自律型人材の育成方法を解説!メリットやデメリットは何か?
労働人口の現象による人手不足が深刻で、将来の予測ができないVUCA時代の言われる現在、優秀な人材の確保は生産性向上を考えるうえで無視できない指標の一つとなっています。そのため指示を待つのではなく自らの価値観に基づいて考え能動的に判断・行動をして業務を遂行できる自律型人材に関心が高まってきました。
自律型人材の育成方法やメリットデメリットを知り、生産性を向上して主体的な人材がやりがいを持って働く理想的な会社を目指してください。
自律型人材の意味と望ましい組織の種類
自律型人材の言葉の意味
経営目標を達成するために自分の意志で考え、自発的に業務を遂行する人材を自律型人材と言い、「自律」とは自分の意志で目的や意義を考えた規範をつくり、それに従って行動する状態を意味します。
自律型人材に求めるものは企業によって違うため、企業ごとに異なる定義が必要でしょう。そしてその定義に従い、各企業に合った自律型人材を育成することが重要です。
組織の種類①ホラクラシー型組織
社内に役職や階級がなく、上下関係が存在しないフラットな組織形態をホラクラシー型組織と呼びます。社員一人一人が対等な立場で全員で意志決定をすることで、組織を自律させて統治する自走的組織で、厳密なルールを設定して行われる経営手法です。
従来の日本企業は、経営陣に多くの権限が集められているヒエラルキー組織でしたが、近年は自発的に行動する自律型人材が活躍できるホラクラシー型組織が注目され始めています。
組織の種類②ティール組織
一人一人の従業員に意志決定権があり、上司がマネジメントをしなくても従業員の意志により目的の実現を図ることができる組織形態をティール組織と呼びます。ティール組織でも自律型人材は重宝されるでしょう。
ティール組織はホラクラシー型組織とは違い、厳密なルールは設定しません。ティール組織は経営手法ではなく、明らかな組織モデルが存在しないく組織概念です。
自律型人材が必要とされている背景
現在のビジネス社会で自分の意志で考え能動的に行動する自律型人間がなぜ求められているか、その背景を解説しましょう。
背景①世の中の大きな変化
現代社会は、少子高齢化に伴い市場のニーズが複雑に変化し、技術革新やグローバル化が急激なスピードで進むなど将来の予測が難しいVUCAの時代と言われています。
そのため企業が継続的な成長を続けるためには、世の中の動きに対して柔軟に対応でき、変化に合わせて自主的に判断し行動できる自律型人材が必要不可欠と言えるでしょう。
背景②雇用スタイルの変化
近年、労働人口の減少による人手不足が深刻な社会問題になっています。そのため、雇用スタイルが従来のように会社が時間をかけて社会人としてのスキルを教育していくメンバーシップ型の雇用から専門的な能力を持つ人材を雇用し教育に時間をかけないジョブ型雇用に変化しています。
ジョブ型の人材は職種に特化した知識や能力を持つ必要があるため、自分の意志で考え勉強をし自発的に行動する自律型人材が求められるでしょう。
しかし、初めから能力を持つジョブ型人材を採用だけで確保することは労働市場の競争が激しい現在なかなか困難なため、これからは自律型人材を育てる教育が必要となります。
背景③働き方の多様化
最近のビジネス社会は、フレックス制や時短勤務、テレワークなど働き方が多様になってきています。特にテレワークなどの在宅勤務は個々に自分の意志で仕事をするので、自主性が求められます。
多様化する働き方に対応するためには、指示をしなくても自発的に判断し、行動する自律型人材を増やし、職種にあった働き方を推進することが、生産性の向上につながるでしょう。
自律型人材に必要なスキル
自律型人材には必要なスキルがいくつかあり、それらのスキルをバランスよく持つ人材であることが重要です。必要なスキルを解説します。
スキル①自発的に仕事へ取り組む能力
自律型人材は、自分の価値観で考え信条に沿って判断して自発的に行動できる能力が必要とされます。自分のするべき仕事に対し、指示を待つのではなく自らの意志で高い目標に向かって業務を遂行します。
また自律型人材はトラブルが生じても自ら考え解決するため、課題解決がスムーズに進み、管理職の負担軽減にもつながり、生産性が上がるでしょう。
スキル②責任を持って行動する能力
自主的に行動することにより責任感が生まれ、自分を律する行動である自律ができます。そのため、自律型人材は自分の仕事に責任を持って取り組むことができ、目標達成のために粘り強く努力するため、企業に重要な存在となるでしょう。
自律型人材は、自身が打ち立てた目標に向かって責任感や積極性を持ってメンバーとともに取り組む能力があるため、プロジェクトのリーダーにも適しています。企業に対して当事者意識を持ち明確な目標を掲げてチームのメンバーと共有しているリーダーが統率している組織は、プロジェクトを成功に導くことができるでしょう。
スキル③独自の考え方で活動する能力
時代のニーズに柔軟に対応して自主的に行動する自律型人材は、独自の考え方で活動する能力が大切です。変化が著しい現代社会においては、オリジナリティのある考え方や創意工夫が必要不可欠でしょう。新しい事業に挑戦するチャレンジ精神のある人材が魅力的な資質として自律型人材には求められます。
スキル④他人を巻き込む能力
プロジェクトを遂行する際、一人で成し遂げることは非常に困難です。他人を巻き込むコミュニケーションを図れる能力をもつ自律型人材は、課題に直面しても周囲の手助けを借りて迅速に問題解決ができるでしょう。
問題に早期解決は企業の安定した経営に不可欠です。自律型人材の持つ他人を巻き込む能力は企業が継続的に成長するために重要な要素といえるでしょう。
企業における自律型人材のメリットとデメリット
メリット①管理職の負担軽減が可能になる
自律型人材は指示を待たず、自分で考え自主的に行動するため管理職は作業ごとの指示を出す必要がなくなり、負担が軽減されます。そのため管理職はマネジメントに集中でき、企業の成長につながるでしょう。
また、トラブルが発生した時も問題解決のために自分が何をするべきかを能動的に考え迅速に行動できるので、対応が遅くなることを防げるため、安定した経営が実現できます。
メリット②独自性のあるアイデアが生まれやすくなる
自律型人材は、指示どおりの仕事をするだけでなく独自の価値観で自発的に業務を遂行するため、オリジナリティのある柔軟なアイデアや考えが生まれやすくなります。
自律型人材が多い企業は、多種多様な価値観の考えの中から既存のやり方にはない新しい発想が生まれイノベーションを起こすことができるでしょう。
メリット③業務の効率化に繋がる
前述のように、自律型人材は管理職の指示を待たずに自分の考えで判断し行動するため、上司の指示を待つ時間が減少します。そのため指示待ちのために業務がストップすることがなくなり、業務の効率化に繋がるでしょう。
自発的に行動する自律型人材が多い企業は、従業員が自ら業務を制御したり調整したりすることができ、課題に直面しても解決する能力を持っているため、生産性が向上し、業績もアップします。
メリット④テレワークに対応しやすくなる
コロナの流行により将来の予測が見通せず従来の働き方の見直しが急務となった現在、いつでもテレワークに移行できる体制づくりが重要となりました。
オフィス以外の場所で働くテレワークでは、リーダーがチームのマネジメントが難しい環境です。テレワークを推進するためには、管理職の目が届かない場所でも自ら自主的に考え判断し、目標に向かって計画、行動できる自律型人材が重要視されます。
自律型人材のデメリットは?
活躍の場が多い自律型人材ですが、先述のようなスキルや要素を身につけないといけないなど育成に手間や時間がかかるというデメリットがあります。効果的に自律型人材を育成するための研修プログラム準備され始めましたが、コストがかかり準備のためのノウハウも必要です。
最近ではオンライン動画サービスも増えてきているので、自社に合った方法で効率的に自律型人材の育成をしていくことが大切でしょう。
自律型人材の育成方法
育成方法①企業のトップがメッセージを発信する
自律型人材が活躍している企業は、従業員が企業のビジョンを理解しそれに沿った同じ目標に向かって行動しています。そのため、自律型人材を育成するためには、企業の経営陣が経営戦略や企業理念などのメッセージを従業員に発信する必要があるでしょう。
企業により必要な知識やスキルはそれぞれ違います。企業のトップは理想の自律型人材を定義し、従業員にそれを伝えることも重要です。そして、その理想に向かって自律型人材を育成することで、企業のビジョンに合った成長をすることができるでしょう。
育成方法②キャリア開発やキャリアデザイン研修を活用する
自律型人材は自分で考え判断し、行動ができる人材です。自律型人材になるためには、それができる能力や知識を持っていることが大前提でしょう。
自律型人材を育成するには、まず自社に必要なスキルや知識を洗い出しそれらを身につけられる研修を実施する必要があります。最近は人材育成の専門企業が多種多様なキャリア開発やキャリアデザインの研修をしているので、それを活用すると効果的です。
研修では一人ひとりの従業員の適正や強みがわかり、モデルケースを踏まえて学習できるので自律型人材の育成に有効と言えるでしょう。
育成方法③従業員に責任のある業務を任せる
自律型人材を育成するためには、当事者意識を持つことが重要です。自分が社会や企業の一員として役に立っていると感じると、仕事へのモチベーションが上がり意欲が増します。
当事者意識を高めるためには、責任のある業務を任せ、経験を積ませることが重要です。リーダーとしての経験は判断力を養い、自律型人材として企業の成長に必要な人材となるでしょう。
育成方法④定期的に面談を行う
現代社会は、テクノロジーの進化が急激に進み、市場のニーズも変化し続けています。そのような世の中で自律型人材が活躍するためには、定期的に面談をし、現在の業務を振り返ることも大切です。
その際、上司はできるだけ指示を出さず、部下が自分の考えで行動するように誘導しましょう。そのような面談を繰り返すことで、部下は自分で考え判断する力を養うことができ、自律型人材へと成長することができます。
育成方法⑤人事評価制度を整える
従業員がモチベーションをアップして自主的に行動するためには、透明性の高い明確な人事評価制度の整備が必要不可欠です。
自律型人材を育成するためには、結果だけではなく自発的に行動する姿勢自体を評価することも重要です。能動的な行動によって失敗した場合も必ず何かを得ることができます。様々なことにチャレンジできる体制を整えることが自律型人材を育て、企業が成長するためには大切でしょう。
育成方法⑥柔軟な移動制度を取り入れる
自律型人材が活躍するには、自分のスキルや能力、強みに適した職種を自らの意志で選択できる環境が整っていることが重要です。
近年は、各部署で異動希望者を公募する制度や従業員が希望部署に自己アピールをして売り込む社内FA制度などの異動制度を整備している企業もあります。このような異動制度により、個々の従業員は自分の目指す人材について考えるきっかけとなり、自律型人材へと成長するでしょう。
育成方法⑦自主学習をサポートする
自律型人材は、スキルアップを目指すため自発的に学習をしようとします。企業はそのような従業員を支える制度を導入することも重要でしょう。
また、従業員同士が集まって勉強できる研修を設けたり、資格取得のための費用の援助なども、自律型人材のスキル向上のためには大切です。これらの学習支援によって従業員一人一人がスキルがアップするとともに、互いに刺激しあうことで従業員のモチベーションも上がり、自律型人材が活躍できる職場となっていくでしょう。
自律型人材を育成して理想の会社を実現しよう!
現代社会は少子高齢化による市場のニーズの変化やテクノロジーの急速な進化により、日々変動しています。そのため、記号が生産性を向上させて業績をアップするためには、自分で考え判断し自主的に行動をおこすため変化に柔軟に対応できる自律型人材が重要視されるようになってきました。
企業のビジョンに沿って同じ方向性を向いて同じ目標を目指している自律型人材を育成して、経営戦略を成功させ、理想の会社を実現しましょう。