ビジネスにおける「エコシステム」とは?メリットや成功事例も!

ビジネスにおける「エコシステム」とは?メリットや成功事例も!

エコシステムの意味やメリットを知りたい!

もともとは生態系をあらわす言葉である「エコシステム」。しかし、近年はネットワークやITの分野などでよく使われるようになりました。

この記事では、ビジネスにおけるエコシステムの言葉の意味やメリットを解説。また、なぜ今、エコシステムが注目されるのかや、成功事例なども紹介していきます。ぜひこの記事を、エコシステムを健全に機能させるために役立ててください。

エコシステムとは?

もともとは生態系をあらわす言葉であったエコシステムですが、近年では、ITやクラウドの分野で使われることが多くなってきました。ここでは、ビジネスにおけるエコシステムの言葉の意味や、エコシステムが注目されている背景について詳しく解説します。

自然界における生態系の関係性を表す科学用語のこと

エコシステムは、本来は生態系をあらわす言葉です。自然界の中では、生物は一つの種だけで生き延びることはできず、互いに連鎖し循環することで生態系が成り立っています。このように、ある領域に生息する生物が、互いに依存しながら生態系を維持する関係のことをエコシステムといいます。

ビジネス分野やIT分野におけるエコシステムの言葉の意味

このような自然界のエコシステムという仕組みをビジネスにあてはめ、さまざまな企業やサービスが連携して、大きな利益を得られる仕組みをエコシステムと呼んでいます。さまざまなサービスやプロダクトが連携し合うことで、高い価値を生み出し、それぞれが利益を得ることができるのです。

エコシステムが注目されている背景

今、エコシステムが注目される背景として、IT技術の目覚ましい発展や、顧客ニーズの多様化があげられます。加速度的に発展するIT技術によるサービスの多様化などにより、一つの企業でサービスやプロダクトを成立させることが困難となっているからです。

そこで、各企業や製品が協力・連携し合うことで製品やサービスを補完し合って完成させることが求められているのです。

エコシステムは市場の影響を受けやすい

エコシステムに大きな影響を及ぼすものに、市場規模があります。市場規模が拡大すればするほど、多くの企業が集まることにより協業も活発化し、さらなるエコシステムの巨大化へとつながります。

市場規模が小さい場合には、エコシステムの広がりが限定的であることから、エコシステムが市場規模の影響を大きく受けていることが分かります。

エコシステムの将来性

IT技術の進歩によって、一つの企業でサービスやプロダクトを完成させることが難しくなり、今後はますますエコシステムの重要性が高まることが予想されます。

また、次世代通信規格5Gによるエコシステムやキャッシュレスの推進なども、今後さらなる広がりを見せることでしょう。しかし、エコシステムによって互いの繁栄を築くためには、エコシステムによって取り組む課題をどのように解決するのか、明確なビジョンが必要です。

エコシステムのメリットとデメリット

導入することで数多くのメリットを得られるエコシステムですが、デメリットもあります。ここでは、エコシステムのメリットとデメリットについて詳しく解説します。

メリット①企業の認知度が高まる

エコシステムに参画する企業が増えることで、各社がそれぞれに顧客へ周知を行うことで、サービスやプロダクトの認知度を高めることができます。また、各社の強みを生かした新たな商品展開や、集客の拡大など、サービスの幅を広げることが可能です。

メリット②多くの企業や顧客を呼び込むことができる

エコシステムの構成により、自社がプラットフォームの役割を担うことができれば、新たな市場を生み出すことも可能です。自社だけでは担う事の出来なかったビジネスを、協業によって担うことができるようになれば、より大きなビジネスの展開が可能となります。

自社がプラットフォーマーとなることができれば、パートナーとして参画する企業を呼び込み、さらには顧客を呼び込むことにもつなげることが可能です。

メリット③新たなビジネスモデルの創出に役立つ

エコシステムの形成により、他社との協業が増えると、今までにないアイデアや技術などが集まり、新たなビジネスモデルの創出へとつながります。

IT技術の進歩などにより、単独の企業での新たなビジネスの創出が困難な現代にあって、他社と協業することにより、限られた経営資源の中から新しいビジネスを創出することができるのです。

エコシステムを形成することで、多様化するニーズへの対応や、新たなIT技術の開発など、さまざまなメリットを生み出すことができます。

エコシステムのデメリットは?

エコシステムは、さまざまな企業が協業して互いに利益を得ていくシステムです。しかし、エコシステムには買収されるリスクがあることがデメリットに上げられます。特定の企業やエコシステムの一部分が大きな利益を得た場合には、買収や合併により、独占が起こるケースがあるのです。

クラウドにおけるエコシステムの特徴

クラウドにおいても、多数形成されているエコシステム。以下では、さまざまな協業が入り混じり、急速に発展をとげるクラウドにおけるエコシステムの特徴を解説します。

巨大なプラットフォームとして機能する

クラウドによるエコシステムによって、パートナー企業との連携を強化し、パートナー企業も含めて巨大なプラットホームとして機能することも可能です。

さまざまなサービスやプロダクトを一つのプラットフォームとして提供できれば、ユーザーに大きな利便性をもたらすことができます。そうすることにより、さらなる優良ユーザーやパートナー企業の囲い込みにもつながるのです。

API間によるベンダーと連携した協業体制

クラウドシステムの活用により、従来は開発者でなければ使用できないことが多かったAPI連携での協業体制が可能となります。

API連携によって、各社がデータ連携して協業・連携していくことで、既存のサービスの利便性の向上につながります。こうして多様化するニーズに応えることが、ユーザーを囲い込むことにもつながるのです。

イノベーションによる利便性の向上

エコシステムによってさまざまな企業がかかわることで、つねにイノベーションが起こりやすい環境が生まれます。また、協業により開発サイクルが早くなることで、顧客ニーズにいち早く応えることも可能です。

イノベーションによって新たなIT技術やサービスが生まれて利便性が高まることは、ユーザーにとっても大きなメリットとなります。

エコシステムの導入方法

導入方法①自社の立ち位置を確認する

エコシステムを導入する際にまず大切なのが、自社が業界において、どのようなポジションにいるのかを確認することです。

自社のサービスや製品が、エコシステムにおける中心の役割を担うことができるのか。もしくは、既存の中核となっているサービスなどの周辺を固める存在になるのかなどを見極めることが重要となります。そして、自社のシステムが、エコシステムの導入によりメリットを受けられるかの確認も必要です。

導入方法②最適なエコシステムを見極める

自社のポジションを明確にしたうえで、次にどのようなエコシステムが適しているのかを見極めることが必要となります。

さまざまなエコシステムの中から、自社がどのように協業を担うのか、エコシステムへの参加方法、費用対効果などを比較して有効なエコシステムを選びましょう。参画するエコシステムを誤れば、損失を招くことにもつながるため、最適なエコシステムを見極めることが重要です。

導入方法③自社にとってのメリットを再確認する

自社にとっての最適なエコシステムを見極めたうえで、自社にとって得られるメリットを再確認しましょう。エコシステムの導入には、多大な労力とコストがかかるため、社内の理解や協力は必須です。このような労力と時間をかけてもメリットが見込めるのかの確認が大切になります。

そのうえで、他社と協業する場合には、エコシステムに組み込む業務の選定や、効率的な業務フローの整備なども必要となります。

エコシステムの成功事例

成功事例①Apple

Apple社でも、その製品が出来上がるまでには、さまざまな企業が携わっており、エコシステムが形成されています。Apple社の代表的な製品iPhoneも、部品、組み立て、販売などそれぞれを、多くの企業が協業して作り上げ、それぞれに利益を得ています。

また、iPhoneやiPadなど、それぞれの製品のサービスが連携している点でも、エコシステムが構築され、顧客満足度の向上に役立っています。

成功事例②Google

Googleは、OSやネットワーク、プラットフォームなど、さまざまなエコシステムを形成し、パートナー企業とともに収益をあげています。

スマートスピーカーのGoogle HomeやAI アシスタントの開発では、さまざまなシステムと連携することで、新サービスの創出を実現しています。

成功事例③Amazon

Amazonでのエコシステムの形成は各分野で行われており、クラウドサービスが展開するパートナー制度には、多くの企業が参画しています。

また、EC提供のプラットフォームの強化や、AIスピーカーAmazon Echoのの開発でエコシステムを導入。さまざまなシステムと連携することで、多様化するニーズにこたえ、イノベーションを創出することを実現しています。

成功事例④Microsoft

Microsoft社は、200を超える製品クラウドサービスで構成されたMicrosoft Azureというクラウドプラットフォームで、ビジネスの課題を解決する様々なサービスを提供しています。また、Microsoft社は、パートナー企業とともにクラウドビジネスアプリケーションの開発も行っています。

その多くは Microsoft Azure 関連で開発されており、メディアサービスやIoT分野、AI分野などの先端テクノロジーに関するものが多くあるのが特徴です。

成功事例⑤米国シリコンバレー

最先端のベンチャー企業が集まる地として世界から注目されるシリコンバレー。さまざまなイノベーションやビジネスモデルを生み出してきた、まさにベンチャー企業の聖地ともいえる地です。このシリコンバレーから、appleやGoogle、Uberなど、世界に名だたる企業が数多く輩出されています。

その背景には、世界のスタートアップ企業の中でも、シリコンバレーの企業が多くの投資を獲得していることや、スタートアップ企業を支援する仕組みなどがあげられます。これらの仕組みが、大きな枠組みでベンチャーエコシステムと捉えられています。

成功事例⑥YouTube

YouTubeは、動画を投稿するクリエイター、動画の視聴者、広告主の三者によって形成されるエコシステムです。クリエイターにとっては、既存のメディアでは難しい自由な発信ができ、視聴者はそれを無料で楽しむことができます。また、広告主は、自社にとっての重要なターゲットを絞り込んで、効果的な広告配信をすることが可能です。

成功事例⑦LINE株式会社と株式会社メルカリ

LINE株式会社と株式会社メルカリは、それぞれにモバイル決済サービスの「LINE Pay」と「メルペイ」を提供していましたが、2019年3月に戦略的業務提携を行うことを発表しました。

背景には、乱立するキャッシュレスサービスによるオペレーションの煩雑化が、日本のキャッシュレス社会実現の障害となっていることがあげられています。

今後、両社による加盟店アライアンスに他の事業者の参画を促し、パートナーシップを拡大することで、さらなるキャッシュレスの普及を目指すとしています。

こうした、エコシステム全体の繁栄を目指すことで、市場規模の拡大とオペレーションのスリム化、利便性の向上など、大きなメリットが得られることとなります。

エコシステムを健全に機能させよう!

ビジネスにおけるエコシステムは、さまざまな企業が自社の得意な分野の技術やノウハウを持ち寄って連携し、多大に利益を得ていく仕組みです。エコシステムの構築により、さまざまなプロダクトやサービスが連携してお互いに利益を生み出すことができます。

他企業との連携により、新たなイノベーションが生まれたり、シェアの拡大など、エコシステムを導入するメリットは数多くあります。

しかし、業種によっては、エコシステムが不要なケースもあり、無理な導入がかえって損失を招く恐れもあります。導入する際には、自社にとって本当にメリットとなるのか、しっかりと見極めることが大切です。

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