ミッションステートメントの意味や作り方を知りたい!
企業を運営していく中で、社員全体が共有すべき価値観や行動指針が重要になります。企業の考えを社員がしっかりと理解していることで、様々な問題が起きたときに軸がブレることなく対応出来るのです。そういったミッションステートメントのメリットや作るときの方法について解説します。
ミッションステートメントとは?
ミッションステートメントの言葉の意味
企業や従業員が共有すべき価値観や行動指針を文章化したものを「ミッションステートメント」といいます。ミッションは「使命」、ステートメントは「意見」や「声明」という意味があります。使命を声明として発信することがミッションステートメントの役割です。
個人のミッションステートメントの言葉の意味
企業のミッションステートメントと個人のミッションステートメントでは、少し意味が異なります。個人の場合は自身の価値観や生き方を明文化し、自己実現につなげる場合に使われる言葉です。
個人の場合は企業よりも柔軟に変化させられるのがポイントになります。自身の成長にあわせたり、年度ごとの課題にあわせたりしてミッションステートメントを更新していきましょう。
ビジョンステートメントとの違い
近い言葉にビジョンステートメント、という言葉があります。こちらは未来に関する夢や目標を明文化したものを意味します。ビジョンが「未来」を意味する言葉なので、将来的なことを明文化するものなのでミッションステートメントと使い分けてください。
経営理念との違い
もう一つ近い意味を持つ言葉として経営理念が挙げられます。ミッションステートメントと比較したとき、経営理念は企業の指針や存在意義を表現するもので、やや表現が抽象的です。
具体的で分かりやすい言葉で明文化されたものはミッションステートメント、抽象的・観念的なものは経営理念として使い分けましょう。
ミッションステートメントのメリット
メリット①意思決定における指標となる
ミッションステートメントを設定することによるメリットを紹介します。まず、企業の考えや使命を明文化して発信することは、全体の意思決定における指標になるのです。
何かを決めるときの後押しになることもあれば、その考えから逸脱するような状況になったときに撤退することを決断することにもつながります。自社の社員だけでなく顧客や世間に対しても、自社のスタンスをアピールする意味があるので、ミッションステートメントの扱い方が重要です。
メリット②従業員の統率に効果的
大きな企業になればなるほど、社員全体の意思統一をするのが難しくなります。そういった場合に、ミッションステートメントがあれば、全員が共通の目的を共有できるのです。その目標に向かって全員で協力して前に進められるのは、モチベーションを維持することにもつながるでしょう。
自分の会社がどういった考えを持っていて、どのような社会的な役割を目指しているのかがはっきりと分かるので、働く意味を持ち続けられます。
メリット③PRのツールとして使用することができる
自社の考えや想いを文章化することは、外に対するアピールにもなります。どのような考えを持って運営をしているかをPRしていく上で、積極的に活用しましょう。また、その中には経済活動だけでなく社会貢献に関するものが含まれていれば、こういった点もPRツールとして利用してください。
メリット④株主に事業計画と目標を知らせることができる
上場企業は株主に対して、ミッションステートメントを通して自社の考えを伝えましょう。企業の方針や計画、目標などを説明する際にミッションステートメントを有効活用してください。そのため、株主を納得させられるように自社の考えを文章化しましょう。
ミッションステートメントを作る時に必要な要素
必要な要素①顧客
ミッションステートメントを作る時に必要な9要素を解説します。大きく分けて「環境に関する要素」と「自社に関する要素」にわけることができるので、その点も踏まえて確認してください。
まずは環境に関する3つの要素を確認しましょう。ミッションステートメントを作るときに必要な要素として、顧客に関する情報を集めてください。自社が現在どのような顧客を抱えていて、その顧客の範囲をどこまで広げていくのか定義しましょう。
顧客として客先の消費者やビジネスパートナーまで含めるかなどを検討してください。提供範囲を明確にすることで、ミッションステートメントを設定しやすくなります。
必要な要素②市場(マーケット)
市場の範囲も重要な要素です。シンプルに国外だけにするのか、グローバル化を目指して海外進出も行っていくのかを決めましょう。海外も様々な国が存在し、企業を経営する上で決まりやトラブルも色々あります。
こういった点も踏まえながら、自社の商品やサービスが活かせるマーケットを発掘し、その要素をミッションステートメントに含めていきましょう。
必要な要素③技術(テクノロジー)
ミッションステートメントの作り方の中で、テクノロジーに関する要素も重要です。このテクノロジーは自社だけでなく、世界的な新しいものも含めて検討しましょう。
時にはテクノロジーの技術革新によって、顧客や市場が一気に変化します。こういった技術革新の可能性も含めた作り方にするのがおすすめです。
必要な要素④企業理念
さきほどの3つが環境に関する要素で、ここからが自社に関する要素です。その中で大きな軸になるのが企業理念になります。企業の設立当初に設定されることが多く、基本的には変更されない要素でしょう。ただし、ミッションステートメントの作り方とあわせて再考するのも選択肢です。
必要な要素⑤製品、サービス
自社が取り扱う製品やサービスを見つめ直して、文章化することが求められます。製品やサービスは付加価値を含めて様々な要素を含めて顧客に提供する部分です。製品やサービスを受け取った顧客が求めているものや、得られる満足を文章化しましょう。
必要な要素⑥企業の強み(競争優位性)
競合他社に対する企業の強みも確認してください。これは競争優位性という表現もされますが、ミッションステートメントの実現性に大きく影響を与えます。こういった面を文章化することで、自社の強みを再確認できるのです。
必要な要素⑦企業の成長性と財務の健全性
顧客や取引先を安心させる上でも、企業の成長性や財務の健全性を文章化することも必要になります。この面がしっかりと文章化される中で、自社のビジネスが今後どのような成長を遂げていくのかを伝えることができるでしょう。
つまり、大々的なミッションステートメントを掲げていても、それを実現させられる裏付けが必要になります。企業がそれを実現できるだけの財務の健全性と成長性が無ければ、誇大妄想な目標になってしまうからです。これらの要素を踏まえた実現性や現実性のある設定を行ってください。
必要な要素⑧社会的責任と自然環境への配慮
近年重要な要素となっているのが、企業の社会的責任と自然環境への配慮です。これは企業や社員も社会の一員であり、地域社会やコミュニティの健全な発展に貢献する必要がある、という点になります。
ミッションステートメントにおいて、このことに関して企業の考えや目標を文章化することが非常に重要です。企業のパブリックイメージを重要視する顧客も増えており、ブランドイメージを守るためにも作り方の上で重視してください。
必要な要素⑨社員に対する姿勢
顧客や社会に対するメッセージ性だけでなく、社員に対する姿勢も含めましょう。自分が所属する企業がどのようなメッセージを発信するのかを、社員はしっかりと見ています。
社員が自主的に動いていけるような、柔軟性の持ったメッセージを入れるのがおすすめです。企業と社員が共有すべき価値観を文章化し、その使命をうまく発信しましょう。
ミッションステートメントの作り方
作り方①作成チームを作る
さきほど紹介した要素を踏まえて、実際にミッションステートメントを作っていきましょう。ミッションステートメントの作り方として、まず企業運営に関わる全ての人間で交際されたチームを作成します。
このミッションステートメント専用のチームを用意することで、丁寧に企業の考えや目標を反映させたものが作成できます。役職や勤務年数にこだわるのではなく、幅広い人員で構成してください。個人の意見をそれぞれ出させて、全ての人間が理解できるようなミッションステートメントを作り上げましょう。
作り方②9つの要素の各項目を特定する
ミッションステートメントの作り方で使われる9つの要素の各項目を特定しましょう。項目によっては時間をかけて精査していく必要があり、顧客やパブリックイメージに関する部分は丁寧に特定してください。
作り方③出し合った各要素に関する意見を組み合わせる
個人、個人で意見を出し合って集約し、それをミッションステートメントとして形にしていきましょう。あまり専門的な言葉を使うのではなく、一般の人が理解しやすい言葉でまとめることがおすすめです。
自社だけでなく、世間に企業の考え方などを知ってもらう意味もあるので情報発信として文章化してください。特に企業の強みや社会貢献を分かりやすく伝えましょう。
作り方④組み合わせた意見を文章化する
組み合わせた意見を文章化するのが、作り方の最後の仕上げです。あまり砕けすぎるのも良くないですが、キャッチフレーズのように記憶に残るような文章もおすすめです。社員はもちろん、一般の人や求職者など様々な人に対して使える文章が最適といえます。
ミッションステートメントの企業事例
企業事例①スターバックスコーヒージャパン株式会社
コーヒーチェーンであるスターバックスコーヒージャパン株式会社は「勇気をもって行動し、現状に満足せず、新しい方法を追い求めます。スターバックスと私たちの成長のために。」というミッションステートメントを掲げています。
スターバックスは個人の考えを尊重し、決まり決まったマニュアルで接客するのではなく、それぞれの形で顧客と接することを推進しています。また、自然環境に対しても他社よりも早く取り組んでおり、紙ストローの導入もおこなっているのです。
こういった現状に満足せずに新しい方法を追い求める姿勢を、ミッションステートメントを通して発信しています。企業の考え方や目標が分かりやすい代表的な事例といえるでしょう。
企業事例②株式会社電通
広告代理店である株式会社電通は「鬼十則」という形でミッションステートメントを設定しています。「仕事は自ら創るべきで、与えられるべきではない。」や「大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己れを小さくする。」などが特徴的です。
世界規模でも広告代理店として5位に位置するだけあって、ミッションステートメントにも強気な面が垣間見えます。近年ではそういった社員を縛りすぎるようなミッションステートメントが問題視されており、今後の課題になっているのです。
自社の考え方が良い風に働いているときは世間の受け取り方も好意的ですが、トラブルが起き始めると修正することも必要になります。日本を代表する広告代理店だけに、ミッションステートメントが持つ意味の参考事例にしましょう。
企業事例③日本赤十字社
日本赤十字社は「わたしたちは、苦しんでいる人を救いたいという思いを結集し、いかなる状況下でも、人間のいのちと健康、尊厳を守ります。」というミッションステートメントを設定しています。
人種や国籍などに関係なく、一人でも多くの人を救いたいというメッセージが込められているのがポイントです。分かりやすいメッセージであるとともに、日本赤十字社の中立性に関する考え方も伝わってくるでしょう。
ミッションステートメントを積極的に活用しよう!
企業の考え方や目標を文章化するミッションステートメントについて解説しました。これは企業や社員個人にとっても意味のある考え方です。
自社の強みをPRするために使えるだけでなく、社員のモチベーションをアップさせることにもつながります。紹介した9つの要素をもとに、分かりやすく社会に発信していけるものを設定してください。そして、設定したミッションステートメントを積極的に活用して、意識改革や交流を行っていきましょう!