マネジメントレビューとは?意味ややり方・導入のポイントも!

マネジメントレビューとは?意味ややり方・導入のポイントも!

マネジメントレビューの意味ややり方は?

マネジメントレビューは、企業を成長させ続けるために欠かせない大切な活動の一つです。近年では、商品・サービスの品質管理や情報セキュリティの強化など、定期的にマネジメントを行う必要があります。

この記事では、マネジメントレビューの意味ややり方、マネジメントレビューを導入するポイントやメリットについて紹介します。

マネジメントレビューとは?

マネジメントレビューは、その言葉の意味と規格の両方を確認しておくことが重要です。まずは、マネジメントレビューの定義について詳しくみていきましょう。

マネジメントレビューの言葉の意味

マネジメントレビューとは、これまでのマネジメント体制による成果や問題点から、現在の状況や将来のビジョン、反省点などを把握する手法を意味します。定期的にマネジメントレビューを行うことによって、組織活動や組織能力の分析、コンプライアンスの遵守などのメリットが得られるでしょう。

マネジメントレビューの主導は経営層が担う

一般的にマネジメントレビューの主導は、経営者を含む経営層が役割を担います。経営層は内部監査・外部監査による企業の業務状況や財務状況の報告を受け、業務状況を見直します。その後、必要に応じて業務改善の決定や処置を提案し、改善活動に移るという流れを汲むのです。

マネジメントレビューの国際規格

マネジメントレビューによってマネジメント体制を正しく見直せるように、いくつかの規格が設けられています。では、一体どのような規格があるのか詳しくみていきましょう。

ISO 9001

「ISO 9001」とは、商品・サービスの品質を顧客に対して一定の品質に保ちながら提供することで、顧客満足度を向上させるための国際規格を意味します。企業の品質担保活動のレビューを重視しているのが特徴です。

「ISO 9001」は世界170ヵ国以上で用いられており、日本国内だけではなく海外にも商品・サービスを発信している場合にも役立ちます。「ISO 9001」は業種・業態の条件は特に定められていません。また、認証取得までに約1年程度かかります。

ISO14001

「ISO14001」とは「ISO 9001」のように商品・サービスの品質を一定に保つための規格ではなく、「持続可能な開発」を実現するために設けられた規格です。「ISO14001」を取得できれば、自然環境を保護しながら企業活動をしていることを証明できます。今や地球環境を保護しながら事業することは、企業として当然の義務なので取得しておくことが大切です。

ISO/IEC 27001

「ISO/IEC 27001」は、企業が持つ情報の完全性、機密性、可用性をマネジメントするためのISMS(情報セキュリティーマネジメントシステム)の国際規格を意味します。近年、コンピューターウイルスや従業員による顧客情報の流失などが問題となっていますよね。

そのため、情報システムへの脅威から身を守るために、ISMSのニーズは年々高まっているのです。このような認証取得しておくと、社員の情報セキュリティに対する意識の向上に繋がるでしょう。

マネジメントレビューの種類

マネジメントレビューには「インプット」と「アウトプット」という2種類のプロセスがあります。それぞれに役割があるため、しっかりと内容を把握しましょう。

種類①インプット

ここからは国際規定 「ISO 9001」を例にマネジメントレビューの役割を紹介します。 マネジメントレビューのインプットの役割は、国際規定で定義された要求事項をもとに情報収集を行うことです。

具体的な要求事項としては、「内部監査・外部監査の結果」「顧客のフィードバック」「組織活動の実施状況」「予防・是正処置の状況」「前回のマネジメントレビュー結果に対するフォロー」「改善の提案」などがあげられます。

経営層は部門責任者へ向けてこの要求事項を求めます。チェックシートなどを活用して定められた項目を把握し、きちんとインプットを行うようにしましょう。マネジメントレビューにおいて、経営層がしっかりと効果を得るためにはこのインプットの役割がとても重要になります。

種類②アウトプット

マネジメントレビューのアウトプットの役割は、インプットで収集した情報をもとに改善を行うことです。具体的な内容としては以下のものがあります。

「マネジメントシステムとそのプロセスの改善」「顧客のフィードバックに適したサービス・製品の改善」「経営資源(人的資源や作業環境など)の洗い出し」など。そして、この決定されたマネジメントレビューの結果を組織内に浸透させていきます。

マネジメントレビューのメリット

ここでは、マネジメントレビューを導入するメリットについて紹介します。

メリット①製品やサービスの品質担保になる

マネジメントレビューを導入するメリットの一つ目は、製品・サービスの品質担保になることです。マネジメントレビューのISO規格を認証取得しておけば、自社の品質管理の信頼にもつながり、顧客満足度を向上させることができます。

また、国外の市場には、取引条件にISO規格の取得を課している市場もあるため、取引する機会が増えるというメリットもあります。逆にISO規格を取得していないと取引に制限がかかるなどのデメリットがあるので、積極的に認証取得することをおすすめします。

メリット②組織活動の結果を分析することができる

マネジメントレビューを導入する二つ目のメリットは、組織活動の結果を分析できることです。経営活動を分析・改善するには、現状の把握が重要な要素となります。現状どういった点が必要・不必要であるのか、事業環境や業務プロセスの把握から分析まで必要となってきます。

そして、現状の分析した結果をもとに改善案を練り、具体的な改善策を実行に移します。そして、改善策の実行具合を報告書にまとめるのです。それによって、さらなる改善点を見つけることでき、サービス・製品の品質も担保されます。

メリット③コンプライアンス遵守に活用できる

マネジメントレビューを導入する三つ目のメリットは、コンプライアンス厳守に活用できることです。コンプライアンスとは、企業統治(コーポレートガバナンス)の基本原理の一つであり「法令厳守」を意味します。

企業としてマネジメントレビューを行いコンプライアンスを強固にすることは、企業活動に必要なルールを遵守しているということであり、社会的な信用を得られます。そして顧客からの信頼を得ることができるので、経営基盤の安定へとつながるでしょう。

マネジメントレビューのやり方

続いて、マネジメントレビューのやり方について紹介します。やり方については項目数が多いですが、しっかり理解していきましょう。

定期マネジメントレビューを行う

マネジメントレビューのやり方としてまずあげられるのは、定期マネジメントレビューを行うことです。定期的にマネジメントレビューを開催して各要求事項の進捗状況を確認します。

このレビュー会の目的は、情報を定期的に更新することで、最新の情報を常に監視することです。目標達成に向けてPDCAサイクルを回し、継続的に改善をしていくためにも、マネジメントレビューを導入することは重要な役割を果たしています。

経営者と重要項目の方針を協議する

マネジメントレビューでは経営者にも参加してもらい、重要項目の方針を協議します。経営者に品質問題などの重要事項に対して危機感をもってもらうと、トップダウン形式で迅速に対応が実施されるでしょう。そのため、経営者に現状の問題をしっかり把握させることが大切です。

品質保証部門が主催者となって運営を行う

マネジメントレビューは品質保証部門が主催者となって運営を行います。QMS(品質管理システム)事務局がある企業では、当該事務局が運営することが多いです。

品質保証部門の役割として、まずは経営層や各部門の責任者に呼びかけをし、日程を調整します。また、品質管理に関する情報をまとめた資料を作成し、それを関係者に説明する役割も品質保証部門の仕事です。

顧客満足度の調査結果を報告する

マネジメントレビューの場において、顧客の満足度調査の結果を報告し、自社の製品・サービスが顧客に満足してもらっているのか情報共有します。調査方法については、自社が顧客へアンケート調査を行うケースや顧客から直接評価されるなどさまざまなケースがあります。

アンケートを作成する際は、目的やターゲットを明確にすることや、回答者の目線に立ち、言葉遣いや質問方法にも注意することが重要です。顧客から直接評価してもらう場合は、顧客の工場で発生した不具合数やエンドユーザーで発生した不具合率などさまざまな指標で評価が行われるでしょう。

発生した不具合の情報を共有する

マネジメントレビューのやり方として、発生した不具合の情報共有があげられます。前述したとおり、顧客の工場で発生した不具合とエンドユーザーで発生した不具合の情報を共有します。それぞれ「納入不良」と「市場不良」と呼ばれることが多いです。

基本的に納入不良は、単品の不具合が多いので発生率の情報を共有します。しかし、市場不良については、潜在的欠陥や傾向的な不具合が多いです。

こうした不具合の情報以外にも、その製品を構成する部品や材料の不具合まで情報を共有する必要があり、パレート図やヒストグラムを使用して改善対応状況の報告を行います。

監査対応の結果を報告する

マネジメントレビューでは内部・外部監査の結果を報告します。内部監査とは、組織の内部の人によって行われる監査を意味し、任意での監査です。要点ごとに入手した証拠書類などに基づいて、総合的に評価をされた結果を報告書としてまとめ、経営者や監査対象の各部門へ報告します。

一方、外部監査とは企業外部の第三者である専門家によって実施される監査を意味します。例えば、国際規「ISO9001」については、一般財団法人日本品質保証機構や顧客から受ける監査のことを指します。

設計開発段階の情報を共有する

マネジメントレビューのやり方として、設計開発段階の製品・サービスの情報共有があげられます。新規で設計している製品・サービスがある場合は、その進捗状況についてもマネジメントレビューで共有します。もし進捗に遅れがある場合は、経営層から開発部門の責任者へトップダウンで改善指示され、リカバリーの対応策を検討します。

品質に関係する法規や規格の変更情報を共有する

最後に紹介するマネジメントレビューのやり方は、品質に関する法規や規格の変更情報を共有することです。IEC規格やUL規格などは国際情勢の変化で規定が更新されるケースが多いでしょう。こういった変化にも対応できるように、マネジメントレビューを導入して法規や規定の変更状況についても監視し報告を行います。

マネジメントレビューを導入する時のポイント

最後にマネジメントレビューを導入する際のポイントについて解説していきます。

マネジメントレビューの目的を明確にする

マネジメントレビューの目的を明確化しましょう。マネジメントレビューの目的は、トップマネジメントが主導して現在の品質管理が有効であるかを確認することです。

そのため、品質管理部門の責任者が主導するような運用体制には問題があります。トップマネジメントが関わらないマネジメントレビューは失敗に終わるので、よく目的を理解しておきましょう。

チェックシートを活用する

マネジメントレビューを導入する際には、チェックシートを活用しましょう。チェックシートはマネジメントレビューの「インプット」のプロセスで活用します。チェック項目に関しては、以下の通りです。

「内部監査結果」「外部監査結果」「顧客のフィードバック」「組織活動の実施状況(プロセスの成果含む)」「サービス・製品の適合性」「予防処置の状況」「是正処置の状況」「前回のマネジメントレビュー結果に対するフォロー」「組織変更・関連法令の変更により影響が生じる事項」「改善の提案」など。

チェックリストを活用することで漏れがないかを逐一考える必要がありません。そのため、不必要なストレスが減り、他の仕事へ回す余力が発生し、業務効率を上げられるでしょう。

マネジメントレビューの意味や導入方法を覚えておこう!

これまでマネジメントレビューの役割ややり方、マネジメントレビューを導入するポイントやメリットについて紹介していました。マネジメントレビューは日常的に行われてこそ効果的なものです。目的を明確化し、企業全体で把握し、経営層が積極的にかかわることが必要となってきます。

標準化された国際規格があるので、それをきちんと理解しましょう。認証取得することで、企業としての信用が得られますよ。

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