特別休暇の仕組みを知りたい!他の休暇制度との違いは何か?
多くの企業で導入している、特別休暇。特別休暇の内容や目的は、企業によって異なりますが、仕事へのモチベーションアップやスキルアップを目的していることがほとんど。
本記事では、特別休暇の仕組みや種類、有給休暇などの他の休暇制度との違いをまとめました。特別休暇の導入手順や導入事例も紹介しているので、参考にしてください。
特別休暇とは?
企業が従業員に自由に付与できる休暇のこと
特別休暇とは、企業が従業員に自由に付与できる休暇のこと。福利厚生費の一環として取り入れられる休暇のひとつで、法律の定めがない法定外休暇に位置づけられます。休暇の目的や、有給や無給など企業が自由に決められます。
特別休暇は、会社の特色やビジョンを表現することも可能。ユニークな内容の休暇を作ることで、従業員の仕事への定着率を上げ、離職率を下げられます。このように、人材管理の面でも特別休暇が利用できます。
有給休暇との違い
有給休暇は、労働基準法で定められた法定休暇のひとつ。法律で決められた条件に該当する社員に対して、必ず有給休暇を付与する必要があります。有給休暇を取得理由は、従業員の自由です。企業は有給休暇の取得目的にかかわらず、承認しなければなりません。
2019年の働き方改革関連法で、一定日数の有給休暇の取得が義務付けられています。企業は従業員に年間10日以上の年次有給休暇を付与し、年間5日は時期を指定して付与する必要があります。
法定休暇との違い
有給休暇も法定休暇のひとつですが、他にも、育児休暇や産前産後休暇、介護休暇などがあります。これらの休暇は、特別休暇とは異なり、企業が従業員に対して必ず付与しなければならない休暇です。
特別休暇の種類
慶弔休暇
特別休暇の中でも、最もポピュラーな休暇が慶弔休暇。慶弔休暇は、従業員の結婚式や出産、親族が死亡し葬儀が行われる場合に与えられる休暇です。慶弔休暇は、取得理由によって取得日数を定めていることが多く、一般的な取得日数は、1日~4日となります。
病気休暇
従業員が病気や通院が必要になった際、病気休暇が付与されます。長期の治療が必要になった場合などに取得することが目的とされ、状況によって半日~長期と、取得日数は異なります。
治療を受けながら就労する従業員が増加傾向にあり、多くの企業で病気休暇が導入されています。特別休暇と同時に、療養後の負担を軽減するために、時短勤務制度も注目を集めています。
ボランティア休暇
ボランティア休暇も特別休暇のひとつ。ボランティア休暇とは、ボランティア活動に参加する従業員に付与される休暇です。ボランティア休暇は、社会貢献を後押しすることが目的。
また、ボランティア休暇は社会貢献の後押しだけでなく、従業員がボランティア活動に参加することで、授業員の世界観も広げられます。従業員が事業に対して、新たなアイデアを発見できることもあり、会社の生産性の向上にもつながります。
リフレッシュ休暇
自己啓発や従業員の慰労を目的とした、リフレッシュ休暇。リフレッシュ休暇は、すべての従業員に付与されえるわけではありません。リフレッシュ休暇を取得できる対象は、勤続年数や年齢によって決まることが一般的。企業によって、リフレッシュ休暇の取得条件は異なります。
夏季休暇と年末年始休暇
多くの企業で導入されている特別休暇が、夏季休暇と年末年始休暇です。夏季休暇は、お盆期間に合わせて設定されていることが多く、世間のお盆と呼ばれる日程に特別休暇を付与します。年末年始休暇は、年末年始に付与される特別休暇で、日数は企業によって異なります。
この2つの休暇は、取得条件を設けず。すべての従業員に付与されるケースが多いです。企業によっては、夏季休暇として指定された期間に数日、休暇を取得できるという制度を設けていることもあります。
アニバーサリー休暇
多くの企業で、導入が進んでいるアニバーサリー休暇。アニバーサリー休暇は、従業員が設定した日や記念日に休暇がとれる制度です。
従業員の大切にしている記念日や、思い出のある日など、自由に休暇を取得できる制度で、このような休暇を設けることで、従業員の仕事に対するモチベーションアップします。
誕生日休暇
最近、注目されている特別休暇が誕生日休暇です。誕生日休暇は、従業員の誕生日に付与される休暇。業務の都合上、誕生日当日に休暇を取得できないことも。
そのため、誕生日休暇は、誕生日月で好きな日や、誕生日の前後1週間から取得可能といった、企業によって取得日に幅を設けていることが多いです。
教育訓練休暇
従業員が会社を離れて、研修や教育を受ける際に取得できる、教育訓練休暇。教育訓練休暇を導入し、一定の条件を満たしている企業には、国から助成金が支給されます。教育訓練休暇の取得日数は、受講する訓練内容によって異なります。
多くの企業が、訓練受講に必要な日数を教育訓練休暇に充てていることが多く、受講プログラムの日程に合わせて特別休暇を付与しています。
特別休暇のメリットとデメリット
特別休暇のメリット
特別休暇のメリットとして、従業員の仕事に対してのモチベーションがアップするという点が挙げられます。従業員は単純に休暇が増えるため、やる気が向上し、会社の生産性アップにもつながります。
この特別休暇は、採用活動の観点からも注目されており、採用面接で特別休暇についての質問があることも。
特別休暇を利用して、ストレスを発散することも可能で、仕事の定着率を上げ、離職率を引き下げることも可能。特別休暇は、ワークライフバランスを重視する企業にとって、導入する価値のある休暇といえます。
また、勉強や知識収集などを目的とした特別休暇を設けることで、従業員のスキルアップも可能です。休暇を取ると、他の従業員に迷惑がかかると考え、休暇の取得をためらうことも。しかし、他の従業員にとっては、特別休暇を取得する従業員の業務内容を覚えられるため、スキルアップにつながります。
企業が独自の特別休暇を設けることで、労働環境が整った会社とアピールすることにもなります。独自の特別休暇を設け、健全な企業というアピールにもつながります。
特別休暇のデメリット
特別休暇は、スキルアップや仕事に対するモチベーションアップというメリットがありますが、特別休暇には、いくつかのデメリットがあります。
人手不足の会社は、従業員が特別休暇を取得することで、業務が回らなくなることも。休暇を取得できた場合でも、休暇中の従業員の業務を、他の従業員が行わなければいけません。
業務を引き継いだ従業員は、負担が増え、ストレスに感じることも。企業は、従業員が特別休暇を取得した際の、業務の割り振りも考える必要があります。
また、特別休暇を導入している場合も、特別休暇の取得は強制ではありません。そのため、すべての従業員が特別休暇を活用しきれず、不公平に感じることも。また、特別休暇は有給休暇の取得率が低い企業では、あまり活用されていません。
特別休暇を従業員に活用してもらうためには、有給休暇の取得率を上げることが重要。休暇の内容も考え、従業員が取得しやすいような内容にしましょう。
特別休暇の制度内容
制度内容①給料の判断基準
特別休暇を有給にするか、無給にするのかは、企業によって異なります。同じリフレッシュ休暇という特別休暇を導入している場合でも、A社は有給、B社は無給ということも。
特別休暇を無給と定めている場合、給料の計算上は欠勤として扱われます。もちろん、休暇を取得した分だけ減給されることになります。しかし、特別休暇を有給として扱い、給与へ影響はないとしている企業が多いです。
制度内容②賞与の判断基準
賞与は、日々の勤務態度や出勤率から算出されることがほとんど。特別休暇制度を利用し、休暇を取得した場合、出勤か欠勤の判断は、企業によって異なります。出勤か欠勤かは、企業の判断にゆだねられていますが、欠勤にしてしまうと、特別休暇の本来の意味を成しません。
もちろん、欠勤扱いにしても問題ありませんが、従業員からは不満の声が出ることもあるでしょう。企業は、明確なルールを制定しておきましょう。
制度内容③特別休暇の対象雇用者
特別休暇は、すべての雇用者が対象ではありません。もちろん、全従業員を対象とした休暇もありますが、休暇の種類によっては、勤務年数や事業内容によって対象者が限定されることもあります。
制度内容④特別休暇で取得できる日数
特別休暇の取得日数は、休暇の種類によって異なりますが、3日~5日が一般的。同じ名前の休暇でも、企業によって取得日数はことなります。しかし、休暇の種類によっての取得日数の相場は、ある程度決められています。
例えば、結婚休暇でも本人が結婚する場合と、従業員の子供が結婚する場合では、取得日数が異なります。本人が結婚する場合は5日、従業員の子供が結婚する場合は2日が相場と言われています。
また、リフレッシュ休暇においては、従業員の勤務年数によって日数が異なります。万が一、従業員規則で制定された日数では足りない場合、有給休暇で対応する必要があります。
特別休暇の導入手順
導入手順①目的と内容を明確にする
特別休暇制度を導入するためには、目的と内容を明確にすることが重要。まずは、特別休暇を導入することで、従業員や企業側にどのようなメリットを受けられるようにしたいか明確にしましょう。
特別休暇の内容は、会社の管理職や人事部門だけで話し合うと、視野が狭くなり、すべての従業員が満足いかない内容になることも。
広い視点から特別休暇の内容を考えるためにも、従業員の声を参考にすることが重要です。従業員にどのような休暇制度を求めるかなど、なるべく多くの従業員から意見を集めましょう。
導入手順②就業規則に特別休暇の内容を制定する
特別休暇の内容と目的が決まると、従業員規則へ記載する細かいルールを決めます。特別休暇の対象者や付与日数、無給や有給など条件を決定していきます。細かいルールを決定すると、制定したルールで実現可能か確認することが重要。
ここで実現可能かシミュレーションすることで、不具合が生じることを防ぎ、制定後にルール変更せざるを得ない状況を、事前に回避できます。細かいルールをシミュレーションし、問題がないことが確認できたら、従業員規則に記載します。
導入手順③従業員へ周知する
従業員規則に特別休暇の内容が追加されたら、従業員へ休暇の内容や、取得条件を従業員に周知します。周知方法は社内メールや、社内報、掲示板などのツールを活用し、従業員全員にしっかりと周知しましょう。
細かい内容まで、しっかりと理解してもらえるように、上司から部下へ直接伝達してもらう方法も有効。ここで周知を怠ると、特別休暇を活用してもらえないことになるため、注意してください。
ユニークな特別休暇の導入事例
導入事例①サイボウズ株式会社
サイボウス株式会社は、育自分休暇制度を導入しています。2012年に導入され、退職した場合もまたチームに戻れるという制度です。育自分休暇制度を利用した場合、退職後から最長6年はサイボウスへ復帰できます。
導入事例②未来工業株式会社
未来工業株式会社が導入している、オセロ休暇制度。祝日と土日の間に平日がある場合、間に挟まれた平日は休日になるという制度です。オセロのように間に、休日に挟まれた平日が休日になるというユニークさが注目されています。
この制度は、従業員のモチベーションアップを目的としています。休日に挟まれた平日には、仕事へのやる気がおきず、作業効率が悪くなることから導入されました。
導入事例③株式会社パートナーエージェント
株式会社パートナーエージェンシーは、プロポーズ休暇を導入しています。従業員がパートナーにプロポーズする日を申請すると、会社公認でプロポーズ日が休暇扱いになります。この休暇を申請する場合、プロポーズの結果を必ず企業に報告する必要があります。
パートナーエージェンシーは、結婚相談を主な授業内容としているため、このようなユニークな休暇制度を導入しています。
特別休暇の種類や制度内容を理解しておこう!
特別休暇の種類や制度内容について、詳しく解説しました。特別休暇は、スキルアップや仕事へのモチベーションアップ、プライベートの充実を目的に導入されていることが多いです。ユニークな内容の休暇を導入することで、仕事への定着率も挙げられます。特別休暇の種類や制度内容を理解し、独自の休暇制度を導入しましょう。