ペーパーレス化のメリットとデメリットは?導入手順と成功事例も解説

ペーパーレス化のメリットとデメリットは?導入手順と成功事例も解説
目次

ペーパーレス化のメリットや導入手順を解説!

業務の効率化を進める上でペーパーレス化が注目されています。働き方改革や新型コロナウイルスの影響もあり、紙で運用している業務をペーパーレス化することで、働きやすさが得られるのです。そんなペーパーレス化のメリットだけでなく、デメリットについてもまとめているので参考にしてください。

ペーパーレス化とは?

ペーパーレス化の言葉の意味

ペーパーレス化は、紙の書類を電子化することを意味します。また、書籍の電子化やきっぷなどのICカード化もペーパーレス化に含まれる行為です。現代では契約書や帳票もクラウドサービスや、OCRと言われるスキャンして自動でテキスト化する方法でペーパーレス化が進んでいます。

働き方改革とペーパーレス化の関係性

政府は2019年に働き方改革の重要施策として、ペーパーレス化を掲げています。ペーパーレス化のために法整備も進んでおり、働き方改革よりも前の1998年に国税関係の帳簿類などの電子保存を認める「電子帳簿保存法」が施行されました。

また、2004年には商法や税法で保管が義務付けられている文書の電子保存を認める「e-文書法」も施行されているのです。このようにペーパーレス化は国も企業と協力して進めており、テレワークなどを行う上でも重要な意味を持っています

オンライン入社とペーパーレス化の関係性

新型コロナウイルスの影響もあり、企業の中でオンライン入社を導入しているところが増えました。これは入社手続きをオンラインで完結させるシステムであり、ペーパーレス化の一つです。直接対面して手続きをするリスクを減らすと同時に、業務効率化につながるメリットがあります

このようなオンライン入社によって、必要な情報をクラウドサービスで管理できるので、社員情報の見える化にもつながっているのです。自社企業に勤める従業員の情報を素早く分かりやすく管理し、人事担当者にとってもメリットが大きいといえるでしょう。

日本企業におけるペーパーレス化の現状

社内規定や制度の整備が進んでいない

メリットも多いペーパーレス化ですが、日本企業ではまだまだ導入が進んでいない状態です。その原因として、社内規定や制度整備が進んでいないことが関係しています。

紙のほうが管理しやすいと感じる人達もいることや、ペーパーレス化のための制度作りに時間が取れないなど、様々なことが原因でシステムを導入できないのも事実です。紙ベースからわざわざペーパーレス化することにメリットを感じられない人たちをどのように説得するかが重要になります。

新たなルールの構築が必須となっている

ペーパーレス化を導入するためには、新しいルールを構築しなければなりません。基本的なファイル名の付け方や電子ファイルの格納先などを決めることが求められます。また、法律で紙での保存が義務付けられているものもあり、こちらとの区別が難しいのも障害になっているのです。

こういった問題も少しずつですが緩和されており、紙での保存が義務付けられているものがペーパーレス化可能にあることも考えられます。そういった変化に対応するためにも、早い段階でペーパーレス化のルール作りを検討しましょう。

一定水準のITリテラシーも必要となっている

紙から電子化を行った際、ITリテラシーが無いとトラブルの原因になります。リテラシーは「理解」や「分析」を意味する言葉で、ITリテラシーの場合はネットの使い方に関する知識などが該当します。

どのようにペーパーレス化した書類にアクセスすればいいのかや、クラウドサービスの使い方、セキュリティ知識などを持つことが求められます。ある程度インターネットに慣れている世代は問題なく扱えても、年配の人ではITリテラシーを持ちにくいのが課題です。

中には「ネットなんて若い奴らにやらせておけばいい」と覚えることを放棄する従業員も出てきます。そういった従業員に対して、ペーパーレス化の便利さを伝えると同時にある程度の紙媒体の維持も重要になるでしょう。

ペーパーレス化の対象となる書類

書類①ビジネス文書

実際にペーパーレス化を進める上で対象となる書類を把握しておきましょう。ペーパーレス化を導入する上で、すべての紙媒体を電子化することが正しいわけではありません。文書の中では紙媒体のままのほうが運営しやすいものや、法律で紙のまま保管しなければならないものがあるからです

この部分をしっかりと確認し、まずは紙媒体のまま保管しなければならないものをはっきりとしましょう。その後、日常的に使っている膨大な量のビジネス文書を電子化し、ペーパーレス化を進めてください。

書類②会議資料

会議資料に関してはペーパーレス化が進めやすい部分です。近年はWeb会議やオンラインミーティングが普及したことにより、資料を印刷せずにデータ化したものを閲覧して共有する形が増えました。会議に参加している人数の資料を印刷するのは資源はもちろんですが、事前作業の負担軽減につながります

そういった担当者の負担を減らすためにも会議資料のペーパーレス化は積極的に進めましょう。ペーパーレス化は資源だけでなく、作業の負担を減らして効率化につながるのがポイントです。

書類③パンフレットやカタログ

企業のパンフレットやカタログをペーパーレス化することを検討しましょう。営業を行う時にノートPCやタブレットを持ち運ぶだけでOKになります。また、電子化することで掲載内容をすぐにアップデートできるので、情報更新が用意になるのも重要な要素です

書類④販促物

販促物をペーパーレス化して、デザイン修正をしやすいようにしましょう。チラシやポップ、ポスターなどの販促物をペーパーレス化することで、修正がしやすくなり、必要に応じて内容を変更できます

ペーパーレス化の対象外となる書類は?

逆にペーパーレス化しないほうが良いものも把握しておきましょう。法律的に紙の媒体で保存するものはもちろんですが、現物性が高い文書や緊急時に即座に閲覧する必要がある文書はペーパーレス化には向いていません

免許証や許可証、船舶に備える手引書などは必要なときにすぐ用意できるようにしておきましょう。ペーパーレス化して電子化していると、端末のネットワーク接続やバッテリー切れなどで閲覧出来ないとトラブルになります。

ペーパーレス化のメリット

メリット①印刷コストの削減に繋がる

改めてペーパーレス化のメリットを確認してください。ペーパーレス化のメリットとして、印刷コストの削減は大きな部分です。紙資料として印刷するためには紙やインク代のコストは馬鹿になりません。

白黒コピーは1枚あたり3~4円のコストがかかるので、1日でも人数や印刷枚数によって数千円のコストがかかります。もちろん、企業の規模が大きくなればなるほど文書の枚数や印刷枚数も増えるので、コストは増大するのです。

1年あたりで考えると数百万円におよぶ場合もあり、経費削減のためにはペーパーレス化は重要になります。紙媒体では保管場所のスペースも必要になり、無駄なコストばかりがかかっていくので要注意です。

メリット②資料検索性の向上に繋がる

電子化することで、資料を検索するときのスピードが向上します。電子化されることで検索キーワードを打ち込めば、すぐに必要な文章やトピックにたどり着けるからです。検索方法も様々な設定ができるので、キーワード検索や全文検索など、目的に合わせて使い分けましょう。

メリット③資料利便性の向上に繋がる

ペーパーレス化して資料をクラウドに保管すると、オフィス以外からでもファイルにアクセスできます。このように資料の利便性の向上はペーパーレス化の大きなメリットです。社外で必要になった資料をすぐに呼び出すことができれば、より仕事がやりやすくなります。

また、リモートワークやテレワーク導入の上でも、クラウドから資料を落とせるのはメリットが大きいです。ペーパーレス化とリモートワークはセットのような存在なので、導入の際の参考にしてください

メリット④セキュリティ対策に役立つ

紙の資料は紛失や盗難、災害時の滅失が不安な要素です。ペーパーレス化を行っていれば、クラウド上にデータを保管しておけるので、資料の紛失や盗難を防げます。また、セキュリティ対策にもつながるでしょう。

場合によっては紙媒体と両方保管して、もしものときの備えるのもおすすめです。近年は大きな自然災害が起きやすくなっており、災害発生時の事業継続計画のためにも電子化によるバックアップは必要不可欠なので検討してください

メリット⑤オフィス全体の清潔化に役立つ

ペーパーレス化を行うことで文書が整理されて、オフィスの清潔化につながります。必要なものと不要なものが分かりにくいままでは、どんどん紙資料が散乱してスペースを取ってしまうのです。

整理整頓されていないオフィスは仕事の効率化や集中力の持続化に悪影響を及ぼします。過去の資料をペーパーレス化し、オフィスを整理して業務の効率化を進めましょう

ペーパーレス化のデメリット

デメリット①デジタルデータ化できない場合がある

ペーパーレス化のデメリットとして、重要資料はデジタルデータ化できないこともあるので注意してください。原本管理が義務付けられている文書などは要注意です。また、顧客名簿などの重要書類はデジタルデータ化が認められないこともあります。

デメリット②資料に直接メモができない

紙媒体と比べて、ペーパーレス化した資料は直接メモができないことが不便かもしれません。ただし、PDF化した文書などはタッチペンなどを使って、デジタルデータに書き込みを行うことも可能です。

MicrosoftのSurfaceシリーズなどは、最初からタッチペンが付属しており、デジタルデータへのメモも簡単に行えます。企業側が用意する場合はコストがかかるのが問題ですが、臨機応変に対応できるよう従業員に貸与することも検討しましょう

デメリット③紙資料に慣れている社員には使いづらい

紙資料に慣れている社員にとって、ペーパーレス化は不満を感じるのが問題点です。特に年配の従業員はペーパーレス化に対して不満を持ちやすい要素になります。ITに不慣れな従業員に対して、どこまでペーパーレス化を導入するのかが大きな課題になるでしょう。

デメリット④資料が見づらいことがある

画面の小さなタブレットやノートパソコンは持ち運びが便利です。しかし、資料を閲覧する上では見づらいと感じることもあるでしょう。ペーパーレス化された資料の文字が細かいものは、画面が小さなものでは閲覧しにくくなります

デメリット⑤障害が発生する恐れがある

クラウド系のサービスを利用する場合、ネットワーク障害は要注意です。近年、TwitterやFacebookなどのSNSサービス、Amazonや楽天などのサービスで障害が起きる事例が増えています。また、クラウドサービス系にも同様の障害が発生して、長時間利用ができない事例が起きているのです。

根幹になっているシステムが共通しているものを利用すると、一気にすべてのサービスが使えなくなることも考えなければいけません。クラウドの障害に対する対策も十分に検討した上で導入することが必要でしょう。

ペーパーレス化の導入手順

導入手順①ペーパーレス化の意義や目的を明確にする

ペーパーレス化を進める上で、どういった導入手順で行えばいいのか紹介します。まず大切なことは、ペーパーレス化の意義や目的を明確化することです。

「なぜペーパーレス化しなければならないのか」を明確にすることで、システム導入に抵抗感のある人たちを説得できるようになります。ペーパーレス化で得られるメリットをしっかりと整理することで、従業員の意識を変えることにつながるでしょう。

導入手順②ペーパーレス化する業務や文書を特定する

次にペーパーレス化する業務や文書を特定してください。業務をする上でどのような文書をペーパーレス化すればいいのか決めることで、導入が円滑に行えます。

重要なことは最初に業務プロセスを見直すことがおすすめです。業務プロセスを見直して、ペーパーレス化の効果が得やすい業務を確認しましょう。ペーパーレス化をする業務や文書の優先順位を決めることで、効率的にシステムを導入できるのです。

導入手順③電子化された文書の運用ルールを決める

企業は電子化された文書の運用ルールを定めてください。企業は電子化された文書を記録するためのサーバーや保存期間、フォルダやアクセス権限などを設定する必要があります。また、企業は法定文書などの保存期間が明確になっっているものを改めて丁寧に保管し、電子化されたものと区別してください。

導入手順④社員や取引先に周知する

企業はペーパーレス化を行う中で、従業員や取引先企業に対してそのことを周知しましょう。特に取引先企業に対しては、ペーパーレス化による文書の移行期間などを設ける配慮が必要です。

ITツールが苦手な従業員に対するフォローも行ってください。クラウドサービスの使い方や基本的なネットリテラシーに対する研修を行いましょう

導入手順⑤過去文書の電子化を行う

整理整頓やオフィスの清潔化のために、過去文書の電子化は必須です。しかし、過去文書は量が膨大なため時間のかかる作業になります。その他の業務が多忙で作業に対する人員が割けない場合は、電子化を行ってくれる代行業者を活用してください

ペーパーレス化の成功事例

成功事例①コニカミノルタジャパン株式会社

コニカミノルタジャパン株式会社の成功事例を確認してみましょう。コニカミノルタでは、ITシステムを活用した企業の情報管理や運用の支援を行ってきました。業務効率化と創造的なコミュニケーションのために、ペーパーレス化とフリーアドレス化を導入しています。

その結果、ファイルキャビネット約56台分の書類を削減しており、空いたスペースはフリーアドレスや会議スペースに転用しました。この結果、従業員同士が活発にコミュニケーションを取れる環境が生まれ、新しいアイデアが創出されることにつながったのです。

成功事例②TRIPORT株式会社

TRIPORT株式会社ではペーパーレス化とあわせて、テレワークを導入しています。クラウドサービスを活用した勤怠管理や電子契約が可能になり、働き方改革が成功しました。また、ペーパーレス化による情報漏えいのリスク低減なども成功しており、テレワークの先駆け企業として注目を集めています。

成功事例③日本電気株式会社

日本電気株式会社は新型コロナウイルスの影響もあり、グループ企業やパートナー企業を含めて6万人以上がテレワークを実施しました。その中でペーパーレス化として押印に関する電子化を承認して、テレワークを効率的に行えるようにしています

成功事例④ぺんてる株式会社

ぺんてる株式会社では、会議時間が長いことや紙文書の準備が大きな課題でした。そこでiPadを活用したペーパーレスの会議システムを導入しています。

ペーパーレス会議システムを導入したことで、工場にいる役員や社外監査役なども事前に資料をチェックでき、役員会議の時間を1.5時間削減することに成功しました。こういった結果を踏まえて、会議時間を1.5時間にするルールを導入しており、ペーパーレス化による新しい仕組みが構築されたのです。

成功事例⑤株式会社ライフコーポレーション

近畿や首都圏でスーパーマーケットチェーンを運営する、株式会社ライフコーポレーションもペーパーレス化を導入しました。その中で、タブレット端末を利用したペーパーレス化が進み、毎月の会議にかかっていた6万枚分の印刷費用と人件費の削減に成功したのです

以前は費用を少しでも抑えるためにモノクロ印刷を行っていたのですが、タブレット端末では効果的に色を使えるので、見やすさも改善されています。

成功事例⑥西松建設株式会社

西松建設株式会社でも、同様に社内会議で使われる紙媒体の削減のためにペーパーレス化が導入されました。結果的に年間約250万枚分の印刷費と人件費のコスト削減に成功しています

ペーパーレス化のメリットとして、直前の資料の差し替えも容易になったことを挙げており、作業負担の大幅削減につながっていました。このように電子化による直前での修正が容易なのは大きな注目店です。

成功事例⑦株式会社鈴花商事

着物をメインとしたファッションを扱っている株式会社鈴花商事では、ペーパーレス化を慎重に導入しました。その理由は店舗に年配の従業員が多く、PCスキルに差があるためでした。

そこで、シンプルで使いやすいインターフェイスのチャットツールを選択しています。電話やメールでは店舗とそれぞれやり取りをしなければならないので、グループや全体に情報を発信しやすいチャットツールを採用したのです。

使いやすいツールを選択したことで、年配の従業員も前向きに技術を取得し、自店舗の商品陳列状態を共有するなど積極的にPCを使うようになりました。一方的にペーパーレスを導入するのではなく、自社の従業員の特徴にあわせた事例として参考にしましょう。

ペーパーレス化を取り入れて業務の効率化を実現しよう!

ペーパーレス化のメリットやデメリットについて解説しました。紙の文書やマニュアルを電子化するペーパーレス化によって、業務の効率化や情報発信が行いやすくなります。また、会議の事前準備の時間も大幅に削減できるのも大きなメリットです。

新型コロナウイルスの影響もありテレワークやリモートワークが注目されています。そういったシステムを導入する上で、ペーパーレス化は必要不可欠な部分です。ペーパーレス化を取り入れて業務の効率化や働き方改革を実現しましょう!

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