タレントマネジメントを人材育成に役立てたい!
労働人口の減少に伴い、少ない人数で会社の業績アップや成果を出すことが求められています。少人数でも会社の成果に直結するという考え方が広がり、タレントマネジメントという人材戦略を導入する企業が増えています。
本記事では、タレントマネジメントの目的、メリットやデメリットをまとめました。実際にタレントマネジメントを導入している企業の事例も紹介しているので、事例を参考にタレントマネジメントの導入を検討してみましょう。
タレントマネジメントとは?
人材のパフォーマンスの最大化を目指すマネジメントのこと
タレントマネジメントとは、それぞれの人材のパフォーマンスの最大限を目指す、マネジメント方法のひとつ。
タレントマネジメントでは、自社で勤務する人材(タレント)が、どのような分野を得意とし、どのようなスキルや能力を持っているか把握し、優れた知識やスキルと最大限に発揮できるような、人材教育や配置を行います。
タレントの言葉の意味
まず初めに、タレントという言葉の意味を確認します。タレントとは、才能・素質・技量といった意味を持つ言葉。このような意味をもつタレントという言葉は、企業の人材管理という視点から見ると、会社に貢献できるスキルを持った人、優秀な人材という意味で捉われます。
タレントマネジメントはアメリカで誕生した考え方
多くの企業が取り入れようとしている、タレントマネジメント。タレントマネジメントは、アメリカで誕生した考え方のひとつです。アメリカといえば、人材の流動性が高く、優れた人材が他者に流れてしまわないように、自社でしっかりと教育する必要があります。
優秀な人材を自社で育成する目的として始められたタレントマネジメントは、1990年に考案されました。1990年の日本は、終身雇用制度が基本となっていたため、人材の流動性が低く、タレントマネジメントという考え方は不要とされてきました。
しかし、日本の労働市場の流動化が進んだことで、日本国内でもタレントマネジメントという考え方が広がりました。従来のやり方が通用しなくなり、このタレントマネジメントが注目されています。
タレントマネジメントの目的
日本は就労人口が減少し、人材の確保に苦戦している企業も少なくありません。今後、ますます労働人口が減少し、雇用市場は難化する見込みです。このような状況であっては、大手の大企業であっても優秀な人材を確保するのが難しくなっています。
このような時に活用したい方法が、タレントマネジメント。タレントマネジメントは、社員の能力を最大限に引き出し、社員1人1人のポテンシャルを向上させ、優秀な人材に育成する目的があります。
人材不足で苦しむ企業こそ、今いる社員の能力を最大限に引き出すことが重要。社員の能力や特性を把握することで、会社自身の評価制度や教育体制を見直し、人材不足を避けることも可能です。タレントマネジメントの目的を理解し、社員の育成に役立てましょう。
タレントマネジメントの組織
SHRM(全米人材マネジメント協会)
SHRM(全米人材マネジメント協会)は、1948年に創設された、世界最大の人材マネジメントに携わるコミュニティーで、約28万の会員が所属しています。SHRM(全米人材マネジメント協会)は、人材育成に関する資格の認定や、人材マネジメントを目的とする理論の体系化を行っています。
組織別のタレントマネジメントの定義
SHRMは、人材の採用や選抜、適材適所、リーダーの育成や評価、後継者育成などのプロセスを通して、会社の生産性を高め、優秀な人材を育成し、必要なスキルを持つ人材の意欲を向上させる目的があります。
SHRMは、現在と将来のビジネスニーズの違いをしっかりと見極め、優秀な人材を維持すること、能力開発を統合的かつ戦略的に進める取り組みを導入します。
ASTD(米国人材開発機構)
ASTD(米国人材開発機構)は、1994年に創設された、100か国以上に4万人以上の会員を持つ、非営利組織です。ASTDは人材開発を目的としており、世界最大の会員制組織となっています。このASTDの会員の中には、企業のトップが約2万人以上所属しています。
ASTDは人材開発を目的をして活動しているため、組織開発や人材開発に関するカンファレンスやセミナーを積極的に開催しています。また、人材開発を目的とした書籍も多く出版されています。
組織別のタレントマネジメントの定義
目的達成に必要な人材の採用や人材開発を促すと同時に、仕事を効率良く進めるために、職場風土や仕事に対する取組み、能力開発や人材補強の4つの視点から実現に向けて動きます。
タレントマネジメントが注目されている理由
人材育成や人事制度が重視されるようになったため
最近では、人材育成や人事制度が重視されるようになり、タレントマネジメントが注目され始めました。企業の生産性や競争力を高めるためには、人材育成や従業員の意欲を引き出すことが重要とされています。
経営環境の変化が激しくなったため
現在の世界経済環境は、予測困難で変化が激しい時代が到来しています。現在の世界経済は、Volatiliy(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)という言葉の頭文字を取り、VUCA時代とも呼ばれています。
AI技術などのITが発達することで、ビジネスモデルが変化しているため、企業は従来の考え方では経営環境を予測するのは不可能。次々と新しい技術が誕生しているため、企業はスピーディーに新しいアイデアを創出し、素早い対応力が求められます。
スピーディーに新しいアイデアを出し、素早く対応していくためには、優秀な人材が必要不可欠。適材適所に人材を配置することで、新たなアイデアを生まれやすくすることが重要です。
グローバル化が進んだため
グローバル化が進み、市場競争は国内だけでなく、世界中で行われています。日本の家業といえば、半導体をイメージする人も少なくありません。
天然資源を持たない日本は、知識=タレントという考え方が浸透せず、知識を利益に変えられていないのが現状。タレントマネジメントが活かしきれず、半導体事業が衰退したとも言われています。
グローバル化が進む現代、タレントが所属する組織の成果によって、企業の競争力や生産性が上がると考えて良いでしょう。
市場が成熟化したため
一昔前であれば、モノを作れば売れるという考え方が浸透してました。現在、市場はモノであふれているため、モノを作れば必ず売れるという時代は終わりました。市場が熟成化したことで、消費者はモノの選択肢が増え、ニーズに合ったものを選ぶように。
市場が熟成化しているため、消費者にとってニーズにマッチした商品を開発する必要があります。他の企業と差別化されたアイデアが必要となり、売れる商品やサービスを提供することが重要。
タレントマネジメントでは、会社運営の根底にある利益を生み出すことは何かということをしっかり理解し、人材を育成していく必要があります。
労働への意識が変化したため
日本の人材管理といえば、年功序列や年次管理が基本で、勤務年数や年齢によって配属や役職が決められていました。そのため、仕事は長く続けないと評価されない、仕事は辛くても続けるべきと考えられていました。
しかし、現在は仕事のやりがいや楽しさなどのモチベーションが重視され、労働への意識が変化しています。人材のモチベーションを維持するために、タレントマネジメントを活用し、個人のスキルを発揮し、仕事へのやりがいを感じられる仕組み作りが求められています。
深刻な人手不足に陥っているため
日本は、少子高齢化に伴い、労働人口が減少しています。企業は限られた人材で、最大限のパワーを発揮することが求められます。マンパワーでは対応しきれない企業も増えており、タレントマネジメントが注目されはじめました。
タレントマネジメントの効果
効果①人材配置の最適化に繋がる
タレントマネジメントを導入することで、人材配置の最適化につながります。タレントマネジメントの目的は、社員の能力やスキルを把握し、最大限引き出すことですが、目標やビジョンも同時に把握可能です。
スキルや将来のビジョンを把握した上で、人材配置を行うことで、社員のポテンシャルを引き出せます。人材配置を適切に行うと、少ない社員数で良いパフォーマンスを発揮できます。労働人口が減少しているため、少ない社員数で生産性を上げることは重要視されています。
効果②公平な能力評価が可能になる
社員に公平な評価を行うことは、人事評価の中でも難しいとされています。評価制度が整っていない場合、人事の評価制度に不信感を抱く社員も増え、仕事に対するモチベーションも下がります。人事は、どのようにすれば評価されるかなど、基準を示すことが大切。
タレントマネジメントは、戦略的な人事を目的としているため、タレントマネジメントを運用するためには客観的な指標が必要。タレントマネジメントを導入し、社員の能力や実績を把握し、公平に評価することで、社員と企業の間に信頼関係が生まれ、離職率の低下にもつながります。
効果③人材育成を促進することができる
社員は業務内容や上司によって、仕事を覚えるスピードや成長スピードが異なります。それぞれの社員に合った労働環境は、タレントマネジメントを導入することで明確になります。
タレントマネジメントを導入したら、まずは社員の弱みや伸ばすべき強みを判断します。幹部候補を素早い段階で見つけることも可能になり、長期的に見ても経営が安定します。
タレントマネジメントのデメリット
デメリット①経営層が仕組みを理解していないことがある
タレントマネジメントを導入しても、経営層がタレントマネジメントの仕組みを理解していなければ意味がありません。タレントマネジメントの仕組みを理解しないままでは、社内に優秀なタレントがいたとしても、知識やスキルを活かしきれず効果が得られないことも。
経営層はタレントマネジメントの仕組みをしっかりと理解し、企業に必要なタレントとは何か十分に把握しておくことが求められます。
デメリット②情報が上手く活用できないことがある
タレントマネジメントを導入し、社員の能力やスキルを把握するために、対象の社員の人事データを一元管理する必要があります。データが必要だからといって、やみくもにデータを集めず、会社の求めるタレント像を設定し、理想のタレントに必要なデータを指定します。
デメリット③社内の協力が得られないことがある
タレントマネジメントの目的を達成するためには、各部署が持っているデータを一括で管理することが重要。また、新しいデータが必要な場合には、その都度面談が必要になります。
しかし、社内の協力が得られないと面談やデータ収集が行えないことも。タレントマネジメントを理解していないと、情報が足りずにタレントマネジメントの効果を発揮できなくなります。
タレントマネジメントを導入する時は、経営層から社内全体にタレントマネジメントの導入目的を説明し、重要な課題であることを周知する必要があります。
デメリット④導入したシステムが上手く活用できないことがある
タレントマネジメントを導入すると、社員のデータを一元管理する必要があります。タレントマネジメントシステムを導入する企業も増えていますが、管理者がシステムの内容を理解していなければ意味がありません。
タレントマネジメントシステムを理解していないままでは、ニーズに合ったタレントが抽出できない事態に陥ることも。また、タレントマネジメントシステムを新たに導入すると、人事担当の業務負担も増えます。
タレントマネジメントシステムを導入する際は、各部署の業務の見直しや、人事へのフォロー体制も整えましょう。
タレントマネジメントの取り組み内容
取り組み内容①経営戦略と人事戦略をリンクする
タレントマネジメントの取り組み内容として、経営戦略と人事戦略をリンクするということが挙げられます。タレントマネジメントの指標と経営的な指標を同じレベルで設定することで、経営層が進捗を把握できる仕組みを導入しています。
取り組み内容②推進体制を強化する
タレントマネジメントを成功させるために、タレントマネジメントを推進する体制を強化することが重要。タレントマネジメントを推進する専任部門をつくり、経営者の直下に配置します。専任部門のスタッフは、人事部門や各部署のトップをサポートする必要があります。
取り組み内容③パイプラインを強化する
幹部候補やリーダーを育てるために、人材の抽出や教育状況の共有などを行えるように、社内のパイプラインを強化します。タレントマネジメントでは、次世代の幹部候補の育成を経営層が重要課題として捉える必要があります。
取り組み内容④キャリアアップの機会を提供する
タレントマネジメントは、社員全員にキャリアアップの機会を提供します。現在いる、すべての社員に役割やポジションを見える化し、それぞれのポジションで求められるスキルや成果を明確にしましょう。すべての情報を明確にしたうえで、社内公募制度などを利用し、社員の自主的な応募を促します。
社内公募は、社員であればだれでも応募できるため、社員全員にキャリアアップの機会を提供する手段として、最適と言えます。
取り組み内容⑤タレントマネジメントシステムを導入する
人事部門の業務を効率化するためにも、タレントマネジメントシステムの導入がおすすめ。タレントマネジメントシステムを利用し、システム上でデータ管理を行うことで、経営層と情報をスピーディーに共有できます。
タレントマネジメントを導入する時のポイント
ポイント①目的を明確にする
タレントマネジメントを導入し、経営にどのように活かしていきたいのか、目的を明確にすることが重要。自社のタレントをどのように場面で活かしたいか、長期的な視点から考えて、経営層が方針を明らかにし、社内全体に周知しましょう。
ポイント②人材要件を明確にする
タレントマネジメントを導入するときのポイントとして、人材要件を明確にすることが挙げられます。まず。短期的に成果を達成できる人材、長期的な成長が見込める人材の要件を明確にします。人材の要件は、性格や経験、知識や価値観などを軸に検討していきます。
人材の要件に合わせたデータを集約することで、目的達成に必要な人材が社内のどこにいるのか明確になります。社内に理想のタレントが見つからない場合は、データを読み込むことで、どのように教育すれば良いのかも見えてくるでしょう。
ポイント③人事部門を見直す
タレントマネジメントを導入する時、経営層とパートナーを組むことが多い人事部。人事部は1年を通して、採用や異動、評価などの人事業務を遂行しています。タレントマネジメントを導入することで、今まで以上の働きが求められます。
まずは、タレントマネジメントの目的達成のために、人事部門を見直すことが重要。まずは人事部門のすべての業務を洗い出し、タレントマネジメントシステムの導入を視野に入れ、人事部門を見直しが必要となります。
ポイント④タレントを把握する
人事部門の見直し、人材要件が明確になると、その要件を満たすタレントを把握します。経営戦略を実行するにあたり、要件を満たすタレントが何人いるか事前に算出し、実際に社内にどの程度存在するか把握しましょう。必要な人材が足りない場合は、人材教育の視点からも検討を行います。
タレントマネジメント導入後の進め方
企業に合ったタレントを設計する
まずは初めに、企業に合ったタレントの設計を行います。次世代のリーダーを育成したい、IT人材を強化したいなど、企業によって求めるタレント像は異なります。企業に合ったタレントを設計していなければ、ただ人事制度をかき回すだけで終わります。
タレントを設計する時は、どのようなポストにつき、どのような仕事をさせるのかということも明確にしておきましょう。
タレントを適材適所に配置する
タレントの設計が終われば、タレントを適材適所に配置していきます。タレントの活用するときに、重大な役割を担うのが、タレントと同じポジションにある現場の管理者や上司。タレントが本当にそのポジションで能力を発揮できているか、評価し育成する役割が求められます。
タレントの潜在的な能力を引き出す
タレントが同じポジションで仕事を続けることで、データでは把握できていなかった、新たな能力が発見されることも。このような状況をタレントマネジメントでは、タレントの開発と呼びます。
新たなスキルを開発するためには、同じ業務をさせるだけでなく、タレントに新しいチャンスを与えたり、研修に参加させる必要があります。タレントの潜在能力を引き出すのも、タレントマネジメントの目的のひとつです。
タレントの変化を見逃さず適切にサイクルを回す
タレントは日々業務を行う中で、成長することもありますが、衰退することもあります。一時的に衰退することは問題ありませんが、衰退が続けば、そのポジションはタレントにとって適材適所ではないかもしれません。
現場の管理者は、タレントの変化を見逃さずに、適切にサイクルを回す必要があります。タレントマネジメントは、このサイクルを回し続けることで、大きな効果を発揮します。1度きりのタレントマネジメントで満足せず、サイクルを回し続ける継続性が必要とされます。
タレントマネジメントシステムの選び方
選び方①目的で選ぶ
タレントマネジメントシステムは、目的に応じてシステムが開発されています。タレントマネジメントシステムを選ぶ際は、まず目的を明確にする必要があります。
タレントマネジメントの目的は、社員のモチベーションを管理し適材適所にを狙う、人材開発を行いたいなど、企業によってさまざま。タレントマネジメントシステムを導入することで、何をしたいのか目的を明確にし、システムを選びましょう。
選び方②使いやすさで選ぶ
システムの使いやすさも、選ぶ際の重要なポイント。タレントマネジメントシステムを使う経営層や組織が、システムを使いこなせなくては意味がありません。経営層が使いこなせるシステムでないと、通常の人事管理ソフトと同じ扱いになります。
経営層がソフトを使いこなせると、経営判断が変更になった場合も迅速に対応できます。全員が使いやすいシステムを導入することで、操作説明などに割く時間も最小限に抑えられます。
選び方③価格で選ぶ
タレントマネジメントシステムを導入する時に、重要なポイントが価格。多額のお金を支払っても、効果が得られなければ意味がありません。システムを導入する際、費用対効果がどの程度得られるか、しっかりと調査しておきましょう。
選び方④実績で選ぶ
導入予定のシステムが信頼できるかどうか、システムの実績を事前に調査しておくことは重要。実績の多いシステムは、多くの事例をシステムに反映しているため、システムのクオリティも高くなります。利用者が多いため、多くの評価や口コミも集まっているため、事前に調査しておくと良いでしょう。
おすすめのタレントマネジメントシステム
カオナビ
無料トライアルを利用して、システムの使いやすさを確認したい場合は、カオナビがおすすめ。カオナビは、6年連続シェアナンバー1のタレントマネジメントシステムで、人材の基本的なデータだけでなく、スキルや過去の実績などのあらゆるデータを一元管理できます。
また、社員の顔写真も登録できるため、人材の基本情報の管理に優れています。顔写真が見れることで、社員のスキルの把握だけでなく、社内にどのような人が所属しているかなど把握することも可能。シンプルなデザインのため、操作がしやすいというメリットもあります。
CYDAS PEOPLE
しっかりとしたサポート体制が整えられている、CYDAS PEOPLE。CYDAS PEOPLEには、履歴書などの人事情報を管理でき、人事部門だけでなく、現場の管理者への情報共有もスムーズに行えます。また、顔写真を登録して使用することも可能です。
社員数の多い会社では、社員同士のコミュニケーションがおろそかになりがち。CYDAS PEOPLEは、従業員同士の顔を把握できるため、社内のコミュニケーション活性化につながります。
jinjer人事
使いやすいように自由自在にカスタマイズできる、jinjer人事。人事関連のデータを一括で管理できる、優秀なタレントマネジメントシステムで、リアルタイムでデータが更新されるため、いつでも最新のデータを確認できます。
また、管理情報画面では企業独自の項目を追加することも可能。人事情報をダッシュボード化できるため、使いやすさも評判です。
HRBrain
HRBrainは、シンプルで使いやすいデザインのタレントマネジメントシステムです。人事評価のために、必要最低限の機能が搭載されており、目的管理に最適。また、フィードバックなどを行っていないと、都度通知が届くため、つい後回しにしがちなフィードバックも、忘れずに行えます。
SmartHR
SmartHRは、担当者との書類のやり取りなどを削減したい企業におすすめ。このタレントマネジメントシステムは、社員が独自で情報を入力できるため、人事部門の書類の受領や入力コスト削減にもつながります。
タレントマネジメントの導入事例
導入事例①日産自動車株式会社
グローバル企業のひとつでもある、日産自動車株式会社は2001年から人材マネジメントに注力しています。2011年には、社内でリーダーの発掘や育成を目的とした「グローバルタレントマネジメント部」を創設。
グローバルタレントマネジメント部では、担当者が各部署からの情報を洗い出し、社内のタレントを発掘します。タレントが見つかると、上層部の委員会にかけ、評価を受けます。上層部から評価されると、個人の育成プランを作成し、タレントの開発を進めます。
日産自動車株式会社は40歳以上を中心に、タレントマネジメントを行っていましたが、最近では、20歳~30歳の社員も対象となり、早い段階から人材育成ができる仕組みを作っています。
導入事例②株式会社サイバーエージェント
スマホゲーム事業が順調の株式会社サイバーエージェント。サイバーエージェントは、芸術的な適材適所をするという概念があり、適材適所に人材を配置することが、成果を上げる最大の手段と考えられています。
サイバーエージェントでは、月1回、全社員に3つの質問が投げかけられます。例えば、先月の目標は何か、目標を達成したかなどの質問が用意されており、晴れ、雨、曇りの記号で解答します。
また、興味のある分野などの質問も用意されており、楽器と答えた場合は、音楽を扱うゲームを開発する際に、その社員が候補として挙げられます。
導入事例③伊藤忠商事株式会社
日本だけでなく海外にも多数の拠点を構える、伊藤忠商事株式会社。伊藤忠商事では、クラウド型のシステムを導入し、データを集約しています。闇雲にデータを集約するわけではなく、課長職以上と入社9年目以上の本社社員のデータをまとめています。
1人の人材につき、100項目の情報を集約しています。例えば、中国在住経験ありと検索すると、条件に満たすタレントが表示される仕組みで、スピーディーに人材選抜が行えます。
導入事例④株式会社日立製作所
株式会社日立製作所も、トップに立てる人材を育成するため、多くの優秀な人材を輩出するためにタレントマネジメントを導入しています。日立製作所では、全世界に30万以上いる社員の情報を、データで一元管理しています。
また、データを集めただけで終わってしまわないように、育成責任者を上司におき、人材育成がスピーディーに実施されるように改革も行われています。
導入事例⑤ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、タレントマネジメントを専門に行う専門部署のピープルアナリティクスラボ」を立ち上げています。このピープルアナリティクスラボは2012年に開始され、社員の才能や情熱を解き放つ目的で創設。
1対1でのミーティングやマネジメント層の教育を並行して行うことで、データ面から1人ひとりの活躍をサポートしています。
タレントマネジメントを導入してパフォーマンスを向上しよう!
タレントマネジメントの目的や取り組み内容について、詳しく解説しました。労働人口が減少しているため、タレントマネジメントを導入する企業事例も増えています。タレントマネジメントの導入を検討している企業は、本記事で紹介した導入事例を参考にしてください。