エフィカシーの意味や高める方法を知りたい!
自分の能力を評価することを意味するエフィカシーは、人間関係に重要な心理用語です。何か行動を起こすとき、自分はできると自信を持つ自己肯定感や自己効力感を持つことはとても重要でしょう。
テクノロジーの進化や少子高齢化による市場の変化で先行きが不透明な現代、高い目標と困難に立ち向かう力を持つエフィカシーの高い人が注目されています。エフィカシーの意味や自己肯定感との違いを知って様々な行動を上手く遂行しやすくし、高め方をコーチングすることで困難に直面しても諦めず解決しようと努力する人を増やしましょう。
エフィカシーとは?
エフィカシーの言葉の意味
エフィカシーという言葉の本来の意味は、効果や有効性という意味です。そのエフィカシーを心理学用語として、アメリカの心理学者アルバート・バンデユーラが、日本語における「自己効力感」の意味合いで提唱しました。
困難な状況下でも自分ができると信じ積極的に取り組むエフィカシーを高めることは、自分に自信を取り戻し目標を達成することができるため、コーチングによく用いられます。
エフィカシーが注目されている背景
社会が急速に変化し将来への先行きが不透明な昨今、コミュニケーションを円滑に行うことが重要な課題となっています。これまでの経営戦略では業績を伸ばすことが困難な現代、組織が一丸となってこれまでやったことがないことにチャレンジしていかなければなりません。
そのような背景において、社員一人一人に困難に立ち向かい新しいことに挑戦しようとするエフィカシーをコーチングすることが組織が成長するために必要不可欠でしょう。
自己肯定感との違い
自分の能力を認めるという点でエフィカシーと似た意味の言葉に自己肯定感があります。自己肯定感は自分自身を認め尊重できる心の感覚を意味する言葉なので、実際に自分を信じて行動を起こすエフィカシーとは意味が異なります。
自己効力感は自身の能力に対する評価ですが、自己肯定感は自分自身の存在そのものに対する評価という点で大きな違いがあります。自己肯定感と自己効力感の両方を高めることが、自分自身をより良く成長するために大切でしょう。
セルフ・エスティームとの違い
日本語で自尊心や自尊感情と訳されるセルフ・エスティームは自分自身を大切に思う感情を意味する言葉です。自分自身に対する感情という点では自己肯定感に近い意味を持ちます。
自己肯定感が強く自分を受け入れることができる人は、他者も受け入れることができ自分と違う生き方や考え方を尊重することができます。
セルフ・エスティームが高い人や自己肯定感の高い人は、エフィカシーが高い人と同様、自分自身をポジティブに捉える人です。ただ、セルフ・エスティームは自分を価値ある人間だと感じる感覚ですが、エフィカシーは自分の能力を評価して行動に移すことなので、その点で意味が違ってきます。
アファメーションとの違い
ポジティブな言葉で自分自身の内面に働きかけ、なりたい自分を目指すアファメーションもエフィカシーと同様コーチングに役立つ心理学用語の一つです。アファメーションの考え方を身に付けることで、無意識のうちに自己変革が可能になり、潜在的な能力を引き出すことが可能になります。
エフィカシーが意識的にコーチングをしてゴールに達成するための自己能力評価を高めようとするのに対し、アファメーションは無意識のうちに自己能力を高めるためのコーチングをする点で違いがあるでしょう。
エフィカシーとスコトーマの関係性
スコトーマは元々眼科での盲点を意味する言葉ですが、心理学では見えているけれど見えていない心理的盲点を意味します。スコトーマがかかっている人は情報認識力が下がり、自分に自信を持てなくなるのでモチベーションが下がります。
このスコトーマを外すには、エフィカシーを高めることが役立ちます。自分の能力を信じて行動するエフィカシーによって、盲点に気付き不安の感情を外すことで新しいことに挑戦できるようになるでしょう。
エフィカシーの種類
人間のパフォーマンスに大きな影響を与えるとされるエフィカシーには3つの種類があります。それぞれのタイプの特徴を解説しますので、自分に合ったエフィカシーを知りコーチングに活かしてください。
種類①自己統制的自己効力感
エフィカシーのうち特に日常生活において重要とされるのが、自分の行動を制御する自己統制的自己効力感です。行動を起こすときに「自分にはできるはずだ」とセルフコントロールする自己効力感です。
自分を信じて行動するので、たとえ失敗しても原因を分析し次は成功しようと前向きに考えられます。そのため 自己統制的自己効力感が高い人は目標のために行動や努力を続ける力を持ち、成長を続けるでしょう。
種類②社会的自己効力感
対人関係における自己効力感を社会的自己効力感と呼びます。幼少期から児童期の家族や友人との経験で育まれ、成人後の社会での対人関係で確立されます。
社会的自己効力感が高い人は他者に共感したり、寄り添うことができます。そのため、他者との信頼関係を構築することが容易で、ビジネスにも非常に役立つでしょう。
種類③学業的自己効力感
学業に関するエフィカシーを学業的自己効力感と言います。この自己効力感は学業において成果を残すと高まりやすい傾向にあり、自信を持つことによりさらに努力をし、学力が高まるという好循環のサイクルが起こります。
この自己効力感が高い人はビジネスにおいても学習に対する自信があるので、新しいことを学ぶことに前向きなため、仕事への成功にも結び付くでしょう。
エフィカシーのメリット
メリット①仕事や勉学での目標達成が可能になる
エフィカシーの高い人は学習や努力に対する自信があるので、多少困難と思える目標に対しても前向きに行動できます。その結果、目標達成が可能になるでしょう。
また、一度目標達成が可能になるとまた次の目標も達成できるだろうとポジティブに考えるようになり、新しい目標にチャレンジできます。このサイクルにより、仕事にも勉学にも成果を上げることができるでしょう。
メリット②心や体が健康になる
エフィカシーの高い人は自分に自信を持って行動をするため、比較的不安や恐怖心が少なく、ネガティブな悩みもありません。そのため、精神的に健康になり、心が健康になると自律神経が整うため、肉体的にも健康になるでしょう。
また、自己効力感の高い人は、自主的に行動をするため心身共に健康を継続できる行動をしようとします。そのためさらに健康的な生活を送ることができるでしょう。
メリット③人間関係が良好になる
エフィカシーの中でも特に社会的自己効力感が高い人は、他人の意見や行動を尊重するため、周りとのコミュニケーションを上手にとれます。そのためエフィカシーの高い人の周囲の人間関係は良好になるでしょう。
自分の能力を信じている人は、他人に嫉妬をしたり見栄を張ったりしません。逆に他者に共感したり寄り添ったりできるので、良好な信頼関係を構築できます。お互いを認めているのでもしトラブルが起こっても冷静に話し合うことができ、解決や改善が可能になるでしょう。
メリット④恋愛上手になる
エフィカシーの高い人はポジティブな発言が多いので、周りから好意を持たれます。また、告白する勇気を持てたり、恋愛もうまくいくように努力することができるでしょう。そのため、恋愛上手になる傾向にあると言えます。
メリット⑤周りの人に良い影響を与えることができる
エフィカシーの高い人は考え方が前向きです。そのため、周りの人にもポジティブなエネルギーを与えることができ、全体が明るくなります。
自己効力感の高い人が多いチームには、自然とポジティブな人が集まるようになります。そのためネガティブな人はいづらくなり、離れていくか自分もポジティブになろうとします。そのサイクルが続くとチーム全体がさらに良い環境になっていくでしょう。
エフィカシーのデメリット
デメリット①ネガティブなフィードバックを行うことがある
エフィカシーの高い上司が自分への自信から部下に対しネガティブなフィードバックを行ってしまうことがあります。
部下のために誤った行動や問題の指摘をすることは、部下の成長のために必要です。しかし、部下の自己効力感を下げてしまうようなフィードバックはデメリットとなってしまいます。部下の自尊心を大切にしたフィードバックをするように心がけましょう。
デメリット②ポジティブフィードバックが不足することがある
エフィカシーの高い人は目標を達成する能力やスキルの向上に目が行き過ぎてしまって、フィードバックがおろそかになってしまうことがあります。
上司が部下に自分のポジティブフィードバックを確認する機会を与えたり、客観的に改善点や評価を伝え軌道修正することも必要でしょう。
デメリット③達成が困難な目標を押し付けることがある
エフィカシーの高い人は目標達成能力があります。そのため上司は多少困難な目標でも達成を求めて押し付けることがあります。そのため、達成できない経験が増えエフィカシーが下がってしまう恐れもあるでしょう。
新しい目標にチャレンジすることは、部下の成長になりますが、度を過ぎると悪影響になってしまうことがあります。上司が部下への目標をコントロールすることが、エフィカシーを効果的に活かすためには必要でしょう。
デメリット④温度差が生まれることがある
すべてのメンバーが自己効力感が高い場合は、チームはポジティブな雰囲気になりプラスに働きますが、エフィカシーの高さに差があるとチーム内に温度差が生まれてしまいます。
もし自己効力感の高い人が浮いてしまう状況の場合、モチベーションが下がってしまい離職に繋がる恐れもあります。そのため、エフィカシーの高い人が働きやすい環境を作ることも、リーダーには必要でしょう。
エフィカシーの高め方
セルフトークマネージメントを行う
自分で自分に自問自答するセルフトークマネジメントは、ビジネスパーソンにとって重要な意味を持ちます。困難に直面した時、その苦境を乗り越えて改善策や課題解決をするためにも、セルフトークマネージメントは効果的です。
セルフトークをポジティブにしていくことは、エフィカシーを高めるために必要不可欠でしょう。ネガティブな言葉をポジティブに変えていくセルフトークマネージメントを習慣づけることは自分の成長へと繋がります。
コーチングセッションを行う
自分の力だけで解決できない問題に直面した時は、専門的にトレーニングを受けたコーチにコーチングを受けることもエフィカシーを高めるための一つの手段です。
コーチングセッションは目標を設定し、それに向かって努力をできるように導いてくれます。客観的にアドバイスをもらうことで自己効力感を高めることも有効な方法と言えるでしょう。
成功経験を増やす
エフィカシーを高めるために最も効果があるのが、成功経験を増やすことです。大小関わらず達成感の積み重ねは、自分にはできると認識しするために重要でしょう。
成功体験はモチベーションを上げることができ、また新たな挑戦へと結びつけられるので、好循環が生まれます。ただ、あまり高い目標を掲げすぎるとなかなか達成できないので、小さい目標から少しずつ成功体験を増やすようにすると良いでしょう。
未来の記憶を作る
成功体験と共に、成功した自分をイメージし、成功した時の状況や気持ちをセルフトークして未来の記憶を作ることも、エフィカシーを高めるためには必要です。
新しいチャレンジに成功した時、どのような達成感を得られるのかを想像することで、モチベーションがアップするでしょう。そのため、自分の可能性を広げることができ、自身の成長へと導けるでしょう。
専門知識や会社の情報を取り入れ続ける
土台がなければなかなか自分に自信は持てません。自分に自信を持つためには、自分自身の知識を増やし自身の価値を高めることが必要不可欠です。
エフィカシーを高めるためには、自信を持てるだけの専門知識や会社の情報を取り入れ続けることが重要でしょう。
エフィカシーが高い人との関わりを増やす
エフィカシーを高めるためには、自己効力感が高い人とのコミュニケーションの機会を積極的に設けるようにしましょう。他者からのアドバイスや評価は、自分の認識を形成する際に非常に有効な手段です。
自己効力感が高い人の成功を実際に見ることで、モチベーションを上げることができ、彼らに正しい方向性を示してもらうことでポジティブに考えられるようになります。
エフィカシーを高めて組織の関係性を上げよう!
人口減少による市場の変化やテクノロジーの進化により、変革を求められている現代社会において、新しいことに果敢にチャレンジしようとするエフィカシーの高い人材が重要な役割を果たすようになってきました。
また競争社会で勝ち抜くには、良好な人間関係に基づく組織力が必要不可欠です。エフィカシーを高めて、コミュニケーション能力をアップし、組織の関係性を上げていきましょう。