キャリアパスとは?制度を導入するメリット・デメリットや導入手順も

キャリアパスとは?制度を導入するメリット・デメリットや導入手順も

キャリアパスの意味を解説!制度を導入するメリットは何か?

現代は終身雇用制度も崩壊し、転職することが一般的になってきましたね。転職を成功させるポイントは、自身のキャリア形成が必要不可欠。

そこで今回は、キャリアパスの言葉の意味や導入するメリット・デメリットについて紹介します。キャリアパスの導入手順もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

キャリアパスとは?

まずは、キャリアパスとは何かについて解説します。同じような言葉として使われる「キャリアプラン」「キャリアアップ」との違いについてしっかり理解しましょう。

キャリアパスの言葉の意味

キャリアパスとは、人材評価制度の中でどんな職務に就くのか、またその職務に就くためにどのような経験を積むのか、といった道筋のことを指します。要は、会社組織の中での昇進や異動のルートのことです。

こうしたキャリアパスを企業として提示しておくことは、従業員のモチベーションを高める上で重要な役割を果たします。キャリアパスを設定して、従業員一人ひとりの能力や適性を把握して、人材育成をすることが理想といえるでしょう。

キャリアプランとの違い

キャリアプランとは、社員自身が仕事や働き方の将来像を実現するために作成する、具体的な行動計画のことです。キャリアパスはあくまでも社内での昇進や異動の道筋を示すので、自身のキャリアについて考えるべき視点の広さが異なるのです。

キャリアプランは自分の理想像に近づくために、必要となるステップを洗い出す作業が必須となります。そして、定期的に現状と目標とのギャップを見直して、日々改善していくのです。

キャリアアップとの違い

キャリアアップとは、ある分野において専門的な知識を習得し、能力を高めていくことです。キャリアパスが全体図だとすれば、キャリアアップは一つずつのステップとイメージしてもらえばわかりやすいでしょう。

キャリアパスが求められている背景

日本社会の変化によって、キャリアパスが求められています。ここでは、キャリアパスが求められている背景について、より詳しく解説しました。

終身雇用や年功序列制度の崩壊

かつての日本社会では当たり前だった、終身雇用制度や年功序列制度が崩壊しました。そのため、年を重ねるごとに給与や待遇が上がっていく時代はもう終わったのです。

企業側も個人のキャリアをカバーできなくなったので、従業員個人でキャリア形成をする必要があります。現代社会で働く会社員は、一つの企業に勤務するのではなく、転職も視野にいれたキャリアパスを作成することが求められているのです。

働き方の多様化

新型コロナウイルスの影響もあり、現代は在宅ワークや副業など、働き方が多様化していますよね。それに伴って、正社員として一つの会社でキャリアを形成するのではなく、さまざまな働き方を選択する「ワークシフト」という新たな働き方の概念が生まれました。

これからの時代は働く社員自らがキャリアパスを決めていく必要があり、一人ひとりが考えていく時代となっているのです。

少子高齢化の影響

少子高齢化の影響も、キャリアパスが求められている背景の一つといえます。日本は少子高齢化の影響によって、今後も人口が減少するでしょう。その結果、労働人口が減少するため、業界や業種にかかわらず人材の採用・確保が難しくなってきているのです。

企業側は優秀な人材を採用するために、キャリアパスの制度を設けて自社の魅力をアピールしていく必要があります。

キャリアパス制度を導入するメリットとデメリット

ここでは、キャリアパス制度を導入するメリット・デメリットについて、それぞれ紹介していきます。

メリット①優秀な人材を採用することができる

キャリアパス制度を導入するメリットの一つ目は、優秀な人材を採用できることです。企業の人事評価制度の中で複数のキャリアパスを明確化しておくと、社員は将来のキャリアに対する不安を感じずらくなるでしょう。

その結果、離職率を低下させ、優秀な人材を採用できるのです。働く人たちが魅力的だと思えるキャリアパス制度を整えておきましょう。

メリット②従業員のモチベーションアップに繋がる

キャリアパス制度を導入するメリットの二つ目は、従業員のモチベーションアップに繋がることです。先ほどと同様に、人事評価制度の中のキャリアパスを明確にすることによって、従業員が抱えるキャリアの不安を払拭することができ、前向きに業務に取り組むようになります。

それに「自分がキャリアアップするためには何をすべきか」が明確になっているので、モチベーションを高く保って日々の業務に取り組むことでしょう。

メリット③人事評価の透明化に役立つ

キャリアパス制度を導入するメリットの三つ目は、人事評価の透明化に役立つことです。キャリアパス制度を整備することによって、従業員は昇給や昇進の基準や条件を確認できます。さらに、人事評価において公平な制度を持っていることは、クリーンな文化を持つ企業としてアピールできるでしょう。

キャリアパス制度を導入するデメリットは?

キャリアパス制度を導入するデメリットとして考えられることは、従業員が望まないキャリアパスを設定した場合、モチベーションが下がってしまうことです。例えば、管理職に昇進するキャリアパスしか設定していない場合、技術職を専門にしたい従業員は不満を感じるでしょう。

これを回避するには、キャリアパスを複数設定しておくことが大切です。管理職・技術職・スタッフ職それぞれの昇進ルートを提示してあげるとよいでしょう。

キャリアパス制度の導入手順

ここでは、キャリアパス制度の導入手順を紹介します。全部で4つ手順があるので、一つずつ理解していきましょう。

導入手順①等級制度を作成する

まずは、等級制度を作成しましょう。具体的には、それぞれの職種について、階層とその業務内容や求められる能力やスキル、資格などを設定します。

一般的には、部長・課長・主任などの役職を階層としますが、自社固有の階層名でもかまいません。社員が将来の自分をイメージすることができるように、細かく階層を設定するとよいでしょう。

導入手順②研修制度を作成する

社員がキャリアパスに即してキャリアアップするためには、必要なスキルや知識を身に付ける必要があります。そのため、研修制度などのスキルアップするための制度を設けてもよいでしょう。

企業における研修には「実務を通して学ぶOJT」「一定期間、実務から離れてセミナーや勉強会などをするOff-JT」「社員が自主的に学ぶために援助を行うSDS」の3種類があります。これらをうまく組み合わせて、効果的な研修制度を作成しましょう。

導入手順③評価制度を作成する

日本企業は「能力:職務を遂行するために必要な能力」「プロセス:日常の発揮能力や取り組み姿勢」「成果:業績、目標達成度などの結果」という3つの区分により従業員を評価しています。

自社の利益を最大化するには、3つ区分のうち何を優先してどう組み合わせるかが重要です。多方面への影響をシミュレーションしながら慎重に検討を重ね、評価制度を設計し、構築することが必要となります。

導入手順④給与制度を作成する

最後に、階層に応じて賃金を設定しましょう。当然ですが、階層が上に行くほど求められる能力は高くなるので、それを考慮した賃金設定が必要なので、階層に応じて給与の差をつけるようにしましょう。

給与については社員が転職する理由にも上位にランクインするほど、従業員は給与を重視しています。そのため「この給料ではやってられない」と思われないような給与制度を作成しましょう。

キャリアパス制度の企業事例

最後に、キャリアパス制度の企業事例を紹介します。

企業事例①株式会社三菱UFJ銀行

キャリアパス制度の企業事例の一つ目は、3大メガバンクの一角を占める「株式会社三菱UFJ銀行」です。同社は「階層別研修」「人事考課制度」「公募制度」という制度を導入しています。その中の一つの人事考課制度は「キャリア自己申告」という仕組みを導入しており、社員が希望する職務や部署について年に1回自己申告できます。

また、社員のキャリアアップをサポートするため、人事部に「キャリア相談室」を設けています。そこでは専属の経験豊富なキャリアアドバイザーに自身のキャリア形成について相談することができるのです。

企業事例②株式会社リコー

キャリアパス制度の導入事例の二つ目は、事務機器や光学機器などを製造するメーカー「株式会社リコー」です。同社は「目標統合プログラム」「ダイバーシティ&ワークライフマネジメント」を導入しています。

「目標統合プログラム」とは、中長期におけるキャリアプランを上司と部下の間で共有する制度です。この制度によって、上司は部下育成を強化することができ、社員自身が主体的にキャリア形成を行える仕組みといえます。

また「ダイバーシティ&ワークライフマネジメント」では「両立支援と働き方の見直し」「意識・風土醸成」「女性活躍推進」を軸としており、従業員が持っている能力を最大限に活用していく取り組みを行っています。

キャリアパス制度を導入して優秀な人材を確保しよう!

ここまで、キャリアパスの言葉の意味や導入するメリット・デメリット、キャリアパスの導入手順を紹介してきました。キャリアパス制度は、日本社会の終身雇用制度の崩壊や少子高齢化の影響を受けて、人事評価制度として導入する企業が増えてきています。

キャリアパス制度を導入し、社員のキャリアを明確化することによって、優秀な人材を採用することができたり、従業員のモチベーションに繋がります。今回紹介した記事を参考にして、自社の人事評価制度や採用活動を見直してみましょう。

ビジネスカテゴリの最新記事