ピア効果を活用して仕事の生産性を高めよう!
ピア効果は、これまで教育など現場で使われていた言葉でしたが、昨今では企業や仕事においても使用されるようになりました。ピア効果とは、どのような意味があるのでしょうか?
この記事では、ビジネスシーンにおけるピア効果のメリットやデメリットについて、詳しく解説します。また、ピア効果が注目されている理由や、活用法についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
ピア効果とは?
お互いの生産性や行動力に影響を与え合う現象のこと
ピア効果という言葉自体は、もともと教育の分野で活用されてきました。ピア効果とは、勉強や仕事、作業などを仲間と一緒に行うことによって、お互いの生産力に良い影響が生まれ、相乗効果が発生する効果のことです。
ピア効果は、対象の能力や実力が均衡している場合に、非常に有効であると言われています。しかし、対象同士のレベルに個人差があり過ぎる場合には、返ってデメリットの方が多くなる恐れがあるため、適材適所での活用が望ましいです。
企業の人材育成施策としても活用されている
元々、ピア効果は学校や教育機関で活用されてきましたが、昨今ではビジネスシーンにおいて注目を集めるようになりました。専門家の研究によると、ピア効果は、個別よりもチームごとに行う方が、より大きな効果が得られると言われています。
ビジネスにおいても同様で、より専門的なチームほど、ピア効果のメリットが大きく、仕事の効率がアップするのだそう。そのため、近年ではビジネスシーンでも注目されており、仕事のチームなどに活用する企業が増えています。
「負のピア効果」の言葉の意味
ピア効果には、実は正のピア効果と負のピア効果があることを知っていますか?仕事や学習など、相乗効果によって成果が上がることを一般的に正のピア効果と呼びますが、その反対の事象、いわゆる「負のピア効果」も起こりうる可能性があるのです。
負のピア効果は、集団になることにってお互いに悪影響を及ぼし、チームの雰囲気や成果を著しく低下させてしまう事象のことを指します。原因はさまざまですが、ピア効果にはこうした一面があることを覚えておくと良いかもしれません。
ピア効果が注目されている理由
労働生産性の高い組織作りが求められているため
かつてより、日本人は勤勉で、生産賛成が高いと言われてきましたが、その実態は過度の残業や業務の詰め込みによるものが多い傾向にありました。昨今は、働き方改革により、より短時間で高い生産力が求められる傾向に。
そのため、個人ではなかなか力を発揮できない仕事でも、ピア効果を活用することによって、生産力を向上させようという狙いがあります。
働き方改革に欠かせない現象と考えられているため
ピア効果は、チームで競うことにより、相乗効果が生まれ、より効率的で高い生産力を狙って活用されています。昨今の働き方改革では、業務時間の短縮や効率化が謳われていますが、かつての日本の業務スタイルでは、これらの実現は非常に難しいのが現状です。
そこで、ピア効果を導入することによって、チームとして生産力を上げ、限られた勤務時間で高いパフォーマンスを行う必要があります。こうした現代の動きに対応すべく、現在、ピア効果に注目が集まっているのです。また、ピア効果は近年注目されている育児休暇などの休暇取得に関しても有用です。
周囲の社員が積極的に休暇を取得することによって、企業内にも「休暇を取得しても良いのだ」という空気が生まれ、社員のワークライフバランスをと問えることが可能に。日本の企業独特のシステムを払拭するためにも、ピア効果の導入は有用だと言えるでしょう。
ピア効果のメリットとデメリット
メリット①生産性の向上に繋がる
ピア効果は、上手に活用することで相互モニタリング作用が働きます。この相互モニタリング作用は、レベルが高い人同士で行うことによって競争力が高まり、生産性が向上すると言われています。
ただし、ピア効果を期待する場合は、ただ漫然とチームで取り組ませるだけでなく、企業は相応の報酬を与える必要があるでしょう。ピア効果には生産性を高めるために大きなメリットがありますが、企業のサポートも不可欠です。
メリット②対応力の向上に繋がる
チームで業務を行う際に起こるピア効果には、生産力向上だけでなく、対応力の向上というメリットもあります。専門家の研究によると、チーム内で実験的に配置転換を行う業務コーディネーションを行ったところ、メンバーに、より柔軟な対応力が身についたのだそう。
良いピア効果の場合は、チームの誰かに万が一のことがあっても、それらを補おうとする動きが見られます。ピア効果にが、企業における対応力の向上も見られるのも、大きなメリットのひとつです。
メリット③問題解決力の向上に繋がる
チーム内でピア効果が生まれると、仲間内で向上心が生まれ、仕事に対する問題解決力も身につくと言われています。レベルが高いチームの場合、仕事をするにあたって、より企業にメリットをもたらすことができるよう、自発的に動けるようになるのがピア効果の最大のメリットです。
社員が自発的に動くことで、業務に置ける問題解決能力も自然と身に付き、企業にとっても大きなメリットがもたらされることでしょう。
ピア効果のデメリットは?
ピア効果はメリットばかりではありません。適切な方法で活用できない場合は、負のピア効果が生まれ、業務において支障をもたらす場合があります。例えば、チームのメンバーの能力が不均衡の場合は、優秀なメンバーの能力にぶら下がるメンバーが出てくる場合も。
これにより、チーム内の空気が悪くなり、負の連鎖が起こってしまうデメリットもあります。ピア効果を業務活用する場合には、チーム内の能力や、社内のメンバーの実力をある程度把握しておくことが重要なポイントだと言えます。
ピア効果の活用方法
活用方法①ピア・コーチングによる人材育成を行う
ピア・コーチングは、一般的なコーチングと異なり、職位や立場に関係なく、メンバー同士で行うコーチングのことです。やり方は、まず仲間の話を聞くことから始め、問いかけを行い、共感を生み出します。これにより、チームの士気が高まり、良い相乗効果が期待できることでしょう。
このピア・コーチングは、コーチング心理学においても研究が進められている方法です。人材育成を行うにあたって、ピア・コーチングのプロセスをチーム作りの際の研修に取り入れている企業も多く存在します。
活用方法②ピア・プレッシャーによる組織力強化を行う
ピア効果をより強固にした意味合いを持つ、ピア・プレッシャーという言葉もあります。このピア・プレッシャーは、相乗効果というよりは相互監視という意味合いが強く、心理的に圧迫感の強い同調性や統率性が求められます。
このピア・プレッシャーは家族経営の会社などに多く見られ、生産性の向上や、目標達成の原動力になっているケースも多いです。
しかし、時にはこうしたピア・プレッシャーが従業員を心理的に圧迫し、ブラック企業化するなどの懸念も。ピア・プレッシャーを活用する場合は、会社のワークライフバランスを見極めながら行わなければいけません。
活用方法③SNSによるマーケティング強化を行う
ピア効果は、マーケティングを行う上でも重要な役割を果たします。特に昨今は、SNSを使ったマーケティングにピア効果が表れています。
SNSでのマーケティングのキーワードは、対等な関係からくるユーザー同士の共感という、ピア効果と同じシステムの原理です。そのため、最近ではSNSを中心としたマーケティングに力を入れる企業が増えてきています。
ピア効果の企業事例
企業事例①株式会社メルカリ
フリマサイトの代表格であるメルカリを運営する株式会社メルカリでも、ピア効果を活用したビジネスを展開しています。メルカリでは、社内でメルチップというボーナスを贈り合う制度を活用しています。
こうした制度はピア・ボーナスと呼ばれ、企業内におけるスタッフのモチベーションを高め、生産力を向上させる効果も。メルカリの躍進の背景には、こうしたピア効果による影響があると言えます。
企業事例②スマートキャンプ株式会社
多岐にわたるオンラインサービスを提供しているスマートキャンプ株式会社では、社内コミュニケーションの円滑化を図るため、ピア・ボーナスや相互評価制度を実施。
また、社員間でやり取りをする際に、スマートキャンプがの4つのカルチャーである「Smart Thinking」「Ownership」「Collaboration」「Speed」についてハッシュタグを付けて投稿することで、仲間同士の結束感を強めています。
ピア効果を組織の能力向上に役立てよう!
ピア効果は、同程度の能力の者同士を競わせることで相乗効果が生まれ、生産性の向上が期待できます。そのため、仕事などにおいてピア効果を導入する企業も増えつつあるようです。しかし、負のピア効果などもあるので、活用するには、メリットやデメリットなどを見極める必要性も。
また、ピア効果はSNSなどを活用したマーケティングにおいてメリットを発揮します。企業の特性を生かして、マーケティングやビジネスなどに、ピア効果を取り入れることで、より多くのメリットを享受できることでしょう。