ストーリーテリングを活用して自分の主張を効果的に伝えたい!
淡々と自社の変化を伝えるだけでは、相手の記憶に残りにくく、イメージを描きにくくなります。そのため、ビジネスシーンでは相手に強い印象を残すためにストーリーテリングが注目を集めています。ストーリーテリングの意味や上手に伝えるやり方、そして活用事例をまとめたので参考にしてください。
ストーリーテリングとは?
ストーリーテリングの言葉の意味とは?
日常生活においてストーリーテリングは、物語を語ることを意味します。代表的なものとして昔話や童話はストーリーテリングに該当するお話です。ユニークなキャラクターが登場し、仲間たちと様々な経験を通して目的を果たす展開は世界中に存在しています。
この日常生活において使われていたストーリーテリングですが、現在はビジネスシーンにも活かされるようになりました。ビジネスの場面では、結果や事実だけを提示するのではなく、それを物語として語ることで、相手により強い印象を与えることができる手法としてストーリーテリングが活用されているのです。
ストーリーテリングが重要視されている理由
ストーリーテリングが重要視されている理由として、メッセージの共感度が高まる点が挙げられます。近年はパソコンだけでなくスマホの普及により、多くの情報を手軽に得られるようになりました。
しかし、情報量が増えすぎたことで、記憶に残るようなメッセージを伝えるのが難しくなったのです。そこでストーリーテリングを活用し、伝えたい情報を受け手に印象づけることが重要視されるようになりました。情報社会の現代において、ストーリーテリングは重要な方法なのです。
スティーブ・ジョブズのストーリーテリング型スピーチ
アップル社の共同設立者の一人であるスティーブ・ジョブズは、自身がプレゼンテーションを行うときにストーリーテリングを活用しています。自身の歩んできた人生と商品を上手く結びつけて紹介し、受け手に強く印象に残るスピーチを行って成功を収めました。
センスメイキングとの違い
ストーリーテリングに近いものとして、センスメイキングが存在します。ストーリーテリングは主張を伝えるためにストーリーを活用しますが、センスメイキングの場合は様々なものを「意味づけ」することで、様々なデータを統合する力を意味する言葉です。
意味づけを行うことで、周囲を巻き込んでいく力を生み出すのが特徴であり、説得力を増す効果があります。ストーリーテリングもセンスメイキングも説得やイノベーションを起こす上で重要な考え方なので、積極的に取り入れていきましょう。
ストーリーテリングの効果
効果①イメージの伝達がしやすくなる
ストーリーテリングの意味に続いて、どのような効果があるかを確認してください。まず、ストーリーテリングの効果として、イメージの伝達がしやすくなるのがポイントです。具体的なエピソードや出来事を含めて話をすることで、受け手側がイメージしやすくなります。
特にビジネスの場面では数字がメインになるため、なかなか効果的に情報を伝えにくくなります。プレゼンテーションの場面でうまくストーリーテリングを行うと、イメージを膨らませながら情報伝達が行えるようになるのです。
効果②相手の共感を得ることができる
情報を効果的に伝えるために、受け手側の共感を引き出すことが重要になります。ストーリーテリングは具体的な事例を用いながら話を行うため、相手の共感度を高められるのです。よい共感度を高めるためには、受け手側に自分のこととしてイメージできるようなストーリーテリングを行いましょう。
効果③相手の記憶に残る内容になる
イメージの伝達や共感度を上げることで、相手の記憶に残りやすくなります。単純な数字の羅列よりも、ストーリーテリングを効果的に使って伝えることで、相手の記憶に残って印象に残るのです。受け手の記憶に定着するようなストーリーテリングにチャレンジしてください。
効果④人間関係の成功が生みやすくなる
効果的な伝え方ができると、受け手側は「話が分かりやすい」と感じてくれます。このことで相手が好印象を持ってくれて、今後のやり取りにも良い結果をもたらしてくれるでしょう。
普段からストーリーテリングを効果的に使えると、人間関係の成功につながりやすくなります。コミュニケーションの方法の一つとして、ストーリーテリングはおすすめな手法です。
ストーリーテリングが有効な場面
有効な場面①数値を印象づけたいとき
企画などを説明するときに、数字上の変化だけでなく、その変化によって起きたストーリーを話に混ぜることがおすすめです。数値に関する知識や裏話なども交えながら、相手の興味を惹くことが重要になります。そして、ハッピーエンドにすることで数値に関するいい印象を残すことができるでしょう。
有効な場面②モチベーションを上げたいとき
ストーリーテリングが有効な場面として、モチベーションを上げたいときに活用してください。ストーリーテリングを用いた施策では、従業員のお手本になるようなロールモデルとしてのストーリーが活用されます。
企業が取り組んでいる人事制度や昇格の仕組みを説明するだけでなく、実際の事例を用いて話すことで現実味が出るのがポイントです。
有効な場面③情報量が多く複雑なとき
企業の業績などを紹介するために、様々な数値を取り上げることがあるでしょう。しかし、こういった情報量が多い説明は頭の中で処理するのに時間がかかります。結果的に話は聞いていたけど、よく覚えていない状態になってしまうのです。
こういった場合は多くの人が馴染みのある童話や昔話に例えることで、情報を処理しやすくなります。定番のものでは「うさぎとかめ」や「アリとキリギリス」のようなものが人気です。元々知っている話ということもあり、それをうまく活用しながら説明すると記憶に残りやすくなります。
ストーリーテリングの上手に伝えるやり方
やり方①当事者として語る
ストーリーテリングの上手に伝えるやり方を学びましょう。ストーリーテリングを構築するときは、基本となる場面を決定して、そこから流れを考えるのが良いでしょう。
基本的にストーリーテリングは、話の当事者であることが理想的です。プロジェクトやワークグループの主担当であることなどを伝えることで、参加者の興味を惹くことができます。
やり方②データの提示と共感の醸成を行う
話を進める上で、実際のデータを提示することが大切です。しかし、就職活動をしている学生相手にデータを提示しても、なかなか理解してもらえないこともあるでしょう。そのため、共感の醸成を行うために、同業他社のデータを提示して比較するのがおすすめです。
比較対象があることで専門的な知識が無くても、データに関する情報を受け取りやすくなります。その中で自社が問題に感じた部分や改善に取り組むきっかけになった点を解説しながら、ストーリーテリングを展開しましょう。
やり方③失敗から始まるギャップを設定する
いきなり物事がうまくいくストーリー展開にするのではなく、周囲から理解が得られなかったことや改善案を実行したもののうまくいかなかった、という流れにしましょう。この失敗から始まるギャップを設定することで、次につながっていくのです。
やり方④パワーワードを活用する
パワーワードとは、強烈なインパクトがあり、強く印象に残る言葉を意味します。ビジネスの場では「オフサイトミーティング」や「1on1」のような用語がパワーワードとして使える言葉です。ストーリーテリングの効果を高める言葉であり、こういった用語を入れながら解説しましょう。
やり方⑤成功で終わるギャップを設定する
ストーリーテリングは成功体験で終わるのが重要です。試行錯誤の結果、自社の課題をクリアできたことで、ハッピーエンドで終わるようにしましょう。具体的な数字もうまく盛り込みながら、どのように改善されたのかを発表することで「めでたし、めでたし」になるのが、ストーリーテリングのやり方です。
やり方⑥ポイントを絞ってストーリーを見えやすくする
ストーリーテリングの注意点として、ストーリーを展開するために話が冗長になったり、複雑になったりするのは避けましょう。ポイントを明確にし、一番伝えたい部分をわかりやすくしておくことが需要です。実際に行った施策をすべて紹介するわけではなく、ある程度絞って伝えるようにしましょう。
デジタルマーケティングにおけるストーリーテリングの活用法
ランディングページに活用する場合
デジタルマーケティングにおけるストーリーテリングの活用法も参考にしてください。検索結果や広告などを経由して訪問者が最初にアクセスするランディングページは、結論からストーリーを展開するのがおすすめです。
最終的には訪問者が「今買わなければいけない理由」を提示することで、購買欲を誘います。愛用者の声を載せるのもおすすめで、訪問者を安心させるような展開にしてください。
オウンドメディアに活用する場合
自社が所有するメディアのことをオウンドメディア、といいます。オウンドメディアにストーリーテリングを活用するためには、コンテンツの内容が支持されてからブランドを押し出していくのがおすすめです。
競合ブランドと差別化をするために、視聴者の共感が得られるもの、そしてニーズに合う内容にしなければなりません。自社のストーリーを伝えて、共感が得られるようにしましょう。
ストーリーテリングの活用事例
活用事例①Chipotle
Chipotleは全米中にあるメキシコ料理系のファストフード店です。自社製品がホルモン注入による短期飼育や遺伝子組み換えを使っていないことをアピールするCMを制作しました。自社のスタンスを明確にしたCMによって、イメージアップに成功しています。
活用事例②Apple
Appleは当時、コンピューターで圧倒的なシェアを持つIBM社を独裁者に見立てたCMを作成しています。小説「1984」をイメージさせる監視社会を描き、その中で一人の女性アスリートが独裁者が映し出された画面に向かってハンマーを投げる、といいう内容でした。
IBMの独占的な状態に対して、Appleが革新的な存在としてマーケットを変えることをイメージさせたストーリーテリングの事例です。
活用事例③ギネス
ギネスビールは、CMにラグビー選手のガレス・トーマスを起用して話題を呼びました。彼は「野獣」と呼ばれるほど荒々しいプレイスタイルが人気でしたが、同時にゲイであることをカミングアウトした人物です。
彼のカミングアウトに対して、チームメイトが受け入れてくれるようになるまでのストーリーを描きました。そして、ギネスが彼やラグビーを応援していることを表現して、自社のスタンスを表現しています。
活用事例④アメリカン・エキスプレス
アメリカン・エキスプレスは、有名人を起用して、それぞれの冒険にフォーカスしたCMを放映しました。それぞれのエピソードを紹介すると同時に、アメリカン・エキスプレスが冒険や挑戦をサポートする存在であることをイメージ付けています。
活用事例⑤Ultra Beauty
Ultra Beautyは、乳がん患者の記録を描くことで、自社が表面的な美だけでなく、内面的な美もサポートしていることを伝えています。女性の病気の克服から、その後の初めてのヘアカットを描き、ブランドの美に対する考え方を表現しました。
活用事例⑥P&G
P&Gは洗濯を女性の仕事ではなく、男性にも参加させるようなストーリーを描きました。男性が妻に任せていた洗濯物をする、という男性目線からの気付きを取り上げたことで、女性から大きな支持を得たのです。洗剤などの商品を扱うメーカーからのメッセージやスタンスが分かりやすい事例になっています。
活用事例⑦AXE
デオドラント商品であるAXEは、商品を使うことで一気にモテ男になることをユーモラスにCMで表現しました。重いストーリーではなく、ライトな表現はデオドラント商品の購買層である若者にアピールする効果があった事例です。
活用事例⑧KFCコーポレーション
ケンタッキーを販売するKFCは、2018年に鶏肉の供給が間に合わない出来事に見舞われました。そのとき、謝罪広告を掲載し、自社のKFCをもじったFワードを掲載しています。
海外で口にはしてはならない言葉として有名ですが、あえてその言葉を載せるほどメーカー側も緊急事態であることをアピールしたのです。鶏肉不足は消費者だけでなく、メーカー側にとっても「くそったれな事態」であることを表現しました。
ストーリーテリングの意味や効果を知っておこう!
ストーリーテリングの意味や効果について解説しました。ストーリーテリングを有効的に使うことで、数字や理念がより記憶に残りやすくなります。企業が目指すものや伝えたいものを明確にし、うまくストーリーテリングを活用して主張したいことを届けましょう!