ドミナント戦略のメリットやデメリットを知りたい!
経営戦略の中で重要なドミナント戦略について解説します。ローソンやファミリーマートなどのコンビニチェーンなどの経営を知る上で、ドミナント戦略は非常に重要です。
また、ランチェスター戦略との違いも理解し、実際の成功事例も参考にしてください。ドミナント戦略の意味やメリットを確認していきましょう。
ドミナント戦略とは?
ドミナント戦略の意味
どういった経営戦略のことをドミナント戦略というのか紹介します。この戦略は「特定のエリアに経営資源を集中透過して独占を狙う」ことを意味します。
そもそもドミナントというのは「独占的な」、「支配的な」という意味を持つ言葉です。シェア争いにおける重要な方法であり、特定のエリアに大量の投資を行う形で、他の競争相手が太刀打ちできない状態にするのが特徴になります。
近年のドミナント戦略事情
かつての状況と現在のドミナント戦略は事情が変化してきています。大きな理由は少子高齢化による影響です。人口が減ることによって、本来の戦略効果が得にくくなっています。
また、人々のライフスタイルも大きく変化したことも関係しているのです。かつては近所の実店舗で買い物をするのが定番だったのが、現在はオンラインストアや宅配サービスが当たり前になりました。つまり、実際に店舗がなくても商品を売ることが可能になったわけです。
ドミナント戦略は特定のエリアに大量に店舗を出店することで、独占状態にしていくのが大きな狙いになります。しかし、こういった時代の変化が影響し、ドミナント戦略の効果が出にくいエリアが増えました。
ランチェスター戦略との違い
似た戦略としてランチェスター戦略というものがあります。基本的には事業を細分化することにより、経営資源を投入する戦略であり、ドミナント戦略はランチェスター戦略の中の一部といえます。
ランチェスター戦略の中の一騎打ちや接近戦の理論を用いて、特定地域内に高密度集中で出店するのがドミナント戦略と考えましょう。
ドミナント戦略の主なメリット
メリット①地域での認知度が高まる
ドミナント戦略の主なメリットを解説します。まずは、この戦略を行うと地域における認知度が上昇します。特定のエリアに集中して出店するため、お店を目にする機会が増えるのです。また、同時に地域CMやチラシ、SNSなどを有効活用することで飛躍的に知名度がアップします。
メジャーなセブンイレブンのようなコンビニでも最初から知名度があったわけではありません。自社がマイナーなチェーンストアであっても、地域に密着し、経営資源を集中的に投資することで認知度が高まるのは大きな意味のある行為です。
メリット②配送効率の向上
店舗を運営する上で配送効率は重要な要素です。ドミナント戦略を利用することで店舗が地域に集中し、円滑な配送ルートを構築することができます。そういった配送効率を踏まえた上で店舗の場所を決めることも重要です。
生産地や加工場所が近ければ、より新鮮で新しいものを届けられるのもメリットになります。特にセブンイレブンなどのコンビニエンスストアは、一日に複数回配送を行う必要があり、賞味期限が短いものも多いです。それを効率よく、早く届けられるのは大きなコンビニなどにとってメリットといえるでしょう。
メリット③地域に合わせた広告宣伝が可能
地域に特化した販売戦略が立てられるため、宣伝の仕方にも特徴が出せます。地域に合わせた広告宣伝が可能なので、地元の人に注目してもらえるような宣伝を展開できることがメリットです。
時には地域のお祭りに合わせたセールを展開するような方法もおすすめになります。また、地域で統一して広告を出せるので、広告費用も最小限に抑えられるのも大きな意味のあるポイントです。広告費用を削減したい場合はこの戦略に注目しましょう。
メリット④スーパーバイザーが効率良く巡回できる
フランチャイズを運営する上では、本社の営業戦略や新商品情報を共有してくれるスーパーバイザーの存在は不可欠です。それぞれの店舗に合わせた商品の入荷や本部負担での支援など、様々な戦略を考えてくれる存在になります。
地域にお店が集まっていれば、スーパーバイザーの巡回も効率良く行えるのでおすすめです。巡回を効率良く行えることは、それぞれのお店で話をできる時間を増やせることにつながります。忙しく片手間のように巡回されるとフランチャイズ店のオーナーとの信頼関係にも影響が出るでしょう。
ドミナント戦略の主なデメリット
デメリット①災害時のダメージが大きい
メリットが多い戦略ですが、ドミナント戦略にはデメリットも存在します。特定エリアに店舗を集中させることは災害時のダメージが大きくなるのです。
エリア一帯が電気や水道が使えない、という問題だけでなく配送ルートなども満足に使えない状況になります。特定の地域にだけ出店しているような企業は、その間利益を得られない状態になることを気をつけましょう。
デメリット②顧客の奪い合いが起きる
お店が密集していることは店舗同士で顧客の奪い合いが起きます。ドミナント戦略は複数店舗を経営するオーナーであれば良いのですが、別々のオーナーの間の場合はライバル関係になり、険悪な関係になることに注意です。
このような共食い状態が継続すると、双方のお店にとって不満を抱える可能性に気をつけてください。同じフランチャイズでも、片方のお店のイメージが悪くなれば、顧客からは「あそこの系列店は感じの悪いお店だ」と全体の印象が悪くなります。
スーパーバイザーはドミナント戦略において、店舗のフォローして相乗効果で地域のお店全体が盛り上がるように支えましょう。
デメリット③地域の事情によって売上が大きく変化する
ドミナント戦略をもとに出店計画を立ててお店を運営し始めたときと、その後の状況が変化することがあります。たとえば、いままで通ってくれていたお客さんがバイパスなどができたことで、大きく減少してしまうことがあるのです。
交通事情の変化はどんなに事前調査していても対応できる限界があります。そういった限界を考慮しながら、もしものときに備えた戦略も考えておくことが大切です。ドミナント戦略のメリットだけでなく、こういったデメリットを把握しながら戦略を組み立ててください。
ドミナント戦略の主なエリアマーケティング
市場規模が大きくなりそうな地域を調査する
実際にドミナント戦略を利用する際に、主なエリアマーケティングを紹介します。大切なことは将来性を考えて、市場規模が拡大しそうなところを見つけることです。人口の流入が見られるような地域には積極的に挑戦していきましょう。
地域の需要特性を調査する
地域に密着するためには、それぞれの需要を把握しておくことが大切です。味などの嗜好の違いを把握しておきましょう。また、商品の価格も物価や地域の賃金などを踏まえて上で設定してください。実際に地域に関係する社員がいればそういった人から情報を集めるのもおすすめです。
地域の競合性を調査する
すでにドミナント戦略が他社に行われている場合は要注意です。そういったすでに他社が優位性を築き上げている場所ではドミナント戦略が成功しにくいので、慎重に検討を行ってください。
ドミナント戦略の成功事例
スターバックス
スターバックスは1971年にアメリカのシアトルで開業したお店です。現在は世界規模で展開するコーヒーチェーン店として、3万を超える店舗数を誇ります。
開業当初はシアトルでゆっくりとコーヒーを飲める場所が無かったことから、そこに集中出店しドミナント戦略を成功させました。また、おしゃれな外観や内装、高品質なコーヒーを提供し、地域に良い口コミを広めることで人気コーヒーチェーンとなったのです。
セブンイレブン
セブンイレブンは1927年に氷小売店として誕生しました。当時は電気冷蔵庫が普及していないこともあり、周辺住民から非常に重宝されたのです。その後、コンビニエンスストアとして食料品や日用品を扱うお店になり、日本では1974年に東京の豊洲にコンビニ1号店が出店されました。
ドミナント戦略のお手本ともいえる手法で、時にはコンビニ競合店であるローソンやファミリーマートのすぐそばに店舗を出店することがあります。居抜きなども利用し、セブンイレブンで埋め尽くして他店舗を追い出すような勢いも成功した理由です。
クックパッド
実店舗系以外のドミナント戦略も存在します。レシピサイトであるクックパッドも、レシピコミュニティとして他社が参入しても覇権を奪われることなく人気を維持しているのです。
その理由としては、単純にレシピを掲載するだけでなく、ユーザーのコミュニティの場所としてシステムを確立していた点が挙げられます。また、検索エンジンの上位に表示されやすい状態になっており、検索順位というエリアを独占するような状態に成長させたことがドミナント戦略の成功理由です。
ドミナント戦略を成功させよう!
チェーン店などの営業戦略に関係するドミナント戦略について紹介しました。ドミナント戦略を行う上でのメリットやデメリットを把握し、その戦略を有効活用しましょう。スターバックスやセブンイレブンのような成功事例を参考に、自社の経営戦略として検討してください。