モラールサーベイ(従業員意識調査)とは?目的やメリットを調査

モラールサーベイ(従業員意識調査)とは?目的やメリットを調査

モラールサーベイ(従業員意識調査)の意味やメリットを解説!

モラールサーベイ(従業員意識調査)という言葉を知っているでしょうか?モラールサーベイとは、従業員が企業や同僚に対して抱えている思いを洗い出し、社内改善を実施する方法です。

この記事では、モラールサーベイ(従業員意識調査)の意味やメリット・デメリット、モラールサーベイを実施する方法を企業事例を交えて紹介していきます。

モラールサーベイ(従業員意識調査)とは?

まずは、モラールサーベイ(従業員意識調査)の言葉の意味やモチベーションとの違いについて紹介します。

従業員が抱えている意識の内容を把握する調査のこと

モラールサーベイ(従業員意識調査)とは、その名の通り、企業内の従業員が抱えている意識の内容を把握する調査のことを指します。

具体的な実施内容としては、社員が会社や仕事に対してどのくらいの満足度を得ているか、またどのくらい不満を持っているのか、どのような問題意識を抱えているかなどについて、項目ごとに意識調査を行うことが多いです。その後、集計した結果を心理学や統計学などを用いて科学的に分析し、現状を把握する行為をいいます。

軍隊の士気を高める目的で開発された

モラールサーベイ(従業員意識調査)が作られた目的は、もともと米国で軍隊の士気を高めるために開発されました。それが世界各地に広がっていき、日本でも1950年代に企業に導入されるようになったのです。現在はさまざまなモラールサーベイが作られており、企業内で従業員の意識調査として使用されています。

モラールサーベイが活用される場面

モラールサーベイは、組織内の人間関係に問題を抱えている会社に活用するには最適な手法です。具体的な場面を想定すると、上司や部下のコミュニケーションがうまくいっていない場合や人間関係を理由に離職してしまう従業員が多い場合などがあります。

このようなケースでは、組織内部に何らかの問題点があり、社員の仕事に対する意識が低下しているでしょう。モラールサーベイを実施することで、問題が発生する原因を把握することができます。そして、洗い出した問題点を改善することで、従業員の満足度を向上させることに繋がるのです。

モチベーションとの違い

モラールとモチベーションには明確な違いがあります。モチベーションとは、人が何かをする際の動機づけや目的意識のことを指します。

組織の従業員満足度が向上するには、まず外部から良い刺激が与えられる。そして、モチベーションが上がった結果、モラールが高まるのです。

モラールサーベイ(従業員意識調査)のメリットとデメリット

次に、モールサーベイ(従業員意識調査)のメリットとデメリットについて紹介します。モラールサーベイは実施する際に注意したいことも紹介するので、人事担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

メリット①組織の課題や問題点の改善に繋がる

モラールサーベイのメリットの一つ目は、組織内の課題や問題点の改善に繋がることです。モラールサーベイは、組織の課題を把握する方法として優れており、組織改善に必要な本質的問題を発見できます。その結果、企業の現状を客観的に把握できるため、具体的な改善活動に繋がるのです。

メリット②組織全体の生産性向上に効果的

モラールサーベイのメリットの二つ目は、組織全体の生産性向上に効果的なことです。従業員の本質的な課題を解決しないままにしていると、従業員のモチベーションが低下してしまい、生産性が上がりません。

モラールサーベイによって意識調査を行うことで、経営層が組織が抱えている本音や不満を把握することができます。意識調査の情報をもとに職場環境を改善することで、従業員による信頼度が向上し、組織全体の生産性向上が期待できるでしょう。

メリット③離職率の低下に役立つ

モラールサーベイのメリットの三つ目は、離職率の低下に役立つことです。モラールサーベイは、従業員が普段なかなか言えない会社への不満を会社に伝えるのに良い機会といえるでしょう。

組織を運営するために重要なことは、組織内に不満や課題をそのままにせず、発散し共有することです。モラールサーベイを実施すると、会社側は離職の原因となる問題を改善するアプローチをとることができます。

デメリット①匿名性を守る必要がある

モラールサーベイを実施する際に注意したいことは、匿名性を守ることです。匿名性を担保しておかないと、従業員からの信頼度は低下し、不満や課題点を伝えずらい状況を作ってしまいます。なので、WEBシステムやツールを活用して、個人の特定を防ぐための対策が必要になるでしょう。

デメリット②本音を聞き出せない場合がある

モラールサーベイのデメリットとして、本音を聞き出せない場合があります。中には会社からのひとつのタスクとして、適当に処理する社員もいます。そのため、前述したように匿名性を守ったり、調査の明確な目的を社員に伝えることが重要です。

モラールサーベイ(従業員意識調査)の実施方法

続いて、モラールサーベイ(従業員意識調査)の実施方法について紹介します。大きく分けてモラールサーベイの実施方法は4ステップあるので、ぜひ参考にしてみてください。

実施体制を整える

モラールサーベイの実施体制を整えます。まずは、モラールサーベイを実施するには自社のみで取り組むのか、外部受託をするのか考えましょう。その際には、社内の現状や費用などを考慮して判断します。

自社で実施する場合は、自社が抱えている問題を把握するために、実施時期や調査内容、調査方法を考えて実施体制を整えておく必要があるでしょう。

事前に従業員に伝えておく

次に、モラールサーベイを行うアナウンスを事前に従業員にしておきます。前述したとおり、モラールサーベイを実施する目的や実施方法を明確に伝える必要があります。また、匿名で行うことも明確に伝えておきましょう。

そうしないと、適当に回答されたり、本音で回答してくれないケースがあるからです。

調査結果の分析を行う

モラールサーベイの回答が完了したら、集計した調査結果の分析を行います。従業員が具体的にどの項目で不満を持っているのか問題点を掘り下げましょう。

調査の分析で重要なポイントは、選択項目だけでなくフリースペースの記入欄も参考にすることです。そうすると、具体的な改善点を見つけ出すことができ、改善策の立案に大いに役立ちます。外部受託を使用する際は、担当者の方とコミュニケーションを積極的に取って情報を共有するようにしましょう。

調査結果をフィードバックする

モラールサーベイの実施後は、従業員へフィードバックをしましょう。問題点があった場合は改善内容を全社向けに共有し、従業員が会社の現状を把握させます。そうすることで、従業員が当事者意識を持つことができます。

問題意識の改善などによる従業員の意欲向上や今後の自分たち行動などを把握できるようになるため、フィードバックは必ず行いましょう。

モラールサーベイ(従業員意識調査)の企業事例

最後に、モラールサーベイ(従業員意識調査)の企業事例を2社紹介します。

企業事例①株式会社富士ゼロックス

モラールサーベイの企業事例の一つ目は、日本の大手機械メーカーである株式会社富士ゼロックス(2021年より富士フイルムビジネスイノベーション株式会社に社名が変更)です。同社は1978年からモラールサーベイの実施を始めており、特に2013年には職場環境の意識改革を掲げ、モラールサーベイの項目を本社と関連会社で統一しました。

その結果、経営陣への不信感が浮き彫りになったため、従業員の挑戦心を促す制度の導入など、改善対策を取り続けています。また、培ってきたノウハウを生かし、他社に向けたモラールサーベイを利用したコンサルティング業務も行っています。

企業事例②株式会社日立ソリューションズ

モラールサーベイの企業事例の二つ目は、日立グループの情報通信分野の中核を担う株式会社日立ソリューションズです。同社は半年に一度のモラールサーベイとして課長以下の社員に従業員満足度アンケートを実施しているそうです。

その結果から、社内の問題点を洗い出し、社員へのサポート体制を整えることで、会社全体の改善に取り組んでいます。社員に対して結果や考えられる問題点、改善策を公表しており、経営方針を決定する際の資料としても活用をしています。

モラールサーベイ(従業員意識調査)を実施しよう!

ここまで、モラールサーベイの意味やメリット・デメリット、実施する方法を企業事例を交えて紹介してきました。モラールサーベイを実施することで、組織の課題や問題点を把握することができ、組織全体の生産性を向上させることができます。

だだし、モラールサーベイを実施する際は、匿名性を守ったり、実施する明確な目的を従業員に対して伝えることが重要です。今回紹介したモラールサーベイの実施方法や企業事例を参考にして、ぜひ企業の活動として取り入れてみてください。

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