「時間があるとついスマホを手に取ってしまう」
「毎日スマホを使いすぎて、なかなか疲れが取れない」
「スマホ依存を解決する方法を知りたい」
そんな声をよく耳にします。
スマートフォンを持つことが一般的になり、毎日長時間操作している方は多いのではないでしょうか。片手で操作できるので、つい時間があると意味もなく手に取ってしまうこともあるでしょう。
さらに新型コロナウイルスの影響で、リモートワークが急速に普及しました。通勤時間がなくなった分、会社に出社するときよりも仕事時間が長くなった方もいるかもしれません。
私たちの毎日はいつもデジタル機器に支配されています。知りたい情報をすぐに入手できるので、生活が便利になりましたが、身体への負担も少なからずあります。
長時間操作することによって、心にもたらす影響は非常に深刻です。
そこで世界のデジタル企業がすべての人に「デジタルウェルビーイング」が必要だと警鐘を鳴らしています。対策を取らないと精神的な異常を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
この記事では、デジタルウェルビーイングを詳しく解説していきます。また対策方法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
デジタルウェルビーイングとは
デジタルウェルビーイングとは、健康的な生活を送るためにテクノロジーと向き合う取り組みのことです。スマホやパソコンなどを使うときに、良いバランスを保てるようにするのを目的にしています。
特にスマホは片手で操作できる手軽さがあり、少し時間があれば手に取ってしまう方もいるでしょう。スマホを操作していないと落ち着かなかったり、歩きながら操作していたりなど、テクノロジーに生活を支配されています。
そのため、世界的にデジタルウェルビーイングが注目されつつあります。
デジタルウェルビーイングは、2018年5月にGoogleが開催した「2018 Google I/O」で初めて紹介されました。イベントの中でGoogleのAndroidにデジタルウェルビーイングのプラットフォームを取り入れるのを発表しています。
また、同年Appleが開催した「WWDC」でもデジタルウェルビーイングに関する重要性の発表がありました。世界的な課題として認識されつつあります。
なぜ今注目されるのか
デジタルウェルビーイングが注目されるようになった理由は「スマホやタブレットの普及」と「リモートワークの普及」が挙げられます。
スマホやタブレットはパソコンと比較して、手軽に操作ができて場所を問わず利用が可能です。ゲームやニュースなどのアプリケーションの種類が豊富にあり、生活に必要な情報がほとんど入手できます。そのため、使い勝手が良く長時間利用しがちになります。
さらに総務省の調査によるとLINEやFacebook、Twitter等のサービスのいずれかを利用している割合が、2016年に71.2%となっており、2012年の41.4%から約30%上昇している結果が出ているのです。
SNSは離れたところにいる人と手軽にコミュニケーションが取れることから広く普及していますが、匿名をいいことに誹謗中傷の件数が増えました。その結果、精神的に影響を受ける方が増えて、社会問題になっています。
またリモートワークもデジタルウェルビーイングが注目される理由の一つです。一人で仕事をするようになり、他人とコミュニケーションを取る機会が減りました。愚痴や悩みを抱え込んでしまい、ストレスの増加や精神的な不調が出るケースが増えています。
そのため、テクノロジーの普及により、人々の健康が脅かされているのでデジタルウェルビーイングが注目されているのです。
デジタル端末の使い過ぎによるリスク
デジタル端末の使いすぎは健康に対するリスクがあります。
主なリスクは以下のとおりです。
- 視力の低下
- 頭痛
- めまい
- 肩こり
- 吐き気
- 倦怠感
- 睡眠不足
- 栄養障害
- 骨粗鬆症
- エコノミー症候群
- 筋力低下
- 集中力の低下
- うつ病
上記のようにさまざまな影響があり、一つでも症状が当てはまる方は、デジタル端末を使いすぎている可能性があります。
最悪の場合、入院が必要になったり、長期間生活に支障がでたりするので注意が必要です。
デジタル企業各社による取り組み
テクノロジーの使いすぎは、人々の健康に影響があります。世界的なIT企業で、デジタルウェルビーイングが課題になっているのです。
こちらではデジタル企業各社による取り組みを解説していきます。
- Apple
それぞれ参考にしてみてください。
FaceBookはSNSでデジタルウェルビーイングの取り組みを行なっています。FaceBookはInstagramの「いいね」を表示させなくしました。表示されていると、いいね数を競うことが目的になってしまい、Instagramを利用する時間が増える傾向にあります。
そして、他人の「いいね数」と比較して、精神が不健康な状態になってしまいます。非表示にすることで、投稿を比較する必要がなくなるので、精神の不健康を防ごうとしているのです。
また、FaceBookはアプリの使いすぎを防ぐために、通知をミュートする「Quiet Mode」を導入しました。
指定した時間の間であれば、通知が来ないようにしたり、アプリを利用できなくしたりできます。
通知で気が散ることがなくなり、集中力の低下を防げるでしょう。
GoogleではAndroid端末にデジタルウェルビーイングの対策を行う機能を導入しています。
Android 9 Pieから以下の機能が追加されました。
- ダッシュボード:アプリの使用時間がわかる
- アプリタイマー:1日のアプリ使用時間を設定して、終了すると利用できなくなる
- 高度なマナーモード:マナーモードで設定できないメディアの音量をOFFにしたり、通知を非常時にしたりできる
- Wind Downモード:設定した就寝予定時間になると、画面がグレースケール表示に切り替わる
上記のように利用者が長時間スマホを使わないようにするさまざまな機能があります。積極的に活用してスマホの使いすぎを防ぎましょう。
Apple
Appleは2018年にリリースしたIOS 12から「スクリーンタイム」の機能が追加されました。1日のスマートフォンを利用した時間を可視化するものです。スマホ依存度を手軽に調べられます。
アプリごと使用時間を見られたり、通知の回数がわかったりします。さらに1日の平均利用時間もわかるので、参考になるでしょう。
またスクリーンタイムではアプリの使用時間を制限できます。アプリの使用時間を設定すれば、予定の時間になると自動的にアプリを閉じることが可能です。
前週との比較もしてくれるので、スマホの使いすぎを防げるでしょう。
今日からできるデジタルウェルビーイング
自分でできるデジタルウェルビーイングの対策は何があるのでしょうか。
こちらでは今日からできるデジタルウェルビーイングを解説します。
- スマホアプリの活用による利用制限
- 「敢えて見逃す」喜びを味わう(FOMOとJOMOという考え方)
それぞれ活用してみてください。
スマホアプリの活用による利用制限
スマホを利用している方は、アプリを利用することで制限を設定できます。
Android端末には「Digital Wellbeing」といったアプリがあります。スマホ依存を解消するのを目的にしたアプリです。
主な機能は以下のとおりです。
- アンプラグ機能
- 生産性向上機能
- 使いすぎ防止機能
- 保護者による使用制限
1つ目「アンプラグ機能」にはおやすみモードがあります。おやすみモードは眠りにつきやすいように、設定した就寝時間になると、自動的に画面がグレースケールになり通知が送られて来なくなります。
さらに仕事用プロファイル機能があって「個人用」と「仕事用」を設定可能です。個人用に切り替えると、仕事用のアプリが見えなくなり仕事から開放されます。
2つ目「生産性向上機能」では、スマホを裏返すだけで、自動的に通知が停止されます。わざわざ非表示の設定をする必要がありません。またフォーカスモードを使用すると、選択したアプリを一時的に利用停止にすることが可能です。作業に集中したいときにおすすめです。
3つ目「使いすぎ防止機能」はダッシュボードでスマホの利用状況を確認できます。1日のアプリ使用時間も設定できるので、スマホの使いすぎを防げます。
4つ目「保護者による使用制限」は自分とお子様のデバイスを接続することが可能です。アプリやWebサイトの管理やリモートロックができるので、デバイスの使いすぎを防げるでしょう。
「敢えて見逃す」喜びを味わう(FOMOとJOMOという考え方)
FOMOとは「Fear Of Missing Out」の略で、取り残されることへの恐れを意味します。デジタル社会において、最新の情報を知らないと他者に置いていかれると感じる状態のことです。
JOMOとは「Joy Of Missing Out」の略で、取り残されることの喜びを意味します。FOMOとは真逆の考え方であり、インターネット上の情報やつながりではなく、目の前のことを楽しんで自分を取り戻す状態です。
デジタル依存を解消するにはJOMOを実現する必要があります。
JOMOを実現するポイントは以下のとおりです。
- デバイスの利用時間を短縮する
- 目標・目的を明確に決める
- SNS以外のことに目を向ける(趣味や飲み会など)
上記を意識すると、自然にデジタル依存を解消できるようになるでしょう。SNSを閲覧する時間を削減して、自分のやりたいこと積極的に行うのが重要です。