ピアプレッシャーのメリットやデメリットを解説!
企業で働く上で様々なプレッシャーが存在します。そのプレッシャーが良い結果につながることもあれば、精神的な負担になることもあるでしょう。そういったプレッシャーの中でピアプレッシャーについて紹介します。その意味やメリット・デメリットを確認してください。
ピアプレッシャーとは?
ピアプレッシャーの言葉の意味
プレッシャーの中でピアプレッシャーというのは「仲間との相互監視で生じる同調圧力」のことです。これはピアが「仲間」、プレッシャーが「圧力」を意味している言葉になります。
職場やチームなどの集団で活動する際に、秩序を保とうとする同化作用が同調圧力を生んでしまうのです。ビジネスの場面だけでなく、集団で生活する上では様々な場面でピアプレッシャーが生まれるので、そのメリットやデメリットを確認していきましょう。
ピアプレッシャーが注目されている背景
ピアプレッシャーが注目されている背景には、日本企業の人事評価制度の変化が挙げられます。かつては年功序列制度や能力主義がメインでした。そこから企業のグローバル化や多角化が進み、現在は多くの企業で成果主義になっています。
能力主義では年功序列による昇給や昇格で人事評価が行われていましたが、成果主義では個人個人の達成度がメインです。その中で個人の成果を上げるために、仲間との過当競争が起きるようになりました。
同時に職場においてお互いを監視し合う側面が強くなったことで、ピアプレッシャーが注目されるようになったのです。こういったことを踏まえてピアプレッシャーの意味や心理学的な側面を考えていきましょう。
相互監視の側面がある
ピアプレッシャーの特徴として2つの側面が挙げられます。1つは相互監視の側面です。相互監視によって程よい緊張感生まれるので社員のモチベーションやパフォーマンスを引き出してくれます。
相互配慮の側面もある
相互監視とあわせて相互配慮の効果もあるのです。「困ったときはお互い様」といえるような連帯感が生まれます。適度な配慮が維持されることでミス防止や業務効率化の意味があるので、この2つの面の効果を理解しましょう。
ピアプレッシャーと日本企業の関係
日本企業におけるピアプレッシャーの意味や効果を考えながら、どのように活用していくかが重要です。日本人の傾向として和を重んじて、お互いを助け合う特徴があります。これはビジネスの場面でも同様であり、お互いが助け合いながら組織全体で成長するのが特徴です。
こういった風潮はビジネスの場でも同様で、縦社会が基本的であり、メリットとデメリットが共存してきました。しかし、社会の状況の変化により上司と部下の関係性も見直しが進んでいます。
ピアプレッシャーのメリット
メリット①切磋琢磨できる環境が生まれる
適度なピアプレッシャーはメリットを生み出します。その効果として切磋琢磨できることが大きなメリットです。社員の心理学的なマネジメントを適切に行いながら、ピアプレッシャーが程よく存在していると、良きライバルとして切磋琢磨できる環境が生まれます。
この程よい緊張感を維持するのは簡単なことではありません。ゆるすぎると馴れ合いの関係になるだけに、うまく企業側が社員のマネジメントを丁寧に行いながら競争意識を刺激し、全体のモチベーションを上げることでメリットが発揮されます。
メリット③仲間同士で助け合うことができる
お互いの仕事ぶりを程よく観察することは、心理学的に良いメリットを作り出します。もし、仲間が困っているときに助け合うことができ、問題を迅速に解決できるからです。
プロジェクトを進めるときに、時には仲間を救うために残業が必要になることもあります。この残業も無理やりなものではなく、「仲間を救いたい」という自発的な気持ちが生まれるのがピアプレッシャーのメリットです。努力する人間同士が相互作用で良い結果をもたらしてくれます。
メリット③お互いの長所に気付くことができる
仲間のことを監視する上で、お互いの長所に気付くのもメリットです。仲間がどのように働いていて、どういった強みを持っているのか知ることで、それを自分の仕事につなげることもできるでしょう。
良い部分を吸収し、お互いを認め合えることは心理学的にもメリットがあります。さきほどの仲間同士の助け合いにもつながる部分であり、ピアプレッシャーの効果をうまくマネジメントすることがメリットを高めてくれるのです。
メリット④生産性の向上に繋がる
これらのメリットがさらに連帯感を生んで生産性の向上につながります。ピアプレッシャーの効果や意味を社員が理解することも、より効果を高めるでしょう。社員のモチベーションを維持するのは難しい課題なだけに、ピアプレッシャーの効果は非常に意味があります。
同時に管理者はこのピアプレッシャーを適切な状態に保つマネジメント力が必要です。次に解説するピアプレッシャーのデメリットも考えながら、どのように同調圧力やいじめを防ぐのかを考えていきましょう。
ピアプレッシャーのデメリット
デメリット①残業が断りにくくなる
ピアプレッシャーにはデメリットも存在します。心理学的な面を考えながらそのデメリットの原因を確認しましょう。ピアプレッシャーによって仲間との関係性が深まりますが、逆効果になることがあります。
たとえば、周囲の人が残業をしている中で自分だけ先に帰るようなことができない雰囲気が生まれるのです。中には自分は残業しなくてもいいのに、周囲にあわせて残業をしているような人も生まれます。こういった同調圧力はピアプレッシャーのデメリットの特徴です。
デメリット②企業内のイベントも断りにくくなる
残業が断りにくい状態では、イベント系も断りにくいでしょう。企業内におけるイベントは様々ありますが、飲み会やスポーツ系のイベントなど、自分に興味がないものまで断れない状態になります。
そういったイベントを断ることでいじめや仲間はずれが発生することもあるので、組織のリーダーは気を配ることが必要です。プライベートを大事にする若者が増えているので、「集団の結束力を高めたい」と頻繁にイベントを開催するのは必ずしも良い結果を生みません。
デメリット③有給や育休の取得率が上がらない
近年は働き方改革が進んでおり、有給や育休を取りやすい環境作りが求められています。しかし、ピアプレッシャーが過度に機能している状態では、そういった休みを取得しにくいデメリットが発生するのです。「自分だけが休むのは気が引ける」というのは、良くない傾向といえるでしょう。
デメリット④自己主張が難しい
集団で協力して仕事をしていくうえで、ピアプレッシャーが働きすぎると自己主張をしにくい状態になります。これはみんなと足並みを揃えたい、という気持ちが強くなることが関係しているのです。
周囲に配慮しすぎると馴れ合いや新しい考えが生まれること妨げるだけに、企業はピアプレッシャーを維持しながらも自己主張や意見が言いやすい雰囲気作りが求められます。
こういった状態が放置されると、いじめや仲間はずれが起きる可能性があるのです。心理学的にも同調圧力が強くなりすぎると、その状態を変えようとする人に対していじめが起きやすく、精神的に病んでしまう人も出ます。
パワハラやモラハラによるいじめが社会的な問題になっていますが、そこにはピアプレッシャーも関係しているのです。企業はチームをうまくマネジメントしながらいじめを防ぐ仕組みづくりが求められるでしょう。
ピアプレッシャーの活用法
活用法①キャリアビジョンを確立する
ピアプレッシャーを活用する上では、キャリアビジョンと自分の強みを確立させましょう。仕事に対する当事者意識を持ち、どのように自分の強みを活かせるか示すことが大切です。自分のスタンスが確立できれば、ピアプレッシャーのデメリットを払拭できるような強さを身につけられます。
活用法②周囲との良好な関係を保つ
周囲との円滑なコミュニケーションを築くことも大切です。心理学的な部分を学びながら、どのように自分が見られているのかを知ることも必要になります。周囲の承認や信頼を得ることでピアプレッシャーのメリットを活用できるでしょう。
活用法③ピアプレッシャーをモチベーションに変える
ピアプレッシャーは自分を成長させてくれる要素が豊富です。自分がピアプレッシャーによって怒りや不安を感じた時に、どのように対処するかを考えて行動することで、成功体験が増えていきます。
自分だけで物事を解決しようとするのではなく、周囲と協力し、不安や悩みも共有しながら乗り越えていくことで思考パターンもポジティブになっていきます。このようにピアプレッシャーをモチベーションに変えることがおすすめです。
ピアプレッシャーの効果をマネジメントにも活かそう!
ピアプレッシャーの効果について解説しました。ピアプレッシャーをマネジメントに活かすことで、集団の能力を高めることができます。同時にリーダーはいじめや同調圧力が起きないようにフォローしていくことで、デメリットを防ぐことが大切です。
適度なピアプレッシャーは組織力やモチベーションを高める効果が期待できます。社員同士のチームワークを高めて、より良い結果を生み出していきましょう。