた仕事と違う」という雇用のミスマッチを防げます。
インターンシップには就活生がイメージとして抱いていたものから、現実に働いてみた上でさらなる興味を引き出す意味合いがあります。また職場の雰囲気を知ってもらって、自分に合う現場なのか考えてもらうことも必要です。
フォローアップを適切に行う
最終的な採用を進めていく中で、内定者と企業側でさらに細かな交流を行っていきましょう。この中には懇親会やグループワークが含まれます。
内定者は集合研修や合宿などで、より現実的に入社後の自分をイメージすることになります。そこで企業側が丁寧なフォローアップを行っていきましょう。内定者の能力を見極めながら評価してあげることで、モチベーションが上がっていくのです。
企業側は内定者の適正や人材を見極めることが求められるのです。担当者のスキルアップやデータ収集能力なども求められます。フォローアップを適切に行える環境づくりを構築していきましょう。
定期的に採用手法の見直しを行う
採用方法は同じものをずっと使い続けるのではなく、定期的な見直しが必要です。雇用のミスマッチが起きる理由を再検討し、採用方法をどのように変更するか検討してください。
たとえば、PDCAのような方法を使って雇用のミスマッチを防ぎましょう。これは計画、実行、評価、改善の頭文字を取った方法であり、定期的な見直し方法としておすすめです。
自社の業種などにあわせて様々な採用方法を検討してください。時には他社の方法を参考にしながら、雇用のミスマッチの解消方法を探りましょう。
人事データを活用した雇用のミスマッチの解消法
人事データとは?
雇用のミスマッチの解消法として人事データを活用しましょう。人事データとは「企業の持つ人材にまつわるすべてのデータ」を意味します。
このデータには氏名や学歴、資格やスキル、業績などが含まれるのです。非常に膨大なデータ量になるので、採用管理システムを見直して有効的に活用しましょう。
解消法①求人票ページを作成する
採用管理システムを導入することで雇用のミスマッチを解消できます。最初に適切な求人票ページを作成しましょう。自社で作成するのではなく、外部に依頼してより精度の高い求人票ページを作成してもらうのもおすすめです。
応募者は求人票ページを参考に自分とマッチするものを絞り込むことになります。精度の高い求人票ページは、応募者が興味を持つきっかけになるでしょう。コロナ禍において求職者も様々な悩みや希望を持っています。そういったものを引き出せるような求人票ページを設置してください。
解消法②応募情報を一元管理する
集まった応募情報は一元管理することで、人事スタッフの負担を解消できます。雇用のミスマッチにおいてデータの管理も重要な要素です。採用管理システムを導入することで必要な情報に適切にアクセスできるので、雇用のミスマッチを防げます。
応募者のステータスが確認でき、担当者も素早く確認できるのです。見やすくわかりやすい管理システムは、全体の把握を容易にし、雇用のミスマッチを解消することにつながるでしょう。
解消法③応募者への個別対応の漏れをなくす
企業側として避けたいのが、応募者への個別対応の漏れです。応募者は企業側から電話やメールを待つしかないので、そこのミスが起きると不安感を与えて、雇用のミスマッチにつながってしまいます。
応募者の信頼感を失ってしまうと働き始めてからも不安が再熱しやすく、そのことで雇用のミスマッチになってしまうからです。人事データを使った採用管理システムあがれば、自動でメール送信も送られるのでトラブルを防げるので参考にしてください。
解消法④求める人材をデータで把握する
採用管理システムを活用して、自社が求める人材を数値化しましょう。企業側でどのように数値化するか検討して、性格や資質、志望動機などを当てはめていきます。また、適合検査や基礎能力試験なども数値化していくことで、雇用のミスマッチを減らせるでしょう。
時には特定の能力に特化した人材を採用するのにも役立てられます。企業が求める人材をピックアップして、雇用のミスマッチが起きないようにしてください。
解消法⑤求職者が求める情報を細かに提供する
求職者の負担を減らすためにも細かな情報を提供していきましょう。求職者は採用されるまで応募から面接など長い道のりを乗り越えなくてはなりません。そういった中で適切に細かい情報が開示されていると、求職者の負担も軽減できます。
入社後の働くイメージを具体化できれば、雇用のミスマッチは減るのです。求職者がどういった情報を求めているかを読み取り、情報を発信しましょう。
人事データをうまく活用することで、このように雇用のミスマッチを減らせます。外部的な環境の変化も雇用のミスマッチのきっかけになるので、より多くのデータを活用してください。
雇用のミスマッチ対策に人事データを活用する時のポイント
解決したい課題を設定する
雇用のミスマッチ対策として人事データを活用するときに、どういったポイントに注意すれば良いのか確認してください。まずは解決したい課題を設定するのがスタート地点です。
最初に課題を設定して、解決策の仮設を立ててから行うのがよいでしょう。これは課題が設定されていることで、不要なデータを集めるのを防ぐ効果があります。雇用のミスマッチを防ぐために意味のある有用なデータを集めること重要です。しっかりとしたテーマを設定しましょう。
蓄積するデータの基準を合わせる
人事データを蓄積するときに、できるだけ評価する人間の主観を省くことが必要です。主観を省くためにはデータの基準を合わせることが求められます。
基準が設けられることでデータの質のばらつきを抑えられるのです。安定した意味のあるデータを蓄積させられると雇用のミスマッチも減少します。アンケートを取るときの分析方法や数値化の方法を見直すことがおすすめです。
データの取り扱いに関するルールを決めておく
基本的な部分として集めたデータの取り扱いに関するルールを設定しましょう。セキュリティに対する意識が低い企業は信頼を得られませんし、流出が起きれば求職者の離脱も起こります。雇用のミスマッチを考える上でデータを重要視するなら、セキュリティ面の意識も高く持ちましょう。
もし、外部委託する場合は秘密保持契約なども忘れずに定めてください。雇用のミスマッチを防ぐために重要な人事データを丁寧に扱うことが求められます。
雇用のミスマッチを解消しよう!
コロナ禍において失業者が増えており、新しい仕事を探す人が増えています。そういった中で雇用のミスマッチも起きやすくなっており、企業も求職者もよい精度の高い情報を求めているのです。雇用のミスマッチを防ぐためには、情報の透明性が重要であり、積極的な情報開示が必要になっています。
雇用のミスマッチは双方にとってマイナスな出来事なので、原因を解明して対策を取ってください。雇用のミスマッチを減らし、企業も求職者も働きやすい環境で業績をのばしていきましょう。