外食産業における人手不足の原因と現状を乗り切る対策法とは?
様々な業界で人手不足が相次いでおり、外食産業にとっても重要な問題です。外食産業が陥る人手不足の原因や飲食業界が乗り切るための対策法を解説します。人手不足が置きている原因を知ることで、その問題を乗り越えられる対策法が見つかるので参考にしてください。
外食産業の人手不足の現状
多くの飲食店が人手不足で頭を抱えている
現在、多くの外食産業で人手不足が起きており、約8割の飲食店で人が足りていないと考えられています。アルバイト不足が原因で営業時間や営業日の見直し、場合によっては閉店まで行われているのです。アルバイトだけでなく、正社員も足りておらず、今後どちらもより深刻化すると考えられています。
従業員が足りず閉店を余儀なくされるケースがある
先程紹介したように従業員が足りないため、お店を閉店するケースが増えているのです。なんとか営業を続けられていても、深夜営業ではワンオペが常態化しており、従業員の負担が悪化しています。人を雇うために求人広告を出しても集まらず、採用コストだけがかかる状態も問題です。
クレームが発生しやすくなっている
人手不足は様々な問題を引き起こします。特に人手不足で危険なのがクレームにつながるパターンです。人手不足によってサービスが行き届かず、顧客が不満を爆発しています。飲食店で注文をしてから、いつまで待っても商品が出てこない状況はクレームにつながる状態です。
また、新人店員は十分な教育が出来ていない状態なので、サービスの質が低下してクレームにつながります。顧客離れが起きると利益も減り、さらに人手不足が悪化するのです。こういった悪循環を打破するために人手不足対策は必須になります。
従業員が辞めてしまうこともある
人手不足の状態では既存の従業員の負担は増すばかりです。その状態が改善されないと、シフトもまわらず、従業員は辞めることを考えるでしょう。
従業員の体力や精神面を考える上でも、人手不足は放置できない問題です。福利厚生などを改善するだけでは一時的な引き止めにしかなりません。根本的な人手不足問題をどのように改善するかで、従業員は離職を踏みとどまってくれます。
外食産業が陥る人手不足の原因
原因①シフトが不規則になりがちであるため
飲食店における人手不足の原因は様々です。たとえば、シフトが不規則になりがちなのも人手不足の原因になります。安定してシフトに入ってくれる従業員がいれば大丈夫ですが、学生アルバイトなどは授業などが関係して予定が変更されることが多いです。
また、そういった人材も卒業にあわせて退職していくケースが多く、常に新しい人材を確保しなければなりません。人手不足が続くとシフトの作成が難しくなり、従業員の思い通りの入り方が出来ない状態になります。不規則なシフトでは従業員が離れる原因になるので注意しましょう。
原因②過剰なサービス提供を余儀なくされるケースがあるため
サービスの質を上げていく中で、勘違いする顧客が出ているのも事実です。「お客様は神様です」の意味を取り違えて、自分のわがままを通そうとする、モンスタークレーマーが増加しています。
特に接客業では顧客のわがままを断りにくい状態に陥りやすく、過剰なサービス提供を余儀なくされているのです。理不尽なクレームに対して従業員が離職をするケースが多く、そのことで人手不足になるのは珍しいことではありません。
原因③長期就労を前提としていない雇用形態のため
飲食店を支えるのはアルバイトやパートなどの非正規社員です。アルバイトやパートの多くは長期就労を前提としておらず、学生であれば卒業のタイミングで離職していきます。そのため、キャリアプランなどを設定する企業は少なく、雇用形態は長期就労を前提としていないパターンがほとんどでしょう。
問題はこういった雇用形態でありながら、学生アルバイトなどに正社員と同じような働きを求める企業がある点です。そのことで、アルバイトやパートが働き方に不満を持ち、給与や待遇に対する不公平感を感じてしまい、こういった問題から離職が起きてしまうのも改善しなければなりません。
原因④求人を出しても人が集まりにくいため
飲食業界では、しっかりと求人募集を行っているのに人が集まらないのも大きな問題です。少子高齢化による労働人口の減少が関係しており、店舗の数に対して人手不足が起きています。
また、転職市場が活性化しており、様々な業界や業種で人の奪い合いが起きているのも原因でしょう。福利厚生などがしっかりしており、労働環境を改善している企業に人が集まっています。そういった点にコストをかけられないお店では人手不足を解消できない状態に陥っているのです。
飲食業界が人手不足を乗り切る対策法【採用】
対策法①外国人を活用する
飲食業界が人手不足を乗り切るためには、採用面の対策を行っていきましょう。その対策法として、外国人労働者の活用です。実際にコンビニなどでは多数の外国人が採用されており、シフトを助ける存在になっています。難しい会話を必要としない業界であれば、人手不足解消につながるのです。
外国人労働者を雇用する場合は様々な制限や条件があります。就労可能な在留資格などを確認して、手続きに問題がないか注意して雇用してください。もし、積極的に採用する場合は外国人の雇用に特化した人材紹介サービスを利用してみましょう。
対策法②シニア層を活用する
シニア層を活用するのも人手不足解消につながります。長時間のシフトを任しにくいなど、いくつかのデメリットが存在しますが、60代でも若者に負けない体力ややる気を持ったシニア層が多いのでおすすめです。
実際にモスバーガーなどでは、シニア層の活用に力を入れており、60代の従業員を多数雇用しています。定年を迎えても働ける場所があることに喜びを感じていて、日中のシフトを任せられる重要な存在になるでしょう。
対策法③アルバイト求人サイトを活用する
アルバイト求人サイトを活用して人手不足を解消しましょう。求人サイトを利用する場合は、エリアや時給設定などを丁寧に検討して決定してください。アルバイト求人サイトの中には、マーケティングサービス機能が付いているものもあり、適正な条件を提示してくれるものもあります。
飲食業界が人手不足を乗り切る対策法【働き方】
対策法①営業時間を短縮する
働き方改革を行って、飲食業界の人手不足を乗り越えましょう。一般企業の多くが働き方改革に取り組んでおり、労働環境の改善を行っています。飲食業界で行える働き方の対策法として、営業時間の短縮を検討してください。
24時間営業のお店が少しずつ営業時間を短縮し始めています。チェーン店ではなかなか営業時間を短縮するのは難しいですが、ファミリーレストランチェーンでは24時間営業店舗の時間短縮が進んでおり、今後も増えていくでしょう。
対策法②時間帯と曜日の制限を減らす
求人面での変更も行ってください。時間帯と曜日の制限を変えるだけも求職者は増えます。例えば「1日1時間からでもOK」や「土日のみのアルバイトも探しています」という風に募集しましょう。
このような短時間勤務や少ない出勤日数で働ける環境を探している人は多いです。雇用人数が増えることによる弊害もありますが、きっちりとコミュニケーションを取り、どのような従業員が働いているか分かりやすくすることが求められます。
対策法③賃金の引上げを行う
賃金の引き上げは雇用対策として大きな効果があらわれます。限られた資金の中で人件費を削りやすい部分です。しかし、従業員や求職者にとって重要な部分であり、モチベーションや長く働いてくれる要因になる要素になります。人手不足解消のために、賃金の見直しは定期的に行いましょう。
対策法④福利厚生を充実させる
福利厚生の充実は人手不足対策に効果的です。賃金の引き上げと同じく、福利厚生を充実させることは求職者が増えるきっかけになります。飲食業界であっても、夏休みや冬休みを取れる制度を導入している企業もあり、各種手当を充実させて人手不足解消に取り組んでください。
対策法⑤システムやIT機器を導入する
人手不足解消のために、システムやITの導入を検討しましょう。Webから予約できるようにしたり、注文や会計をタブレットで行えるようにしたりするのがおすすめです。また、シフト作成も管理システムを導入すれば負担を軽減し、メモを取る必要もなくなります。
外食産業の人手不足を解消しよう!
外食産業の人手不足について解説しました。外食産業の多くは人手不足に悩んでおり、現在いる従業員の負担増加にもつながっています。そのことでさらに従業員が離職して、人手不足が悪化する問題も起きているのです。
こういった外食産業の人手不足解消のために、賃金や福利厚生の見直し、ITの活用や営業時間の見直しが求められています。また、幅広い雇用を取り入れることもおすすめです。今後も労働人口の減少で人手不足の問題は深刻化していくので、少しでも早く対策を行って、従業員を確保しましょう!