ラインケアの意味を解説!役立つメンタルヘルスケアの方法は?

ラインケアの意味を解説!役立つメンタルヘルスケアの方法は?
目次

ラインケアの意味や具体的な取り組み内容を知りたい!

労働者は様々なストレスを受けており、そのことでメンタル不調に陥ることがあります。こういった問題が増加しており、企業全体でメンタルヘルス対策が重要視されているのです。そういった中でラインケアによる対策を学びましょう。

ラインケアとは?

企業の管理職が実践するメンタルヘルス対策のこと

ラインケアは厚生労働省が導入しているシステムです。厚生労働省は「労働者の心の健康の保持促進のための指針」の中で、管理監督者が中心的な役割を果たす「ラインケア」が必要であると考えています。

ラインケアは職場の管理監督者が主体となり、職場環境の把握や改善、相談対応、職場復帰の支援などを行います。ストレスチェックや管理監督者の教育によって、社員のメンタルヘルス対策を行っていきましょう。

管理監督者の役割

管理監督者の意味や役割も確認してください。管理監督者は経営者と一体的な関係にある立場の人物を意味します。経営者から労働者に対して指揮や命令を行う権限が委譲されている点がポイントです。

指揮や命令だけでなく、従業員の健康を守る義務も課せられています。こういった義務を果たすために、管理監督者はラインケアを実施していかねばなりません。

メンタルヘルス対策には4つの種類がある

ラインケアを行う上で、メンタルヘルスの「4つのケア」について知っておくことが重要です。近年、セクハラやパワハラに対して企業が厳しく処分するようになり、同時にそういったことが起きないように対策を取るようになりました。

研修などを通してメンタルヘルスやハラスメントがどういったものかを学べるようになり、セルフケアの重要性も認識されています。改めてこれらの問題に対応するためにも4つのケアを確認してください。

メンタルヘルス対策は、セルフケア、ラインケア、事業場内産業保健スタッフケア、事業場外資源ケアが存在します。後ほどそれぞれのメンタルヘルス対策の詳しい中身を解説します。

ラインケアの目的

目的①健やかな組織作り

ラインケアを行う目的として、健やかな組織作りが挙げられます。従業員は働く中で様々なストレスを抱えています。適度なストレスであれば、生産性や創造性を高める糧になりますが、それが常に続く状態はメンタルヘルスの原意になってしまうのです。

ラインケアをしっかりと行うことで、従業員は働くことに対して前向きになり、企業の業績にも良い影響をもたらしてくれます。働きやすい環境や精神状態にすることは、ラインケアを大きな目的なので覚えておきましょう。

目的②企業のリスクマネジメント

企業は安全配慮義務を守らなければなりません。使用者が労働者の生命や身体の安全を確保しながら、労働をできるように配慮する義務です。

もし、ラインケアなどがしっかりと機能していないと、安全配慮義務違反として罰則などが課せられます。企業のイメージも悪くなり、取引先や求職希望者減少などにもつながるでしょう。そのため、ラインケアは企業のリスクマネジメントも目的としています。

厚生労働省によるラインケア以外のメンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策①セルフケア

厚生労働省によるラインケア以外のメンタルヘルス対策を確認しましょう。自分自身で取り組むのがセルフケアになります。日頃から自分の体調の基本ベースを確認し、調子が悪いときは検診を受けるのがセルフケアです

食生活を見直したり、サプリメントを摂取したりするのもセルフケアにあたります。また、メンタルヘルスに関する資格や知識を取得し、自分でストレスチェックを行うのも重要なセルフケアといえるでしょう。

メンタルヘルス対策②事業場内産業保健スタッフ等によるケア

事業場内産業保健スタッフ等によるケアは、人事担当者や産業医などが行うメンタルヘルスケアです。このケアの目的はセルフケアやラインケアが効果的に実施されるように支援するのが役割になります

同時に企業自体にメンタルヘルス対策に関する知識を植え付けるのも目的です。メンタルヘルスケアの実施に関する企画立案や健康情報の管理、休職者の職場復帰支援も行っていきましょう。健康情報管理は見える化を行ってデータベース化するのもおすすめです。

メンタルヘルス対策③事業外資源によるケア

事業外資源によるケアも行っていきましょう。これは専門機関や専門家によるメンタルヘルスケアを意味します。事業場内産業保健スタッフ等に対して情報提供を行って、会社内には知られたくない労働者からの相談に対応するのが大切な目的です

自分の身体的・精神的な悩みを相談するときに会社に知られたくない人も多くいるため、専門的な資格を持つ事業外資源によるケアが必要になります。

メンタルヘルスケアに役立つラインケアの取り組み内容

取り組み内容①ストレスチェックを行う

ラインケアの取り組み内容を解説します。管理監督者はそれぞれにストレスチェックを行うことを勧めましょう。仕事に関するストレス要因は「周囲からの支援」、「仕事の自由度」、「仕事の要求度」3つに分類することができます。

そして、周囲からの支援と仕事の自由度は小さく、仕事の要求度が大きい人ほどストレスを感じやすくなるのです。管理監督者はこういったことを研修などを通して従業員に理解させ、一人ひとりのストレスチェックを行いましょう。

その結果をもとに労働者が医師による面接指導を行うことや、統計的に集計された結果を事業者が受け取ることになります。このデータを元に管理監督者を中心に職場改善に取り組んでください。

取り組み内容②職場環境を見直す

管理監督者はラインケアとして、職場環境の見直しを行いましょう。職場環境は勤務時間や上司部下の関係性、有給消化率などが含まれます。また、職場の採光や騒音のようなものも重要な要素です。

ラインケアによって改善できるものと、そうではないものに分類することが求められます。特に外部環境による問題は簡単には解決できないので、従業員に対してケアを行ってより良い形を話し合っていきましょう。

取り組み内容③面談時に定点観測を行う

ラインケアでは定点観測も必ず行っていきましょう。これは従業員一人ひとりの様子を継続してチェックしていくことです。

日頃から声掛けを行い、メンタルヘルスに陥る前に相談に乗ることが求められます。評価面談や一対一のミーティングもおすすめです。一見、健康そうに見える人でも本人が自覚していないストレスをためていることもあります。些細な変化に気づけるように定点観測が求められます。

取り組み内容④面談で積極的に声をかける

メンタルヘルス対策は早期発見、早期対処が重要です。管理監督者は日頃からちょっとした日常会話などを交えて、積極的に声をかけましょう。仕事やプライベートの悩みを知ることで、メンタルヘルス対策につなげられるでしょう。

取り組み内容⑤リラックスできる面談を行う

面談を行う際はリラックスした雰囲気を作るようにしましょう。従業員としては管理監督者から面談を受けるだけでもプレッシャーやストレスにつながります。ラインケアとして面談を行うときは、フランクな雰囲気を作り、周囲に相談内容が聞こえない場所で行ってください

取り組み内容⑥傾聴に徹した面談を行う

ラインケアで面談を行うとき傾聴の姿勢が必要です。面談を行うときに問題を解決することを目的にして、ついついアドバイスがメインになる人がいます。しかし、相談したい側にとっては自分の話を聞いてもらえるだけでも気持ちが和らぐのです。

まずは相手が心を開いてくれることを目的にし、傾聴の姿勢を重視しましょう。ラインケアを行うときに間違えやすいポイントなので、問題解決ではなく、相手の話を聞いて抱えていたものを吐き出させることを意識しましょう。

取り組み内容⑦面談で傾聴した内容の対処を行う

従業員の抱えている悩みや求めている改善を把握したら、対処を行います。対処する場合はスピードも大事ですが、相手の精神的な状態に配慮して進めていきましょう。対処法はアドバイスを行うか、専門家へ相談することを促すの2つが挙げられます

ラインケアにおいて傾聴の姿勢で相談に乗った上で、最終的にアドバイスをしてください。先程解説しようにまずは傾聴の姿勢で相談に乗り、適切なタイミングでアドバイスをすることが大切です。

または、産業医や専門家への相談を促しましょう。ただし、専門家への相談に抵抗を示すことがあります。この場合は無理強いせず、管理監督者が人事担当者などと直接相談することで、状況を改善してあげましょう。

取り組み内容⑧職場復帰への支援を行う

ラインケアの中には休職者の職場復帰支援も含まれます。休職には様々な理由がありますが、メンタルヘルスによってしばらく仕事を離れている場合もあるのです。そういった理由で休職していた人が、職場復帰しやすいように支援を行うのもラインケアの重要な目的になります。

この時、ラインケアとして重要なことは休職者をいきなり100%の力で働くことは求めてはいけません。「休んでいたのだから以前のように働けるはず」と考えるのではなく、少しずつ感覚を取り戻させるようにしましょう

また、復帰後に継続して面談などを行ってフォローを行ってください。職場で信頼できる管理監督者がいることを感じられると、復帰後も安心して勤務を続けられます。短時間勤務からスタートし、トラブル処理や残業は避けて勤務させることがおすすめです。

ラインケアを実施する時のポイント

ポイント①部下の健康状態を把握する

改めてラインケアを実施する時のポイントを確認しておきましょう。ラインケアは管理監督者の能力によって効果も変わってくるので、実施者も研修などを通して能力をアップさせることが大切です。

その上で部下の健康状態をしっかりと把握するようにしましょう。健康状態の中で注意したいのは、遅刻や早退が増える、表情に活気がない、不注意やミスが増えるなどの状態です。また、残業や休日出勤が増えているのも不調につながる出来事になります。

以前は大人しいタイプだったのに対人トラブルが増えたり、イラつくことが増えたり、服装が乱れている場合も要注意です。こういった変化を気づけるように日頃から定点観測を行っておくことで、ラインケアが適切に行えるので注意しましょう。

ポイント②早期対応を心掛ける

ラインケアは早期対処が基本です。メンタルヘルスが重度になると回復まで時間がかかるため、不調のサインを感じたら負担を軽減するようにしましょう。その上で経過観察を行って、さらなる対処を行ってください。

ポイント③部下の意思をできるだけ尊重する

ケアを行っていく上で、本人の意思を尊重することも忘れてはいけません。無理にラインケアを行うのではなく、セルフケアで様子を見るのも選択肢です。また、情報共有も本人の了承無く行うのはNGなので、面談を通して方向性を決めましょう。

ポイント④個人情報保護への配慮を怠らない

従業員の健康情報は重要なプライバシーです。ラインケアを行っていく上で情報保護に努め、適切に管理を行ってください。個人情報を他人に漏らすようなことは厳禁なので、ラインケアを担当する管理監督者の資質も求められます。

ラインケアの研修事例

研修事例①株式会社インソース

ラインケアの研修事例を紹介します。株式会社インソースは研修会社で、公開講座、講師派遣型研修、eラーニングの3種類が用意されており、実践的な知識を学べるのでおすすめです。基本的な知識はもちろん、職場環境の作り方に関する講義も行われています。

研修事例②中央労働災害防止協会

労働災害を無くすことを目的としている、中央労働災害防止協会もラインケアの研修を行っています。ここではストレスチェックやラインケアを担当するための研修を体験できます。また、ラインケアで重要な傾聴に関する講義や実習が行われているので参考にしましょう

研修事例③株式会社ホリスティックコミュニケーション

株式会社ホリスティックコミュニケーションでは、ラインケアに関する体験型の研修が行われています。ラインケアを行う管理監督者に対するセルフケアも学べるので、企業全体のメンタルヘルス対策につながるでしょう。ラインケアの研修事例を参考に、それぞれの立場で教育を行ってください。

ラインケアを実施して職場環境を改善しよう!

ラインケアの意味や取り組み内容について解説しました。ラインケアは管理監督者によるメンタルヘルスケアです。従業員を日頃からコミュニケーションを取り、不調のサインを見逃さないことが重要です。ラインケアを実施して、従業員が働きやすい職場環境にしましょう。

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