コンフリクトを上手く活用したマネジメントを実現したい!
企業がビジネスを行う際に、相手と意見が必ずしも一致するとは限りません。相反する意見がぶつかり合い、お互い譲れない状況になることがあります。こういった緊張状態であるコンフリクトをうまく活用し、良いビジネスにつなげる方法を紹介するので参考にしてください。
企業におけるコンフリクトとは?
コンフリクトの言葉の意味
コンフリクトは、「衝突」や「論争」を意味する言葉です。また、心理学などの世界では「葛藤」という意味で用いられています。異なる意見や欲求がぶつかり合う状況であり、緊張感のある状態を感じさせる言葉です。
衝突や緊張感のある言葉だけにマイナスの印象を与えますが、うまく活用することでメリットを生み出せるのでその方法に注目していきましょう。
コンフリクトマネジメントの言葉の意味
ビジネスの現場ではコンフリクトマネジメント、という言葉が使われます。これは、コンフリクトが起きている状況を組織の活性化や成長の機会とする考え方です。対立関係をネガティブなものとせず、コンフリクトマネジメントを行うことで組織運営に変革を起こせるので参考にしてください。
コンフリクトの時代的背景
コンフリクトが発生しやすくなった時代背景を考えていきましょう。これは働き方改革や企業のグローバル化、少子高齢社会など様々な要因が関係しています。
また、働き方改革の中で終身雇用制度や年功序列制度ではなく、成果主義なども導入され、価値観の多様化が進んでいるのです。同時に女性の社会進出が進み、管理職を担う人も増えています。こういった状況で企業の利益と社員の利益にズレが生じているのも事実です。
成果主義はメリットも多いですが、個人主義に走りやすいデメリットもあり、企業との条件の対立も生じます。新しい発想や視点が企業や社員のやる気を生むこともあれば、コンフリクトの原因になっていることを考えて対策していきましょう。
コンフリクトが発生する理由
理由①条件の対立
コンフリクトが発生する理由は3つの対立が原因と考えられています。まず、条件の対立がコンフリクトの発生に関わっているのです。ビジネスを行う際、企業はそれぞれの目標達成のために条件を提示します。
同時に職場における人間関係でもコンフリクトは発生しますが、こちらも条件の対立が関係しているのです。上司と部下であれば上下関係による立場の違いから、目標や条件が異なり対立が生まれるでしょう。
ビジネスの場における条件の対立として、「コストに対する品質」、「売上増加に対するコストダウン」、「納期に対する安全」などがメインになります。
理由②認知の対立
考え方や価値観による対立は認知の対立と表現されます。認知の対立では「理想に対する現実」や「印象に対する事実」などが争点になるのです。目標を設定したときに、しっかりと考え方を統一しないと、解釈の仕方にズレが生じて認知の対立が発生します。
理由③感情の対立
感情の対立は気持ちや感情による対立です。対立関係が長期化してしまうと、感情によってさらにコンフリクトが複雑化します。感情の対立では「満足に対する後悔」や「優越感に対する劣等感」、「愛情に対する無関心」などが争点です。
この感情の対立が発生すると問題を解決するのが難しくなります。そのため、こういったコンフリクトが発生しないように、早期に問題解決に取り組むようにしましょう。
コンフリクトのメリット
メリット①意見交換することで相手への理解が深まる
コンフリクトはネガティブな面だけでなくメリットも存在します。コンフリクトが発生するときは、職場で新しいことに対する取り組みが進んでいる証拠です。作業の効率化、ITやAIの導入などの場面で起きやすく、従来の仕事スタイルと新しい形を求める人で対立します。
このときに丁寧な意見交換をすることで相手への理解が深まるのです。相手の意見の意味を理解し、相互理解につなげていくことでコンフリクトマネジメントが達成できます。多角的な視点を持つことにつながるので、相手を納得させるための話し合いを進めましょう。
メリット②本質的な課題解決に繋がる
対立しながらも話し合いを進めることで、本質的な課題解決につながっていきます。顕在化していない課題に気付けることもあり、組織としての最適化にたどり着けるのもポイントです。重要な課題はコンフリクトを活かすことで、アイデアがブラッシュアップされていくのがメリットになります。
メリット③組織の活性化に役立つ
組織を運営していく上で意見の対立は避けられません。むしろ活発な議論を行うことで商品やサービスはブラッシュアップされて、より良い形に成長していきます。競争を利用することで良きライバルが生まれて、組織は活性化していくのです。
当たり障りのない意見を言うだけでは、新しいアイデアも生まれにくく、商品のライフサイクルが早まっている現代社会では対応できなくなります。経営層やチームリーダーはコンフリクトをポジティブなものとして扱って、組織を活性化させましょう。
コンフリクトの具体的な解決方法
解決方法①意見や考え方を相手に押し付ける
コンフリクトを解決するためには5つの解決方法が存在します。自分の意見や考え方を押し付ける「強制」が一つの方法です。自分が優位な立場であるときに使える方法ですが、相手側から反感を買う点に注意しましょう。
解決方法②相手の考えや意見を受容する
相手の考えや意見を受容する「服従」も解決方法です。強制の反対になるような解決方法になります。強制と受容による解決方法は一時的に問題が解決したように見えますが、長期的に考えると望ましくない状態です。
この状態が続くと、先程紹介した感情の対立に発展し、トラブルが大きくなる可能性があります。後ほど紹介する協調の解決方法に持っていくのがベストであり、強制と受容が当たり前にならないようにしましょう。
解決方法③お互いの妥協点を見つける
長期間の話し合いはビジネススピードが求められている現代では、チャンスを逃す原因になります。時にはお互いが条件面で折れることも必要です。こういったお互いの利害を考慮したうえで、両者が落とし所を見つけて納得するのが「妥協」になります。
注意点は妥協することによって、両者が損を引き受ける形となり発展性が失われる点に気をつけましょう。企業の発展を考える上では、妥協ばかりで解決することは成長を見込めません。
解決方法④直接的な対決を避ける
ぶつかり合いことで良好だった関係が悪化し、喧嘩別れをするような形は望ましくないので、直接的な衝突や対立を避けるのも選択肢です。こういった衝突や対立を避ける解決方法は「回避」といわれます。
一時的な解決方法であり、時間をあけることで対立を和らげることが目的です。話し合いの内容を精査し、改めて意見を取り交わすための準備に取り掛かりましょう。以前とまったく同じ内容を持ち込むのではなく、相手の考えも考慮した形にすることで、ポジティブな解決につなげられます。
解決方法⑤お互いの意見や利益を尊重する
コンフリクトの解決方法として最も望ましいのは、相手の企業風土や両者の溝を埋めて協力する「協調」です。問題を相手に押し付けるのではなく、協力して問題点を特定することが必要になります。
何が悪いのかを解明し、対立の存在を認めながらも、強調してより良い形に持っていくことがおすすめです。利害や価値観を違いを理解して、業界全体を盛り上げられるような関係性にしていきましょう。
コンフリクトを解決する時のポイント
ポイント①何が悪いかを見極める
コンフリクトの解決方法に取り組む際、相手を責めるのではなく、何が悪いかを見極めましょう。このような形では攻撃的でネガティブな感情がメインになってしまい、コンフリクトのメリットを活かせません。回避などを使って時間を置き、問題の原因を見つめ直すのがおすすめです。
ポイント②ポジティブな企業風土を作る
対立や衝突をポジティブなものとして捉えて、うまく議論を活発化させましょう。企業自体が議論を前向きに捉えるようにすれば、社員も動きやすくなります。一方的なものや妥協するのではなく、議論をしっかりと行った上でお互いに協調していきましょう。
ポイント③感情的にならないようにする
議論をする中で感情的になってしまうこともあります。しかし、相手を攻撃するような言動は様々な問題につながります。パワハラなどに対する問題が大きく取り上げられることも増えており、本人がそのつもりは無くても相手の受け取り方によって訴えられる可能性もあるのです。
特に自分のほうが優位な立場の際は言動に十分気をつけて、強制の解決方法にならないようにしましょう。企業も交渉担当者の選定は丁寧に行って、冷静に議論が行える人物をチョイスしてください。
コンフリクトを企業戦略として効果的に扱おう!
対立や緊張状態を意味するコンフリクトについて解説しました。ビジネスにおいて意見がぶつかり合うことは避けられない問題ですが、どのように解決していくかによって、ポジティブな効果をもたらしてくれます。コンフリクトを企業戦略として効果的に使い、組織の活性化につなげましょう!