グロースマインドセットを身に付けてビジネスに活かす!
みなさんは「グロースマインドセット」という言葉を聞いたことがありますか?グロースマインドセットは、ビジネスでの人材育成にも大いに役立てられています。
そこでこの記事では、グロースマインドセットの意味や企業事例、フィックストマインドセットとの違いについて紹介します。また、アジャイル型のマインドセットについても少し紹介していきます。
グロースマインドセットとは?
では、そもそもグロースマインドセットとはなんでしょうか?本稿では、グロースマインドセットの意味や企業事例について紹介します。
「人はみな成長するもの」という考え方
グロースマインドセットとは「人はみな成長するもの」という考え方を意味する言葉です。グロースマインドセットを持つ人は、「自分の才能や能力は、経験や努力によって向上できる」という考え方を持っているので、失敗を恐れずに学び続けます。
マインドセットの言葉の意味
そもそもグロースマインドセットの「マインドセット」とは、人間一人ひとりが持っている基本的な物事に対する考え方を意味する言葉です。このマインドセットは、その人のこれまでの経験や価値観、受けてきた教育、住む場所、時代背景などが要因としてあげられます。
自分が持っているマインドセットによって、物事を判断したり、行動したりするのかを決めています。そのため、現状の自分がどのようなマインドセットなのかを把握する必要があるでしょう。
グロースマインドセットの提唱者
グロースマインドセットの提唱者は、スタンフォード大学の心理学教授キャロル・ドゥエック氏です。彼女はアメリカの名門バーナード大学を卒業後、イエール大学で博士号を取得しています。
その後の経歴としては、コロンビア大学やハーバード大学などで教師として活躍し、2004年からスタンフォード大学の教授を務めています。
グロースマインドセットのメリット
グロースマインドセットのメリットとしては、生産性の向上があげられます。グロースマインドセットは周囲の人に伝染するので、モチベーションが低下している社員のモチベーション向上に期待できるというメリットがあります。
また、グロースマインドセットはアジャイル開発と相性が良いです。アジャイル開発とは、小さなサイクルで開発を進める開発手法のことです。
現代は、スピード感のある柔軟なアジャイル開発が求められます。DX推進には「アジャイル型のマインドセット」が必要なのです。
グロースマインドセットの企業事例
グロースマインドセットを導入事例について紹介します。その事例の一つがマイクロソフトです。マイクロソフトのCEOとして企業を引っ張ってきたサティア・ナデラ氏は、グロースマインドセットこそが企業の成長には必要な考え方だと考えました。
ナデラ氏は、研修を行うなど、過去に事例のない様々な取り組みを通して、グロースマインドセットを大規模に実証しました。
グロースマインドセットとフィックストマインドセットの違い
グロースマインドセットとフィックストマインドセットの明確な違いについて詳しく見ていきましょう。
課題に対しての向き合い方が違う
ビジネスにおいて、予期せぬ課題や問題はつきものです。両者にはその課題に対しての対処方法に明確な違いがあります。
フィックストマインドセットは、発生した課題に対して1つの観点でしか解決策を練ろうとしません。そのため、その解決策が失敗してしまったら、課題が解決できずに行き詰まります。
一方、グロースマインドセットは、多面的な角度で問題を解決しようとします。たとえ解決策が上手くいかなくても、決して諦めることなく、別の視点から解決策を探すのです。
障害との向き合い方が違う
障害に出くわした時に、明確にあらわれる違いが「集中力」です。フィックストマインドセットは、注意散漫になっていまい、集中力が持続しません。そして、最優先に取り組まなければならない障害を、つい後回しにしてしまうこともあります。
グロースマインドセットは集中力を持続させて、障害と真っ向から向き合い、障害を解決しようとします。ただ、常に障害と向き合い続けると集中力が切れてしまう可能性もあるでしょう。そのため社員研修などを行って、社員に集中力を持続させる方法を学んでもらいましょう。
努力の仕方が違う
両者には努力の仕方にも大きな違いがあります。フィックストマインドセットは、「成功は遺伝で決まるもの、努力は効果のないものだ」という固定観念を持ちます。
一方グロースマインドセットは、自分の努力の積み重ねによって自己成長できるという考え方があるので、痛みを伴う努力を惜しみません。こうした小さな努力の積み重ねによって、大きな成功を得ていきます。
批評への対応が違う
多くのビジネスが研修などで習うように、自己成長には振り返り(批評)が必要不可欠です。フィックストマインドセットは、自分自身の批評を避ける傾向があります。振り返りをしないということは、自分の長所も短所も把握できないので、一生自己成長につながりません。
グロースマインドセットは、自分がこれまで行ってきたプロセスから何かを学ぼうとします。各プロセスから、良かった点・悪かった点を分析し、今後の自己成長につながるように解決策を考えるのです。
他人の成功への認識が違う
両者には、成功している他人への認識にも違いがみられます。フィックストマインドセットは、他人が成功している姿を見ると嫉妬や嫌悪感を抱きます。素直に成功者を称賛することなく、逆に批判などをして足を引っ張ろうとするのです。
一方グロースマインドセットは、他者の成功を称賛し、自分の成長の糧とします。彼らは「他人の成功から何か学ぶものがないか」と分析し、自らも成功しようと奮い立たせているのです。
グロースマインドセットを身に付ける方法
ここでは、グロースマインドセットを身に付ける方法について紹介します。企業はマインドセット研修の実施を検討しましょう。
質の高いコミュニケーションが取れる労働環境を作る
グロースマインドセットを身に付ける方法として、質の高いコミュニケーションが取れる労働環境を作ることがあげられます。グロースマインドセットでは、社員同士の日常会話が重要性が高いとされるので、社員がコミュニケーションしやすい労働環境を整えましょう。
例えば、自分の決まった席がないフリーアドレスやスタンディングデスクの導入などがあげられます。
上司による指導や育成方針を明確に定める
グロースマインドセットを持った社員を育成するためには、上司による指導や育成方針を明確に定める必要があります。育成担当の上司と人事担当者が綿密なコミュニケーションを取りながら、部下に対する育成方針を検討しましょう。
マインドセットには、アジャイル型やしなやかマインドセットなど様々な種類があります。上司が部下に対して的確にグロースマインドセットを教育できるように、マインドセット研修を受講させておくことをおすすめします。
中長期的な人事評価を策定する
グロースマインドセットを身に付けるには、中長期的な人事制度を策定しましょう。グロースマインドセットは新しいことに挑戦し、努力次第で成長できることを前提としているので、短期的な人事制度では適切に社員を評価できません。
企業としても新しい事業に取り組むことは、企業の未来を左右する大切な要因にもなるでしょう。社員の新しい挑戦に対しても、積極的に評価してあげる人事評価制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
グロースマインドセットが学べる本
グロースマインドセットが学べるおすすめの本を2冊紹介します。紹介する本の中には、マイクロソフトの共同創業者のビル・ゲイツが推薦する本もありますよ。
マインドセット「やればできる!」の研究
マインドセット「やればできる!」の研究は、マインドセットの提唱者であるスタンフォード大学の心理学教授キャロル・S・ドゥエック博士による著書です。この本を読むことによって、20年以上の膨大な調査・研究・事例から生まれた正真正銘の 「成功者たちの心理学」を学べます。
成功する要因とは、能力や才能といった生まれつきのものではありません。自分で研修や自己学習などの努力や経験を積み重ねることで、成功は手に入れることができる。グロースマインドセットに興味があるビジネスマンには、ぜひ読んでおきたい一冊です。
ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」
ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」は、ラグビー日本代表メンタルコーチとして、ワールドカップの快進撃を支えた荒木香織氏によって書かれた本です。あの五郎丸歩選手の「ポーズはどうして生まれたのか」「何の意味があるのか」など、筆者だから書ける秘話がたくさん詰まっています。
最新のスポーツ心理学から導き出されたメンタルトレーニングとグロースマインドセットは相性が良く、アスリートや一般社会で働く人にも役立つでしょう。悩める営業マンや部下をもつすべてのリーダーに、ぜひ読んで欲しい一冊です。
グロースマインドセットの意味や身に付け方を覚えておこう!
これまで、グロースマインドセットの意味や企業事例、フィックストマインドセットとの違い、アジャイル型のマインドセットについて紹介してきました。グロースマインドセットは、企業全体における生産性の向上に有効な手段です。
グロースマインドセットを持つ社員を育てるためには、中長期的な人事評価を策定したり、社員同士がコミュニケーションを取りやすい労働環境を構築することが重要です。 また、企業は適切な知識を社員に学んでもらうため、マインドセット研修の実施を検討してみましょう。