ピグマリオン効果とゴーレム効果とは?意味や違いと活用方法を解説!

ピグマリオン効果とゴーレム効果とは?意味や違いと活用方法を解説!

ピグマリオン効果やゴーレム効果の意味を知りたい!

人から期待されることが良い影響を及ぼすタイプと逆効果になるタイプの人がいます。そういった期待と結果に関するピグマリオン効果とゴーレム効果について解説します。

ピグマリオン効果とは?

ピグマリオン効果の言葉の意味

アメリカの教育心理学者であるローゼンタールは「教師が期待をかけた生徒のほうが、学力的な成長が大きい傾向がある」と発表し、ピグマリオン効果と名付けました。また、別名で「教師期待効果」や「ローゼンタール効果」と呼ばれています。

ピグマリオン効果の名前の由来

ピグマリオン効果のピグマリオンはギリシャ神話に出てくる彫刻家の名前です。ピグマリオンは自分で掘った女性の彫像に恋をします。ピグマリオンはアプロディテ神に祈りを捧げ、神はその願いを聞き入れて像に命を吹き込む、という神話になっています。この「変身物語」が由来の意味になっていることを覚えておきましょう。

ピグマリオン効果が注目されている理由

本効果に注目が集まっている理由は、日本における少子高齢社会が関係しています。日本では様々な業界で働き手が減少しており、限られた人材をどのように成長させるかが課題になっているのです

期待の若手が入社したときに「立派に育ってほしい」と叱咤激励をする人も多いでしょう。会社にとってどのように人材育成を行えばいいのか、というヒントになるためピグマリオンの効果に注目が集まっているのです。教育方針のヒントとしてピグマリオンを参考にしましょう。

ゴーレム効果とは?

ゴーレム効果の言葉の意味

ピグマリオンとは逆の効果を意味するのがゴーレム効果です。上司が部下に対する期待度が低いと、実際に悪い結果が出てしまうことを意味します。人は無意識に周囲の期待に応えてしまう、という心理効果が働いているのです。

ゴーレム効果の名前の由来

ゴーレムはユダヤに伝承する泥人形のことです。ゲームの世界にも登場することが多い存在ですが、実際に泥人形を作るおまじないがあります。神話の世界では術師の呪文によってゴーレムは動きますが、額に貼り付けられたおまじないの紙の一文字を消すと崩れてしまうのです。

こういったゴーレムの伝承から、ゴーレム効果は人から受けた影響によって、自分の脳力を抑えてしまう心理効果が関係していると考えられています。

ピグマリオン効果とゴーレム効果の共通点

ピグマリオンとゴーレムの共通点は、相手に対する期待の有無が関係しています。そして、その相手に対する思いが当事者に影響する点が重要な共通点です。

ピグマリオンでは相手に対する期待が良い結果をもたらしますが、ゴーレムでは期待しないことが実際に成績に悪影響をもたらしてしまっています。それぞれの意味を理解しながら教育方針に活かすことで、会社の人材育成を改善できるので参考にしましょう。

ピグマリオン効果とゴーレム効果の違い

では、ピグマリオンとゴーレムではどのような点が異なるのでしょうか?この2つは真逆の効果であることを理解しましょう。ピグマリオンが相手に対する期待がモチベーションをアップさせているのに対し、ゴーレムでは逆の結果に繋がっていることがわかります。

職場の中で自分を応援してくれる存在がいることで、より良い結果を出したいと考えたことが、実際に実績につながるわけです。反対に誰も自分に期待してくれていないと感じると、やる気が出ずに、成績もどんどん下がっていくので注意が必要でしょう。

こういった反対の効果である点を理解し、会社の教育方針を決めていくことがおすすめです。後ほど活用方法の例も紹介するので参考にしてください。

ピグマリオン効果の実験内容

実験内容①ネズミを使った実験

ピグマリオンの効果を使った実験内容について確認しましょう。代表的な実験例として、ネズミを使ったものが挙げられます。

これは1963年に行われた心理学の実験です。ネズミを使った迷路実験を行う際に「よく訓練されたネズミ」と「訓練されてないネズミ」と2つのタイプがいることを学生に伝えてそれぞれ渡しました。

訓練されたネズミを扱うグループは丁寧にねずみを扱ったものの、訓練されていないと告げられたネズミを渡されたグループはぞんざいに扱ったのです。この実験から、ネズミに対する期待値の違いが実験結果にも反映されたと結論づけられました。

このことが人間の関係性にも反映されると考えられています。つまり、教師と学生や上司と部下においてもこういった無意識における心理的なものが関係していると考えられているのです。

実験内容②教育現場での実験

もうひとつの実験も紹介します。こちらは教育の現場においてピグマリオンの効果と考えられている事例です。1964年にサンフランシスコの小学校で一般的な知能テストが行われました。

担任は「これから数ヶ月の間、成績が向上する生徒を割り出すためのテスト」と説明し、テスト後に「この生徒たちが成績が向上する人たちです」と発表したのです。しかし、実は検査結果とは関係ない無作為に選ばれた生徒たちであり、これ自体がピグマリオンの効果を確認するための実験でした。

その後に、成績が向上するといわれた生徒たちは、実際に良い結果を出しており、担任の期待とそれを受けた生徒の関係が成績向上の要因になったと考えられたのです

ピグマリオン効果が活かせる具体例

具体例①研修やオリエンテーション

ピグマリオン効果が活かせる具体例を解説します。会社の中で活用する場合は、研修やオリエンテーションがよいでしょう。担当者が参加者に期待をかけることでピグマリオン効果があらわれます。

職場で行われる研修やオリエンテーションから得られる知識や技術の習得スピードがアップするでしょう。また、コミュニケーション面でもいい結果が期待できるので、上司、部下、先輩、後輩などの関係性がより良いものに変化していくのも注目点です。

具体例②業務の任命や仕事の振り分け

業務の任命や振り分けにも活用しましょう。それぞれの特性をしっかりと分析した上で、一人ひとりにあった業務や役職を任命しましょう。そのときにしっかりと理由を説明してあげることで、自分に対する期待感を実感することができます。

具体例③評価やマネジメント

近年では人事対策として年功序列制度や終身雇用制度ではなく、成果主義を取り入れるところも増えています。そのため、人事評価やマネジメントに関する対策も様々な方法が導入され、雇用のミスマッチなどを解消を目指す企業が増えたのです。

そういった評価やマネジメントにおける面談でも、ピグマリオン効果を活用するとよいでしょう。普段の努力を評価し、今後に対する期待も伝えてあげてください。そうすることで信頼関係を築いて、より良い結果につなげていくことがピグマリオン効果の活用方法になります。

会社でのピグマリオン効果の活用方法

活用方法①裁量を与える

会社でピグマリオン効果を活用する方法を確認しましょう。お互いの心理状況が大きく関係していることを意識して活用してください。

まずは、部下に裁量を与えることが重要です。任された仕事を結局上司が口出しをして進めるような状態では、部下としても心理的に納得できない部分が生まれるでしょう。そのため、「君のことを信じて任せる」と伝えたら、過保護にならずに見守ることを意識してください。

活用方法②言葉で期待を伝える

相手が分かっていると考えるのではなく、必ず言葉にして伝えるようにしましょう。部下からすれば上司が考えていること分からないので、ちゃんと言葉にしてあげることが重要です。また、伝えるときは相手にプレッシャーになるのではなく、安心感を与えるような伝え方にしてください。

言葉で期待を伝える際に「がんばってるね、これからも期待してるよ」と伝えるのと一緒に、部下の成長している部分など、評価している理由も話してあげましょう。自分のことをしっかりと見てくれている中で期待していることがわかれば、心理的にも安心感が生まれます。

活用方法③達成できる課題を与える

ピグマリオン効果を活用するためには、能力に応じて達成可能な課題を与えましょう。会社としては期待をかける相手に高すぎず、低すぎずな目標を設定することが求められます。教育現場でも同じですが、達成可能な課題を複数用意し、ステップアップしていくことが結果につながるからです。

このような適切な課題を与えるためには、人事評価システムの見直しも必要です。AIを使った人事評価システムなど、様々なものが存在するので、より多くのデータを収集して個人の能力を見える化しましょう。

その上で達成できる課題を与えて、成功体験を積ませることが大切です。ピグマリオン効果によって部下が良い報告を届けてくれます。結果を積み重ねたら、大きな課題にもチャレンジさせてください。

活用方法④褒めてモチベーションを維持する

ピグマリオン効果を発揮するために、部下をしっかりと褒めてモチベーションを維持しましょう。叱咤激励でモチベーションがアップするタイプもいますが、褒めることで心理的に安心感と達成感が得られます。

特に新入社員は怒られることで萎縮し、本来のパフォーマンスを発揮できないことがあります。かつての厳しい受験戦争時代とは異なり、教育現場も子供の心理的なケアを重視するようになったのです。あまり叱りつけるよりも、褒めて伸ばす教育がメインになりました。

メンタル面のケアを期待できることもあり、叱咤激励よりもモチベーションがアップする褒めて伸びるスタイルを推進しましょう。ピグマリオン効果を発揮するためには相手の心理的な状況を踏まえた優しさが求められます。

活用方法⑤期待をかけすぎない

ピグマリオン効果で注意したい点は期待をかけすぎないことです。会社としては能力がある人材に期待をかけたいのは理解できますが、そのことが重荷になるタイプがいることも忘れてはなりません

部下の特性を理解して、ピグマリオン効果が効果的な人物を選択することが重要です。会社の中で過度に期待をかけすぎている人がいないか調査し、プレッシャーを軽減して心理的なケアを行っていきましょう。

日本人はあまり目立つことを好まないタイプも多く、職場で浮いてしまうような持ち上げ方はNGです。ピグマリオン効果が反対に追い込んでしまうような状態にならないように、プレッシャーに対する対策を行って面談やアフターケアを積極的に取り入れてください。

ピグマリオン効果が学べる本

オックスフォードの自分を変える100の教え

ピグマリオン効果が学べる本をチェックして、その意味や職場で活用する方法を学びましょう。例えば「オックスフォードの自分を変える100の教え」がおすすめです。オックスフォード大学で教育学博士号を取得した人物による本で、同大学で教えられている100の教えを学べます。

教育現場や会社、また日常生活でも活かせるようなピグマリオン効果の活用法が紹介されています。自分をより生きやすくするためのコツなども書かれているので参考にしましょう。

運は操れる 望みどおりの人生を実現する最強の法則

メンタリストとして活躍しているDaiGoによる「運は操れる 望みどおりの人生を実現する最強の法則」もピグマリオン効果を学ぶ上でおすすめです。心理学的な観点を活用して、考え方を変える方法についても記載されているので自己啓発本としても人気になっています

悩めるマネジャーのためのマネジメント・バイブル

「悩めるマネジャーのためのマネジメント・バイブル」は経営コンサルタントとして活動している人物の本です。経営学修士の知識に基づいて、どのように部下に対してマネジメントを行えば良いかが紹介されています

マネジメントは教育現場や会社など様々な現場で必要な能力です。マネジメントをしっかりと学ぶことでピグマリオン効果も発揮しやすくなるので、両方の知識を身に着けましょう。

ピグマリオン効果とゴーレム効果の違いを覚えておこう!

ピグマリオン効果とゴーレム効果の違いについて解説しました。期待の掛け方によって結果に違いが出ることを意味しており、教育現場や会社において重要な理論です。注意点としては期待のかけすぎはプレッシャーにつながるので、しっかりと人事評価やマネジメント、面接も活用してください。

うまくピグマリオン効果を導入できると、より良い結果が続けて生み出せるようになります。部下性格やタイプを把握して、ピグマリオン効果をうまく活用しましょう!

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