9ブロックで人事評価するメリット・デメリットは?新制度についても

9ブロックで人事評価するメリット・デメリットは?新制度についても
目次

9ブロックの意味を解説!メリットやデメリットは何か?

企業の中で従業員の評価をするときに重要なのは公正性や正確性。そういったときに活用できるのが9ブロックという人事評価ツールです。9ブロックで人事評価するメリットやデメリットを踏まえながら、取り入れる手順を参考にしてください。

9ブロックとは?

GE社が開発した優れた人材評価ツールのこと

9ブロックとは、人材育成に多くの予算と人材を充てて取り組んでいるアメリカのゼネラル・エレクトリック社(通称GE社)によって開発された人事評価ツールです。GE社が開発当時はまだ人事評価という分野での画期的なツールはありませんでした。

しかし、企業が求めている人材像の明確化や現状とのギャップの把握、それに対する対処方法の検討を行う9ブロックが有名になったことで、さまざまな企業で9ブロックが活用されるようになります。

さまざまな企業やシステムで活用されている

9ブロックはいろんな形に変わってもなお、さまざまな企業やシステムで活用されています。GE社が開発した9ブロックは潜在意識を正しく評価することのできる人事評価制度として大きな話題となりました。

日本でも多くの経営者や人事担当者たちが9ブロックを活用できないのか検討され始めます。その結果、「9ボックス」や「ファイブボックス」といった9ブロックに似たツールや9ブロックの考え方を組み込んだマネジメントシステムが次々に登場しました。

GE社が9ブロックを廃止した理由

2016年にGE社はいきなり9ブロックの廃止を発表。廃止を発表した理由としては、9ブロックによる評価方法は社員の生産性の向上に貢献できていたのか、誰のための目標設定なのか、部下の評価を行うために費やしている時間は生産性があるのかという3つの問題点が出てきたからです。

GE社が新たに開発した新制度との違い

9ブロックの問題点を解決するべく、レイティングによる評価と分布図による可視化を行わないための人材評価方法であるPD(パフォーマンス・デベロップメント)新制度を開発しました。9ブロックと新制度の違いは、コミュニケーションを活用した評価方法かどうかです。

9ブロックでは第三者による評価をデータにして人事評価をしてきました。ですが、新制度では従業員一人一人とのコミュニケーションによって、その従業員がなりたい理想像を把握して企業が援助しながら能力を活かすことのできる企業戦略や人事戦略を組み立てていくというがPDによる新制度です。

9ブロックで人事評価するメリット

メリット①優秀な人材の流出を防ぐことができる

9ブロックでは全従業員を対象に、定期的に実施する人材評価を整理して分析するためのツールです。そのため、今までの評価方法では評価の機会を逃してしまい、他の企業へ流出してしまった優秀な人材を9ブロックを活用して早期発見、正当な評価を行うことができます。

メリット②従業員のモチベーションアップに役立つ

9ブロックの導入によって、全従業員は定期的な自己評価と第三者による評価を実施できます。自己評価では自分の行動や業務内容の振り返りによって自身の成長に繋がることでしょう。

第三者の評価では、自己評価で見落としていた失敗やクセ、先入観といった改善点を客観的に知ることができます。それだけでなく、自分で知らなった自分の魅力やスキルを評価されることによって、自分に自信を付けることができるでしょう。

メリット③効果的な人事戦略を組むことができる

9ブロックを導入すると、従業員を合致したブロックに配置することで企業内の人材を可視化することができます。従業員一人一人の特徴や能力を把握しているからといって、その人に合った場所に全員を配置していくことは簡単ではありません。

そんなときに9ブロックを活用することで経営者や人事部が常に最新の人材状況を把握できます。配置バランスを視覚的に確認しながら人材採用戦略や人材育成戦略、人材の適正配置といったさまざまな人材戦略に役立つのが9ブロックです。

メリット④人材評価の容易化が可能になる

従業員一人一人が持つスキルや意識を一律に数値化することは難しく、評価担当者にとってはかなりの負担になります。しかし、従業員同士の能力を比較(相対評価)することで感覚的に人材評価をすることが可能です。また、しばらくした後での人材評価も容易化できるでしょう。

メリット⑤指導力や人材育成能力の向上に繋がる

9ブロックの導入によって、それぞれの部署内の人材が保有しているスキルや現在の課題が明確になります。それによって、上司はその従業員の成長に必要なノウハウをピンポイントで伝えられるようになるでしょう。

人材育成対象者の成長レベルと関わりによる指導効果や育成効果を情報として収集・蓄積していくことで、指導力や人材育成能力は向上し、相手のスキルや抱えている問題を見極めることができるようになります。

メリット⑥従業員のエンゲージメントを高めることができる

9ブロック導入後はプロセスを通じて、企業内の人材は密接な関係を持つことができます。企業理念を再確認することで企業理解は深まり、企業の成長に向けてより努力しなければならないという決断力が生まれるでしょう。

また、自分を評価対象として向き合う評価者に対しても、自己成長をサポートしてくれる頼りがいのある仲間として信頼することができます。従業員と企業とのエンゲージメントだけでなく、その企業に関わる全要素へのエンゲージメントを高めることができるでしょう。

9ブロックで人事評価するデメリット

デメリット①コミュニケーションの機会が少ない

9ブロックによる評価では、定期的に決まった期間で実施されます。そのため、評価期間には上司と部下の関係は近くなりますが、それ以外の期間ではコミュニケーションが減る傾向があるため注意が必要です。

面談などの9ブロック評価の機会を数カ月に一度にするなどの工夫が必要となるでしょう。コミュニケーションの場を多く設けることで、9ブロックを活用しながらより効果的な人材評価を期待できます。

デメリット②達成目標やゴールイメージの共有が難しい

9ブロックは今までの成果やスキルなどについて上司と面談することがあっても、面談後に今後の目標やゴールのイメージを話す機会がありません。ですが、評価するときと同じように評価後に面談をし、そこで今後の目標やゴールイメージを話す機会が必要となるでしょう。

デメリット③優秀者に該当する人材が限られてしまう

9ブロックの審査方法では、次世代をけん引するリーダー的人材は優秀者に該当される人材は凄くわずかです。その結果、従業員の多くは普通というグループに属します。企業は優秀者に該当した人の人材育成などに気を取られてしまいがちです。

普通というグループに属された人材の中にも、向上心を持って仕事に取り組む従業員や今後のスキルアップを目指している従業員がいることを忘れてはいけません。普通と評価を受けた人材のモチベーションの刺激も忘れずに行いましょう。

9ブロックの導入手順

導入手順①ビジネスバリューを導き出す

9ブロックを導入するためには、まず企業に関わる全ての仕事や成果にプラスの影響を与えてくれるビジネスバリューを導きましょう。企業が継続して成長を続けるためには、企業の活動に対し、常に新しい力や刺激を与えてくれる存在が必要です。

例えば、GE社は独自のGrowth Valuesという指標を用いることで、従業員一人一人に対する今後の期待値を可視化させました。GE社にとっては、このGrowth Valuesがビジネスバリューであり、ビジネスコアでもあります。

企業内活動において継続的に成果を出し続けている成功者に共通する行動の特性もビジネスバリューの要素として加えることで、リアルなリーダーモデル構築が可能です。将来を見据えながらビジネスバリューを導くことで、これからの企業をけん引していくリーダーや後継者の育成が効率的に行えるでしょう。

導入手順②評価項目を設定する

ビジネスバリューを導き出すことができたら、評価を行うときに使用する評価項目を設定します。ビジネスバリュー評価には基準は存在しないため、パフォーマンス評価と同じレベルまで簡単に整理しておくと良いでしょう。

また、評価項目ごとの設定に合わせた評価基準や評価方法についても同時に検討すると、9ブロック評価を実施したときのイメージがしやすくなります。

導入手順③プライオリティを設定する

次は、より正確な期待値を測るためにプライオリティ(優先順位)を設定していきます。多くの評価項目を準備した場合、「ビジネスバリュー評価ではAさんが優秀。けど、他の項目ではBさんが優秀」という状況が発生することでしょう。

そうした場合に正しく評価できるようにするためにプライオリティは欠かせません。また、プライオリティを設定しておくことで、自社のビジネス環境や力を入れているプロジェクト、次に達成するべき業績目標との合致度の高い項目を見極めることができます。

導入手順④自社に合った9ブロックを作る

ここまでの手順ができたら9ブロックの完成まであと少しです。GE社の9ブロックの仕組みを参考に、作成した自社オリジナルの人事評価ツールである9ブロックと人材評価シートを完成させます。

導入手順⑤全従業員に通知する

完成した9ブロックと人材評価シートを全従業員に対して通知します。このとき、企業理念や現在の企業目標、企業が求めている人材像と合わせて通知しましょう。この通知を受け、従業員一人一人がこれから自分たちがどのような視点で評価を受けることになるのかを知り、理解・自発的な行動をすることができます。

導入手順⑥評価者教育を実施する

評価の公平性や正確性さを保つためにも、9ブロックを利用する評価者のトレーニングが必要です。評価者のトレーニングでは、評価結果と被評価者のマッチングが評価者の評価にとしても反映されるということをしっかりと伝える必要があります。

また、自己評価や他者評価といった見極める力が次世代のリーダーやプロジェクトに必要不可欠であることを教育しましょう。評価者のトレーニングができたら、9ブロックを活用していきます。

導入手順⑦9ブロックの運用と見直しを行う

それでは、9ブロックを活用していきます。従業員からの指摘が上がらないように運用し始めの頃は、評価結果にムラやズレがあることを周知しておきましょう。9ブロックを活用していくうちに改善したほうが良いと感じるところは、適宜修正してください。

9ブロックの効果を高める方法

評価項目やプライオリティの再設定を行う

9ブロックを活用していくうちに改善したほうが良いところが見つかることがあります。このときに重要なのが、検証や振り返りと改善です。計画と実行は必ず行われますが、検証や振り返り、改善は9ブロックを運用する上でなくても支障はありません。

だからこそ、9ブロックを運用するたびに検証や振り返りを行い、問題点があれば改善していくことが重要です。適宜改善していくことで次第に修正部分の減少、9ブロックの運用への負担が減ることでしょう。

適切なサイクル間隔を設定する

9ブロックを活用するにあたって、運用するサイクルの適性感覚は業種や経営状況、企業理念、目標などによって大きく異なります。サイクル間隔を短くすると、目的の効果が思うように発揮していなかった場合に早期発見に繋がりますが、従業員が多い企業ほど9ブロックを活用する負担が出てくるでしょう。

一方でサイクル間隔を長くするとそれぞれの評価を丁寧に行える半面、企業を取り巻く環境の変化に対して対応できなくなります。9ブロック効果を高めるためにも企業は適切なサイクル間隔を設定する必要があるでしょう。

企業理念をしっかり浸透させる

企業理念をしっかりとに社内に浸透させたGE社が、9ブロックを活用して大きな成果を上げることができました。通常では企業の規模が大きくなるにつれて企業トップの声が従業員に届かなくなることでしょう。

しかし、採用や育成、表かといったあらゆる機会に企業理念の再確認を実施しているGE社では、常に全従業員が同じ方向を向いて進むことができています。こうしたGE社を参考に、企業理念をしっかりと社内で浸透させることは9ブロックを運用する上でとても重要です。

多面評価を取り入れる

評価の正確性を高めるためにも複数の異なる関係性を持つ評価者を設定し、多面評価を取り入れる必要があります。ビジネスバリュー評価の正確性は9ブロックの実施によって選ばれたリーダー候補の質に直接的な影響を与える重要な要素です。

しかし、評価者と被評価者の関係性によって得られる情報に偏りが生まれてしまう可能性があります。そうしたことのないように、直属の上司や管理者、先輩社員などの上からの視点や部下や後輩社員などの下からの視点など、複数の評価者からの多面評価は重要と言えるでしょう。


9ブロックを導入して人事評価の質を高めよう!

公平・正確な人事評価ツールである9ブロックについて解説しました。9ブロックは効率よく公平性・正確性のある評価をするための人事評価ツールです。評価される従業員だけでなく評価する側も周囲から客観的な評価を聞くことで、従業員一人一人スキルやモチベーションアップに繋がるでしょう。

そうしたモチベーションアップは企業としても良い結果を残す可能性があります。本記事で紹介した9ブロックを導入・活用して公平で正確な人事評価に変えていきましょう!

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