テレワークやリモートワークに適した評価制度を知りたい!
企業に浸透しつつあるテレワークやリモートワークですが、その人事評価についてはさまざまな課題があるようです。そもそもオフィスに出勤することなく、自宅や出先で仕事を行うテレワーク。こうした働き方の評価を行う際には、いくつか抑えておくべきポイントがあります。
この記事では、テレワークやリモートワークに適した評価制度の作り方や、具体的な企業事例などまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
テレワークとリモートワークの評価制度に関する課題
まずは、テレワークやリモートワークにおいての評価制度に関する課題について解説します。世間に浸透しつつあるテレワークやリモートワークですが、評価成果にはさまざまな問題点があるようです。
課題①手続きが滞ってしまう可能性がある
テレワークやリモートワークでは、手書き書類や押印など、人の手を介する各種手続きが遅れがちになってしまう可能性があります。昨今はオンライン署名やオンライン押印などもありますが、そこまで設備が整っていない企業がほとんどです。
また、各種決済なども人的問題やセキュリティなど、多方面に配慮した状態で行わなければならないので、通常勤務よりも滞ってしまう場合も。
課題②勤怠管理が難しい
テレワークやリモートワークにおいては、勤怠管理も重要な課題です。オフィス勤務の場合は、評価する側が目視で社員の勤怠を確認できますが、テレワークやリモートワークの場合は不透明に。
また、コミュニケーションの機会も減少することから、社員のパーソナリティも分かりにくい状況になっています。そのため、評価する側によっては勤怠管理が難しく、人事評価もやりにくいという課題があります。
課題③評価方法にばらつきが生じる
テレワークやリモートワークでは、評価する側もされる側も直接顔を合わせる機会が少なくなってしまいます。特に、評価する側にとって、その評価方法が人によってばらつきが出る場合があり、これが人事評価に大きく影響します。
これまでは、社内や業務を行う上で、評価基準のすり合わせや意思の疎通が可能でしたが、テレワークやリモートワークが主流になると調整が難航。一定の基準を設けずに評価を行うと、人によってばらつきが生まれるため、正当な評価がしにくくなるといった課題があります。
課題④人事プロセスが遅延しやすい
社員の人事評価は、上司や人事部が単独で行うものではありません。評価する上司を始め、社内規定や企業の目標達成にどのように貢献したかなど、あらゆる観点で評価を下さなければいけません。
従来では企業のオフィス内でこうしたやりとりを密に行っていましたが、テレワークやリモートワークだとやや難しく、人事プロセスに遅延が発生する可能性が大きいと言えます。
課題⑤コミュニケーション不足になりやすい
従来まではオフィスで気軽にコミュニケーションをとることができましたが、テレワークやリモートワークでは、企業間でのコミュニケーションも希薄になりがちです。
業務報告や連絡などはオンラインで可能ですが、雑談やオフレコの話などはなかなかできません。これは評価する側にとってもデメリットが大きく、大きな課題のひとつだと言ってもいいでしょう。
テレワークやリモートワークに適した評価制度の作り方
テレワークやリモートワークに置いての評価制度の作り方のポイントを解説します。評価項目や管理制度など、具体的な例を挙げて紹介しますので、人事評価制度を策定する際の参考にしてください。
評価項目を明確にする
テレワークやリモートワークでは、社員と直接対面する機会が激減するため評価が難しくなってきます。そのため、人事評価を行う際には、具体的な評価項目を明確にすることが必要です。
また、テレワークやリモートワークであっても、定期的なミーティングや面接を行うことで、基本的なコミュニケーションを図ることも重要だと言えるでしょう。
評価方法を統一する
人事評価を行う際には、評価方法の統一が重要なポイントとなります。これは実際の業務においても重要で、人や部署によって評価方法が異なると、公平な評価ができなくなってしまいます。
特にテレワークやリモートワークになると、評価サイドの情報交換の機会も希薄になることが懸念されます。評価の公平性を保つためにも、評価方法の統一は必要不可欠なプロセスだと言えます。
目標管理制度を取り入れる
評価の際に有用なのが、目標管理制度です。目標管理制度とは、個人で目標を設定し、それをクリアするための取り組みや中間目標の達成を評価の基準にするというもの。また、組織でも目標を定め、個人の目標と並行して実行したプロセスを評価する方法が有用だとされています。
評価する側としては、社員の目標をしっかりと把握し、その成果を見極めることで、テレワークやリモートワークなどでもきちんと評価することができる制度です。
バランスの取れた「プロセス評価」と「成果主義」を採用する
目標管理制度のように、完全な成果主義にしてしまうと、業務によっては不公平な評価になってしまうことも。数字化することのできない業務に就いている社員の場合、成果主義だけだとモチベーションが低下してしまうことも懸念されます。
そうした事態に陥らないよう、企業としては会社の取り組みを実行する社員を評価するプロセス評価と、社員の成果を評価する成果主義の2つをバランスよく評価に反映することが重要です。
社員が自己PRできる機会を設ける
テレワークやリモートワークでは、社員間のコミュニケーションが希薄になってしまいます。また、会議やミーティングなども効率化を重視することで、社員の声が届かないといった事態に陥る可能性もあるでしょう。企業としては、テレワークやリモートワークであっても、社員の声を拾う働きを積極的に行うことをおすすめします。
これにより社員のプロセス実行の進捗確認や、セルフマネジメントの意識の向上にもつながるなど、企業としても大きなメリットを享受できるでしょう。
業務の可視化に繋がる仕組みを作る
テレワークやリモートワークでは、社員の業務の可視化がしにくくなります。この部分を無視してしまうと、社員に負担が偏ったり、過剰な労働時間が発生して、社員のモチベーションを下げてしまう場合も。
企業としては、純樹氷化のルール化や、評価の公平性、働きやすさに注力しつつテレワークやリモートワークの推進を行うことをおすすめします。
ITツールを導入する
オンラインの人事評価は、既存のITツールを活用するのも有用です。テレワークやリモートワークの普及と共に、ITを活用した人事評価システムなども数多くリリースされています。
あらゆる業種に対応しているので、企業の業態に適したツールがある場合は、積極的に導入して、時間の節約をしたり、人材の負担を軽減したりすると良いでしょう。
テレワークとリモートワークにおける評価制度の企業事例
テレワークやリモートワークを実施している企業の評価制度は、実際はどのようになっているのでしょうか?ここでは、テレワークやリモートワークにおける評価制度の実例を具体的に紹介します。
企業事例①カルビー株式会社
菓子などの販売を行うカルビーでは、テレワークやリモートワークの導入自体は2009年から段階的に行っていました。ワークライフバランスと成果主義の2本柱を掲げ、業務目標に応じた評価を基本にして人事評価を実施。この取り組みは、2015年に厚生労働省から「輝くテレワーク賞」を受賞しました。
企業事例②株式会社SiM24
半導体パッケージや電子機器の分析などの受託シミュレーションサービスを行っている株式会社SiM24では、高いスキルを持った人材を活かすため、在宅で高度な解析シミュレーション業務が可能になる環境を構築してきました。報告と愛とプット管理に重きを置いて管理し、業務時間と成果の2つの観点から人事評価を行っています。
企業事例③向洋電機土木株式会社
電機設備の設計や施工を行う向洋電機土木株式会社では、社員のライフスタイルに合わせてテレワークやリモートワークを導入しています。業務内容は社員への面談をメインにして、それぞれの特性や生活に合わせた選択ができるシステムを構築。
評価は、申請内容と成果物を照らし合わせて、社内の委員会で検討。評価結果は本人に伝達するなど、透明な組織も大きな特徴の一つです。
テレワークやリモートワークに適した評価制度を取り入れよう!
テレワークやリモートワークの浸透に伴い、評価制度や評価基準などに頭を悩ませる企業が増えてきました。しかし、評価の基準を定めたり、ITツールを活用したりと、いくつかのポイントを押さえておくことで、公平な人事評価を実行することが可能になります。
きちんとした人事評価を行うことにより、社員のモチベーションも上がり、生産性にも良い影響があることでしょう。ぜひ、テレワークやリモートワークにおける評価制度を整えて、テレワークやリモートワークをより有意義な働き方に昇華してください。