サーバントリーダーシップを解説!メリット・特性から導入事例まで紹介

サーバントリーダーシップを解説!メリット・特性から導入事例まで紹介
目次

サーバントリーダーシップの特徴やメリットを解説

企業において会社を引っ張るリーダーの存在が重要です。そんなリーダーをどのように育てるのか、という理論も様々存在していますが、近年注目されているサーバントリーダーシップについて注目しましょう。

サーバントリーダーシップの意味やリーダー像などを解説します。されているを取り入れるメリットや特性、注意点、実際の導入事例も参考にしましょう。

サーバントリーダーシップとは?

サーバントリーダーシップの言葉の意味

リーダーシップに関係するサーバントリーダーシップの意味から確認してください。サーヴァントというのは「奉仕者」や「使用人」という意味を持ちます。同時に組織のメンバーの能力を発揮するためのリーダーシップのスタイルのことを意味する言葉です。

そのため、サーバントリーダーシップは「リーダーはまず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という意味があります

サーバントリーダーシップにおける理想のリーダー像

この理論における理想のリーダー像は、部下に対して奉仕の気持ちを持って接する人物です。部下や参加しているメンバーが能力を発揮しやすいように積極的に環境づくりを行うことが求められます。

サーバントリーダーの主な役割

サーバントリーダーの主な役割として、自分よりも部下やチームの仲間のことをサポートすることがメインになります。自分が活躍して目立つようなことを望む人は、サーバントリーダーには適さない人物です。縁の下の力持ちのような人物が理想のリーダー像といえるでしょう

サーバントリーダーシップが誕生した背景

そもそもサーバントリーダーシップの理論が誕生したのは、1970年にロバート・K・グリーンリーフという人物が関係しています。

アメリカがベトナム戦争の泥沼化から混迷の時代を迎えており、ニクソン大統領も疑惑が原因で辞任をしました。こういった不安定な状況に若者は不安を抱えて、みんなを導いてくれる新しいリーダー像を求めたのです

そこでグリーンリーフは、作家のヘルマン・ヘッセの短編小説「東方巡礼」から新しいリーダー像を誕生させました。ニクソン大統領が不正疑惑絡みで辞任したこともあり、権力や私欲で働く人物ではなく、人々が望む社会を実現するためのリーダー像を描いたのです。

サーバントリーダーシップが注目されている理由

こういった経緯から誕生したサーバントリーダーシップですが、現代社会で注目されている理由はどういったものなのでしょうか?

時代が進んで様々な技術革新が起きたものの、同時にストレス社会や少子高齢社会など問題は山積みです。ITの発達やグローバル化も進んでいますが、若者の働き方に関する考えも変化しています。

幅広い働き方に対応するためには、一人のリーダーが引っ張っていくような形は適さない場面が増えてきたのです。そのため、部下やチーム全体で課題に取り組めるようなサーバントリーダーが注目されています。こういった背景も踏まえながら、サーバントリーダーシップについて見ていきましょう。

普通のリーダーとの違い

リーダーシップの形は大きく分けて2つ存在します。それが「支配型リーダーシップ」と「サーバントリーダーシップ」です。

支配型リーダーシップは従来のようなピラミッド型で部下に指示や命令を出して、課題に取り組む形を意味します。求められる資格や能力として、困難に一人で立ち向かえるような忍耐力の持ち主で、リーダー自身が高い知識や能力が必要といえるでしょう。

サーバントリーダーシップの場合は、逆ピラミッド型で部下の目標を実現させるために支援する力が求められます。部下を信じて成長を促し、それぞれの強みを引き出すことが求められるでしょう。支配型のリーダーと違い、みんなで協力して目標を達成する形が、従来型と大きく異る点です。

サーバントリーダーシップを取り入れるメリット

メリット①メンバーの士気とやる気が高まる

サーバントリーダーシップはチームを管理する立場として、メンバーの士気とやる気を高められるのが大きなメリットです。逆ピラミッド型で部下の主体性を重んじるシステムとなっており、自分たちの意見を反映してもらえることがやる気につながります

メリット②コミュニケーションの円滑化に繋がる

管理者との上下関係が厳しいと部下も遠慮して、コミュニケーションが取りにくいことがあります。サーバントリーダーシップの場合は、逆ピラミッド型のため部下も管理者に対して積極的に関わりを持とうと考えるのです

メリット③組織全体で目標を達成することができる

士気とやる気が高まり、コミュニケーションが円滑になれば、組織全体で目標を達成できるでしょう。管理者と部下、そして企業自体が目標やビジョンを明確に共有できます。このことで、全員が協力してしっかりと結果につなげられるのが大きなメリットです。

サーバントリーダーシップが持つ特性

傾聴と共感

サーバントリーダーシップが持つ特性について注目していきましょう。実際にサーバントリーダーを担当させる人物を選定するときや、研修を行う際の参考にしてください。

まず重要なのは部下や仲間に対する傾聴と共感の能力です。それぞれが持っている考えを聞き、理解することが求められます。相手が言いたいことを引き出し、受け入れられる心の広さも重要です。

癒しと気づき

部下が課題に取り組む中で精神的に落ち詰められることがあります。そういったときにリーダーもイライラとしていたは、チームの雰囲気はさらに悪くなるでしょう。

そのため、サーバントリーダーは部下の心を癒やすような存在が理想です。また、部下が抱えている課題に気付けることも必要で、気持ちをほぐして本来の力を取り戻してあげてください。

説得と概念化

管理者の立場から時には組織のメンバーを説得することが求められます。また、組織の目標やビジョンなどの概念を分かりやすく共有することも必要でしょう。

強引に納得させるのではなく、面接などを通して丁寧に説得することが重要です。説得の際には管理者がしっかりとしたビジョンを持っていることで、信頼して共に目標を達成しようと働いてくれます。

先見力と執事役

課題に取り組む上では過去の事例などを参考に将来的なことを考えられる、先見力が必要になります。また、サーバントリーダーシップでは執事役として、自分の利益よりも部下の利益を喜べる特性が重要です。

メンバーや部下のニーズを読み取る能力も求められるので、研修などを通して自分の特性を磨いていきましょう。自身の経験を活かして、しっかりと部下をフォローしてください。

人々の成長への関与とコミュニティづくり

管理者として組織を成長させることと、コミュニティづくりをすることも重要です。メンバーの特性や長所を引き出し、それを活躍させられる場を設定しましょう

このようにサーバントリーダーシップにおいて、様々な人物的な資格や特性が求められます。組織を管理する立場として気配りができて、一緒に課題に取り組む協調性やサポート力を持つ人物を選びましょう。

サーバントリーダーシップの課題と注意点

組織のトップが自らその精神を持つようにする

サーバントリーダーシップでは課題や注意点も存在します。仕組みが持つ限界も理解しながら、注意点を確認してください。

新しい仕組みを導入する際は、企業のトップがサーバントリーダーシップに対する精神を持ちましょう。自社の社員や顧客に対して、サーバントリーダーシップの考えがあれば、その意識は社員に浸透していくからです。

逆ピラミッド型組織を意識する

サーバントリーダーシップは従来の支配型リーダーシップと異なり、逆ピラミッド型を意識してください。トップダウンで行うのではなく、リーダーが根本の部分を支えて一般社員が活動しやすい環境を作りましょう

これは一般社員のほうが実際に顧客と接する機会が多いことが関係しています。そういった現場を知る社員を最上位に持ってくることで、顧客が求めるサービスを提供できるのです。

部下の意見に耳を傾ける

積極的に部下と面接などを通して交流を深めましょう。部下の声に耳を傾けて、その考えを反映させられるようにサポートしてあげてください

ただし、ただの優しいリーダーにならないように注意が必要です。部下が好き勝手に動くような状態は危険であり、無責任に放置するような形は避けましょう。

脱落メンバーが出やすい

サーバントリーダーシップの魅力でもあるのですが、部下の自主性や個々の能力を発揮しやすい分、受け身な性格の人は限界を感じてしまうことがあります。

組織の中で課題を与えられてそれを能動的にこなしていくのが得意な人もいるでしょう。しかし、サーバントリーダーシップの仕組みから言うと、そういった人は脱落する可能性が高くなります。

こういった場合は研修などを通してメンバーの能力や経験値を高めてあげましょう。資格を取得させて任せられる仕事を増やしてあげるのもおすすめです。脱落メンバーが出にくいように、管理者がうまくフォローしてください。

サーバントリーダーシップの導入事例

導入事例①良品計画

サーバントリーダーシップの導入事例を紹介します。まずは無印良品を運営する良品計画の事例からです。元社長である松井忠三が社長に就任したとき、良品計画は業績が急落した状態でした。

社長就任後、全国の店舗を実際に訪れて、店長や現場で働く社員の声に耳をかたむけました。これは先程のトップがサーバントリーダーシップの精神を持つことの代表的な事例となっています。

松井忠三はその後に業務を可視化する「MUJIGRAM」というマニュアルを作成し、現場スタッフの声が上にまで上がってきやすい状態にしたのです。こういったシステムを導入した結果、良品計画の業績は回復し、現在も顧客のニーズに合わせた商品を販売して人気です。

導入事例②株式会社サイバーエージェント

インターネット広告事業などを手掛ける株式会社サイバーエージェントの事例を確認しましょう。サイバーエージェントは新規事業の創出の際に子会社や事業をランク分けし、お互いに競い合う環境を構築しました

また、撤退に関するルールを設定し、その中で自由に自己実現できるよう支援するのが特徴になっています。企業自体が逆ピラミッド型で社員をサポートした事例なので参考にしてください。

導入事例③資生堂

化粧品メーカーである資生堂は業績回復のために、組織改革に着手しました。その方法として「店頭基点」という形でサーバントリーダーシップを導入したのです。

逆ピラミッド型として顧客を一番上に設置し、より顧客のことを考えた製品開発や店舗運営を行いました。この改革に着手した当時の社長である池田守男は、そういった考えを著書「サーバント・リーダーシップ入門」にまとめています。

導入事例④スターバックス

コーヒーチェーンを運営するスターバックスの事例では、人材育成に力を入れた点が特徴です。サーバントリーダーシップの文化を根付かせることを努力し、人とのつながりを重視する方針を現在も続けています

世界的なコーヒーショップになるために、広告費よりも店に訪れる顧客を満足させられる店舗づくりに投資を行ったのです。また、ファンの心理を掴む期間限定商品やマニュアルなしの接客を推進しました。

従業員を縛り付けるような管理ではなく、自主性を重んじたサーバントリーダーシップの事例といえます。店舗ごとの魅力も生まれるシステムづくりとして参考にしてください。

導入事例⑤ダイエー

現在はイオンの完全子会社となったダイエーですが、積極的にサーバントリーダーシップを導入した事例となっています。当時の社長だった樋口泰行はトップダウン経営による業績悪化を改善するため、赤字店舗50を閉鎖することを決断したのです。

その時に閉店店舗全てに直接出向き、その理由と働いてくれたことのお礼を伝えました。そういった誠意ある態度に従業員はモチベーションがアップし、閉店セールに全力で挑んで大きな収益をあげたのです。

従業員は新しい異動先でこの成功事例を元に前向きに勤務しました。このことで新しい店舗も前年比よりもプラス収益になったのです。トップが厳しい状況でもサーバントリーダーシップを発揮し、それが従業員の心を動かした事例といえるでしょう

サーバントリーダーシップを導入しよう!

サーバントリーダーシップについて解説しました。支配型リーダーシップで管理するのではなく、逆ピラミッド型で部下やチームを支えるのが大きな特徴です。時代に合わせて登場した仕組みであり、組織全体で協力して課題達成につながる方法になります。

適宜、面接などを通して部下をフォローしてあげることも忘れないようにしましょう。また、管理する側の研修などを通してサポート能力を磨くのがおすすめです。サーバントリーダーシップを導入して、それぞれの能力を最大限に発揮できる環境にしましょう!

ビジネスカテゴリの最新記事