データドリブンの意味とは?使い方やツール選びのポイントも!

データドリブンの意味とは?使い方やツール選びのポイントも!
目次

データドリブンの意味を解説!ツール選びのポイントは何か?

近年、ITテクノロジーの進化により、ビッグデータを扱うコストが下がり、さまざまな分野でビッグデータが活用されるようになってきました。こうした背景からも今、データドリブンが注目されています。この記事では、データドリブンとは何かや、KKDとの違い、データドリブンの効果について解説します。

また、データドリブンを活用するときの注意点や、データドリブンおすすめツールも紹介しますので、ぜひ、データドリブンの導入に役立ててくだい。

データドリブンの意味とツール選びのポイント

データドリブンとは、ビジネスの課題に対して、データの分析結果をもとにして、意思決定を行うプロセスを言います。ここでは、データドリブンの言葉の由来や、データドリブンマーケティングの言葉の意味、KKDとの違いについて解説します。

データドリブンの言葉の意味と由来

データドリブンとは、ビジネスの課題に対して、蓄積したさまざまなデータの分析結果をもとにして判断を行う業務プロセスを指しています。

データドリブンとは、英語のデータ(Data)とドリブン(Driven)という言葉から成り立っています。ドリブンは、動詞の「Drive」から来ています。

このドライブは、「○○を起点に考える」「○○を主軸に考える」という意味で、データドリブンは「データを起点に考える」という意味があります。この、収集・分析したデータによって経営戦略などの意思決定を行う経営手段のことをデータドリブン経営といいます。

データドリブンマーケティングの言葉の意味

データドリブンマーケティングという言葉は、マーク・ジェフリーの著作「データ・ドリブン・マーケティング」によって広く知られるようになりました。

マーク・ジェフリーは、ノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院非常勤教授で、著名企業のコンサルティングにも携わっています。データドリブンマーケティングとは、データに基づいてマーケティング戦略を組み立てていくことを言います。

KKDとの違い

KKDとは、「勘、経験、度胸」に頼、感覚や直感的な判断でビジネスの意思決定を行うことを言います。

データがそれほど活用されていなかった時代には、経験者の経験による判断が重要視されていました。今でも経験は有効な要素ですが、より客観的な判断を導き出せる要素として、データがあります。

KKDは、さまざまなデータの分析結果をもとにして、客観性を持つデータドリブンとは対義語とされることが多い言葉です。

データドリブンが注目されている背景

近年のITの普及や、急速なデジタル化によるデータ量の急増、ライフスタイルの多様化などの影響によって、より精度の高い情報収集が求められています。多様化する情報の中から適切にデータを活用するために、今、データドリブンが注目されているのです。

デジタルマーケティング技術の発展

各種SNSやモバイルアプリ、検索エンジン、Webサイトなどのデジタルテクノロジーを活用したマーケティングは、急速に発展し続けています。

このデジタルテクノロジーの発展とともに、ビッグデータを扱うコストも下がり、企業がビッグデータを収集、分析することが容易になりました。

容易に扱えるようになったデータは、活用しなければ機会ロスにつながると考えられるようになり、データドリブンマーケティングに取り組む企業が増えているのです。

顧客行動の複雑化

近年の顧客は価値観も行動も多様化しています。「良いものを安く売る」という事だけではものが売れる時代ではなくなっているのです。

こうした中で、顧客が何を求めているのかを客観的なデータをもとに分析し、売り上げの最大化を目指す目的から、データドリブンマーケティングの重要性が高まっているのです。

無駄なマーケティング施策の排除

近年の顧客の多様化によって、客観的なデータに基づかないマーケティング施策を施しても、利益につなげることが難しくなっています。

こうした無駄なマーケティング施策を排除する手段として、ターゲットとする市場や顧客のデータを収集・分析することで、自社に最適なマーケティングにつなげることができます。

データドリブンの効果

ここからは、データドリブンに取り組むことによってもたらされる効果について、3つの項目に分けて具体的に解説します。

効果①売上成長や収益率の改善に繋がる

データドリブンでデジタル技術を活用することで、生産性の向上や売り上げの成長によって、収益の改善に繋げることができます。

デジタル技術を活用することで、販売が効率化され、さらに蓄積されたデータから、より顧客のニーズに合った提案がなされ、売上アップに繋がるのです。

効果②顧客理解を促進することができる

デジタルマーケティングによって、より精度の高い顧客ニーズを分析することが可能となります。収集したデータから、属性や行動を分析することで顧客理解を深め、よりパーソナライズされた顧客体験を設計できるのです。

効果③精度の高い意思決定が可能になる

ビジネスの課題に対しては、常に何らかの意思決定が求められますが、データドリブンを活用することで、より客観的で制度の高い意思決定が可能になります。さまざまなデータやデジタルの力が判断材料として活用でき、意思決定の精度を上げてくれるでしょう。

データドリブンを行う人材に必要なスキル

データドリブン経営に大切なのは、アクションプランを適切に設定して実行することです。ここでは、データドリブン経営を行うための人材に必要なスキルを解説します。

スキル①データ分析能力

データドリブン経営を行うために、データから客観性のある意思決定を行うには、データ分析能力が欠かせません。収集したデータを経営に活用するためには、データを分析するスキルのある人材が必要です。最善のデータ分析を行うには、ロジカルシンキングが求められます。

スキル②ロジカルシンキング

データドリブンの収集・可視化・分析・実行というステップのうち、要ともいえる情報の分析を行うには、マーケティングのスキルはもちろん、ロジカルシンキングのスキルも必要となります。

ロジカルシンキングは、自社の現状を把握してビジネスの課題や目標を客観的に分析するためにも、たいへん重要な要素です。

このような分析スキルを持つ人材はでーたサイエンティストやデータアナリストと呼ばれ、データドリブンを成功させるには、これらの人材の確保が重要です。

スキル③ITリテラシー

データドリブン経営の成功には、ITリテラシーの高い人材が必須です。特に、データやオペレーションをデジタル化できる技術は、データドリブン経営に必要な技術です。

データドリブンの使い方

ここでは、データドリブンの使い方について、4つのステップに分けて紹介します。

使い方①データを収集する

データドリブンの使い方の最初のステップは、データを収集することです。データが社内の複数のシステムに分散されている場合には、データ管理ツールの導入も視野に入れましょう。

収集するデータの対象となるシステムは企業によってさまざまで、POSシステムや顧客管理システムであったり、Webサーバ、IoTなどとなります。

しかし、社内がデジタル化されておらず、データがない場合には、まず、データを収集することのできるシステムを導入することが必要となります。

使い方②データの可視化を行う

データドリブンの使い方の次のステップは、データの可視化を行うことです。データは、収集してそのままでは、データドリブンにどのように活用できるのかがわかりません。

集めたデータが何を表しているのか、つまり、データを可視化することが必要となります。データを可視化するためには膨大な時間がかかるため、データの分析ツールの活用が有効です。

使い方③データの分析とアクションプランの検討を行う

データドリブンの3つ目のステップは、データの分析とアクションプランの検討を行うことです。可視化したデータをさらに目的に合わせて解析し、経営効率を向上させるためのアクションプランを設定します。

データの分析は、ツールを用いればある程度行うことはできます。しかし、より精密な分析には、データドリブンマーケティングの深い知識が必要です。データドリブンが適切に行える人材がいない場合には、コンサルティング会社に委託することも選択肢のひとつでしょう。

使い方④アクションプランを実行する

データドリブンの最後のステップは、アクションプランの実行です。具体的なアクションプランが設定できたら、速やかに実行へ移します。

そして、実行したアクションプランの結果が出ているかを確認し、PDCAを回してデータドリブンマーケティングをさらに磨き上げていきましょう。

データドリブンを活用する時の注意点

データドリブンを活用することによって、さまざまなメリットがありますが、導入するには、データを活用するための研修やトレーニングも必要となります。ここでは、データドリブンの導入に関する注意点を解説します。

注意点①全ての判断に右往左往することがある

データドリブンを導入するにあたっては、まず主軸となるデジタル戦略が必要となります。このデジタル戦略がすべての判断軸となります。

この主軸となるデジタル戦略がないままでは、すべての判断に右往左往することになってしまい、組織の疲弊を招くことになってしまいます。

注意点②計画に時間をかけすぎないようにする

データドリブンのソースとなるデータも、あまりに時間をかけてしまうと、データとしての価値が変化してしまう場合があります。変化の早いテクノロジーの世界では、スピード感を持って計画を進めていくことも非常に重要な要素のひとつです。

データドリブンの企業事例

ここからは実際にデータドリブンを導入している企業事例を4例紹介します。導入方法などについて参考にしてください。

企業事例①株式会社JTB

株式会社JTBでは、2018年4月に、データドリブンマーケティング実行のための戦略組織「データサイエンスセントラル」を設置しました。

この組織には、「統合データ基盤」「顧客分析」「マーケティングアクション」の3つの機能があり、3ヵ月で1周してデータドリブンマーケティングを実現するというものです。

そして、「統合データ基盤」については外部パートナー企業とタッグを組んで分散していたデータを統合させました。「顧客分析」は出来る限り社内で分析できるよう、社内にアナリストチームを稼働させ、分析を続けています。

さらに顧客の旅先での行動を把握するためにクロスデバイスマッチングの仕組みを利用し、広告配信を「ヒト」単位で制御することで広告投資の最適化を目指しているのです。

企業事例②ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社では、徹底したデータドリブン経営を推進すべく、クラウド型BI(ビジネスインテリジェンス)ツール「Domo」を導入しました。

BIツールの導入により、個人別や部門単位のデータが見える化され、高い利益予測の実現や、実績の進捗状況の表示が可能となりました。また、「Domo」の社内での活用を広めるため、社内説明会の開催などを行っています。

企業事例③メットライフ生命保険株式会社

メットライフ生命保険株式会社では、社内の専門組織を中心として、顧客情報の保護・活用(データガバナンス)を推進しています。3つのキーワード「availability(可用性)・usability(使用性)・integrity(整合性)」のグローバル基準でデータの収集や活用をしているのです。

保険金の請求を例に挙げると、契約者や商品情報、請求内容、金額などのデータを一元管理して、さまざまな部署でデータを活用し、顧客満足の向上に活かすというものです。

企業事例④中外製薬株式会社

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する中外製薬株式会社では、「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を2020年3月に発表しました。

この 「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」 では、「デジタルを活用した革新的な新薬創出」「デジタル基盤の強化」「全てのバリューチェーン効率化」を3本の柱に掲げています。

この3つの基本戦略でデジタルを活用することにより革新的な新薬を創出し、社会を変えるヘルスソリューションの提供を目指しているのです。

データドリブンのおすすめツール

ここからは、データドリブンのおすすめツールを5つ紹介しますので、ツール選びの参考にしてください。

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)

CDPは、顧客データを収集・集約・蓄積するためのツールです。CDPの収集データは、WEBサイトなどで、顧客が直接かかわった顧客データで、1st Party(ファーストパーティ)データと呼ばれています。このデータには、顧客の住所・氏名などの情報に加えて、行動データや属性といったデータも含まれています。

別々のシステムやデータベースで管理されているケースも多くありますが、CDPはこれらを集約して分析することが可能です。

DMP(データマネジメントプラットフォーム)

DMPは、データの収集や分析を行って、マーケティング施策に活用するためのツールです。WEB広告ツールと連携しやすいメリットがあります。DMPのなかで、自社で収集したデータは「プライベートDMP」と呼ばれています。

MA(マーケティングオートメーション)

MAは、収益の向上を目的として、マーケティング作業などを合理化・自動化してくれるツールです。集客後の見込み客を管理して顧客化するために利用され、近年注目を集めています。

CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)

CRMは、顧客関係のマネジメントを強化するための支援ツールです。顧客の基本情報や、購入履歴・クレーム情報の管理や分析を行い、優良顧客へのアプローチを支援します。

SFA(セールスフォースオートメーション)

SFAは、営業管理システムとも呼ばれます。営業のプロセスや進捗をチームで管理して効率化を図ることのできるツールです。案件の管理や営業レポートの作成のほか、成約率なども把握でき、営業を効率よく管理できまる機能が備わっています。

データドリブンをビジネスの意思決定や課題解決に活かそう!

データドリブンの意味や使い方、ツール選びについて解説しました。情報化社会にあふれるデータを有効に活用するためには、最適なデータドリブンの構築が必要です。ぜひ、この記事を参考にして、データドリブンマーケティングを効率よく進め、データドリブンをビジネスの意思決定や課題解決に役立ててください。

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