動機付けの意味や効果的なやり方は?
近年の少子高齢化に伴う働き手の減少や、働き方改革が叫ばれる中で、ひとりひとりの生産性を高める「動機付け」が注目されています。パフォーマンスを向上させるための手段としても有効だとして、スポーツや学習、社員教育などの様々な分野でも活用されています。
この記事では、動機付けの意味や目的、効果を高める具体的な方法をさまざまな角度から解説します。ぜひ、この記事を参考にして、やる気につながる効果的な動機付けを活用してください!
やる気につながる動機付けとは?
動機付けがなぜやる気を引き出すために役立つのか。ここでは言葉の意味や、なぜ今、動機付けが注目されているのか、その背景を説明します。
動機付けの言葉の意味
動機付けとは、行動を始めて、目標に向かって維持・調整をする過程を表わし、英語では「モチベーション」と言われます。
動機付けは心理学のテーマとして、どのようにやる気につながるのかが、モチベーション理論として研究されてきました。「内発的動機付け」と「外発的動機付け」があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
内発的動機付けの言葉の意味
人が行動を始めるときに、自らの興味や意欲によって行動することを内的動機付けと言います。自分がやりたいから行動するという欲求にもとづき、行動そのものを楽しむことができるようになります。
具体的には、時間を忘れて何かに没頭してしまうようなことがこれにあたり、損得にかかわらない欲求であることが特徴です。内面的な要因で行動を持続することができるため、辛いトレーニングなどでも楽しんで取り組み、より充実させることもできます。
外発的動機付けの言葉の意味
外的動機付けとは、行動したことで報酬や評価を得るためや、行動しなくてはならない義務などから行動することを言います。何かを得たいから行動するといったことに加え、これをしないと怒られるといったような恐れも要因になることが特徴です。
報酬や競争などにより、短期間で効果が出やすいメリットがありますが、多用すると行動そのものを楽しむことを妨げ、報酬がなくてはやらないなどの弊害を引き起こすこともあります。
動機付けが注目されている背景
近頃の超高齢化社会による働き手の減少や、働き方改革が進められるなかで、今、一人ひとりの生産性を向上させる動機付けが注目されています。
人を自ら行動する気持ちにさせ、パフォーマンスを高めるのに役立つとして、スポーツや教育、企業など、さまざまな分野で活用されているのです。
動機付けの目的と欠点
内発的動機付けと外発的動機付けは、それぞれに目的や欠点が異なります。ここからは、それぞれの目的と欠点について詳しく説明していきます。
内発的動機付けの目的と欠点
内発的動機付けでは、自発的に沸き起こった要因によって行動を起こすため、行動すること自体が目的となります。このため、外的要因に左右されずに行動を持続することができます。自ら行動の意味を見出すことで、自己成長につなげることができます。
自らの興味や関心が原動力となるため、創造性が求められるような場面にも役立てることができます。欠点は自発的な関心がない場合には動機付けが難しいことや、効果があらわれるのに時間がかかる場合があることなどがあげられます。
外発的動機付けの目的と欠点
外発的動機付けの目的は、内発的動機付けが難しい場合に、外発的要因を与えることで動機付けをすることが目的です。短期間で効果が表れやすく、生産性の向上などに活用されています。
一方で、外的要因がなければ持続できなかったり、効果に慣れてしまう、自主性を引き出しにくいなどの欠点があげられます。また、もともと内発的動機付けがある場合には、逆効果になってしまう場合もあるので注意が必要です。
動機付けが作用していないと感じる原因
動機付けが作用していないと感じるときには、どのような原因がかんがえられるのでしょうか。ここでは、具体例をあげて紹介します。
ゴールが見えない業務を任されているため
任された業務のゴールが見えない場合、全体の状況や目標となる成果を把握することはできません。終わりが不明確で目指す方向が見えにくい状況では、関心や達成感を得ることは困難です。ゴールを見通すことができないと、業務に興味を持ちづらくなり、やる気につながる動機付けをすることは難しいでしょう。
高すぎる目標を設定しているため
適切な目標を定めることは、動機付けを高めるのに効果的ですが、高すぎる目標を設定してしまうとかえってやる気を損なう原因となってしまいます。
目標が高すぎると、自分には達成できないと感じてしまったり、どこから手を付けていいのかわからなくて、手を付けるのをあきらめてしまったりするからです。業務を細分化して目標を設定するなど、適切な目標選定が大切です。
自分に対する劣等感が強すぎるため
自分に対して強い劣等感を持っている場合、物事に取り組むポジティブな原動力が失われ、意欲が低下してしまいます。目標に向かって動機付けするためには、自己肯定感を高め、物事をポジティブにとらえられる視点を持つことが大切です。
動機付けの効果的なやり方
効果的に動機付けをやる気につなげるには、どのような方法があるのでしょうか。ここからはマネジメントにおけるタイプ別の方法や、目標設定について説明します。
自律性による動機付けを高める
マネジメントにおける動機付けの一つに、部下の自律性による方法があります。部下のひとりひとりが持つ達成動機を承認することで、部下の主体性を認め、自律性による動機付けを高める方法です。目標を自己選択することで達成意欲を高め、難しい目標にも工夫して取り組むなど、ひとりひとりの成長や満足感につながります。
自己選択が上手くいかない部下には、適切な選択ができるようサポートをすることで、自律性を引き出すことが大切です。
有能感による動機付けを高める
有能感による動機付けとは、集団の中で人より有能でありたいという欲求によって動機づける方法です。目標設定がその人の能力より少し高く設定された場合でも、達成意欲が高まることで動機付けを強めることができます。
有能感は内発的動機付けのみならず、外発的動機付けも高めることができます。さらに昇進などの有能感を高めるような外発的動機付けがなされると、内発的動機付けもより高まります。
関係性による動機付けを高める
関係性による動機付けとは、他社との関係性の中で尊重し、尊重されたいという欲求による動機付けの方法です。上司がそれぞれの部下の自律性を理解し、内発的動機づけにつながるようなフィードバックを行うことが、ポイントとなります。
貢献意欲を高め、チームによる目標を達成することにも役立ちますが、強制などの外発的動機付けを加えると、内発的動機付けが弱まる場合があります。
動機付けのきっかけに気付けるような伝え方をする
効果的に動機付けを行うためには、本人がきっかけに気づくような伝え方をすることも大切です。具体的には、ひとりひとりの部下の自律性を理解し、承認したうえで、前向きに取り組める方法を分析します。
さらに、フィードバックやアドバイスを行うことで、部下が自発的に動機付けのきっかけに気づくように伝えることが大切です。
動機付けを引き出す目標設定を行う
部下が動機付けのきっかけに気づいたところで、さらに適切な目標を設定すると、内発的動機付けを引き出すことができます。目標設定によって動機付けを引き出すには、部下が自己選択し、達成に強い意欲のある目標が必要です。
適切な目標設定や行動計画を立てられるよう、上司が部下をサポートすることで、部下が自ら行動できるように導きます。
部下の成長段階に合ったルールを設定する
目標設定を行った後は、必要に応じて行動計画の進捗状況を確認し、目標達成に導くことが大切です。計画が実行できていない場合には、理由を確認し、改善策などのアドバイスを行います。部下の成長段階に合わせてルールを設定することで、動機付けの継続や、自律的な行動の維持へとつなげることができます。
動機付けの効果を高めてやる気を引き出そう!
動機付けを効果的に活用して、やる気を引き出す方法についてまとめました。内発的動機付けと外発的動機付けのメリットやデメリットを把握して、適切に活用することで望んだ効果を得ることができます。
ぜひ、この記事を参考に効果的な動機付けを活用して、やる気を引き出してみてはいかがでしょうか?それにより、スポーツや学習、仕事などのパフォーマンスの向上に役立ててください。